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サボ島沖海戦(エスペランス岬沖海戦)のことはレーダーのせいで負けた、日本海軍の十八番の夜戦が通じなくなったとかまるでターニングポイントのように書かれていますが、第三次ソロモン海戦やルンガ沖魚雷戦でも米艦隊はレーダーで先に発見しながらもたついて大損害をこうむってますし、またレーダー射撃の精度についても米巡洋艦が青葉に初弾命中させて古鷹共々五分間でノックアウトしたのは事実でも、そんなに正確なら海戦後半でなんで四隻がかりで衣笠一隻に完全に撃ち負けているか?と突っ込まないもんでしょうか? 架空戦記ファン |
- 米側に不手際や不慣れがあってレーダーの優位を生かしきれなかったのでなんとかなったというのは、レーダーがへぼいから勝ったということではないですね。
レーダーを使う側がへぼだったわけで、衣笠への目標変更を手間取ったのは射撃指揮のミスでレーダーとは関係がない。
衣笠はもともとの腕に加えて、連射する米艦自らが発砲炎で位置をすっかり曝露しているのを見て正確な諸元を整えたわけで、しかも近距離、外しっこない。
レーダーがあることで、少なくとも見張りで先手をとれ、初期測距においても米側が優位に立つようになり、射撃開始でも先手を取れるようになったことは極めて大きい意味を持つでしょう。
以降、日本側の優位はぐんと減り、圧倒的優位にあったものが引き分けに持ち込むのにも苦労する、向こうにミスがなければ勝てないという状態になったわけですから、ターニングポイントとしてもそう間違ってはいないでしょう。
更に言えば、日本側の目的はガ島への輸送、あるいは砲撃であって海戦に勝つことではない。
レーダーがあることで、突っ込んでくるトーキョー・エキスプレスを非常に高い確率でつかまえ、先手を打って戦闘に持ち込めるようになったというだけで、
言い換えれば、
忍び寄る日本艦隊の奇襲を受ける、あるいは日本観隊を見逃してすり抜けられてしまうという恐れがほとんどなくなった時点で、米側はもう戦いには勝っているんです。
あとは、それをどのくらいの交換比で終えられるかということが問題なだけです。
まなかじ
- エスペランス海戦の米巡洋艦部隊はレーダー射撃を実施していません。基本的に各艦がメガネで見える範囲の艦しか射撃してませんけど。
また衣笠は4対1で撃ち勝った訳ではなく、「ボイス」「ソルトレークシティ」と順繰りに事実上1対1で砲戦を実施しています。この後「衣笠」は目標を見失って「敵艦隊を撃退」したと勘違いした結果誇らしげに離脱しますが、同艦の行動を航跡図上で追うと事実上一撃をかけて離脱したようにしか見えません。実際に米側には衣笠の失探は「巡洋艦1撃沈」と取られて追撃されなかった、ということも良く考えるべきと思われます。
因みに1942年中の場合、米の巡洋艦及び駆逐艦搭載のレーダーは射撃諸元を出せるほど高精度ではありませんので、攻撃範囲の増大及び射撃精度の向上には繋がりませんが、第一次ソロモン海戦のように完全に先手を取られることが無くなった上に、レーダー索敵を有効活用する戦術でそれまで夜戦で無敗を誇った日本艦隊を打ち負かすことが出来る、という自信を米艦隊に持たせることになりました。この結果米海軍はその水上艦艇を夜戦にためらうことなく投入するようになりますが、これが結果として太平洋戦争の水上戦闘における転回点と言っても過言ではない大きな影響を後の戦局に与えることになったのは事実です。
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「衣笠」が「ボイス」に対して雷砲撃を開始した前後において、米巡洋艦部隊は砲撃を中止してますので、同艦は米艦隊の発砲焔を捉えて目標艦及び距離をつかんだわけではありません。
大塚好古
- レーダーのおかげで日本艦隊に少なくとも奇襲されることはなくなり、米海軍に夜戦に自信を与えて積極的に投入されるようになったのは非常に大きい点だ、ということですね。ありがとうございました。
しかしこの海戦ではレーダー射撃を実施してないというのは初耳でした。
架空戦記ファン
- 当時の米海軍は照射+照明弾を主に用い、レーダーの測距値も取り入れていたようですね。
わが海軍は無照射射撃でした。
tackow