Page 66 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼第二次大戦前後における日本の技術力 伊号 02/6/27(木) 12:26 ┣Re:技術力の基本は国力に有り? TAKA 02/6/27(木) 20:12 ┃ ┗Re:技術力の基本は国力に有り? evo4 02/6/28(金) 21:27 ┃ ┣被覆電線 伊号 02/6/30(日) 0:39 ┃ ┃ ┣Re:被覆電線 ささき 02/6/30(日) 11:03 ┃ ┃ ┃ ┗電装品の実態はどんな物? 伊号 02/7/2(火) 0:00 ┃ ┃ ┗ウソと脚色の裏にあるもの BUN 02/6/30(日) 14:05 ┃ ┃ ┣Re:ウソと脚色の裏にあるもの エラガバルス 02/7/1(月) 21:59 ┃ ┃ ┃ ┗Re:ウソと脚色の裏にあるもの BUN 02/7/1(月) 23:52 ┃ ┃ ┃ ┗Re:ウソと脚色の裏にあるもの strafe 02/7/3(水) 1:38 ┃ ┃ ┃ ┗ちょっと書き直しました BUN 02/7/3(水) 11:12 ┃ ┃ ┃ ┗BUN氏の strafe 02/7/3(水) 20:39 ┃ ┃ ┣そうなんですか? ベロウ 02/7/2(火) 20:44 ┃ ┃ ┃ ┣Re:そうなんですか? BUN 02/7/3(水) 6:57 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗稼働率ランキング 伊号 02/7/3(水) 23:59 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗Re:稼働率ランキング 通りすがり 02/7/4(木) 17:56 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗御健闘を祈ります BUN 02/7/4(木) 23:00 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗データの見方はその人次第 AI 02/7/5(金) 15:23 ┃ ┃ ┃ ┃ ┣誉と金星と仲間たち ささき 02/7/5(金) 16:31 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┗Re:誉と金星と仲間たち semirara 02/7/6(土) 9:03 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗鵜呑みは危険 BUN 02/7/5(金) 17:15 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗都合の良い比較だけされても… AI 02/7/5(金) 19:44 ┃ ┃ ┃ ┃ ┣これはほんの切れ端 BUN 02/7/5(金) 20:17 ┃ ┃ ┃ ┃ ┣deha 片 02/7/5(金) 20:47 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┗間違えて中途で発信してしまいました 片 02/7/5(金) 20:59 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗気になったので・・ BUN 02/7/5(金) 20:50 ┃ ┃ ┃ ┗Re:そうなんですか? ルージュ 02/7/5(金) 22:15 ┃ ┃ ┣ソウナノデスカ? semirara 02/7/3(水) 9:43 ┃ ┃ ┃ ┗わかりやすい図式 BUN 02/7/3(水) 11:34 ┃ ┃ ┗Re:左派・右派と言う政治的見方は正しいのか? TAKA 02/7/3(水) 22:02 ┃ ┃ ┣よけいな事かもしれませんが… T216 02/7/4(木) 0:52 ┃ ┃ ┃ ┗私もそう感じました 新参親爺 02/7/4(木) 11:06 ┃ ┃ ┣人の意見はちゃんと読んでからレスしようね ささき 02/7/4(木) 1:11 ┃ ┃ ┣Re:左派・右派と言う政治的見方は正しいのか? SUDO 02/7/4(木) 2:24 ┃ ┃ ┣横合いから意見させていただきます タカ二飛曹 02/7/4(木) 11:38 ┃ ┃ ┗単純な例で例えるならば。 ある 02/7/4(木) 12:31 ┃ ┃ ┗良い喩えだと思います BUN 02/7/5(金) 0:01 ┃ ┃ ┗そうですね 2HB 02/7/5(金) 13:16 ┃ ┣もしかして 伊号 02/6/30(日) 1:26 ┃ ┗Re:技術力の基本は国力に有り? Schump 02/6/30(日) 16:05 ┃ ┗ゴミレス 空冷星型(空冷星形改め) 02/7/6(土) 20:59 ┃ ┗横レスだけど アリエフ 02/7/7(日) 23:08 ┃ ┗Re:横レスだけど 空冷星型(空冷星形改め) 02/7/8(月) 1:02 ┃ ┗Re:横レスだけど Schump 02/7/8(月) 11:43 ┃ ┗Re:横レスだけど 空冷星型(空冷星形改め) 02/7/8(月) 14:32 ┗Re:第二次大戦前後における日本の技術力 ささき 02/6/28(金) 1:13 ┗日本的なを付けた意味 伊号 02/6/28(金) 12:44 ┣技術的問題とそうでない問題 BUN 02/6/28(金) 13:26 ┣Re:日本的なを付けた意味 ささき 02/6/29(土) 3:39 ┗Re:日本的なを付けた意味 SUDO 02/7/4(木) 13:06 ┗私はやはり独特な物を感じます 伊号 02/7/5(金) 1:21 ┗Re:私はやはり独特な物を感じます SUDO 02/7/5(金) 4:10 ┣個別の例よりも・・ BUN 02/7/5(金) 7:30 ┗議論したい所やその中から得たい物からどんどん遠ざかる。 伊号 02/7/5(金) 14:38 ┣飛行機の方だけ SADA 02/7/5(金) 16:17 ┣Re:議論したい所やその中から得たい物からどんどん遠ざかる。 SUDO 02/7/5(金) 18:11 ┃ ┗些細なレス 新参親爺 02/7/5(金) 22:10 ┃ ┗Re:些細なレス SUDO 02/7/6(土) 10:28 ┃ ┗どういたしまして。 新参親爺 02/7/6(土) 14:39 ┣論点を整理しましょう ささき 02/7/6(土) 5:23 ┗多分、最初から技術の話ではなかったんですね BUN 02/7/6(土) 6:31 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 第二次大戦前後における日本の技術力 ■名前 : 伊号 ■日付 : 02/6/27(木) 12:26 -------------------------------------------------------------------------
第二次世界大戦の評価を聞くと欧米諸国との比較において資源から比較する評価は良く聞くのですが技術力の評価はレーダー以外はあまり聞きません。 航空機では良かれ悪しかれ日本的な意味において優秀な航空機を開発しましたが技術的な評価では賛否の分かれるところと思います。 陸戦兵器(特に車両)では酷評されているように感じます。 艦船も航空機と同様極めて日本的な意味において優秀な艦船を建造しましたがその評価は分かれると思います。 どうも日本軍全体の技術力はちぐはぐな気がしますが皆様のご意見は如何でしょうか? |
第二次大戦時の日本の技術力について考えると、その基本は「日本の総合的国力」 に有ると考えます。 (1)技術力の概念 まず最初に技術力について、根本的に考えると元記事では「特定の技術力」と言った 記入がない以上、総合的技術力と言うことになるでしょう。 そうでないと、「欧米諸国との比較において資源から比較する評価は良く聞くので すが技術力の評価はレーダー以外はあまり聞きません。」と言うコメントは 出てこないでしょう。 又此処の技術力に関しては優劣があるのは当然です。それをどちらが優れている どちらが劣っていると言っても仕方ないでしょう。 (2)日本の総合的技術力 では日本の総合的技術力がドイツや連合国諸国に対してどうであるかと言うと 結論から言うと、特に基礎的な生産技術に関する技術力等では特に劣っている と言えます。イタリアやフランス相手ではまだ必ずしも劣っているとは言えない でしょうが、英・米・独には全然及ばないと言えます。 例えば航空機用エンジンですが、2000馬力級の「誉」エンジンは設計的には 「1000馬力級エンジンの大きさで2000馬力を出す」という素晴らしい ふれこみですが、実体的には予定のスペック以下ですしエンジンのオイル漏れ等が 原因となり非常に稼働率の低いエンジンになってしまっています。 この原因は複雑な設計を上手く生産できない生産技術力に低さにあります。 又基礎的な技術力の低さが、ゴムパッキンの能力不足等を引き起こし オイル漏れを彦起こす等の原因を作っています。 上記の誉エンジンの例はあくまで一例に過ぎませんが、私の私見では 日本の技術力は欧米列強に対し基礎的技術力の面で明らかに劣っていると思います。 (3)では全てに渡り日本の技術力は劣っていたのか? しかし第二次大戦において日本は、「零式艦上戦闘機」「戦艦大和」等の 技術的に見ても優れた兵器を生み出しています。ですから必ずしも全てに渡り 日本の技術力は劣っていたとは言えないと思います。一部の部分では 少なくとも欧米列強に比する技術力を持っていたと言えるでしょうし、 又欧米を超えている部分もあったとも言えます。 「零式艦上戦闘機」は、基本的には既存技術の集合体にて設計していると言っても 語弊がないぐらいですが、その設計のコンセプトの優秀さで一時期無敵を誇りますし 又既存技術の集合体で無敵を誇るコンセプトを作れると言う事は、その既存技術自体が 欧米列強に対し必ずしも劣っていないことを示しています。 「戦艦大和」も46cm砲等の欧米列強戦艦にない物を除けば、規模こそは 世界最大級ですが必ずしも最新の技術は使われていません。しかし世界最大級の戦艦を 2隻も作れると言う事は、それだけ日本の造船技術力が優れていることを示しています。 即ち「日本軍全体の技術力はちぐはぐな気がします」と言うよりは、 「一部の技術力は欧米列強より優れていたり同等であったが、総合的技術力は 残念ながら劣っていた」と言うことであると思っています。 表現的に言うと日本の技術力について「戦艦大和や零式艦上戦闘機は片田舎の農村から オリンピックの金メダリストが出た様な物だ」と言うことを言われた人が居ますが、 まさしくその通りであると思います。逆に言うと日本はその様な技術力の現状で (経済力を含めた国力も同じような物ですが)英・米を敵に回して戦争を 挑んでいたのです。 |
