3030 |
初歩的なことで申し訳ありませんが、教えて下さい。 戦艦等の射撃盤での射撃緒元の計算時には、測的所の測的盤や変距率盤で付属の観測鏡による観測結果に基づいて算出した的針的速・変距率データを使用すると思います。 素人考えですが、測距儀・方位盤の観測データを基にして射撃盤で直接計算した方が高い精度が得られるように思えます。(測距儀・方位盤の方が観測鏡より遠くが見えるから。遠距離砲戦の場合は特に) 大和型戦艦の九八式射撃盤の場合、図を見ると的針的速盤・変距率盤が組み込まれていて、射撃盤で直接それらを計算ができるかのように見えます。 もしそうだとしたら、乱暴な話ですが測的所は不要になるような気がするのですが。 そうなっていないのは、私が何か考え違いをしているからで、何を考え違いしているか教えて頂けるとうれしいです。 よろしくお願い致します。 MJQ |
- たしかに測距儀と方位盤、つまり距離と方位と自移動量を用いれば、的の移動速度は計算で出せますが、これにはデータを何度か入れることが必要です。
特に夜戦なんかでは自変距のみを用いるとされているように、咄嗟の戦闘では敵の移動量を何度も収集できるだけの余裕がありません。
例えば、利根の射撃要領には中距離射撃時の目標変換に於て「測的盤がなく射撃盤で処理するから遅れやすい」となってます。
また現実として、測距データから求めた射撃盤前提の射撃である「測距射撃」と、測的から推測した変距離前提の「変距射撃」の大きく分けて2種類の射撃があり、日本軍は主に変距射撃を使いましたので、測的所による素早い看破からデータを求めるのも、また重要な手立てだったのです。
てか、つまり完全に測距射撃をこなし得るには九二式以降の射撃盤、出来れば九八式が必要で、またそれを十分に使いこなすまでには進んでいなかったとも見なせるかも知れません。
SUDO
- 大和型の射撃指揮所には九八式的針的速測定盤が装備されており、そこで算出されたデータが射撃盤に送られていますね。
SUDOさんも書かれていますが、専門に測定した方が(当時は)有利だったのでしょう。
余談
測距射法を用いるには測距散布誤差と射心移動量が問題となりますから、的速・的針の誤差はある程度許容されていたかと思います。
tackow
- SUDO様、tackow様、ご回答ありがとうございました。
この質問をさせて頂いた理由の一つは、グランプリ出版「日本の戦艦(下)」9-117図(砲戦射撃指揮についての流れ図)では的針的速データが測的所から射撃盤に送られているのに、光人社NF文庫「軍艦メカ開発物語」第7図射撃指揮管制系統図では測距儀・方位盤からのデータが「的針的速」という四角を経由して射撃盤に送られているので、なぜ違うのかよく分からなかったからです。SUDO様の回答にある「測距射撃」は後者に対応し、「変距射撃」は前者に対応していると考えて良いでしょうか。
SUDO様の回答に「日本軍は主に変距射撃を用い・・・」とありますが、他国の海軍ではどうだったでしょうか。また、tackow様の回答に「射撃指揮所」とありますが、これはどのようなものだったのでしょうか。(前述の9-117図では測的所と並立する形で射撃指揮所がありますが、手持ちの資料が少なくて大和型戦艦の前檣楼の構造が分からないので・・・)
よろしくお願い致します。
MJQ
- 米英軍の電探射撃は変距射撃の系統になると思います。
SUDO
- 測的盤や変距率盤の原理が判らないのですが、どなたか御存知の方、お願いいたします
セミララ
- 変距率盤は三角関数です。
△R/△T=変距率(kt)
=−(VsCosβ+VeSinΘ)
Vs=自速
Ve=的速
α=彼我の針路開角
β=照準線と自針の角
Θ=α+β-90
つまり、彼我の針路と速度を入力して、距離変化率を求めるものです。
この変化率を距離時計に代入することで、任意の時間に於ける距離データを求める訳です。
これを一種の計算尺で行うのが変距率盤です。
測的盤は、測距データと目標サイズを入力して望遠鏡で見えている大きさから内外角(的針)を求めます。
100mの艦が50m相当の長さにしか見えなかったら、半分だから60度だなと。
速度は判らないです。すいません。
SUDO
- #6に追加
確かマスト間の距離計測とかでも出来たと思います(的針)
SUDO
- 御回答ありがとうございます
長年の疑問だった「内外角」も判りました
ところで的針ですが、相手の船(の全長)が何かわからないと、判定できませんね
的速は、艦首波・艦尾波の立ち方のような気がします
そういえば、変角率盤というものもあるようですが、これは何物なのでしょう??
セミララ
- 3.の射撃指揮所に関する質問はとんでもない愚問でした。申し訳ありませんでした。
MJQ