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質問させてください。 ターボプロップとターボファンの違いがよくわかりません。 ファンとプロペラの違いはなんでしょうか? つまり羽を回転させて推力を得る目的は同じであればなぜあそこまで羽の形や枚数が違うのでしょうか? たとえばプロペラの方が効率がいいけど高速回転に向いていないなどのそれぞれのメリットがあるのでしょうか? よろしくお願い致します。 こうき |
- 「羽を回転させて推力を得る目的は同じ」ではないんです。
ジェットエンジンというかガスタービンエンジンの基本は、圧縮機で空気を燃焼室に強圧で送り込み、燃料を注いで燃焼させるというところにあります。
ターボファンは、この圧縮機の軸流圧縮機の強烈な送風能力を推力にも使おうというもので、ターボプロップは、ガスタービンの出力を取り出してプロペラを回そうというものです。
ですから、ターボファンの羽根は、圧縮機としての能力も持っているのです。圧縮機として使えないとエンジンが動きませんから、推進と圧縮の両立を兼ねた、作った風をちゃんと燃焼室に送り込める構造になるのです。
プロップのほうは、別に圧縮機を備えていますので、推進性能に注力した、いわゆる普通のプロペラになるのです。
もっとも厳密に区分けできるのかと言われるときわめて難しい部分はありますが、圧縮機も兼ねるのか、推進だけでいいのかで変わると思ってくだされば結構です。
SUDO
- プロペラはプロペラ翼の圧力面と背面の差圧を利用して回転するプロペラが空気に吸いつけられる形で推進します
ファンは大量の空気に運動エネルギーを与え、その空気流を機体後方に噴射させその反動で前進します。
回転する翼において圧力差と回転による運動エネルギーの増加は同時に起こるのですがプロペラだとより圧力差を用い、よりファンは反動を用いると言う見方が出来ると思います
磐
- 丁寧な回答ありがとうございます。
不思議に思ったのが「プロペラでは高速になればなるほど効率が落ちる。なぜならプロペラの先端が音速に近づき抵抗が増えるから。よってプロペラ機は音速を超えることができない。」という説明があったのですが、ターボファンの飛行機は音速を超えているみたいです。
圧縮機としての役割であることは理解できましたが、飛行速度が音速を超えている状態でターボファン(特に空気をそのまま排出する外側)が空気を圧縮できる理由がわかりません。ターボファンの先端は音速を超えていると思いますが、効率はどうなっているのでしょうか?
仮にターボプロップのプロペラ部分をF−35のリフトファンに換装したら音速飛行は論理的に可能なのでしょうか?
しつこいようですがよろしくお願いします。
こうき
- ターボプロップのプロペラ部分をファンの翼に変えても音速飛行は無理かと思います。
○通常のターボプロップのエンジンでは出力が足りない
○ファンはケーシングと組み合わせないと効率が悪い
○結局音速飛行するまでの推力を得られない
プロペラは圧力差(揚力)で前方に吸い付けられながら推進し
ファンは空気に運動エネルギーを与え、それを後方に噴射」し推力を得るのです
磐
- ブレードの対気速度(回転と前進が合成されたらせん状の経路で見る)が音速を超えていようといまいと、出力側(ファン/プロペラの後方)の流速が機速より高ければ、推進に必要な反動は得られます。ただし、その反動が機体の空気抵抗以上にならないと水平飛行は成立しませんが(笑
高速機用のターボファンは、なるべく小直径(旅客機に使われる大直径のものでも同じ出力を吸収できるプロペラに比べればかなり小さい)で、薄い断面(翼圧比2%を切るような超音速翼型やほとんど揚力を発生しない=表側での気流の加速が少ない翼型も当たり前)のブレードを使うことで、ブレードが遷音速以上になるときの衝撃波の発生による抵抗の増加やブレードの超音速失速に伴うエンジン停止の可能性を抑えています。
また、超音速機用のターボファンには、バイパス比(ファンからそのまま噴射される空気の量とコア(ターボジェットエンジン部分)に供給される空気の量の比)が低い(概ね2以下)小直径・高回転型(=高速噴射)のものが多く、推力の発生よりもコアの冷却やアフターバーナーへの酸素供給に重点を置いた設計のもの(F404等)さえあります。また、多くの超音速機では、空気取入口周りの機体形状や吸気ダクトの構造を工夫して、超音速飛行中でもエンジンに流れ込む空気が亜音速になるように(滑らかに減速させればエンジンを過給する効果もある)してあります。
超音速機用ターボファンと同じコアからターボプロップエンジンを作った例はおそらくない(ヘリ用ターボシャフトなら例あり)のですが、戦闘機によく使われる静止推力10〜15トン級のターボファンからターボプロップエンジンを作ると、軸出力10000馬力超のものになると思われます。現用のエンジンでこのクラスというと、ロシアのD-27くらいですが、設計変更の手間を考えると、超音速ターボファン化はあまり現実的ではないでしょう。
なお、F-35のリフトファンは、離着陸時に使うことから分かるように、速度ゼロに近い低速領域で最大の効率を発生する大直径・低回転型(=低速噴射)のものなので、水平にして超音速飛行に使うのは無理があります。
Schump
- ちょい補足。Tu-95のエンジンとして知られるNK-12系(12000〜15000馬力)も、天然ガス作動に改めた発電用ユニットとして生産が続いているようです。もちろん、NK-12をベースにしたターボファンエンジンもありません。
Schump
- なるほどやっと理解できました。
わざわざありがとうございす。
こうき