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3155 WW2時の日米他主要国艦船の、
1.目視による敵艦/敵機の視認距離
2.レーダーによる敵艦/敵機の探知距離
のはおおよそ何キロ程度だったのでしょうか?

また、航空機の場合はどの程度だったのでしょうか。

よろしくお願いします。
いーぐる

  1.  先ず前提として
    A:肉眼では気象条件の影響、レーダー性能でかなり違います。
    B:地球は丸いので地平線の向こう側は見えません。よって見張る側と見張られる側双方の高度による見通し距離以上にはなりません。
     この2点を押えた上で、気象条件は最良であると仮定した場合。
     艦から艦を見る場合は、レーダーでも肉眼でも殆ど変らず、最大で50kmぐらい(見る側と見られる側の高さ次第)一般には40〜20kmで充分に見つかると思って結構です。
     天気がよければ我々でも上空を飛ぶ旅客機を見つける事があるように、単機でも条件次第では20kmぐらい、編隊ならば30〜40kmぐらいで見つける事があるようです。
     レーダーですと100〜150kmぐらいで編隊を概ね捕まえる事が出来たようですが、低空ですとレーダー地平線に引っかかり、より近くないと見つけられないという事も有ります。これ以上は各レーダーのスペック次第という感じです。
    SUDO

  2. SUDOさんがすでに適切な回答をされてますので、補足だけ。

    レーダー見通し距離の算出は次の式によります。

    d=2.2(√h1+√h2) (単位は海里)
    ここで、
    d・・・・見通し距離
    h1、h2・・・彼我の水面高

    例えば、双方とも水面高36mにアンテナを設置したレーダーでは、
    2.2x(6+6)=26.4
    となり、26.4海里までは見える事になります。ただしこの距離は地表波等価半径を用いていますので、肉眼の場合はこの3/4、つまり19.8海里が限界となります。

    航空機の場合は前例と同等の高さに設置されたアンテナですと、高度4000mで概ね150海里の距離で探知できる事になりますが、これはレーダー出力、受信感度、アンテナの形式と利得などに左右されますので、個々のレーダースペックを参照頂ければと思います。
    elebras

  3. > ただしこの距離は地表波等価半径を用いていますので、肉眼の場合はこの3/4

     「電波の場合、地球の半径を4/3倍にする」というのを良く見かけますが、これは周波数が幾つの時の値なのでしょうか?
     それとも、短波帯だろうが30GHzを超えるような帯域だろうが、電波が地表に沿うように曲がる量は、変わらないのでしょうか?
    セミララ

  4. >3.「電波の場合、地球の半径を4/3倍にする」というのを良く見かけますが、これは周波数が幾つの時の値なのでしょうか?
     短波などは電離層による伝搬が絡む物は基本的に等価半径を適応するのは無意味。
    次にテラヘルツあたりなると水蒸気などの大気中の吸収が馬鹿にならないので気象条件
    の方が伝達距離のファクターとして大きくなってしまう、でもって通常のレーダが使用する
    周波数帯で大雑把(等価的)に把握するのが等価半径だから周波数ウンタラを気にする必要
    は無しです。

    すずき

  5. 3>
    正確に言いますと、対流圏伝搬における等価地球半径を省略して等価半径と呼びますが、ものの本によれば、これは主に空気の電磁波に対する屈折率によるものとされます。
    一般的にはこの屈折率を「リフラクティビティー」と呼び、次の式で与えられます。
    N=77.6/T(p+4810 e/T)
    ここで、
    N・・・・・・リフラクティビティー
    T・・・・・・大気の絶対温度(K)
    p・・・・・・大気圧(mb)
    e・・・・・・水蒸気圧(mb)
    ただし、これは地球湾曲の影響が考慮されていない屈折率ですので、伝搬経路の地球湾曲に合わせて修正したものを「修正屈折率」と言い、次式で求められます。
    M=N+0.157h
    ここで、
    M・・・・・・修正屈折率
    N・・・・・・リフラクティビティー
    h・・・・・・地上高

    この修正屈折率を用いて、標準大気での屈折率による伝搬路長を光学的見通し距離に等価するために仮定される地球半径が等価地球半径になります。
    ごらんのように、この式には周波数/波長のファクターはありません。

    もちろん、個々の状況では周波数選別的に働く影響が存在しますので、状況次第で等価半径も周波数選別的に変化する事になります。例えば、長波/中波などの地表波伝搬の影響を強く受ける波長帯やMの値が変化する空気逆転層の存在などがあれば、当然ですがこの等価半径はそれぞれの周波数において変化し、ラジオダクトによる伝搬などのように、マイクロ波領域であっても大きな距離の伝搬が起きる場合が存在します。
    これ以外にも、地球重力による伝搬経路への影響や地磁気による偏向などもありますが、実用的には誤差の範囲とされているようです。
    elebras

  6.  (大気の屈折率は(大まかにいうと)上空に行くほど低くなる and 電磁波の波長及び速度は屈折率に反比例する) → 高度が高くなるにつれ、電磁波の速度が速くなる → 電磁波が下方に彎曲する → 下方に彎曲する電磁波を直線と見做した時、地球の半径が4/3倍になったように見える

     というのがメカニズムなのですが、この屈折率が電波の周波数に影響しないのなら、可視光線でも同様に地球の半径が4/3倍になったと考えなければならないのではないのか、と思うのです
    セミララ

  7. 光学は専門じゃないですので、あまり自信はないですが・・・

     媒質内の光の伝搬は、原子レベルでの分極とそれによる光量子の再放出によるとされています。分極が大きい(光量子のエネルギーが大きいー周波数が高い)ほど、伝搬速度が遅れるとされています。
    しかし、エネルギーレベルの低い電磁波、つまり通信やレーダーに使われる波長の電磁波では、電子の軌道準位を変化させるようなエネルギーは持てず、伝搬速度遅延は媒体内の自由電子数とその移動速度に依存する事になります。
    この違いが光と電波の標準大気中での屈折率の違いとして現れるのではないでしょうか。式からも判りますように、水蒸気分圧が屈折率に関係するのはこの現れと思います。

     これ以上の詳しい説明はできましたら専門書を参照願います。私は技術者であって、電子工学の研究者ではありません。与えられた原理、公式を現状に当てはめるのが仕事で、その原理、公式を解析するのが専門ではありませんので。悪しからず。
    elebras

  8. 皆様ありがとうございました。
    艦対艦の場合最大値はレーダーと肉眼で大した違いが無いとは意外でした。
    いーぐる


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