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以前のここの質問にプロペラの件があり、 効率の良いのは2〜3枚であるが、直径に限度があり 4〜5枚も採用される。 (ざっくりですが・・・)とありました。 速度的に600Km越クラスとはいえ、DASH8-400などは 6枚プロペラです。 先日飛んでいるDASH8-400を見て、ふと気になりました。 6枚である理由はなんなのでしょうか? ひょっとして、旅客機である為に効率よりも騒音対策とかの理由があるのでしょうか? なんだか検討外れの質問だったらすみません。 アロー |
- プロペラも翼の一種ですのでアスペクト(縦横)比が大きい程翼端から発生する乱流が小さく生ります。後は複雑さとのトレードオフです
にも。
- ちょいと比べてみます
コンベアB-36 DHSH8-400
プロペラ翅数 3 6
プロペラ直径(m) 5.79 3.96
(離昇出力状態)
軸馬力 3,500 4,830
プロペラ回転数 1,012 1,020
回転円面積あたり出力(hp/sq.m)
133 392
ブレード先端速度(静止状態:m/s)
306.8 211.5
(600km/hにて飛行中)
プロペラ回転数 956 850
ブレード先端速度
334.4 242.6
まず、ブレード先端速度がかなり低くなっていることに注目してください。B-36のほうは高度2000m以上ならば音速を超えてしまい、ブレードにかかる空気抵抗が急増して出力のロスになるもちろん、衝撃波による騒音が発生します。
一方、DASH8は高速でも音速まで相当の余裕があるのでこのような問題とは無縁です。
このように小直径・低回転のプロペラはブレードの音速突破を防いで高い経済性と低騒音を実現できるのですが、引きかえに、プロペラ回転面は単位面積あたりより大きな出力を吸収しなければならない、すなわち1回転あたりより多くの空気と接する工夫が必要になります。
最近のターボプロップ機によく見られる多翅プロペラは、ブレードの数ばかりでなく、ブレード自体も幅広のものとして総面積を稼ぐことで、小直径・低回転でも多くの空気と接して、所要の推力を発生することができるものです。
むろん、ブレード間の干渉やハブ部分の複雑化といった問題があって、極端な多翅化はむしろ害になるので、6〜8枚程度が実用上の適正値でしょう。
なお、幅広のブレードは翼厚比の小さい低抵抗翼型を採用しやすい点でも推進系統のロスを減らすのに有効で、さらにブレード先端に後退角をつけるなどの空力処理が施されることも多くなっています。
Schump
- 最新型の8翅の例。まずはブレードの形状をとくとご覧あれ。
http://www.flightinternational.com/Articles/2005/12/08/Navigation/183/203524/First+pictures+of+A400M+propeller+released.html
直径 5.33m
巡航時回転数 728rpm(推定・離昇時842rpm)
巡航速度 M0.68(≒743.9km/h)@29000ft
巡航時ブレード先端速度 289.8m/s≒M0.95
離昇時回転円面積あたり出力 約450hp/sq.m
まるでファンのような太短いブレードと翼端形状処理の意味が察せられるかと思います。
らぶりー谷沢
- ご回答ありがとうございました。
なるほど、以前の420番の「5枚が限度といわれてる」というのは
先端の速度が音速に達する等のレベルでの話だったのですね。
何かとトラブルの多い DASH-8 ひょっとして 速度と経済性と
騒音と・・・などの事で無理をして それがトラブルの原因?
その一環がプロペラの数?とか いろいろ思っていました。
しかし、奥が深いですね。 今度からDASH-8に載る時も 眼下の
風景だけでなく しっかり機体も観察します!
8枚プロペラ・・・ なんだか未来的ですね。
まだまだ 翼端形状処理とかも よくわからない輩なので
ここのHPで勉強させていただきます。
これからもよろしくおねがいいたします。
アロー