TAKAさん、申し訳ないけれど、何を言いたいのかが見えない。 例えば > この原因は複雑な設計を上手く生産できない生産技術力に低さにあります。 > 又基礎的な技術力の低さが、ゴムパッキンの能力不足等を引き起こし > オイル漏れを彦起こす等の原因を作っています。 ここでは生産力について触れているのに、すぐ下では > 上記の誉エンジンの例はあくまで一例に過ぎませんが、私の私見では > 日本の技術力は欧米列強に対し基礎的技術力の面で明らかに劣っていると思います。 と技術力の無さについて述べています。 これは技術力の問題ではなく、どちらかというと生産側の問題でしょう。 技術については及第点だが、それに追いつく生産力(工業力)が無かったというのが私の私見です 今ならあたりまえの被覆電線すら満足に生産できないのですから。(これは物資不足だけでない) こういう部分は設計側(技術側)としたら問題でしょ。それは基礎技術力が劣る部分ではないと考えます。 >「零式艦上戦闘機」は、基本的には既存技術の集合体にて設計していると言っても > 語弊がないぐらいですが、その設計のコンセプトの優秀さで一時期無敵を誇りますし > 又既存技術の集合体で無敵を誇るコンセプトを作れると言う事は、その既存技術自体が > 欧米列強に対し必ずしも劣っていないことを示しています。 で、何を主張したいのでしょうか? 既存技術の流用及び発展は、技術力がないとでも言いたいの? その前では、 >一部の部分では少なくとも欧米列強に比する技術力を持っていたと言えるでしょうし、 >又欧米を超えている部分もあったとも言えます。 とも言ってるし・・ なんだか「ちぐはぐ」な意見です。 > オリンピックの金メダリストが出た様な物だ」と言うことを言われた人が居ますが、 > まさしくその通りであると思います。逆に言うと日本はその様な技術力の現状で > (経済力を含めた国力も同じような物ですが)英・米を敵に回して戦争を > 挑んでいたのです。 この意見は、技術力と比較する対象ではないよ。 私はTAKAさんの主張したい事がわからない。 |
> 今ならあたりまえの被覆電線すら満足に生産できないのですから。(これは物資不足だけでない) 私はその昔海底敷設ケーブルからなんてこと無いケーブルまでケーブルを作る仕事をしておりました。 簡単な製作工程を説明すると芯を治具(漏斗のような物)に通し、そこから熱したゴムや樹脂等を流し込み、出てきたアツアツのケーブルを細長いプールに通して冷やして、出てきた物をボビンの化け物の様な物に巻き取るという物でした。 コンピューター制御で行っておりましたが、手作業も多い仕事で、生産ラインの長が親方というか職人みたいな人で、熱した被覆になる材料の適温を温度計のみではなく目視で判断したり、治具の装着を手作業で行うのですがその微調整はやはり職人の目や技術で行っていた事を思い出しております。 さて、御意見いただいた被覆電線ですが総体としての技術はさほど高度では無かったような気がします。 当時としてはやはり高度だったのでしょうか?それとも、それほどまでに当時の日本は技術的水準が低かったのでしょうか?そこら変の事情を御存知であれば御教え願えないでしょうか。 |
> さて、御意見いただいた被覆電線ですが総体としての技術はさほど高度では無かったような気がします。 > 当時としてはやはり高度だったのでしょうか?それとも、それほどまでに当時の日本は技術的水準が低かったのでしょうか?そこら変の事情を御存知であれば御教え願えないでしょうか。 電線を造る技術以前に、被服に用いる絶縁材…特に合成樹脂の製造技術が 低かったのではないでしょうか?ポリエチレンなど高分子絶縁材が当たり前の ように使われるようになったのは戦後の話でしょう。 |
> 電線を造る技術以前に、被服に用いる絶縁材…特に合成樹脂の製造技術が > 低かったのではないでしょうか?ポリエチレンなど高分子絶縁材が当たり前の > ように使われるようになったのは戦後の話でしょう。 ささき様の御指摘に発奮して資料を前の会社から借りてきて調べてみた所、電線の被覆は第一次世界大戦をきっかけに飛躍的な発達を遂げ、当時の日本でも高度な電線を生産しており、艦艇用被覆電線、陸軍電線なる電線や同軸ケーブルも生産されていたそうです。 |
戦時中の海軍航空機に使用された電線の資料を持っていますが、被覆電線は現在と殆ど変わりないものが用いられています。俗に言われるような話はかなり大袈裟なものなのです。 でも、それは誉エンジンに関しても同様ですし材料や部品の規格についても同様です。あれこれ存在する逸話の全てが事実を伝えている訳ではありません。面白い話は大概脚色されているものですし、あるストーリーに沿って創作されたものもあり、ファンに受けの良いリアリズム指向の漫画が演出としてウソを加えて描いている場合もあります。 しかし、だからといって細かいウソを一件ごとに取り上げて責め立てても仕方がないように思います。被覆電線の実態なんて実はどうでもいいことなのです。 結局のところ、記録に残る実働率が火星等と大して変らない誉エンジンを全面否定するような論調が今だに存在する裏には、戦時中の航空機産業を中心とする日本の技術革新について、その存在を認める、認めない、というかなり根源的な部分で議論が分かれているという事情があるのでしょう。 大雑把にまとめれば、世の中には「戦中戦前の日本には近代的な工業は存在しなかった」(主に教育の場、歴史学の中に多く見られる認識)という考え方と「戦後の躍進を支えた技術と思想は戦前から存在し戦時中の航空機工業部門での大量生産によってその基礎をかたちづくった」(開発生産に従事した製造会社、技術者側に多い認識)という考え方と、二つの極端な認識が存在するのです。 これは「戦時中の決戦体制下での兵器大量生産が戦後日本の発展を支えた」という事を認めるか、認めないかという、ひとつ政治思想的な問題でもあります。 |
> 大雑把にまとめれば、世の中には「戦中戦前の日本には近代的な工業は存在しなかった」(主に教育の場、歴史学の中に多く見られる認識)という考え方と「戦後の躍進を支えた技術と思想は戦前から存在し戦時中の航空機工業部門での大量生産によってその基礎をかたちづくった」(開発生産に従事した製造会社、技術者側に多い認識)という考え方と、二つの極端な認識が存在するのです。 > これは「戦時中の決戦体制下での兵器大量生産が戦後日本の発展を支えた」という事を認めるか、認めないかという、ひとつ政治思想的な問題でもあります。 私は後者の認識に近いのですが、こちらも一面的な見方なのでしょうか。 技術者に関して言えば、戦前も戦後も養成するシステムは整っていたように思います。 生産管理システムについては寡聞にしてよくわかりませんが、戦後になってアメリカの大量生産方式(例えばテイラー方式)が日本の工業生産に導入されたというような事実があるのでしょうか。 |
> 生産管理システムについては寡聞にしてよくわかりませんが、戦後になってアメリカの大量生産方式(例えばテイラー方式)が日本の工業生産に導入されたというような事実があるのでしょうか。 確かにテーラー方式の導入は戦前の早い時期まで遡る事ができますし、タクト方式の組立てラインも戦争中期以降は常識となってはいます。けれども、戦後に発展した様々な手法や考え方は、戦前戦中からの継承というよりも、戦後に改めて輸入されたと形容しても良い位に刷新されています。ですから「戦前の日本工業界は旧態依然・・・」という評価も全く間違いとは言い切れないのです。むしろどちらかを完全に拒絶するような態度こそが異様なのではないでしょうか。 |
日本の(大戦後期の)兵器を称して「女子供が工場に動員されて造った粗悪な兵器」とよく 言いますが、同じ時期にアメリカでも、子供はともかく女性が工場に動員され戦闘機を 造っていたんですよね。で、双方の製品の品質の違いは・・・? と考えると、生産管理手法(例えば短期間での教育手法)を無視できないと思うのですよ。 |
> 日本の(大戦後期の)兵器を称して「女子供が工場に動員されて造った粗悪な兵器」と > 言いますが、同じ時期にアメリカでも、子供はともかく女性が工場に動員され戦闘機を > 造っていたんですよね。で、双方の製品の品質の違いは・・・? > と考えると、生産管理手法(例えば短期間での教育手法)を無視できないと思うのですよ。 日本の航空機工場の生産ラインに未経験の若年女性が何故、投入できたのか?という疑問が私がこのあたりを調べるきっかけでした。出来た製品の品質よりも、そもそも何で未経験の女学生が動員された途端に戦力となれたのか、という点がまず問題で、日本の航空機生産の大部分が熟練工の経験と勘に頼るような加工や組立て作業で構成されているのであれば臨時の作業者が即戦力とはなり得ないでしょう。臨時の作業者は単純作業にのみ投入された訳ではないからです。 航空機や発動機の急速な生産拡大ができた背景には生産技術の分野での一大躍進があり、組立て方式の刷新や機械加工の内容を汎用機から専用機へシフトするなどの動きによって臨時の動員による大量の未熟練作業者を受け入れられる体制が作られていた事が挙げられると思います。 ただ、それが全てではなく、空前の量産体制確立を迫られた航空機工業部門だけが独立峰のように達成した成果と言うべき事かもしれません。 |
> 日本の航空機工場の生産ラインに未経験の若年女性が何故、投入できたのか?という疑 > 問が私がこのあたりを調べるきっかけでした。 私が疑問をもったきっかけは、最近「議論ボード」でかなり白熱したVT信管についての NHKのテレビ番組が元だと思います。(記憶モードで申し訳ないのですが)その番組では 大戦時のアメリカでの飛行機(戦闘機と断言はできないが単発の単翼機)製造工程が紹介 されていました。 で、戦時中の工場動員を調べていたら早乙女勝元や千田夏光に行き当たってしまったり して、そこから先の調査が進まなくなっちゃいました。 |
> 結局のところ、記録に残る実働率が火星等と大して変らない誉エンジンを全面否定するような論調が今だに存在する それは知りませんでした。 一般的論調では(勿論ノンフィクションです)日本軍の「誉」エンジンは始終故障を起こす欠陥エンジンで、対戦後期の日本軍機が不調だった一因に誉があるのが定説だと信じていましたが。 誉の実働率が普通だったとする証拠は存在するのでしょうか?もし存在するのなら何故今まで知られなかったんでしょうか? |
記録は残されているけれども、誰もそれを調べていないからです。 例えば、ある時期の航空艦隊全体で機種ごとにどれだけ故障してその結果、 何日飛行作業が出来なかったか、といった統計データも残されています。 |
> 記録は残されているけれども、誰もそれを調べていないからです。 > 例えば、ある時期の航空艦隊全体で機種ごとにどれだけ故障してその結果、 > 何日飛行作業が出来なかったか、といった統計データも残されています。 では航空機用発動機の稼働率のランク付けで行くと誉はどの程度の物で、第一位の稼働率を出した発動機は何で、最悪の稼働率だった発動機は何だったのか御教え願えないでしょうか |
>では航空機用発動機の稼働率のランク付けで行くと誉はどの程度の物で、 >第一位の稼働率を出した発動機は何で、最悪の稼働率だった発動機は何だったのか >御教え願えないでしょうか それを 『誰もそれも調べていない』 というお話しじゃありませんでしたか? 素晴らしい研究対象の指針、あんどチャンスだと思います。 その方向の素養があれば、是非自分でも調べて見たい対象ですね。 |
