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日ロ戦争時のような徹甲弾でない対艦砲弾は、第2次大戦時には使われなかったのですか? 大和の1トン徹甲弾の炸薬は、たったの30キロ程度と聞きます。 ここで800キロくらいを炸薬にしておけば、飛び越したり前後に落ちても、 至近弾効果で打撃を与えられるのでは? 直撃の場合、戦艦の装甲は破れないにしても、レーダーや機銃を一網打尽にできるでしょうし。 乙 |
- 1tび弾に800kgも炸薬を詰められないと思います
参考
大和の弾
91式徹甲弾 弾丸重量1460kg 炸薬量33.85kg
零式通常弾 1360kg 61.7kg
アイオワの弾
APC Mk.8 2700lb 40.5lb
HC Mk.13 1900lb 154lb
セミララ
- 主砲を用いて敵戦艦の対空機銃を一網打尽にしたとしてもしようがないと思うのですが。(戦艦同士の殴り合いで対空機銃を沈黙させたとしても意味が無いですし、レーダーが機能停止したとしても光学測距儀が使用可なら大丈夫)
それだったら敵戦艦自身にダメージを与えられる徹甲弾の方が良いかと。
Ranchan
- #1
1t"び"弾 → 1t"の"弾
すみません
セミララ
- 回天はあの炸薬量ですが、それでも至近爆発における損害は、それ程のものではないようです
爆雷にしても、心理的な面はともかく、それ程ダメージを与え得る物ではないようです
よって、至近弾効果というものは、あまり期待できないかと思います
セミララ
- 捷号作戦の戦闘詳報などには敵の着発信管付き通常弾の威力とその有効性についての記述が見られます。また日本側も作戦前から通常弾が無力とは思っておらず、敵戦艦が出現しても揚弾してある通常弾を撃つよう命令されています。
BUN
- 砲弾の爆発による破壊効果は爆風・衝撃波によるものと、高速で飛び散る砲弾の破片によるものの二種に乱暴に大別できます。
魚雷や爆雷は水中で爆発するので、破片は水に阻まれて殆ど進まないので、威力の多くを衝撃波や爆発ガスによる圧力に依存します。だから凄い炸薬量になります。また100kgの炸薬を持つ爆雷で50〜100m離れれば殆ど安全とされている訳ですから、戦艦砲弾が近距離で爆発しても、ダメージは殆どありません(爆発威力は距離の三乗に比例して低下するとされてます)
砲弾は水の壁に阻まれないので、破片を撒き散らすほうが効果的で、砲弾の重量の5〜20%ぐらいを炸薬にするのが、比較的バランスが良い条件になります(火薬は鋼鉄より軽いので、容積的には殆ど火薬みたいになっちゃうんですけど)
また炸薬量が多いと破片は細かくなり、速度は急速に低下するのであまり広い範囲を壊せません。対人用なら10〜20%、対物用なら10%以下ぐらいが条件的には良好のようです(勿論、用いる炸薬によっても異なる)だから各国の艦砲用通常弾は10%弱の炸薬量になっているのが一般的です。これなら薄い板なら抜けて炸裂するし、その破片は構造物やアンテナに損傷を与える事が出来る訳です。
また魚雷弾頭数本を自爆させる実験もやってますが(数百kgの火薬です)戦闘航海に支障なしという結論が出ていますので、800kg炸薬弾が当っても、火器や電探を一網打尽に出来るとはいえないでしょう。
もちろん船体内部でそれだけの炸薬が爆発したら逃げ場の無い空間ですから爆発圧力は船体を大きく損傷させますが。
SUDO
- 昭和5年頃のデータでは砲弾重量に占める炸薬重量比(充填効率)は以下のようだったようです。
徹甲弾 0.8〜2.7%
半徹甲弾 〜5%
通常榴弾 6%前後
大容積榴弾 16%前後
16%も詰めると腔發の危険性が飛躍的に高まるので
肉厚の絶対値が大きい大口径榴弾に限定されたようです。
ですから、大和の46サンチ弾では200〜250kg程度が充填できる炸薬の最大量でしょう。
日露戦争時の日本海軍の12吋砲弾は充填効率は14%と言われています。
下瀬火薬の威力とあいまって、乗員殺傷、火災発生(消火に戦力を割かれる)に大きな威力を発揮しました。
炸薬250kgの46サンチ弾が直撃すれば、相当の被害を与えたものと考えられます。
油布巾
- 戦艦(扶桑級)を廃艦とする命中弾数(海軍砲術史)
45口径46cm砲の場合
弾種 弾量 信管 射距離26,500m以下 同26,500m以上
徹甲弾 1,460kg 大遅働 9発 12発
半徹甲弾 1,460kg 短遅働 14発 16発
また高勢榴弾(即働信管)は20cm砲以下しか記載が有りませんが、いずれも半徹甲弾と同数です。
結論としては徹甲弾以外でもソコソコ打撃は与えられるでしょうケド、効率上は徹甲弾のほうが3割ないし5割程度有利ってコトに。
駄レス国務長官
- >7
日露両軍とも誤解してるのが多いんですが、ロシア軍が恐れた「猛烈な火災を起こし黄色い爆煙を発する日本の砲弾」は下瀬火薬が不完全爆発だと黄色い煙を出すことから言われるものでした。
