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 ▼タラント空襲が失敗していたなら  高村 駿明 06/12/2(土) 12:29
   ┗Re:タラント空襲が失敗していたなら  RNR 06/12/2(土) 19:48
      ┗Re:タラント空襲が失敗していたなら  高村 駿明 06/12/3(日) 12:46
         ┗Re:タラント空襲が失敗していたなら  RNR 06/12/4(月) 1:51
            ┗Re:タラント空襲が失敗していたなら  高村 駿明 06/12/5(火) 0:01

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 ■題名 : タラント空襲が失敗していたなら
 ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>
 ■日付 : 06/12/2(土) 12:29
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    いつもお世話になっております。
 今回は「1940年11月11〜12日に行われた、英空母イラストリアスによるタラント港空襲(ジャッジメント作戦)が失敗していたら、どのような影響があったか」を議論したいと思います。

 設定としては「英空母イラストリアスは、ジャッジメント作戦の最中に機関故障を起こした。その結果、英艦隊は攻撃隊を発進させる前にイタリア空軍の空襲を受け、イラストリアスが大破して作戦が失敗した。英空母によるタラント空襲の意図を察したイタリア海軍は、タラント港の防備を強化した。結果、空母艦載機による奇襲攻撃は、史実よりも難しくなった」という内容でいかがでしょうか。

 英海軍のやり方を考えると、防備が強化されようが襲撃を行い、そしてイタリア海軍にはどこか手落ちがあって、結局戦艦撃破という結果になりそうですが(笑) さておき。
 史実に対する影響として、私が思いつくのは以下の通りです。

1.タラントに留まることの利益
 史実ではタラントの被害により、イタリア海軍主力はナポリに後退しました。しかし、船団攻撃のためにイタリア艦隊が出撃すればメッシーナ海峡を通ることになります。メッシーナ海峡はマルタ島からの偵察機の哨戒圏内に入るため、イギリス軍はイタリア艦隊がイオニア海へ出る前に出撃を察知できるようになりました。この不利益は軽減されると思います(どちらにせよ、暗号解読されているので、大差ないようにも感じられますが)。そのことが戦局に与える影響を考えたいと思います。

2.3戦艦健在が、戦況全般に与える影響
 イタリア海軍には燃料問題があるので何とも言えないのですが、1941年3月27日のマタパン岬沖海戦にリットリオ、カイオ・デュイリオ、コンテ・ディ・カブールの3戦艦は、無事ならば参加していたように思います(ジュリオ・チェザーレも2月に修理されているので、史実ベースでも参加できるはずなのですが。はて)。
 この戦いで勝つか、英艦隊に大きな被害を与えた上で引き分けられたなら(むしろ艦隊決戦でイタリア艦隊主力は壊滅、史実よりも英側有利に推移、が一番ありそうで何なのですが)、クレタ島・マルタ島を巡る攻防にも大きな影響があると思います。
 3戦艦の健在が、戦局全般に与える影響について考えたいと思います。

3.他方面への影響
 タラント港内でイタリア戦艦が空母艦載機により空襲撃破されたことは、真珠湾攻撃(やビスマルク追撃戦)にも影響を与えたと言われています。空襲が失敗した場合、真珠湾攻撃への影響はあるでしょうか。

 お手数をおかけ致しますが、お付き合い頂ければ幸いです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:タラント空襲が失敗していたなら  ■名前 : RNR  ■日付 : 06/12/2(土) 19:48  -------------------------------------------------------------------------
    思いつくままに書きます。
>
> 1.タラントに留まることの利益

 本国海軍はおそらく護衛艦艇の増強を余儀なくされます。また船団の行動に影響が出るようになるとマルタへの入港予定に狂いが生じて航空攻撃を受けやすくなります。ヴィガラス作戦、ハープーン作戦等のように補給船団が十分な物資を届けられなくなるかも知れません。

 それらを嫌って再度のタラント攻撃を画策する可能性はあると考えます。

>
> 2.3戦艦健在が、戦況全般に与える影響

 マタパン岬沖海戦の結果次第ですが41年5月のライン演習で地中海艦隊をビスマルク追撃戦に用いれるかどうかにも影響すると考えられます。
 
 ただ残念ながらマタパン岬沖海戦では先にHMS Formidableの艦載機による攻撃ですでに損傷していますので、場所が変わっただけということも考えられます。


> 3.他方面への影響
>
 着想はいずれされると思いますが、投入された戦力に見合うだけの戦果を得られるかどうかの説明において事例が存在しないので不利であろうと考えられます。また浅沈度航空魚雷の開発もこれに影響を受けたと思われます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:タラント空襲が失敗していたなら  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/3(日) 12:46  -------------------------------------------------------------------------
   >  本国海軍はおそらく護衛艦艇の増強を余儀なくされます。また船団の行動に影響が出るようになるとマルタへの入港予定に狂いが生じて航空攻撃を受けやすくなります。ヴィガラス作戦、ハープーン作戦等のように補給船団が十分な物資を届けられなくなるかも知れません。
>  それらを嫌って再度のタラント攻撃を画策する可能性はあると考えます。