> 素晴らしい研究対象の指針、あんどチャンスだと思います。 > その方向の素養があれば、是非自分でも調べて見たい対象ですね。 その通りです。 御健闘を祈ります。 参考までに十九年のある時期のある航空艦隊で、 飛行実施日の完備機数対保有機数の比率の一ヶ月平均は、 零戦50〜60%(幅があるのは複数の航空隊がある為) 紫電32% 艦爆70〜80% 銀河45〜58% 陸攻(主に一式一三型と九六式)77% となっています。 「実働率を下げている要因はエンジンだけではないな」と直感された方がいらっしゃるのでは? |
各機種のエンジンを考えてみます。 零戦 50〜60% 栄:中島 紫電 32% 誉:中島 艦爆 70〜80% 金星:三菱、アツタ:熱田 銀河 45〜58% 誉:中島 陸攻 77% 火星、金星:三菱 直感的に感じられるのは中島エンジン全般の品質低下です。 三菱エンジン搭載機80%程度、中島エンジン搭載機60%程度。 機体の品質低下が起きてて発動機の品質低下が同等なら数字は近くなるはず。 1月の完備機/保有機80%は優秀な数字。 定期修理以外殆ど無しだとこの程度の数字になります。 疾風があるのに5式戦が現場に高評価を受けたのが象徴的な事例です。 誉が額面通りの性能を出し、金星並の稼動率を持っていれば5式戦の出る幕はありません。 |
> 疾風があるのに5式戦が現場に高評価を受けたのが象徴的な事例です。 > 誉が額面通りの性能を出し、金星並の稼動率を持っていれば5式戦の出る幕はありません。 日本および海外の主用エンジンの排気量・気筒数・気筒あたり排気量・出力・排気量あたり出力・気筒あたり出力を一覧にしてみました。 栄 31 型(ハ-115-II) 27.9l 14 気筒(1.99l/cyl) 1230hp 44.1hp/l 88hp/cyl 誉 21 型(ハ-45) 35.8l 18 気筒(1.99l/cyl) 2000hp 55.9hp/l 111hp/cyl 金星 62 型(ハ-112-II) 32.3l 14 気筒(2.30l/cyl) 1500hp 46.4hp/l 107hp/cyl ハ-104 54.1l 18 気筒(3.00l/cyl) 1900hp 35.1hp/l 106hp/cyl Wright R-1820-56 29.9l 9 気筒(3.32l/cyl) 1350hp 45.1hp/l 150hp/cyl Wright R-3350-23 54.8l 18 気筒(3.04l/cyl) 2200hp 40.1hp/l 122hp/cyl P&W R-2800-10 45.9l 18 気筒(2.55l/cyl) 2000hp 43.6hp/l 111hp/cyl Centaurus 18 53.6l 18 気筒(2.98l/cyl) 2470hp 46.1hp/l 137hp/cyl BMW801 D-2 41.8l 14 気筒(2.98l/cyl) 1730hp 41.4hp/l 124hp/cyl 単純に排気量と出力だけを比較してもあまり意味はありませんが(燃料噴射か キャブレターか、減速ギヤ比、過給器の圧縮比、弁数などによっても性能は 変わる)、少なくとも星型空冷エンジンという土台で目安にはなるかと思います。 (単列9気筒の R-1820 とスリーブバルブのセントーラスは特殊ですが) 誉 21 型の 55.9hp/l という値は確かに飛びぬけて高いです。 液冷 OHC のマーリン 61 ですら 1290hp/27l で 47.8hp/l にしかなりません。 誉から 2000hp を引き出すには様々な困難が伴ったであろうことが想像できます。 しかし金星 62 型の 46.4 hp/l という値もマーリンに近く、スリーブバルブの セントーラスに匹敵する値であることにも注目するべきかも知れません。 |
>液冷 OHC のマーリン 61 ですら 1290hp/27l で 47.8hp/l にしかなりません。 マーリンはもっと馬力が出ますよ〜〜(泣) と思いたい マーリンは1944年12月に 2620hpというとんでもない?値を記録していたり... |
ちゃんと注釈を付けずに数字だけ挙げた事をお詫びします。 この数字からあまり想像を膨らまさないでください。 ここにある栄の多くと誉は製造時期がかなり違います。 火星は一式陸攻の型式からわかる通り旧型の火星一〇型です。 ですからこのデータで素直に比較してよいのは、単発の紫電よりも 双発の銀河の方が高い実働率を記録しているということなのです。 実際に紫電は何処が壊れているのかと言えば、やはり脚で、 脚の故障を抜いて計算すれば零戦の実働率を超えるかもしれません。 そこだけ見て欲しかったんです。 ですから、中島製エンジンの品質低下というご指摘は大変鋭いもので、 原因もあり事実でもあり大きな問題となっているのですが、 栄が主に古いものであることと新しいものには石川島製が混入している為に この数字には直接関係しない可能性があります。 数字とはかくも危険なものであります。 失礼いたしました。 |
私の場合、示されたデータから以下を読み取ります。 1.紫電vs銀河 銀河優位 → 紫電は機体に大きな問題を抱える 2.零戦vs銀河 同等 → 栄も誉も共に問題を抱えると考えられる 3.零戦vs艦爆 艦爆優位 前期の99艦爆と零戦は生産時期が同じ。戦争前半で機体側に問題は出ていない。 後期の零戦と彗星は生産時期が同じ。機体は彗星の方が複雑。 → 稼動率の差はエンジン起因が大きいと考えられる 4.銀河vs艦爆 艦爆優位 彗星と銀河は共に戦争後期生産。共に空技省設計で複雑な機体。 → 稼動率の差はエンジン起因が大きいと考えられる 5.陸攻vs艦爆 同等 戦前・戦争前期の金星40系・火星10系と戦争中期以降の金星50系・60系で差が無い → 三菱エンジンの信頼性は低下していない |
ですからそこから暴走しないで欲しい、と。 想像するのは自由ですけれど、 何せ、元の資料はこれだけではないんです。 悪態もつきたくなるでしょうが、 「これだけじゃ、何とも言えない」と考えてください。 |
18年後半特定月における 完成機滞留率、 すなわち、工場完成機数に対する滞留機(官に空輸出来ず整備中)の割合 紫電 330% 強風 246% 雷電 230% 一式陸攻(火星21)180% 銀河 145% 天山 130% 中島零戦52型 100% 彗星 66% 三菱零戦52型 62% 月光 59% 中島零戦21型 45% 一式陸攻(火星15) 34% 九九艦爆 24% それこそ滞留原因は発動機には限らないのですが、 |
あくまで、世の中には色々な数字があるという一例です。 結論は、性急にではなく、ゆっくり求めていきましょうよ。 |
> 1.紫電vs銀河 銀河優位 > → 紫電は機体に大きな問題を抱える 機体というか、脚ですね。 これは先に述べた通りです。 脚が紫電の故障のトップなんです。 > 2.零戦vs銀河 同等 > → 栄も誉も共に問題を抱えると考えられる これはどうでしょうか。双発機と単発機を同列に見てはまずいでしょう。 少なくとも銀河は零戦よりも整備に工数の掛かる機体ですし、 何と言ってもエンジンが二つあります。 > 3.零戦vs艦爆 艦爆優位 > 前期の99艦爆と零戦は生産時期が同じ。戦争前半で機体側に問題は出ていない。 > 後期の零戦と彗星は生産時期が同じ。機体は彗星の方が複雑。 > → 稼動率の差はエンジン起因が大きいと考えられる 戦争前半、後半で大雑把に分けても何の意味もありません。 艦爆にしても彗星がどれだけ含まれているのか、何の数字も無いままそこまで言ってよいのでしょうか。 > 4.銀河vs艦爆 艦爆優位 > 彗星と銀河は共に戦争後期生産。共に空技省設計で複雑な機体。 > → 稼動率の差はエンジン起因が大きいと考えられる 同じ空技廠が開発した期待でも彗星と銀河は設計者も設計時期もひと世代違います。 銀河は生産性、整備性に考慮して開発された新しい機体ですから具体的な弱点が多かった彗星と同列に考えるべきではないでしょう。そして彗星の機数は不明なのです。比較できるかどうかもわかりません。 > 5.陸攻vs艦爆 同等 > 戦前・戦争前期の金星40系・火星10系と戦争中期以降の金星50系・60系で差が無い > → 三菱エンジンの信頼性は低下していない 陸攻は一部隊しかありませんし、九六陸攻と一式陸攻の比率もあの数字からはわかりません。陸攻は十一空廠製の発動機も積んでいますし、全体の機数も不明なのですから、とてもそのようなことは断言できません。旧型の陸攻は調子が良いようだ、と読めるだけです。 もともと何かを論証する為に提示したのではなく、ある可能性を示唆しただけですので、あの数字から無闇に想像を膨らませても危ない、ということです。 それでは全体を開示しろ、とおっしゃるかもしれませんが、最初からその積りはありませんので、あしからず、です。 |
実際の所誉ってこれらのエンジンの中では最後発のエンジンで未完成なまま 使われていたエンジンで評価が難しい所にあると思うのですが。 世代的には誉はR-4360とほぼ同じで順当な開発ペースなら戦争に間に合っていなくても おかしく無い世代のエンジンですし、終戦時でも誉初号機の運転から4年弱しか経過していません。 R-2800は実は栄と同世代でR-3350も誉の設計が終わる頃には既に現物が動いていた エンジンですから完成度が誉より高くて当たり前とも言えます。 AnsQの中でも誉のAMC未完成や信頼性向上型の話が散見されていますし、 後1年ほど開発の時間が必要だったのでは無いでしょうか。 |
>記録に残る実働率が火星等と大して変らない誉エンジン そうなんですか? 厚木航空隊の雷電パイロットの手記を見たりすると 火星って 誉より実働率が悪いエンジンのように思えてしまうのですが... 多機種を運用した厚木だからかなぁ 332空(だったかな)の零戦パイロットの話では 零戦もよくエンジントラブルからくる不時着や事故を起こしていたとなっていますし 整備員が 工廠修理の中古エンジンしか手に入らないと嘆いていた となっていたり... 大戦末期は 誉に限らず 全てのエンジンの実働率が軒並み低下したように思えるのですが(天風とか初風とかはあまり低下してないかも) どうして誉エンジンだけがあんなにむちゃくちゃ言われるようになったんでしょうか |
> そうなんですか? > 厚木航空隊の雷電パイロットの手記を見たりすると 火星って 誉より実働率が悪いエンジンのように思えてしまうのですが それを論証する為にはもう少し定量的なデータの発掘が必要でしょうね。 雰囲気としてそのような感触があるのは本当ですけれども、それが火星の何に起因するのか、全ての火星が不調なのか、調べる事は沢山あります。 > どうして誉エンジンだけがあんなにむちゃくちゃ言われるようになったんでしょうか 日本の大馬力発動機の代表であることと、大量に採用された分だけその不調が大きな問題になっている事から一つのストーリーが生まれているのでしょう。高性能で精密なエンジンがその高性能と精密さ故に問題を抱えている、という解りやすい図式が成り立つ所が誉の物語が定着した理由だと思います。 R3350と誉をふたつ並べて検証するような姿勢が最初からあれば、話はかなり違ったものになっていたかもしれません。 |
