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始めて質問させて頂きます。 潜高大に興味があるのですが、主機関に22号ではなく製造や取扱いの難しいマ式を選んだのは、単に内殻の大きさの制約からなのでしょうか?また22号や23号などを使ってディーゼルエレクトリックを採用することも当時では無理だったのでしょうか? また要目表では定員31名なのですが、「丸スペシャル」だったかでは実際の運用では50名が必要だったとの記述もありまして、このあたりの状況も知ることができれば有り難いです。 潜高大の乗員の手記というものを目にしたことがなく、(過去の解答欄に世界の艦船に伊203航海長の寄稿あり云々とありましたが、号数がいまだ分からず)もしあれば御紹介ください。 色々とお尋ねしましたがよろしくお願いします。 mas |
- とりあえず回答出来そうなトコだけ回答してみる。
(1)設計の大元になった呂三五型が二二号積んでますので、内殻径は問題ないのでしょうが、後ろにでかいモーターを積む関係上、艦内容籍を圧迫しないより小型のディーゼルが好まれたのではないかと思います。
(2)基本的にDEは直結式より艦内容籍を食いますので、船型が小型の潜高ではスペース的にDEの採用はかなりきついものがあるかと思います。
更にDEにする場合、当時の日本に小型大出力のモーターが無いためダイレクトドライブ式DEの採用は出来ませんので、モーター二基を減速ギアで推進軸に結合する必要がありますが、潜高計画時に騒音問題で減速ギア結合を諦めて直結にした経緯がありますから、潜高型に必要な軸馬力をDEで発生させるのは無理だと思われ、事実上DEの採用は不可能だと考えます。
…あとは他の人宜しく。
大塚好古
- >主機関に22号ではなく製造や取扱いの難しいマ式を選んだのは、単に内殻の大きさの制約からなのでしょうか?
22号10型(10気筒 ボア430×ストローク450mm)の大きさは、伊58の側面図から計り取った概寸法で、長さ7.9×高さ3.4m位
マ式1号(MAN W10V 30/38 10気筒 ボア300×ストローク380mm)の方は、伊201の側面図から計り取った概寸法で、長さ5.5(減速歯車を含めると7.7)×高さ2.7m位
これだけ大きさが異なると、重量にもかなりの差が出そうです
あと、伊58や伊201の側面図とにらめっこしたところ、22号10型は、エンジン本体のみならばともかく、補機を含めると、潜高大には収まりそうもないように感じました
次に、23号の方ですが、ボア370×ストローク500mmとのことですので、22号よりは小さそうですが、マ式1号よりは大きそうです(同じ10気筒で比べれば)
更に出力も小さく、マ式1号でさえ馬力不足で充電に心許無い状態なのに...という有様なので、マ式1号より低出力の23号の採用は、難しいかもしれません
>ディーゼルエレクトリックを採用することも当時では無理だったのでしょうか?
ディーゼルエレクトリックですが、日本が採用した方式に比べ、発電機が余分に必要です(日本が採用した方式は、発電機=モーターとなる)
側面図とにらめっこしましたが、発電機を増設するスペースは無さそうです
>目表では定員31名なのですが、「丸スペシャル」だったかでは実際の運用では50名が必要だったとの記述もありまして、このあたりの状況も知ることができれば
参考にはならないでしょうが、「写真 日本の軍艦」の写真解説に、「乗員が予定していた31名から50名となり、居住区の一部がホットバンクになった」という記述があります
セミララ
- 御回答どうもありがとうございます。
今まで伊58の側面図を何度か見ていながら、機関室が大きいのでなんとなく艦本式2号だと勘違いしてたのに気がつきました。以外と22号は大きいのですね。これでは伊201には選ばれなかったのが分かった気がします。
ディーゼルエレクトリックは海自の「おやしお」が採用したうえ、伊201のエンジン部にあたる所に後部兵員室までつくっているので、安易に考えたのですが、実は当時とはそれだけ技術差があったということなのですね。
乗員の件、セミララ様と同じ記述を見ての疑問でした。中型の乗員が61名、おやしおが65名なのに対して31名は少なすぎるし、かといって運用するまで実際の乗員数が分からなかったというのも解せなかったので。
色々と説明して頂いて理解するとともに、ますます日本の潜水艦に興味が湧いてきました。どうもありがとうございました。
mas
- 今日調査のついでに防研で伊二〇一の機構説明書を見てきましたが、それによると同型の乗員数は45名です(うち下士官兵38)。伊二〇一の下士官・兵員用寝台定数は15なので、兵員の皆様は下手すりゃ寝台で一緒に寝ないと駄目かも知れず(最初の31名でもホットバンクは必至ですな)。
大塚好古
- >4 ありがとうございます。正直驚きです。
日本の潜水艦でこれ程のホットバンクというのは珍しいのではないでしょうか。伊号潜水艦といいながら局地潜的なスペックに見えてきますし、その意味でも独のXXI型にはやはり大きな差をつけられているのですね。
mas