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今回も日本の潜水艦についてなのですが、大戦中の訪独潜は全てインド洋〜喜望峰廻りのコースを採りましたが、北極海を通るルートを採る可能性というのは考えられなかったのでしょうか? ノーチラス以前にも例えば独Uボートが北極氷盤下をラプテフ海まで活動していたことですし、夏期ならば日独航路として可能性があると思うのですが。この航路なら日数も短縮できそうですし、対潜掃討にあう危険も減りそうで成功率も高くなりそうなのですが。 mas |
- 艦船2924がご参考になるかと思います。
Ranchan
- 早速の御回答ありがとうございます。
確かに氷の下を航行するのは無理があるかと思うのですが、夏期に流氷が溶けた時期にシベリア北部沿岸づたいに航行するのは可能ではないかな?と思いまして。いかがなのでしょう。
mas
- 確かに北極海においても夏期にはウラジオストックからムルマンスクに至る商用の航路が開かれていますが、セーベルナタゼムリャからチェリスキン岬の間にあるピルキツキー海峡や、ノヴォシビルスク諸島からロング海峡にかけての東シベリア海は通年で結氷している場合が決して珍しく無い海域であり、夏期でも耐氷能力のある船ですら単独航海できないことがあるくらいの難所でもあります。このためソ連(ロシア)の商船隊は夏期でも結氷した水域を通過する必要がある場合、砕氷船を先頭に立てて船団を組んで航海を行なってますが、質問で想定されている状況の場合、潜水艦側は砕氷船の支援が望めませんので、行動には相当な困難が出ることが予測されます。
またシベリア沿岸の水域は水深が非常に浅い場所があるため、潜水艦が行動するには適さない海域でもあります。例えばノヴォシビルスク諸島から大陸の間にあるドミトリーラプテフ海峡はラプテフ海から東シベリア海に抜ける主要航路として使用されてますが、ここの東側の水深は10m以下のため、通行する船舶の喫水制限6.7mという厳しい制限があります。これ以外の夏期に使用される航路でも水深20m以下のところはさほど珍しくありません。更に第二次大戦時の場合、夏期にはソ連空海軍も船舶航路となるこれらの水域に哨戒機や警備艇による定期的な哨戒を実施してもいますので、敵性の潜水艦がこれらの浅海面で行動するのは些か辛いものがあるでしょう。以上のような理由から、夏期でも北極洋のロシア側沿岸部で通常型潜水艦を行動させるのは事実上無理だと思われます。
なお、蛇足ながらUボートのラプテフ海突入は、8月の一番氷が少なく行動の制限が少ない時期に実施されたことを考慮する必要があるでしょう。
大塚好古
- ありがとうございます。
そうそう簡単な話ではないのですね。よく分かりました。
mas