 そうですね。このスレッドの想定では、空襲失敗時に空母イラストリアスは撃破されていますが、それでもタラント空襲は、再び実行されるでしょうね。ティルピッツを執拗につけ狙ったことから考えても。
 マルタ島への圧力が強まることは、英軍の負担を増やすでしょう。
 とはいえ、別スレッドで論じられているように、仮に枢軸側がマルタ島を入手したとしても、北アフリカ戦線の展開には、大きな違いはないようですね。
 奪還しないことには、イタリア本土への展開に支障があるでしょうから、イタリア降伏が史実よりやや遅くなったかもしれませんが。

> > 2.3戦艦健在が、戦況全般に与える影響
>
>  マタパン岬沖海戦の結果次第ですが41年5月のライン演習で地中海艦隊をビスマルク追撃戦に用いれるかどうかにも影響すると考えられます。
>  
>  ただ残念ながらマタパン岬沖海戦では先にHMS Formidableの艦載機による攻撃ですでに損傷していますので、場所が変わっただけということも考えられます。

 戦艦が3隻増えれば、その分航空攻撃が難しくなるのではないかと(あまり防空能力が高くないので、言い切れないのですが)。フォーミダブルの艦載機が史実通りにスクリュー撃破を行えるかは、わからないでしょう。
 プリエーゼ式の水中防御も、たまたま当たり所が悪かった例が続いただけで、変なところに当たらなければ、ソードフイッシュの航空魚雷くらいなら、なんとかなるのではないかと。タラントの時とは違い、戦闘行動中の避雷となるわけですから、戦艦が魚雷1発で戦闘不能という事態は、そうそう起こらないのではないかと思います。

 ヴェネト級2隻がほぼ無傷なら、巡洋艦では勝っていますから、昼間戦闘であれば、英地中海艦隊もただでは済まなかったと思います。
 元は「タラント空襲がなく、マタパン岬沖海戦でイタリア側が勝利していたなら」という議題のつもりだったのですが、調べれば調べるほど、勝利が覚束ないようなので。
 イタリアだけ空母がない、錬度に劣る、レーダーがない、など。厳しいですね。

>  着想はいずれされると思いますが、投入された戦力に見合うだけの戦果を得られるかどうかの説明において事例が存在しないので不利であろうと考えられます。また浅沈度航空魚雷の開発もこれに影響を受けたと思われます。

 英軍は開戦前からタラント空襲を計画していたらしいですし、米国も演習で真珠湾攻撃を行ったりもしておりますね。個人的には、英国がタラント空襲を失敗しようとも、真珠湾攻撃は史実通り行われたのではないかと思っております。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:タラント空襲が失敗していたなら  ■名前 : RNR  ■日付 : 06/12/4(月) 1:51  -------------------------------------------------------------------------
   >  マルタ島への圧力が強まることは、英軍の負担を増やすでしょう。
>  とはいえ、別スレッドで論じられているように、仮に枢軸側がマルタ島を入手したとしても、北アフリカ戦線の展開には、大きな違いはないようですね。
>  奪還しないことには、イタリア本土への展開に支障があるでしょうから、イタリア降伏が史実よりやや遅くなったかもしれませんが。

 マルタ島入手と同時にフランス艦隊が参戦でもしてくれれば東地中海が枢軸側の安全海域になるかも知れません。奪還しないと補給に少々負担をかけますが、アフリカよりもイタリアを志向するのでしたらそのままシシリーに行っても良いかも知れません。

>  戦艦が3隻増えれば、その分航空攻撃が難しくなるのではないかと(あまり防空能力が高くないので、言い切れないのですが)。フォーミダブルの艦載機が史実通りにスクリュー撃破を行えるかは、わからないでしょう。

 どうでしょうか?参加艦数増加は英海軍も当然行いますのでHMS EagleやHMS Ark Royalなどを引っ張ってくるのではないでしょうか?「参加機数の増加により変化なし」と思ったのですが。

 マタパン岬沖海戦でイタリアが勝利するには艦船が多少増加した程度ではひっくり返せないと思います。

>
>  英軍は開戦前からタラント空襲を計画していたらしいですし、米国も演習で真珠湾攻撃を行ったりもしておりますね。個人的には、英国がタラント空襲を失敗しようとも、真珠湾攻撃は史実通り行われたのではないかと思っております。

 はい。ですから大筋では変わらないと思いますが「降爆+水平」のみで「雷撃」を考慮したかどうか、軍令部との折衝で「前例がない」ことを理由に説得に手間取ったかどうかぐらいだろうと考えます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:タラント空襲が失敗していたなら  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/5(火) 0:01  -------------------------------------------------------------------------
   >  マルタ島入手と同時にフランス艦隊が参戦でもしてくれれば東地中海が枢軸側の安全海域になるかも知れません。奪還しないと補給に少々負担をかけますが、アフリカよりもイタリアを志向するのでしたらそのままシシリーに行っても良いかも知れません。

