Page 202 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼早期に日本空軍の設立 相川 06/8/31(木) 19:51 ┣Re:早期に日本空軍の設立 いちょう 06/8/31(木) 20:46 ┣Re:早期に日本空軍の設立 Ranchan 06/8/31(木) 21:22 ┣Re:早期に日本空軍の設立 セミララ 06/8/31(木) 21:32 ┃ ┗Re:早期に日本空軍の設立 相川 06/8/31(木) 22:07 ┃ ┣Re:早期に日本空軍の設立 セミララ 06/9/1(金) 6:04 ┃ ┃ ┗それもどうかな。 BUN 06/9/1(金) 6:19 ┃ ┗橘花と火龍 BUN 06/9/1(金) 6:17 ┣一口に空軍といっても いちょう 06/8/31(木) 22:29 ┃ ┗Re:一口に空軍といっても 相川 06/8/31(木) 22:49 ┃ ┣Re:一口に空軍といっても Ranchan 06/8/31(木) 23:53 ┃ ┣海軍航空式独立空軍の使用機材は海軍式 片 06/9/1(金) 4:25 ┃ ┣Re:一口に空軍といっても セミララ 06/9/1(金) 6:24 ┃ ┃ ┗Re:一口に空軍といっても 相川 06/9/1(金) 8:14 ┃ ┃ ┗Re:一口に空軍といっても まなかじ 06/9/1(金) 10:19 ┃ ┃ ┗Re:一口に空軍といっても ささき 06/9/1(金) 11:45 ┃ ┃ ┗さて、如何したものでしょう? 青江 06/9/4(月) 22:14 ┃ ┃ ┣Re:さて、如何したものでしょう? ささき 06/9/5(火) 3:05 ┃ ┃ ┃ ┗Re:さて、如何したものでしょう? 青江 06/9/5(火) 20:46 ┃ ┃ ┃ ┣Re:さて、如何したものでしょう? ささき 06/9/6(水) 1:48 ┃ ┃ ┃ ┣なぜ雷電? 片 06/9/6(水) 3:38 ┃ ┃ ┃ ┣Re:さて、如何したものでしょう? P-kun 06/9/6(水) 12:46 ┃ ┃ ┃ ┗設計能力の実態 片 06/9/7(木) 11:02 ┃ ┃ ┗発動機の実態 片 06/9/5(火) 4:16 ┃ ┗Re:一口に空軍といっても いちょう 06/9/1(金) 20:01 ┣日本空軍は合理的? BUN 06/9/1(金) 6:10 ┣物資と人は? とし 06/9/1(金) 20:11 ┃ ┗陸海軍公平 片 06/9/3(日) 18:04 ┃ ┗陸海軍航空隊 相川 06/9/3(日) 21:37 ┃ ┣Re:陸海軍航空隊 BUN 06/9/3(日) 21:54 ┃ ┗全金属製大型機技術の系譜 片 06/9/4(月) 6:15 ┃ ┗「空軍」を支えられる機材の未発達 片 06/9/4(月) 9:13 ┗なし 相川 06/9/3(日) 8:57 ┣Re:なし BUN 06/9/3(日) 9:04 ┗あれれ? 片 06/9/3(日) 13:04 ┗Re:あれれ? 相川 06/9/3(日) 17:25 ┣Re:あれれ? いちょう 06/9/3(日) 17:47 ┗Re:あれれ? BUN 06/9/3(日) 21:38 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 早期に日本空軍の設立 ■名前 : 相川 ■日付 : 06/8/31(木) 19:51 -------------------------------------------------------------------------
よく仮想戦記とかで、こうしたら勝てたとかいうのを良く見受けられますが、どんなに逆立ちしたって大東亜戦争は勝つ見込みが非常に少ない戦闘だったと言わざるを得ません。私が考える資源の少ない日本で一番善戦できたんじゃないかという仮説は早期に日本空軍の設立です。もし、第一次世界大戦の教訓を受けて大正時代や昭和初期に、それまでの精神論重視の軍編成から、科学者を中心にした合理的な日本空軍が誕生したとしたら、史実はどのように好転したでしょうか。つまり何らかの政治的な力を借りて陸軍や海軍と肩を並べるほどの組織があったとして、航空産業の行方とそれに伴う第二次世界大戦の展開を予想してください。列強にとっては所詮、二戦級のイメージでしか捉えられてないでしょうから、その面では史実と同じ。日本にとっては以下のようなメリットが予測されます。 1. 鉄道整備にかかる予算が空港整備にまわり国際化が史実よりすすむ 2. 陸海軍による無意味な競争がなくなる [三菱は艦戦に集中、(零戦から烈風の早期出現)中島は迎撃機に集中、(キ44からキ87)その結果、隼、雷電の出現がなくなり、それにかかるリソースが節約できる] 3. 各飛行場を陸海軍ともに統一、整備部品、作戦要領がひとつに絞れる その他、識者の皆様の鋭い見解を御教授ください |
日本のような海洋国家にとって、海軍航空は必要不可欠です。 海上打撃力としての空母機動部隊に搭載の飛行機隊は海軍の所属以外には考えられないし、史実の海軍基地航空部隊の役割のいくらかを空軍に肩代わりしてもらうとしても、艦隊、輸送船団の対潜・対空護衛は指揮系統が違うと不都合が大きいと思われます。 つまり、「空軍」と「海軍航空隊」の2本立てで進む限りは、予算の取り合いとか自軍の軍備拡張に熱心になるのは当然なので、結局は「陸軍航空隊」が「空軍」と名を変えるだけの、史実とそう大きくは変わらない結果になるのではないでしょうか。 |