> 結局のところ、記録に残る実働率が火星等と大して変らない誉エンジンを全面否定するような論調が今だに存在する裏には、戦時中の航空機産業を中心とする日本の技術革新について、その存在を認める、認めない、というかなり根源的な部分で議論が分かれているという事情があるのでしょう。 > 大雑把にまとめれば、世の中には「戦中戦前の日本には近代的な工業は存在しなかった」(主に教育の場、歴史学の中に多く見られる認識)という考え方と「戦後の躍進を支えた技術と思想は戦前から存在し戦時中の航空機工業部門での大量生産によってその基礎をかたちづくった」(開発生産に従事した製造会社、技術者側に多い認識)という考え方と、二つの極端な認識が存在するのです。 > これは「戦時中の決戦体制下での兵器大量生産が戦後日本の発展を支えた」という事を認めるか、認めないかという、ひとつ政治思想的な問題でもあります。 BUNさんは素晴らしい天才的な人なのでしょうから、私の言っている「誉エンジン」の 話などは、「ウソと脚色」の固まりに見えるのでしょうけど、私は必ずしも 全てと入っていませんが、少なくとも「誉エンジン」の量産エンジンが額面道理の能力を 発揮できないのは、当時の日本の生産管理能力のキャパをオーバーした精密すぎる エンジンの設計にあった点はどの様に説明するのでしょうか? 「誉エンジン」の量産エンジンがが額面道理の能力を発揮できれば、烈風を開発 していた堀越技師はあんなに苦労しなくて良かったでしょうがね・・・ 又「戦中戦前の日本には近代的な工業は存在しなかった」という考えと、 「戦後の躍進を支えた技術と思想は戦前から存在し戦時中の航空機工業部門での大量生産によってその基礎をかたちづくった」のどちらか二者択一という考えは何処から 出てくるのでしょうか?どちらもあり得る話とは考えられないのでしょうか? 私は両方とも有りであると考えますが・・・ 少なくとも経済学的に言えば大戦時の「国家総動員態勢」が戦後の高度成長を導いた 経済政策の根本であるというのは、当然の認識でありますし、造船・自動車産業が 戦後世界に冠たる産業になれた生産等の技術的裏付けは戦時中の造船・航空機産業の 技術力であるのも周知の事実であります。その点では戦後の躍進の基礎は 戦前・戦後にも存在したことになります。 又日本の品質等に関する技術や、電子産業や精密機器産業等の国家の生産の基礎になる 産業が育っていなかったのも周知の事実です。その点から考えても「日本に近代的工業が 存在しなかった」という考えも全てではありませんが、一部には当てはまると考えます。 歴史的事実は「右か左か」という簡単に決着付けられることも存在しますが、 この件は少なくとも簡単に決着できることではありません。政治思想では左派的な考え では戦時中のことは悪として否定したくなるでしょう。でも上記の様な中立的な意見が 有っても宜しいのではないでしょうか?又上記で言っている左派的な考えは私見では 近視眼的考えでありその様な物で私は物を見ているつもりもありませんが、 その様に思われていることは心外きわまりないことであると考えます。 確かに事実は直視すべき物であると私は思いますし、未熟で愚かな私も可能な限り しているつもりですが、以上の私の意見では不十分でしょうか? 確かに素晴らしいお方で間違いのない比類無き天才のBUNさんには私の意見なんか 愚かしい意見であろうかと思いますが一応書き込みさせて頂きました。 |
T216といいます。これまでずっとROMしていましたが、書き込むのは初めてです。 以後よろしくお願いします。 さて今回の議題については知識不足のため自分の意見を差し挟む事は出来ませんが、少し気が付いた事があるので書き込ませて頂きます(少々本筋からはずれますが)。 RE:右派と左派という政治的見方は正しいのか? で書き込まれたTAKAさんの > 又「戦中戦前の日本には近代的な工業は存在しなかった」という考えと、 > 「戦後の躍進を支えた技術と思想は戦前から存在し戦時中の航空機工業部門での大量生産によってその基礎をかたちづくった」のどちらか二者択一という考えは何処から > 出てくるのでしょうか?どちらもあり得る話とは考えられないのでしょうか? > 私は両方とも有りであると考えますが・・・ という意見と、RE:ウソと脚色の裏にあるもの でBUNさんが書き込まれた >戦後に発展した様々な手法や考え方は、戦前戦中からの継承というよりも、戦後に改め >て輸入されたと形容しても良い位に刷新されています。ですから「戦前の日本工業界は >旧態依然・・・」という評価も全く間違いとは言い切れないのです。むしろどちらかを >完全に拒絶するような態度こそが異様なのではないでしょうか。 という意見は、私には同じように感じるのですが、いかがでしょうか? もしそうであるなら、お二方の意見は一致していると思うのですが…。 |
意見を同じくする者に対してイヤミを言うという行為はどうにも理解に苦しむところ ですね。 |
> BUNさんは素晴らしい天才的な人なのでしょうから、私の言っている「誉エンジン」の > 話などは、「ウソと脚色」の固まりに見えるのでしょうけど、 彼が言わんとするのは、世に出回っている戦記物などは必ずしも事実を正確に 記したものではない、ということです。零戦関係では必ず引き合いに出される 堀越二郎氏・坂井三郎氏の著書にも思い込みや勘違い、執筆当時まだ存命 だった関係者に憚った記述などが認められます。それが(口の悪い言い方 をすれば)「嘘と脚色」ということです。 また、誉が「設計的にも製造技術的にも無理がなく、稼働率の高いすばらしい エンジンだった」などとも彼は言っていません。誉を搭載した機体が 故障頻発と稼働率低下に悩まされたのは紛れもない事実です。 しかし、それはひとえに「誉」だけの問題だったのか? 大戦末期の燃料品質や工作精度は本当に落ちる一方だったのか? だとしたら、同じ条件下で金星や栄は本当に問題なく動作したのか? 事実の一端だけを見、そこに定説を当てはめるだけの態度はそろそろ 脱却しようではないか、というのが彼の問題提起だと思います。 天才とか愚かだとか、そんな皮肉めいた言い回しで反論する ほどの事とも思いませんが(´Д`)r |
> 全てと入っていませんが、少なくとも「誉エンジン」の量産エンジンが額面道理の能力を > 発揮できないのは、当時の日本の生産管理能力のキャパをオーバーした精密すぎる > エンジンの設計にあった点はどの様に説明するのでしょうか? 実物や透視図は見たことがあるのですが、私には「日本の生産管理能力のキャパをオーバーした精密すぎる設計」とは思えませんでした。 っていうかエンジンの馬力が出る出ない(もしくは出さない・制限する)と生産や設計はイコールなのですか? このあたり、私も二級整備士でしかないので良くわかってないんで、是非とも 「日本の生産管理能力のキャパをオーバーした精密すぎる設計」の具体例とそれが出力にどのように影響するものなのかご教示して頂きたく存じます。 |
初めて書込みさせていただきます。 > 又「戦中戦前の日本には近代的な工業は存在しなかった」という考えと、 > 「戦後の躍進を支えた技術と思想は戦前から存在し戦時中の航空機工業部門での大量生産によってその基礎をかたちづくった」のどちらか二者択一という考えは何処から > 出てくるのでしょうか?どちらもあり得る話とは考えられないのでしょうか? BUNさんは、二つの認識があるとおっしゃっているだけで、二者択一を迫っているとはとうてい思えません。 これまでの発言を読んでも、決してそのような主旨で発言される方ではないとお見受けしますし、むしろ一方的な断定をすべきではないとのお考えだと拝察します。私もそうあるべきだと考えております。 > 確かに素晴らしいお方で間違いのない比類無き天才のBUNさんには私の意見なんか > 愚かしい意見であろうかと思いますが一応書き込みさせて頂きました。 このような文章は不要と考えますし、見るものにとっても大変不快であります。 |
この議論を単純に例えるならば、こういうことかなと思って書いてみました。 板汚しレベルで申し訳ありません。←じゃー書くなって(苦笑)。 例えば、なんかのエンジンのピストンを作っている下請け工場Aがあったとします。 ピストンは、B社の設計で、新エンジンの高性能を出すために、従来よりも精度規格を2倍ぐらい精密にしているとします(実際、ピストンの精度を上げることによりエンジンの性能が上がるかは、判りませんが、とりあえずそういうことにしていてください)。 工場Aでは、明日までに、B社にピストンを100個納めなくなくてはなりません。でも、精度を要求されることから、歩留りが悪く、どうやっても、その規格を満足するものは、明日までに50個しか作れません。そこで、工場長は、その旨をB社へ連絡しますが、B社の担当者は「なんとしても、明日までに100個そろえてください!市場の好反応得るには、エンジンの弾数がどうしても必要なのです。そろわなかった場合、御社(A工場)との取引うんぬんのレベルでなく、弊社(B社)の存続され危ういのです。」と言ってきました。そこで工場長は、苦肉の策として、精度が規格を外れたもののなかで、比較的良いもの含めて、必要数には足りませんが75個を、顧客に納品しました。なお、このとき、工場の品質保証係の人は反対しましたが、工場長が「私が責任を取る」と苦しそうな顔をして言ったので、しぶしぶ同意しています。 B社では、納品されたピストンを使ってエンジンを組み立てると、案の定「出力が上がらない」、「稼働率が下がる」などの不具合が発生しました。ただし、エンジンは多くの部品で構成されており、原因がピストンのみにあるわけではなさそうです。一方、海外の競合会社のシェア拡大の圧力が強いため、不具合には目をつぶって、B社は新エンジンを市場に投入しました。市場の反応は、「信頼性が低い」、「出力がカタログスペックほど出ない」というものでしたが、「従来エンジンよりは高性能かもしれない」ということで、そこそこ売れました。しかし、この新エンジンも海外の競合メーカーの圧力を押し返すまでには至らず、B社はあえなく倒産、A工場も煽りを食って、連鎖倒産しました。 その後、経済産業評論家達は、B社の倒産の原因について、それぞれ以下のような意見を言いました。 (1)技術力が無いのに、高性能エンジンの開発を行なったこと。 (2)品質保証体制の不備。 (3)生産加工技術の低さ。 (4)工場の生産キャパシティーが低かったこと。 (5)従来エンジンのコストダウンで勝負するべきであった。 (6)優秀な海外のメーカーと競争すること自体が悪い。 一方、倒産したA工場、B社の担当者達は、こう言いました。 「結果的に見ると、間違った選択だったかもしれませんが、当時、私の置かれた立場や会社の状態から見るに、それが最善の策だと思ったのです。無念です。」 |
ええ、こうした解釈とアプローチの方が結果的に正しい答えに近づけると思います。 現代の考え方を適用して眺めるならば、品質にしても、 企画品質、設計品質、製造品質、使用品質といった観点から検証して行けば、当時、何を考えて、何が行われたのか、を情緒的な表現ではなくより筋道を立てた形で求める事ができると思います。 |