完爆ではないので炸裂威力が小さく、つまり破片は大きく遅いので、人員をなぎ倒したんです。また飛び散る火薬の燃焼が船体に火災を起こさせたのです。真っ黒い煙を上げる爆発の場合は、爆風だけで大した事は無かったとロシア側では云ってますが、これが情けないことですが完全爆発時の下瀬火薬です。つまり炸薬が強すぎて破片が細かく、結果的に打撃力がなかった訳です(不完全爆発は炸薬の鋭敏性と信管の起爆力の弱さから)
これらの問題は日露や第一次大戦戦後に把握されて解消されていきますので、日露戦争時の欠陥砲弾をベースに論ずることは出来ません。
SUDO
- >#7 油布巾さん
http://www.navweaps.com/にある、各国の3インチ砲以上の大砲の弾丸重量、炸薬量を徹甲弾、榴弾に分けてプロットしてみましたが、大和の46cm砲弾の場合、炸薬量は150kg位が精々のように思えます
あと、炸薬量を増やすと(弾殻を構成する鉄鋼材料よりも比重が小さい炸薬の体積比が増えるので)弾丸重量が軽くなるとか、火薬の種類によって、比重とか(所謂)威力が異なってくるとか、いろいろと難しい問題があります
セミララ
- 鉄の比重は7.9ぐらい、TNTの比重が1.6ぐらいとされてます。
炸薬比15%の砲弾は、容積的には46%以上が炸薬という事になります。
で、この場合、炸薬比2%の砲弾に比して68%程度の重量になります。
大和の砲弾を刳り貫いて炸薬比15%に下場合。完備重量は990kg、これで炸薬は15%ですから150kg弱という事になります。
砲弾の長さや形状を弄る事で、もう少し改善できるとは思いますが、#10でセミララさんが述べられた150kg級が精々というのは物理的な上限という事でもある訳です。
もしも200〜250kgの炸薬を大和の砲弾に詰めるならば、炸薬比25〜45%(完備重量800〜600kg)になり、これはマトモな砲ではちょっと難しい高炸薬比率を必要とするという事になります。
SUDO
- 上で触れた記録では「徹甲弾より着発信管付き榴弾の方が被害が大きく厄介である」と述べています。徹甲弾が必ずしも大きなダメージを与えられるとは限らないのです。
BUN
- >#5,12 BUNさん
どの艦、部隊の戦闘詳報なのか、御教授願います
セミララ
- それを調べるのが楽しみってものです。
BUN
- >>12.
着弾の部位(非装甲、軽装甲、重装甲の区分)も御教授願います
駄レス国務長官
- >セミフラさん、SUDOさん
ご指摘ありがとうございます。
250Kgは、たしかに多すぎでしたね。どこから出たんだろう、電卓を叩き間違えたようです。
油布巾
- 便乗質問になってしまいますがお許し下さい。
戦艦が戦艦に対し、徹甲弾を選択可能なのに通常弾を使用する場合はあるのでしょうか?
相手が巡洋艦以下だと、「装甲が薄い(または無い)ので徹甲弾だとすっぽ抜けてしまう」場合を考慮して着発信管付き通常弾を使用する場合があるのは分かるのですが。
Ranchan
- >17
普通は敢えて通常弾を選ぶ事はしません。
また、徹甲弾が即応弾として砲側になく揚弾が遅れるような状況で通常弾を放つのは既にBUNさんが述べた通りです。
ただ、CPCやSAPに類する弾を持ってるならば、重巡ぐらいまでになら、敢えてAPを使わないという選択はあります。
SUDO
- >4
回天の弾頭が至近距離で爆発すればただでは済みません。
回天金剛隊のウルシー攻撃時の戦果の内、弾薬補給船マザマは回天が命中したものの爆発せず10フィート離れて爆発、あわや沈没という被害を受けました。
もちろん、沈没を防ぐために浅瀬に曳航し座礁させましたが。
それと○レは爆雷攻撃でかなりの戦果を挙げています。
GO
- >18
ご回答有難うございます。
「『徹甲弾より着発信管付き榴弾の方が被害が大きく厄介である』と戦闘詳報にある」と伺いましたので、
「第3次ソロモン海戦の『比叡』や『サウス・ダコタ』のように、対戦艦でも上部構造物を破壊する方がアーマーを抜くのを狙うより有効ということなのか?(だとすると徹甲弾の存在理由は?)」
と思いましたので伺わせて頂きました。
通常弾も有効とはいえ、パンチ力では徹甲弾には叶わないということですね。有難うございました。
Ranchan
- >#14 BUNさん
どうもありがとうございます
>#19 GOさん
回天の至近爆発でも、それほど被害を受けなかった、という内容の記述を読んだことがあるので、そう書きました(相手は駆逐艦か輸送船)
セミララ
- >21 セミララさん
確かにそのように書かれた書籍もありますね。
ただ、それが事実なのか私のような研究者と戦友会がそれぞれ研究に励んでします。まぁ、なかなか資料が入手できず研究は進みませんけど。
GO
- ハナシを整理しますと
「(非装甲ないし軽装甲の部位に対しては)徹甲弾より着発信管付き榴弾の方が(炸薬量が大で小さな断片を広範囲に飛散させるため)被害が大きく厄介である(が、重装甲の部位に対しては当然、装甲貫徹後に破裂する徹甲弾が効果的である)」
「敵戦艦が出現しても(徹甲弾が即応弾として砲側になく揚弾が遅れるような状況ならば)揚弾してある通常弾を撃つ(が、非徹甲弾が砲側に無くなり次第、本来の徹甲弾を使用する)」
また、最初の質問の意図が「徹甲弾よか少ない命中数で敵戦艦を無力化できる砲弾は有るのか?!」であれば、答えはNO
・・・というコトで宜しいですか?!
駄レス国務長官