 そうですね。マルタを足がかりに、スエズ運河制圧まで行けばすごいことなのですが、フランスの枢軸側参戦でもなければ無理そうです(架空戦記にありましたね)。

>  どうでしょうか?参加艦数増加は英海軍も当然行いますのでHMS EagleやHMS Ark Royalなどを引っ張ってくるのではないでしょうか?「参加機数の増加により変化なし」と思ったのですが。

 イーグルやアークロイヤルの参加ですか。この時期の大西洋は、丁度ドイツ戦艦シャルンホルスト、グナイゼナウ、アドミラル・シェーアと、重巡アドミラル・ヒッパーが暴れ回っている時期ですから、とても英側にその余裕はないものと思います。
 また史実に加え、イラストリアス大破の被害があるという設定になっておりますし。

 で、フォーミダブル機のヴェネトに対する航空雷撃ですが、あれはビスマルクの舵と同じ“つうこんのいちげき!”であり、状況が変わっても(戦艦3隻増えれば、艦隊陣形も変わるので、同じく魚雷1発が命中したとしても、史実と同じ場所に命中とは限らないでしょう)適用できる戦果とは考えられません。運動性が重巡洋艦並みと言われるヴェネト級ですから、航空雷撃を回避しきるかもしれませんし、9センチ高角砲の性能も極めて優秀だったそうですから、ソードフィッシュ程度であれば、ある程度は防げるかもしれません。
 そして大半のケースでは、ソードフィッシュの航空雷撃は、ビスマルクに当たった致命的ではない航空魚雷と同じく、ヴェネトに「大した損害を与えない」のではないでしょうか。

 ヴェネト級のプリエーゼ式水雷防御は、いささか怪しげなところもありますが、それでも第1次シルテ湾海戦で、潜水艦魚雷3発を受けたさいに、20ノットで航行できたというくらいの防御力はあります(火薬庫に引火の恐れがあった、とも言わていますが)。
 そして、魚雷3発も受けているのに、わずか3〜4か月で修理完了しているのです。これは同級の水雷防御システムが、それなりに有効だったことを示すものではないでしょうか。

>  マタパン岬沖海戦でイタリアが勝利するには艦船が多少増加した程度ではひっくり返せないと思います。

 フォーミダブルの艦載機と、英戦艦のレーダー射撃は脅威ですが、勝ち目はゼロではないと思います。英軍空母は1隻しかいませんし、イタリア艦隊の水上偵察機はこの海戦で英艦隊を発見しているのですから(ヴェネト級にRe2000単座戦闘機を載せていたなら、ソードフィッシュを落とせると思うのですが、これは1942年からですからね)、敵艦隊の動向をまったく知らないわけでもありません。

 昼間砲戦となれば、イタリア艦隊が有利です。もし、イタリア水上偵察機がAG 9、GA 8といった英船団を発見し、高速なイタリア艦隊が攻撃に向かったなら、英艦隊は決戦に応じざるを得ません。イニシアティブはイタリア側が持つ可能性もあると思います。

 イタリア艦隊は無傷なら、戦艦4、重巡6、軽巡2、駆逐艦17。英艦隊は空母1、戦艦3、軽巡7、駆逐艦16です。英軍はこのうち、船団護衛に軽巡3、駆逐艦5隻を裂いていますから、空母1、戦艦3、軽巡4、駆逐艦12隻しか艦隊決戦に投入できません。

 史実では航空攻撃でイタリア戦艦1、重巡1が損傷していますが、これと同程度の戦果があったとしても、ヴェネト級が脱落していないなら、戦艦・巡洋艦・駆逐艦の全てでイタリア艦隊の数と火力、機動力が上回ります。

 性能的にもQE級の装甲では、ヴェネト級の18,000mで510ミリを撃ち抜くという砲撃は耐えられないでしょうし(ウォースパイトはイタリア戦艦に26,000mから発砲していますが、仰角15度で装填されるというヴェネト主砲の設計から見ても、むしろ好都合な距離だと思います)、ヴェネトの垂直350ミリ傾斜装甲、水平で148〜207ミリの重防御も、英15インチでは簡単には抜けないと思います。

 イタリア改装戦艦も、2対1なら、それなりにはやれるでしょう(ヴェネト級がQE級を片づける時間くらいは稼げるでしょう)。投射弾量で見れば英戦艦の7.03トン(879キロ×8門)に対し、イタリア改装戦艦2隻のそれは10.5トン(525キロ×20門)と、一応上回っているわけですし。レーダー射撃といっても、戦艦主砲級の命中弾を受けて、どこまで持続できるかは疑問なしとしません。
 艦隊速力もイタリア27ノットに対して、英側23.5ノットです。

 あとは、イタリア艦隊の闘志次第ですが、これさえ何とかなれば勝ち目はあるかと。

>  はい。ですから大筋では変わらないと思いますが「降爆+水平」のみで「雷撃」を考慮したかどうか、軍令部との折衝で「前例がない」ことを理由に説得に手間取ったかどうかぐらいだろうと考えます。

 仰る通りだと思います。タラントがどうあれ、浅深度魚雷の実験はするでしょうから、成功すれば、これも史実通りになるでしょぅね。

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