問題の解析は画くありたいですね。 |
連続書き込み失礼致します。 もしかして、私の拙い文書が原因ではないかと思います。 私も基礎技術や生産管理などをこれこれはこう、何々はこうと明快に理解出来ていないので「技術力」で一括りにしてしまったと思います。 「日本的な」の表現も含め拙く、曖昧な表現で「ちぐはぐな意見」のきっかけを作ったのは私なのかもしれません。 堅気の友人に文書の添削をしてもらいましたが「言わんとしている事が曖昧で伝わり難い」と指摘され皆様に混乱や不快な思いをさせてしまったかと思い心配です。 |
技術力=「いわゆる発明家」的な科学者・技術者の能力と成果、ではありませんよ。 > これは技術力の問題ではなく、どちらかというと生産側の問題でしょう。 > 技術については及第点だが、それに追いつく生産力(工業力)が無かったというのが私の私見です > (略)それは基礎技術力が劣る部分ではないと考えます。 特許制度では「発明=新しいプロダクト」そのものだけではなく、「既存プロダクトの確実・高効率・新規の」生産方法も保護の対象としています。 このことは、「工業力」が単なる数稼ぎの手段=生産力ではないものとして認識されていることを示すものです。つまり、「工業力」も「技術力」の一環なのです(生産工学とか経営管理の視点から言えばむしろこちら)。 国家レベルで言えば、工場の数もさることながら、ある製品を作れるだけの技術がどれだけ広く利用できるか(工作機械、教育を受けた工員、充実したマニュアル等の普及度…)が、その国の工業をはかる指標となります。 最近の例でいえば、「安物・パチものの出所」から「先進国の生産拠点」(さらにその先へ?)に発展してきた中国やトルコのここ十数年における経緯がいい例でしょう。 戦前・戦中の日本でも工作機械の輸入や工業規格の制定(例えば現在のJIS制度の原型は昭和18年に完成)によって「技術力としての工業力」を高めようという努力をし、思想も形成されていた(製糸や鉄道の経営管理においては世界水準を抜いていた、とする史料も)のです。 ただし、後発工業国の悲しさで、工業製品、殊に機械製品への民需が充分に形成されておらず、大量生産・規格化が広く実施されたのが戦争が始まってからも同然だったという点は認めざるをえませんが。 |
Schumpさん、こんにちは。 このツリーの中心の話題ではありませんが、ちょっと気になったので・・ > 特許制度では「発明=新しいプロダクト」そのものだけではなく、「既存プロダクトの確実・高効率・新規の」生産方法も保護の対象としています。 ご指摘の「発明=新しいプロダクト」が定義の意味であれば誤りです。 また「「既存プロダクトの確実・高効率・新規の」生産方法も保護の対象」であることが、上記の「発明」ではない保護対象の例示であるとの意味であれば、これも誤りです。 特許法は「発明」を保護対象とします。生産方法も「発明」として保護されます。 また、特許法の法目的は「産業の発達」にあると規定され(特1条)、この産業には、いわゆる製造業のみならず農業や水産業が含まれ、またいわゆる生産業のみならず運輸業通信業その他のサービス業なども含まれるとされるのが通説です。 つまり特許法には特許法の目的や用語があって、一般社会の通念を参酌してそれが解釈されることはあっても、特許法のある言葉が使われていることをもって、一般社会の通念を導き出すというのもヘンなことだと思うのです。 まあ、どうでもいいと言えばどうでもいいことであるのですが、このような論拠を持って「工業力」や「技術力」や「生産力」という言葉の「正しい」意味を示す論拠たりうるとするのは疑問に思うのです。 ちなみに特許法のなかには、「工業力」「技術力」「生産力」の3つの単語は、いずれも一度も用いられていません。 > このことは、「工業力」が単なる数稼ぎの手段=生産力ではないものとして認識されていることを示すものです。つまり、「工業力」も「技術力」の一環なのです(生産工学とか経営管理の視点から言えばむしろこちら)。 それにしても特許法のどこから、そのような結論に至ったのでしょう・・? |
> > 特許制度では「発明=新しいプロダクト」そのものだけではなく、「既存プロダクトの確実・高効率・新規の」生産方法も保護の対象としています。 > > ご指摘の「発明=新しいプロダクト」が定義の意味であれば誤りです。 > また「「既存プロダクトの確実・高効率・新規の」生産方法も保護の対象」であることが、上記の「発明」ではない保護対象の例示であるとの意味であれば、これも誤りです。 > 特許法は「発明」を保護対象とします。生産方法も「発明」として保護されます。・・ schumpさんの元記事確認しましたが、彼は特許対象となる発明に新たな製品・物だけでなく新たな製造・生産方法(方法特許)も含まれることを前提として記載していると思うのですが。日本語の解釈としてそうとしか読めませんし。 それから、彼の上記の文章以下の「工業力」と「技術力」の関係に関する記載は、別に特許制度の枠内で議論しているようには思えないのだけど。 技術力というものには、特許発明だけでなく特許としての要件を備えるに至ってないノウハウのようなものも含まれますよ。彼はそこまで明記していないけど、特許発明、ノウハウ、技術的能力を有する人材資源等の要素からなる技術力全般という意味で言ってるんじゃないかな。 余談だけど、生産現場で研究開発に当たってきた人の話によると、特許発明だけでなく製品を作るためのノウハウがかなり重要ということなんだよね。技術者のカン、技量や暗黙知に近いようなものかな。 |
アリエフさん、はじめまして。 > schumpさんの元記事確認しましたが、彼は特許対象となる発明に新たな製品・物だけでなく新たな製造・生産方法(方法特許)も含まれることを前提として記載していると思うのですが。日本語の解釈としてそうとしか読めませんし。 〜は、Aそのものだけではなく、Bも対象としている というかたちの文章からは、「BはAに含まれる」という定義が当然のものとされていることは読みとりがたいと思います。 また「=」の記号が、文字通りに等しいと意味で用いられているとすれば、これは誤りというしかありません。 > それから、彼の上記の文章以下の「工業力」と「技術力」の関係に関する記載は、別に特許制度の枠内で議論しているようには思えないのだけど。 特許制度の枠内からは読みとれないはずの何かを、読みとれるものとして論拠にしようとしているように思えます。 どちらかと言えばわざわざ特許制度など持ちだす必要はないように思います。そしてそれでもあえて持ちだすのであれば、正確な記述が望ましいと思います。 特許制度が保護対象としているのは、現実の産業の必要な要素のごくごく一部にすぎないということについては、アリエフさんの言われる通りであると私も思います。 |
すまんす。 「特許法上の『発明』と一般概念としての『発明』は意味がずれていて、特許法上の『発明』は射程が広いぶん、スレ議題の『技術力』の概念を把握するためのよりどころとして便利」 ということを書いとけばよかったですね。 |
Schumpさん、こんにちは。 細かい指摘をすみません。 Schumpの書き込みはいろいろと勉強させていただいております。 今後とも宜しくお願いいたします。 |
> 航空機では良かれ悪しかれ日本的な意味において優秀な航空機を開発しましたが技術的な評価では賛否の分かれるところと思います。 > 陸戦兵器(特に車両)では酷評されているように感じます。 > 艦船も航空機と同様極めて日本的な意味において優秀な艦船を建造しましたがその評価は分かれると思います。 「日本的な名機」とは何でしょう。それはエンジン直径ぎりぎりに胴体を絞り、必要強度ぎりぎりに設計して軽量化し、職人芸的な整備と操縦を要求する機体でしょうか。「日本的な意味で」という枕詞をつけている時点で、既に技術力という土俵を降りてはいませんか? 私は日本航空機の殆どについて、技術的に卓越したものは殆ど無かったと思います。確かに紫電改の空戦フラップや二式飛行艇の波消し装置などオリジナリティのあるアイデアも存在しました。空力設計のレベルは世界と同等クラスには達していたでしょうし、軽量化のテクニック(これも一つの技術力ではあります)にも長けていたとは言えるでしょう。でも、言ってしまえばそれだけです。 例えば B-29 爆撃機を見てみましょう。2500hp を出す空冷 18 気筒ライト R-3350 エンジン、排気タービンとその制御系、与圧空調つき乗員キャビン、見越し算定器つきの遠隔操作銃座、ノルデン式爆撃照準器、充実した電波航法計器と自動操縦装置。技術的に優れた要素は累挙にいとまがありません。 当時の日本でも似たような物は作ろうとしていますし、一部実用化に漕ぎ着けたものもあります。しかし、それらをあの短期間に B-29 という機体としてまとめ、複数の異なる工場で量産し、新装備の数々について専門知識を要する乗員および整備員を教育し、南洋の小島に巨大な滑走路と補給整備のインフラを建築しなければ日本本土爆撃は実現しなかったのです。 それにはもちろん膨大な資源が必要でしたが、資源だけで出来たことだとは思いません。四発巨人機も排気タービン付きエンジンも与圧キャビンも遠隔銃座も自動航法装置も、アメリカでは大戦勃発前から研究されていたものです。 > どうも日本軍全体の技術力はちぐはぐな気がしますが皆様のご意見は如何でしょうか? 戦前戦中の日本の技術(総合的な科学工業技術)は、やっと三流から二流になりかけていたところだったというのが正直なところではないでしょうか。その推進役は良くも悪くも軍事技術であり(しかも陸軍と海軍では管轄も方向性も違った)、限られた予算を正面装備の充実に優先していたため、おのずから偏ったものになったのではないかと思います。 |
> 「日本的な名機」とは何でしょう。それはエンジン直径ぎりぎりに胴体を絞り、必要強度ぎりぎりに設計して軽量化し、職人芸的な整備と操縦を要求する機体でしょうか。「日本的な意味で」という枕詞をつけている時点で、既に技術力という土俵を降りてはいませんか? 日本軍の思想を反映させたという意味です。 もっと言えば第二次世界大戦の実態はともかくとしてもそれまでに開発し航空機、艦船は日本軍の思想(戦略?)を反映させたものと思います。 航続距離と防弾のトレードオフによる被弾に対する脆弱さや水上戦重視の結果による対空能力の低さ等戦闘の実態とは違った物であっても独特な思想を具現化させようとしていたという意味をこめて「日本的な意味」を付けました。 舌足らずであるとは思いますが独特さを強調したかったのです。 |
軍事大国が必ずしも工業技術大国である必要はありません。 軍隊はその時必要と考えられた仕様に基づいて軍備を要求すれば良いのですから、軍自体が工業技術に長けている必要もなく、またその兵器を自国で生産することも絶対に必要という訳ではありません。国軍の要求する水準の軍備をどのように整備するか、という問題に対して自国で開発した国産兵器によって軍隊を整備しようとした場合にのみ問題になるだけの事です。 ニーズがあり、それを満たす為にある仕様と数量の兵器が要求される状況があって、その要求に答える為にたまたま自国開発の兵器を当てる訳ですから、もし発注側である軍隊の思想を反映した仕様の兵器が納められたとしても、それは必ずしも技術的問題とは限らないのです。ですから日本の兵器が日本的であるならばそれは日本の軍隊の要求を満たしている、というだけの事で、それが日本の技術的限界でも何でもない場合があるかもしれません。 そもそも何をもって「日本的」と称するかによって答えは違って来るでしょう。 |
