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水雷艇を海戦の場から排除した駆逐艦が、今度は自らが水雷艇の役割を担うようになったのは如何なる経緯、理由からでしょうか? 素人考えでは水雷艇と同様に、更に強力な艦艇(例えば軽巡洋艦)に駆逐されてしまう事が明らかなように思えます。 また雷撃機が存在しない時代、魚雷プラットフォームとして水上艦は潜水艦より有望な存在だったのでしょうか? 超小型で三次元を高速に機動して正面突破できる雷撃機や、密かに魚雷を射程内に運搬できる潜水艦と違い、40ノットに満たない1,000トン以上の水上艦が同様の行為をするのは極めて危険な気がします。 DDかず |
- まず、駆逐艦が巡洋艦に駆逐されるならば、はじめから巡洋艦が水雷艇を駆逐しているのではないかと。(そんでもって、巡洋艦は戦艦に駆逐されてますよね)
最終的に駆逐艦が水雷艇を駆逐できたのは、駆逐艦でも水雷艇と同じことが出来たからでしょう。数と速度ですよね、両者の強みは。
たまご
- 潜水艦は速度の遅さから、敵に対する攻撃位置につくのが難しいです。
(そのために海大型では水上速度で20kt以上を要求されてますが)
確実な会敵のためには高速水上艦が必要だった。
外洋航海能力、航続距離、適当な魚雷線数の確保を考えると1000〜2000tのサイズになり、それが駆逐艦に分類されていた。
また、日本海軍も水雷の効果をあげるために、夜戦を主体に訓練し、酸素魚雷で高速・長射程を求めた。
そういう状況と考えてよいのでは。
キック
- このあたりを読んでみては?
http://www.esbooks.co.jp/books/detail?accd=30464296
補足するなら費用対コストの面でも考えてみてはいかがでしょうか
いぎし ちじ
- もし読まれていなければ、ご一読をお勧めします↓
http://www.warbirds.jp/truth/torpedo.html
http://www.warbirds.jp/truth/torpedo2.html
http://www.warbirds.jp/truth/torpedo3.html
水雷艇は海戦の場から排除されていませんし、駆逐艦が水雷艇にとってかわったわけでもありません。水雷艇の役割は拠点周辺の防備ですし、少なくとも第二次大戦当時までは、その目的で各国海軍において整備されており、活躍もしています。しかし水雷艇には、洋上の艦隊を邀撃する能力はありません。速度に劣る潜水艦も同様です。一口に魚雷プラットフォームと言っても、いつ、どこで、どのように打つのか、その想定が異なるのです。洋上航空兵力がさほど充実しておらず、主力艦隊同士の洋上決戦が戦争の帰趨を決めると考えられていた時期においては、2000トンたらずの艦艇に戦艦を撃破しうる能力を付与できることは、とても魅力的だと考えられていたのです。
DEN
- 勿論軽巡洋艦で駆逐艦を撃退できるのは明らかです。
実際、水雷艇駆逐艦の登場前に、水雷巡洋艦という、水雷艇撃退用巡洋艦も作られています。
残念ながら、図体が大きすぎて、水雷艇を撃退するには数と速度の面で不足があり、水雷艇駆逐艦という、数と速度を両立できる艦の出現に繋がるのですが。
また水雷艇駆逐艦登場時から第一次大戦まで、戦艦も含む主要戦闘艦は全て魚雷を備えていました。駆逐艦も登場時は2基程度の発射管しか積んでおらず、当時としては乗せておくのは普通の事で、駆逐艦が殊更水雷襲撃専用艦だった訳ではありません。
戦術レベルでは軽巡洋艦に突付かれた駆逐艦は先ず負けます。ですが第一次大戦でやっと軽巡洋艦という艦種が完成したに過ぎず、その後は条約時代に入ってしまったので、多数の軽巡洋艦を作るという事が難しくなったのです。
駆逐艦や大型水雷艇を撃退できる艦としても、駆逐艦が使われることになってしまうのです(これは元々水雷艇に対抗するのが任務ですから自然な流れでも有ります)この種の超駆逐艦ともいうべき艦種は何度かの試作や模索の結果として特型駆逐艦として日本で完成します。
この艦は従来の駆逐艦の1.5倍以上の武装をしており、つまり駆逐艦では勝てません。対抗するように各国でこの種の大型駆逐艦が量産され、条約制限があけた後は日米英では実質的にこの大型駆逐艦だけの建造になります。つまり駆逐艦は大型駆逐艦によって駆逐されたんです。
軽巡洋艦のほうは、使い勝手が良くて数のある中型巡洋艦として揃えたかった英国と、戦艦の補助戦力である重巡の代替戦力に使おうとした日米で流れが変りますが、つまりは図体の大きい軽巡洋艦が主流になってしまし、数が揃えられなくなったのです(これは条約の制限が大きいのですが)
条約が開けたら、日米英ともに中型巡洋艦の建造をスタートしてますが、それらは駆逐艦や大型駆逐艦を撃退して撃滅するには、あまりにも数が無かったのです。
そして、軍艦に要求される機能の大半は、大型駆逐艦でなんとか間に合うので、軽巡洋艦が主流に返り咲く事は無かったんです。
また水上戦の危険度は、実際の戦闘交戦距離が戦艦主砲ですら決戦距離が20km以内であるという事からも判ると思いますが、雷撃する機会は結構大きかったんです。
SUDO
- 皆さん、ありがとうございます。
DENさん御紹介のSUDOさん執筆サイトは以前から存じ上げておりましたが、まさかあれほど踏み込んだ内容とは露知らず(タイトルから魚雷本体に内容を絞ったものと早合点しておりました、失礼)、今回始めて全文を拝読いたしました。私の疑問に全て応える内容で非常に満足しております。
またそれを要約してくださったSUDOさんの御回答にも感謝しております。
DDかず