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バンダイから出ている海自のDVD(庵野監督と岡部いさく氏がコメンタリで解説するやつです)でSH-60Jの離発艦シーンがあり、その際コクピットを後ろから撮影した映像が流れます。 この時機長とコパイの間の天井から白い気体が吹き降りていますが、これは一体何なのでしょう? 単にエアコンが効き過ぎている? satoski |
- さて問題。
飽和状態に近い湿度で高圧空気を作りこれを冷却した上で
タービンを駆動してエネルギーを失わせるとどうなるでしょうか?
答
凍結して氷が吹き出てくるほど冷えます。
・・・・
- ・・・・様
書き込みありがとうございます。
エンジンの圧縮空気を抽出して空調に用いている、その空気である、というご教示との理解で間違いないでしょうか?
satoski
- >エンジンの圧縮空気を抽出して空調に用いている
ヘリコプターや小型機(サイテーション、クラスまで)のエアコンのシステムは基本的にはフロンを媒体とした自動車のシステムと変わりません。
エンジンのブリードエアーを使うのは大型機ですね(エアサイクルマシン)
車でも高湿度のときに最高に冷やすとたまに水蒸気が出ますがあれと同じなんです。
但し、この現象は確かにヘリに多いようです。ウォーターセパレター(水分分離機)が付いているのですがこの能力が低いようです。
点火栓
- >この現象は確かにヘリに多いようです。
ヘリは固定翼機のように乾燥した高空をあまり飛ばないことも一因かも知れませんね。ましてや海自の哨戒機ですから海上でしかも低空のミッションが分離機の能力を超える要因かも知れません。
点火栓
- 抽気弁よりブリードエアを取り出す形式の物は
暖房のみならば400shp級の小型機からあり
冷暖房両方あるのは1300馬力級位からですね。
時期的なものではS50年代に導入された物から付き始めた。
因みに、ヘリの場合汽水分離機は非常に小型です。スペースが有りませんから。
当然、分離能力は良くないですねぇ。
とは言え、100馬力近くパワーを失うので高出力が必要な場合はカットします。操縦手順にも明記されてますし。
・・・・
- >100馬力近くパワーを失うので・・・
BEECH 300(1,050hp)クラスでもエアコンのコンプレッサーの駆動ロスは最大で5馬力以下です。300馬力クラスのレシプロ機で離陸時エアコンをオフにするのはパワーロス防止もありますが、エバポレータ(熱交換器)の冷却ドアーが地上では大きく開く為その空気抵抗を嫌うことも一因でしょう。
点火栓
- ゴミレス。ベトナムの戦記で、配備されたばかりのAH−1コブラの冷房噴出口が操縦桿根元近くに開口しており、飛行中にグリースが凍結して操縦不能になる事故が起こったと読んだことがあります。
ささき
- 因みに、T53−703系列の抽気弁の流出量はブリードバンドからの流出量
との合算になるので、低速高出力の離陸時にはOFFにしなければならず
(ブリードバンド開は、フューエルコントロールUNITによる自動で機械式コンピュータ制御)
また、このECSシステム(エアコンディショナー)はT/Mからも出力を奪っています。
T/Mは最大許容入力馬力が1195馬力に制限されており、ENG出力が1485馬力有っても連続で使うとT/Mが破壊されてしまう。
更に、オルタネータ吸収出力が約75馬力あり、これにエアコン系統の吸収出力(10馬力以下)が加わるので
必ず喰うT/R吸収出力148馬力(最大)と操縦用油圧ポンプ(1400PSI毎分22ガロンの流量*2基)の吸収馬力20馬力も相まってパワー
が奪われる事でメーンロータ駆動に廻せるパワーが減少する事になります。
メーンローターに廻せるパワーが減るという事は、機体の揚力が減るという事に直結しますので
飛行可能曲線と飛行不能領域曲線が近接し上昇力が低下します。
この状態でPS500(毎分500ftの上昇力を示す)を割り込む場合は非常に危険で
樹木に接触したり、飛行場近接の建て物を飛び越える事が難しくなります。
グランドエフェクト内から、転移揚力飛行に移り離陸上昇間高度上昇せず速度を稼ぎ少しずつ浅い角度でよろよろと上昇するって事です。
従って、危険回避の為燃料又は搭載弾薬を大幅に減じなければなりません。
何しろ、最大離陸重量1万ポンドで燃料満タンだと9700ポンドにもなってる機体もありますから。(パイロット2名の体重含む)
*因みに100馬力近いパワーを失うとありますが、これは各種負荷を合算した物です。
・・・・
- あれ?重要な点を書き逃してた^^;
ベル社製ヘリで抽気弁(ブリードバンドとは別体)からエアコンを取るものの
冷却法には、フロンは一切ありません。防氷系統と一緒です。つまり13〜14気圧のブリードエアをそのまま使います。
その為、そのままでは200度程度の高温です。当然配管に枯れ草やオイルが付くと発火する事もありますが・・
この高温高圧の圧縮空気を、インタークーラーの様な熱交換器に通し(この冷却ブロワの駆動はT/Mからの動力伝達です)
高圧のまま、常温に近くします。これを遠心式タービンに通し膨張させる事で
エネルギーを急速に失わせるようにします。結果的にタービン出口温度は零下まで低下します。(暖房の場合には生のブリードエアをここで混合する)
そこまでの間には、一切水分分離機は無く、タービン出口から外気と混合して
温度を調節する場所にドレンが有るだけですので高温高湿度(要は真夏)では
最も離れている前席吹き出し口まで氷の塊が噴出してくる事があります。
その場合の動作は、勿論冷却全開ですが。
尚、ENG No1ベアリングシール損傷などでオイル漏れが起きると、オイル臭が立ち込めます。
その為、飛行間は可能な限りECSはオンにします。(エンジントラブルがコーションパネルに表示される前に判るので)
・・・・