> 航続距離と防弾のトレードオフによる被弾に対する脆弱さや水上戦重視の結果による対空能力の低さ等戦闘の実態とは違った物であっても独特な思想を具現化させようとしていたという意味をこめて「日本的な意味」を付けました。 > 舌足らずであるとは思いますが独特さを強調したかったのです。 私は自分自身が技術屋なので、「技術力の評価」基準と問われればより精巧で新しい要素を製品に取り入れることができたかどうか(開発技術力)、高品質の製品を大量生産できたかどうか(生産技術力)と評価します。それが実戦で有効な兵器であったかどうかはあえて問いません。また製品仕様がなぜ決定され、それがどのように活用されたかも問いません。そういったソフトウェアも一種の技術には違いないのですが、いわゆる狭義の「技術力」には通常含まないと思いますので。 私は艦船については疎いので言及を控えます。航空機に関していえば、空力設計と搭載火器については少なくとも米英と同程度、発動機とプロペラは1世代遅れ、電波兵器を含む電装品は2世代遅れではなかったかと思います(大雑把な評価ですが)。 |
> 航続距離と防弾のトレードオフによる被弾に対する脆弱さや水上戦重視の結果による対空能力の低さ等戦闘の実態とは違った物であっても独特な思想を具現化させようとしていたという意味をこめて「日本的な意味」を付けました。 航続力と防弾のトレードオフは日本機だけでしょうか? P-51は長大な航続力故に被弾に弱い事が当時から指摘されていますよね。 (勿論コレは連合軍機全体から見て弱いという程度ではありますが) また多くのガンカメラ映像に増槽をつけたままの状態で追いまわされて撃墜されるドイツ戦闘機が映っています。 増槽は被弾すると素敵な爆発をしますし、増槽がついているために速度も運動性も貧弱です。そして増槽が無いと作戦行動が取れない航続力なので仕方が無いわけです。 航続力と飛行性能や防弾性能をトレードオフしていたのは連合軍やドイツ軍も同じだったのです。 また防空火力と艦艇で見た場合。果たして日本艦は水上戦重視で防空火力を切り捨てていたのでしょうか? 同時期の同種艦同士で比較した場合、日本の艦艇の多くは平均よりも多くの対空砲と機銃と射撃装置を備えています。 例えば日本軍の駆逐艦の防空火力の貧弱さが指摘されますが、では同時期の英国やイタリアやフランスやドイツの同種艦はどうだったでしょうか? 何と日本駆逐艦よりも貧弱だったんです。また米国でも数で最大多数派閥だったのは開戦時ぐらいまでは平甲板型駆逐艦で、対空火力なんてゼロに近い代物です。 確かに一部の艦艇(島風や阿賀野型軽巡)はその世代としては水上戦闘に偏った傾向を強く感じる気もしますが、大戦末期にも戦艦作っていたような国の海軍と比較したら未だマシと個人的には考えます。 果たして「日本的」とは何なんでしょうか? 何処の国も航続力が必要になったら被弾で燃える機体を送り出してます。 何処の国も水上戦闘重視の艦艇を作って送り出しています。日本のそれは別に異常でも何でもないような気がしますが? |
> > 航続距離と防弾のトレードオフによる被弾に対する脆弱さや水上戦重視の結果による対空能力の低さ等戦闘の実態とは違った物であっても独特な思想を具現化させようとしていたという意味をこめて「日本的な意味」を付けました。 > > 航続力と防弾のトレードオフは日本機だけでしょうか? > P-51は長大な航続力故に被弾に弱い事が当時から指摘されていますよね。 > (勿論コレは連合軍機全体から見て弱いという程度ではありますが) > また多くのガンカメラ映像に増槽をつけたままの状態で追いまわされて撃墜されるドイツ戦闘機が映っています。 > 増槽は被弾すると素敵な爆発をしますし、増槽がついているために速度も運動性も貧弱です。そして増槽が無いと作戦行動が取れない航続力なので仕方が無いわけです。 > 航続力と飛行性能や防弾性能をトレードオフしていたのは連合軍やドイツ軍も同じだったのです。 > > また防空火力と艦艇で見た場合。果たして日本艦は水上戦重視で防空火力を切り捨てていたのでしょうか? > 同時期の同種艦同士で比較した場合、日本の艦艇の多くは平均よりも多くの対空砲と機銃と射撃装置を備えています。 > 例えば日本軍の駆逐艦の防空火力の貧弱さが指摘されますが、では同時期の英国やイタリアやフランスやドイツの同種艦はどうだったでしょうか? 何と日本駆逐艦よりも貧弱だったんです。また米国でも数で最大多数派閥だったのは開戦時ぐらいまでは平甲板型駆逐艦で、対空火力なんてゼロに近い代物です。 > 確かに一部の艦艇(島風や阿賀野型軽巡)はその世代としては水上戦闘に偏った傾向を強く感じる気もしますが、大戦末期にも戦艦作っていたような国の海軍と比較したら未だマシと個人的には考えます。 > > 果たして「日本的」とは何なんでしょうか? > 何処の国も航続力が必要になったら被弾で燃える機体を送り出してます。 > 何処の国も水上戦闘重視の艦艇を作って送り出しています。日本のそれは別に異常でも何でもないような気がしますが? 増槽を付けたまま戦闘を行わなければならない足の短い戦闘機とそれ自体で長大な航続力を誇る戦闘機を比較するのはちょっと..。 P51一本槍であればそうなるでしょうが、「もてる軍隊」米軍はそれ以外の方法で航続距離の問題をクリアしている点を考えると一つのソースでしかないように感じます。 駆逐艦にしても第一次大戦期に計画された平甲板型駆逐艦シリーズを引き合いに出すのはちょっと...。 それ以降の駆逐艦はほとんど両用砲搭載型で、平射砲搭載の駆逐艦は水雷戦隊旗艦用大型駆逐艦のポーター級位で(勉強不足だったらすみません)そのポーター級も1940年頃に両用砲への換装を計画しています。 両用砲も夕雲級搭載のD型砲は「とりあえず」両用砲で、それ以前の駆逐艦は全て平射砲で、本格的対空戦闘を行うには秋月、松級駆逐艦の登場を待たねばならず、かといって現行の駆逐艦に対空能力を付与する為に機関砲の増備はしても主砲の換装は行われていないようですし。 この点で興味があるのは5500トン型軽巡洋艦や天竜級に対空能力を付与する為に改装が行われたのは五十鈴のみという点と高雄級重巡洋艦の改装後でも雷装をそのままにした点が気になる所です。 島風級、阿賀野級軽巡のみを見て「日本的」と感じたではなく、そこまでに至る過程を考察して「日本的」と感じたのです。 前回の書き込みを更に強調すると潜水艦に関しても独特な物を感じるのですが如何でしょうか? イギリスの駆逐艦に関しては大戦末期まで搭載砲に関する紆余曲折が続いたと聞いておりますのでこの点は考慮すべき所と考えております。 フランス、イタリア、ドイツはそもそも日本、イギリス、アメリカのような大海軍国ではないと考えております。 勉強不足や短慮であればご容赦のほどを。 |
> 増槽を付けたまま戦闘を行わなければならない足の短い戦闘機とそれ自体で長大な航続力を誇る戦闘機を比較するのはちょっと..。 同じ事でしょ?航続力を伸ばすには燃料をたくさん積まなくてはいけない。 ドイツ機でもしてるんですから、日本だけの事例ではない。 > 駆逐艦にしても第一次大戦期に計画された平甲板型駆逐艦シリーズを引き合いに出すのはちょっと...。 では平甲板型は戦争に参加していないのですか? ゼロに等しい防空火力で空襲に対抗した艦が居なかったとでも? それこそそんな旧式駆逐艦を漫然と保有して、画期的な新型の数が揃っていなかった事は米軍が防空火力を軽視していたからでは有りませんか? また、米国の両用砲装備駆逐艦は倫敦条約対応からですが、同世代の英国A型駆逐艦はどうでしょうか?ドイツやフランスやイタリアの駆逐艦はどうなのでしょうか? それこそ持てる国アメリカだから開戦前後から一挙に大々的に切り替えが出来ただけの事ではないのでは? 夕雲と平行して整備された秋月や松型はどうでしょうか、高角砲しかつんでいません。 同じ時期の他国駆逐艦と比較して、全体に占める高角砲装備駆逐艦の比率やある程度の高角射撃が出来る駆逐艦の比率はどうなのか数えてみたら如何でしょうか。 > 両用砲も夕雲級搭載のD型砲は「とりあえず」両用砲で、それ以前の駆逐艦は全て平射砲で、本格的対空戦闘を行うには秋月、松級駆逐艦の登場を待たねばならず、かといって現行の駆逐艦に対空能力を付与する為に機関砲の増備はしても主砲の換装は行われていないようですし。 夕雲のD砲よりも英独駆逐艦の主砲や射撃装置が劣ると言う事実はご存知ですか? 夕雲より優れていたと言えるのは、それこそ米駆逐艦だけなのではないでしょうか? ナンバーワンではなくナンバーツーであった事が批判されるべきなのだとするなら、それよりも劣る駆逐艦を建造配備していた他国はもっと「日本的」ですね。 > この点で興味があるのは5500トン型軽巡洋艦や天竜級に対空能力を付与する為に改装が行われたのは五十鈴のみという点と高雄級重巡洋艦の改装後でも雷装をそのままにした点が気になる所です。 主砲は減っていますよ? 駆逐艦でも主砲を減らしていますね。 雷装を減らすと対空火力が強化されるのですか? 雷装の維持と強化は対空軽視とは必ずしもイコールではないでしょう。 英軍の護衛駆逐艦も最初は魚雷無しでしたが途中で魚雷積んでます。 なんと「日本的」なのでしょうか。 また、高角砲の生産が間に合っていないと言う現実は見ていますか? 換装工事に時間がかかると言う事はご存知ですか? 米軍でも高名な38口径両用砲(高角砲)以外を搭載していた艦は沢山ありますが、これらの殆どは換装していません。 オマハ級のように結局5インチ高角砲を積まなかった艦も居ます(76mmのまま) それこそ米軍は持てる国だから、高角砲を満載した新型艦を大量に送り出せただけではないですか? ポーター級の事例は復元性問題が生じていたと言う事を考えれば、武装軽減処置のついでに対空砲に載せ変えたとも言えます。 もしポーター級の安定性に問題が無かったら、その大砲は他の新造艦に回ったかもしれません。 > イギリスの駆逐艦に関しては大戦末期まで搭載砲に関する紆余曲折が続いたと聞いておりますのでこの点は考慮すべき所と考えております。 紆余曲折があった場合は許されるのでしたら、 特型で高角射撃を試みて、排水量制限等にも苦しみながら試行錯誤を続けた夕雲までの日本駆逐艦でもその点を考慮すべきかと存じます。 |
SUDOさんは、日本の兵器に見られる特徴的な仕様は常識的に解釈可能な範囲のものであって、同じような例を各国で見る事ができる。故にそれを安直に「日本的」と称するとそこから先へ話が進まない、とおっしゃっているのでしょう。 確かに特徴はあるけれども、それを日本的という言葉でくくる事はその特徴にある種、非合理なものを認めることになりやすく、背景にある論理、思想に目が届き難くなるという事だと思います。 |
> 同じ事でしょ?航続力を伸ばすには燃料をたくさん積まなくてはいけない。 > ドイツ機でもしてるんですから、日本だけの事例ではない。 同じ事なんですか? > では平甲板型は戦争に参加していないのですか? > ゼロに等しい防空火力で空襲に対抗した艦が居なかったとでも? > それこそそんな旧式駆逐艦を漫然と保有して、画期的な新型の数が揃っていなかった事は米軍が防空火力を軽視していたからでは有りませんか? 駆逐艦として参加したのはごく少数でしかも主砲全部と雷装の半分を撤去して対空能力、対潜能力の強化を図っていたと記憶しておりますが。 > また、米国の両用砲装備駆逐艦は倫敦条約対応からですが、同世代の英国A型駆逐艦はどうでしょうか?ドイツやフランスやイタリアの駆逐艦はどうなのでしょうか? はい、仰る通りヨーロッパ各国の駆逐艦における対空能力は脆弱です。 イギリスはともかくとしても空母というキーワードで駆逐艦を考えるとそれ以外の国はどうでしょうか? ロンドン条約の件ですがそれ以前のワシントン条約を契機に日本の駆逐艦は独自の路線に歩み始めたと認識しております。 > それこそ持てる国アメリカだから開戦前後から一挙に大々的に切り替えが出来ただけの事ではないのでは? 「米国の両用砲装備駆逐艦は倫敦条約対応からですが」と書き込みしてからこれというのはどうでしょう。 > 夕雲と平行して整備された秋月や松型はどうでしょうか、高角砲しかつんでいません。 > 同じ時期の他国駆逐艦と比較して、全体に占める高角砲装備駆逐艦の比率やある程度の高角射撃が出来る駆逐艦の比率はどうなのか数えてみたら如何でしょうか。 秋月型はこれまでの日本駆逐艦の系列とは異にする実質的には直衛艦とでも形容すべき別物で、松型にしても厳しい戦訓の結果生まれた物で、登場時期は昭和19年からというのを考慮すべきでは? > 夕雲のD砲よりも英独駆逐艦の主砲や射撃装置が劣ると言う事実はご存知ですか? > 夕雲より優れていたと言えるのは、それこそ米駆逐艦だけなのではないでしょうか? > ナンバーワンではなくナンバーツーであった事が批判されるべきなのだとするなら、それよりも劣る駆逐艦を建造配備していた他国はもっと「日本的」ですね。 戦闘の実態における優劣がどうこうという事と独特さを綯交ぜにしてませんか? > 主砲は減っていますよ? 駆逐艦でも主砲を減らしていますね。 > 雷装を減らすと対空火力が強化されるのですか? > 雷装の維持と強化は対空軽視とは必ずしもイコールではないでしょう。 > 英軍の護衛駆逐艦も最初は魚雷無しでしたが途中で魚雷積んでます。 > なんと「日本的」なのでしょうか。 雷装を降ろしてボフォース40mm機関砲を装備した駆逐艦はごろごろいます。 > また、高角砲の生産が間に合っていないと言う現実は見ていますか? 高角砲の生産が間に合わない事が平射砲搭載の駆逐艦の改装が出来ないこととイコールではないような気がします。 > 換装工事に時間がかかると言う事はご存知ですか? それを押してでも換装するという事例が駆逐艦の主砲において皆無なのは何故でしょう? > 米軍でも高名な38口径両用砲(高角砲)以外を搭載していた艦は沢山ありますが、これらの殆どは換装していません。 オマハ級のように結局5インチ高角砲を積まなかった艦も居ます(76mmのまま) 私は順次対空兵装の強化を図っていたと認識しておりますが勉強不足でもあるので38口径両用砲非搭載艦の対空装備を一例でも結構ですので御教示願えないでしょうか? > それこそ米軍は持てる国だから、高角砲を満載した新型艦を大量に送り出せただけではないですか? 開戦前の既存の艦で両用砲を搭載した駆逐艦はたくさん有ると思いますが。 > ポーター級の事例は復元性問題が生じていたと言う事を考えれば、武装軽減処置のついでに対空砲に載せ変えたとも言えます。 > もしポーター級の安定性に問題が無かったら、その大砲は他の新造艦に回ったかもしれません。 ポーター級ネームシップのポーターは1940年に両用砲への換装を計画しましたが重量 増大により換装されず、南太平洋海戦で戦没していますので武装軽減処置のついでに対空砲に換装したとはいえません。 > 紆余曲折があった場合は許されるのでしたら、 > 特型で高角射撃を試みて、排水量制限等にも苦しみながら試行錯誤を続けた夕雲までの日本駆逐艦でもその点を考慮すべきかと存じます。 主砲の換装や本格的な高角射撃能力を付与する余力が独自の路線を歩んできた日本の駆逐艦にはもはやなかったと考えます。 前に書き込んだ島風級や阿賀野級に至る過程や日本の潜水艦についてSUDO様はどうお考えでしょうか。 |
> > 同じ事でしょ?航続力を伸ばすには燃料をたくさん積まなくてはいけない。 > > ドイツ機でもしてるんですから、日本だけの事例ではない。 > > 同じ事なんですか? 同じような馬力のエンジンを積み、同じような機体規模に なる以上、「無駄が無い限り」ペイロードは似たような物になります。 # これ重要ね。 それを防弾や武装に振ったのがドイツ機になり、航続力が 不足した場面では増槽に依存することになります。つまり、 防弾が不足します。 # 使い捨ての増槽に防弾施すなんて無駄が大きいです。 言い換えるならば、弱装甲で航続力を稼いだ日本機は あらかじめ機内に増槽を抱え込んでいるのだから装甲に 振れる分が少なくなったのだとも見なせるわけです。 # 陸軍機では隼から防弾処置を「それなりに」施してますけどね。 ですから「同じこと」になっちゃうわけです。 |
> > 同じ事でしょ?航続力を伸ばすには燃料をたくさん積まなくてはいけない。 > > ドイツ機でもしてるんですから、日本だけの事例ではない。 > 同じ事なんですか? 何処が違うのです? P−51は被弾すると燃え易い>燃料タンクが大きく被弾率が高いから ドイツ戦闘機は本土防空で増槽をつけたまま空戦して苦戦する事例が多々あった。 これと「日本の航空機は航続力の犠牲でタンクに被弾しやすく燃え易かった」は同じ事を意味しています。 燃料を沢山積んだら燃え易いという事です。 航続力要求が高かったのは日本のおかれた地理的条件が影響していますが これは「戦略的な必要性から航続力要求が高かった」という事を意味しているだけで「航続力の犠牲として燃え易いのが日本独特」ではない事に注意して下さい。 航続力を要求された米独の戦闘機は燃えやすくなってしまいました。 ですから「航続力の犠牲として燃え易い」のは日本独特ではないのです。 日本独特といえなくもないのは、航続力の要求条件が厳しかったという点だったのです。 > > では平甲板型は戦争に参加していないのですか? > 駆逐艦として参加したのはごく少数でしかも主砲全部と雷装の半分を撤去して対空能力、対潜能力の強化を図っていたと記憶しておりますが。 そうなったのは大戦中期以降です。 大戦前半の米駆逐艦の大半は平甲板型であったのもまた事実なのです。 平甲板型が後方任務に回れたのは、新型駆逐艦の数量が充実してからです。 > ロンドン条約の件ですがそれ以前のワシントン条約を契機に日本の駆逐艦は独自の路線に歩み始めたと認識しております。 となると、恐らく米国も独自の路線を歩みだしたのではないでしょうか。 となると、日本艦の特性が米国のそれと違うのは 日本が独特なのではなく米国が独特なのではないでしょうか? それとも、全ての国がそれぞれ独自路線なのではないでしょうか。 また独自とされるような特性の多くは 各国とも良く似ていたり同じ方向にあったりするものです。 対空火力に関していうならば、明らかに米国の新型駆逐艦が独特でしょう。 > > それこそ持てる国アメリカだから開戦前後から一挙に大々的に切り替えが出来ただけの事ではないのでは? > 「米国の両用砲装備駆逐艦は倫敦条約対応からですが」と書き込みしてからこれというのはどうでしょう。 ですから数を数えてください。 何級が何隻、どの時期にあって、全体の戦力はどうだったのか それを見ないで、一部の新型艦艇の登場の有無だけを論じても何も進みません。 > 秋月型はこれまでの日本駆逐艦の系列とは異にする実質的には直衛艦とでも形容すべき別物で、松型にしても厳しい戦訓の結果生まれた物で、登場時期は昭和19年からというのを考慮すべきでは? 秋月が従来型と異なる特性をもったら、何か問題でもあるのですか? 米国の平甲板型と条約以降の両用砲駆逐艦は系列を異にするものではないのですか? それとも、米国の高角砲装備駆逐艦は正しくて、日本の高角砲装備駆逐艦は考慮対象から外さないといけないのですか? 戦訓対策を盛り込んだ新型駆逐艦を開発建造したらそれは除外しないといけないのですか? 防空戦闘能力への注力や伊号さんが興味深いと述べられた巡洋艦の高角砲増強は戦訓対策では? だったら駆逐艦において戦訓を抜本的に盛り込んだ駆逐艦を建造したらそれは除外する理由にはならないでしょう。 > > 夕雲のD砲よりも英独駆逐艦の主砲や射撃装置が劣ると言う事実はご存知ですか? > 戦闘の実態における優劣がどうこうという事と独特さを綯交ぜにしてませんか? それは其方でしょう? 私は戦闘に関しては一言も述べていません。 装備のユニークさとそれを考えた背景について述べています。 > 雷装を降ろしてボフォース40mm機関砲を装備した駆逐艦はごろごろいます。 雷装を減らして機銃を積んだ駆逐艦は日本にも複数あります。 米国駆逐艦の場合は主砲が対空戦力として計上できるので、雷装を降ろした。 日本の場合は雷装も主砲も対空戦力にならないので、まずは主砲を減らした。 どちらも「水上戦力と引き換えに対空火力を強化した」という事です。 主砲よりも雷装を重視したのが日本独特であるのかと言うと、 それすらも英国のように事例が存在します。 雷装の優先順位が極めて低い米国の方がどちらかというと独特でしょう。 > > また、高角砲の生産が間に合っていないと言う現実は見ていますか? > 高角砲の生産が間に合わない事が平射砲搭載の駆逐艦の改装が出来ないこととイコールではないような気がします。 > > 換装工事に時間がかかると言う事はご存知ですか? > それを押してでも換装するという事例が駆逐艦の主砲において皆無なのは何故でしょう? 駆逐艦の頭数が無いからですね。 機関の整備すらろくに出来ずに最前線に立ちつづけた駆逐艦に、そんな時間あったんですか? そして、果たして駆逐艦の主砲換装とはそんなに効果的な施策なのでしょうか? 貴重な高角砲を与えて、それで効力を発揮すると考えられるのですか? それで得られる何かは、前線から駆逐艦を引き抜くことで失う何かよりも魅力なのですか? そしてそれは日本独特の事例だったのですか? > > 米軍でも高名な38口径両用砲(高角砲)以外を搭載していた艦は沢山ありますが、これらの殆どは換装していません。 > オマハ級のように結局5インチ高角砲を積まなかった艦も居ます(76mmのまま) > 私は順次対空兵装の強化を図っていたと認識しておりますが勉強不足でもあるので38口径両用砲非搭載艦の対空装備を一例でも結構ですので御教示願えないでしょうか? オマハは積んでいません。 以降の巡洋艦も新造時に25口径を搭載していた艦は換装工事をしていません。 http://www.warships1.com/USca033_Portland_specs.htm 例えばこのようにです。 艦や時期によって差異はありますが、高角砲換装工事をした艦があるなら教えてください。 真珠湾で大改装を余儀なくされた戦艦を除けばメリーランドぐらいではないでしょうか?(空母には事例が有るのかも知れませんが) > > それこそ米軍は持てる国だから、高角砲を満載した新型艦を大量に送り出せただけではないですか? > 開戦前の既存の艦で両用砲を搭載した駆逐艦はたくさん有ると思いますが。 ですから、それの比率はどうなのでしょうか。 申し訳ないのですが、数えてください。 彼等の戦力の何割がそういった新型艦だったのか、考えて見ても良いかと思いますよ。 そして、そういった短期間に一驚に世代交代を果たせた海軍は米国だけでした。 > > もしポーター級の安定性に問題が無かったら、その大砲は他の新造艦に回ったかもしれません。 > ポーター級ネームシップのポーターは1940年に両用砲への換装を計画しましたが重量 > 増大により換装されず、南太平洋海戦で戦没していますので武装軽減処置のついでに対空砲に換装したとはいえません。 当初の両用砲換装案は全部連装じゃなかったですか? また最終的な換装工事は戦力の余裕が出来た1944年だったと思いますが これは換装案があっても、台所事情がそういう贅沢を米国ですら中々許さないという事を意味しているのではないでしょうか? > > 紆余曲折があった場合は許されるのでしたら、 > 主砲の換装や本格的な高角射撃能力を付与する余力が独自の路線を歩んできた日本の駆逐艦にはもはやなかったと考えます。 ですからどこが独自の路線なんでしょうか? 同様の模索と努力とチグハグな対策処置が混在するのは米国以外の殆どの国で見受けられるところです。 また国力の余裕はわかりますが、日本の駆逐艦の何処に余裕が無かったのでしょう? 機銃増設したらひっくり返った米国駆逐艦には余裕があったんですか? 秋月や松は本格的な高角砲射撃能力を持った駆逐艦です。 日本にはそういった艦を建造できましたし、国力がゆする限りの全力で建造しています。 在来艦に高角砲換装をしなかったのも、技術的な問題よりは戦力のローテーションの関係でしょう。 主砲換装工事をした駆逐艦という事例はそれこそ例外に近く、それを果たした米国が独自路線だといえなくも無いでしょう。 米国が標準なんじゃないのです。 各国はそれぞれ独自の戦略方針を持っていますから、そういう観点では各国とも独自です。 ですが、技術的な対策や戦訓への対処においては何処も良く似ています。敢えて言うなら米国だけが独特です。 > 前に書き込んだ島風級や阿賀野級に至る過程や日本の潜水艦についてSUDO様はどうお考えでしょうか。 潜水艦に関しては何かを述べられるほどの知識は有りません。 もしかすると独特で独自な何かがあるのかもしれませんね。ドイツや米国が独自で独特であったように。 また巡洋艦に関しては何も独特でも独自でもなく、単にもう少し先進的であったのなら望ましかっただろうと思うだけです。 |
> 艦や時期によって差異はありますが、高角砲換装工事をした艦があるなら教えてください。 > 真珠湾で大改装を余儀なくされた戦艦を除けばメリーランドぐらいではないでしょうか?(空母には事例が有るのかも知れませんが) BB-42アイダホが1944年から45年に掛けて換装工事 BB-45コロラドが1944年に掛けて換装工事 世界の艦船増刊「アメリカ戦艦史」からは以上のように読み取れます。 |
> > 艦や時期によって差異はありますが、高角砲換装工事をした艦があるなら教えてください。 > > 真珠湾で大改装を余儀なくされた戦艦を除けばメリーランドぐらいではないでしょうか?(空母には事例が有るのかも知れませんが) > BB-42アイダホが1944年から45年に掛けて換装工事 > BB-45コロラドが1944年に掛けて換装工事 > 世界の艦船増刊「アメリカ戦艦史」からは以上のように読み取れます。 有難うございます。戦艦の一部には改装が入ったんですね。 |
まとめてみますと ○127mm38口径高角砲に換装した艦(真珠湾後の大規模改装工事をした艦除く) BB-42アイダホ BB-45コロラド BB-46メリーランド 計3隻 ○換装しなかった艦 BB-33アーカンソー BB-34ニューヨーク BB-35テキサス BB-40ニューメキシコ BB-41ミシシッピ 計5隻 ○真珠湾後の大規模改装工事をした艦 BB-36ネヴァダ BB-38ペンシルヴェニア BB-43テネシー BB-44カリフォルニア BB-48ウェスト・ヴァージニア 計5隻 となるようです。 巡洋艦で127mm38口径高角砲に換装した艦はブルックリン級のCL-42サヴァンナ1隻と 思われます。 ただ、ひとつ注目すべきことは、「高角砲は換装したが主砲は下ろしてない」ことです。 1万トン級の巡洋艦で主砲を下ろして対空兵装を増備した艦は米艦にはありません。 日本では摩耶があり、英艦は艦名を全て挙げるのが困難なほどあります。 ご承知のとおり、サヴァンナはドイツのFX1400を3番砲塔に食らって、その復旧工事の際 に高角砲を換装しています。 これも有名なことで今更述べることでもありませんが、ブルックリン級は対空兵装を増備 するスペース不足に終始悩まされ続けた艦です。その1艦が航空攻撃で3番砲塔に被害を受 けたのですからいっそ下ろしてしまって対空兵装増備したほうが良さそうなものですが、 米海軍は摩耶のような修理は行いませんでした。 また、CL-43ナッシュビルも1944年6月に5番砲塔に至近弾を受け損傷していますが、現地 での修理ですましてしまって復帰しています。 (これはまあ、軽度の損傷だったからと言ってしまえばそれまでなんですが) 日米の1万トン級の巡洋艦は水上兵力の主力であり、双方ともできるだけ多数の兵力を前 線にはり付けておきたかった、時間のかかる改装工事は極力したくなかったということだ ったのではないかと思います。そう思いながらサヴァンナと摩耶の事例を見ると、米国よ り日本のほうが無理をして対空兵装の増強に努めた、とも言えるのではないでしょうか。 こんな例もあります。 オマハ級全10隻は重量対策(主に対空兵装増備による)のため後部下段の152mm単装砲を2 門下ろしています。(この砲は装備位置の低さからもともと実用性の低いものでした) 一方日本の5500トン軽巡では、大井と北上を除くと以下の通りとなります。 ・球磨(5番砲撤去し、25mm機銃増備) ・多摩(5・7番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・木曾(5・7番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・長良(5・7番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・五十鈴(主砲全廃し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・名取(5・7番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・由良(主砲撤去なし、昭和17年戦没) ・鬼怒(5・7番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・阿武隈(5・7番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) ・川内(主砲撤去なし、昭和18年戦没) ・神通(主砲撤去なし、昭和18年戦没) ・那珂(5番砲撤去し127mm連装高角砲と25mm機銃増備) となり、夕張も1・6番砲撤去し120mm高角砲と25mm機銃を増備しています。 つまり、「昭和19年正月に残っていた5500トン型(と夕張)は、高速補給艦となっていた 大井と北上を除く全ての艦が主砲を下ろしてまで対空兵装を増備していた」のです。 こんな例もあります。 アトランタ級はスペース不足と重量増の対策としてCL-95オークランドから兵装の一部が 減少しますが、その際下ろしたのは雷装ではなく主砲(127mm38口径高角砲)4門でした。 以上、ここに居られる皆様には釈迦に説法の如き陳腐な内容ですが、些かでも議論の輪に 参加させて頂きたく、敢えて発言させて頂きました。御赦しください。 また、誤りがありましたならばどうぞご指摘くださいませ。 |
論点を整理するためには、まず「日本的」と「日本独特」という言葉には だいぶ違いがあることを明確にする必要があると思います。 独特とは「そのものだけが有していること」の意味であり、日本特有の、 日本以外では類例を見られないものを指すと考えます。これは「日本的」 という言葉よりもかなり幅の狭い表現です。(慣例的には両者を同等の 意味として使うことも多いですが)。 僭越ながらSUDOさんの論旨を要約すると「いわゆる日本的とされる 性格を持つ兵器は諸外国にも認められ、日本独特とは言えない」という 事ではないかと思います。私も、同時代に同程度の技術力(これが本来の 議題の筈でしたが)で同じ目的の為に作られた機械は、そうそう極端に 異なる機能形態を持たないであろうと考えます。 その一方で、各国ごとに想定する戦場や兵器運用のドクトリン、背景と なる技術水準が違いますので、その国の特色が反映される傾向にある ことも否定できないと思います。 伊号さんはそれを「独特」と呼び、SUDOさんは「それは独特ではない」 と反論し、水掛け論となっているように思えますが、如何でしょうか? |
伊号さんは結果として現れた日本の軍用機や軍艦の特徴について「独特」「日本的」と表現しているのでしょう。 SUDOさんは同じ様な傾向のスペックを持つ兵器は他国にもあり、日本のみのものではない、と評価している。 けれども、伊号さんが納得できないのは「そうはいっても、現実の兵器はかなり特徴的なスペックを備えてしまっているではないか」という事で、その背景や理由について疑問を投げ掛けているのだと思います。 これについては、 1.まず、本当にスペック的に特徴をそなえているのか? 具体的には、日本機は本当に航続力の為に防弾が無いのか。日本艦は対空戦闘を軽視しているのか。といった点はあれこれ論ずる前に検証しなければなりません。 2.次に、特徴的なスペックを備えているとして、それが、何故採用されているのか、どのような考え方によってどう使う事を目的にそうなっているのか。そしてその考え方は長期間にわたり不変だったのか、あるいは時期を追って変化しているものなのか、ということでしょう。 3.更に、特徴的なスペックが本当にあるとして、加えてそれをもたらした思想がまた幅広く長期的に存在していたとするならば、その思想は合理的、論理的な思考によるものなのか、あるいは日本人の民族性、文化といったものに影響されたものなのか、という問題になると思います。 日本的であるかどうか、という問題はそういう事でしょう。 個別の機体や艦の要目のみを比較してもかみ合わないのは当たり前なのです。 しかし、いきなり、3.まで飛んでも、単に雰囲気を語ることにしかなりません。 |