「独立空軍」ということは、海軍の立場から見ると 「艦載機開発・整備が空軍次第となり大して尽力してもらえない」 「海軍の要求する仕様の航空機を空軍に開発してもらえない」 「艦載機は空母・搭載艦から独立し、空軍の指揮下によってのみ運用される」 (→史実の「強力な空母部隊」は出現しない) 「艦隊護衛・偵察・航空攻撃は空軍の許可を得ないと海軍が必要でも得られない」 事態もありえることになります。 「必要だから陸軍・海軍ともに自前の航空部隊を設立・運用した」のであり、確かに陸軍・海軍間で不必要に摩擦を起こしていますが、だからといって「第3勢力たる空軍を設立すべし、そうしなかった史実は考えが遅れている」とは言えないと考えます。 |
> その他、識者の皆様の鋭い見解を御教授ください これを回答する前に、以下の項目を明らかにして頂きたいのですが...。 > それまでの精神論重視の軍編成 具体的に、どのようなところが、精神論重視の軍編成なのでしょうか? > 科学者を中心にした合理的な日本空軍が誕生 科学者を中心にすると、何故、合理的な空軍が誕生するのですか? > 1. 鉄道整備にかかる予算が空港整備にまわり国際化が史実よりすすむ 空港整備が進むと、何故、国際化が忠実より進むのですか? > 2. 陸海軍による無意味な競争がなくなる これは、具体的にどのようなものですか? > [三菱は艦戦に集中、(零戦から烈風の早期出現)中島は迎撃機に集中、(キ44からキ87)その結果、隼、雷電の出現がなくなり、それにかかるリソースが節約できる] 雷電が三菱に要求されなかったとしても、烈風が現実より早期に出現するわけではありません。 同様に、キ43が要求されなくても、キ84やキ87が早期に出現するわけではありません。 この状況の上で、必要なリソースが減った結果、どのような効果が期待できるとお考えですか? ちなみに、キ44やキ87は、迎撃機ではありません。 |
> > 2. 陸海軍による無意味な競争がなくなる > > これは、具体的にどのようなものですか? 橘花と火龍のような同じような機体を別々に作ってバカバカしいとは思いませんか? |
> > > 2. 陸海軍による無意味な競争がなくなる > > > > これは、具体的にどのようなものですか? > > 橘花と火龍のような同じような機体を別々に作ってバカバカしいとは思いませんか? 橘花とキ201って、同じような機体ですか? 使用目的や機体要目等を比べてみて下さい。 あと、これは、陸海軍による無意味な競争ではありませんよね。 |
> 橘花とキ201って、同じような機体ですか? > 使用目的や機体要目等を比べてみて下さい。 橘花=攻撃機、戦闘機 火龍=戦闘爆撃機 同じような任務の機体ですね。 |
> 橘花と火龍のような同じような機体を別々に作ってバカバカしいとは思いませんか? そう思うんですけれど、実はそうではないというお話が9月末に書店に並びます。 橘花と火龍、同じ中島飛行機でこれら一見似たような形の飛行機がそれぞれ陸海軍協同で試作されている理由に興味はありませんか? |
ドイツのように航空部隊を一元的に空軍に属しめた国もあれば、イギリスのように空母を保有していた国では、空軍とは別に海軍の航空部隊も保有していました。 もっと極端な例が、空軍創設後のアメリカでは空軍、海軍、海兵隊で航空部隊をそれぞれ保有しております。 一口に空軍といっても、その国の成り立ちや軍備に関する考え方などによって、いろいろな形態があります。 提案者の方は、日本にとってどういう空軍がよかったとおっしゃるのでしょうか。 陸軍部隊の直協支援も行い、かつ、敵機動部隊に急降下爆撃、雷撃を行い、一大海洋決戦を遂行しうるような一元的な空軍が望ましかったとおっしゃるのでしょうか。 |
> 提案者の方は、日本にとってどういう空軍がよかったとおっしゃるのでしょうか。 > 陸軍部隊の直協支援も行い、かつ、敵機動部隊に急降下爆撃、雷撃を行い、一大海洋決戦を遂行しうるような一元的な空軍が望ましかったとおっしゃるのでしょうか。 日本空軍誕生し、石原莞爾や山本五十六氏の考え方が支持される → 一般の国民の間で絶大な人気を得て、航空トレンド現象が起きる → 航空志願兵が増える → 陸軍の歩兵中心の銃剣突撃思想、並びに海軍の大砲巨艦主義が時代遅れではないかという声が上がる → 史実よりましな戦闘が期待できる まあ、こんなところです。海軍が無茶な要求をメーカーにして余計に航空開発に遅延をもたらした考えるのは違うでしょうか。空軍が戦略爆撃を行えば良い。陸軍なんて歩いて入れば良いんだ。こういった考えが少しでもあればB29クラスの大型爆撃に国をあげて開発着手して連山誕生がもう少し早まったんじゃないでしょうか |
> 日本空軍誕生し、石原莞爾や山本五十六氏の考え方が支持される → 一般の国民の間で絶大な人気を得て、航空トレンド現象が起きる → 航空志願兵が増える → 陸軍の歩兵中心の銃剣突撃思想、並びに海軍の大砲巨艦主義が時代遅れではないかという声が上がる → 史実よりましな戦闘が期待できる > > まあ、こんなところです。 それでは「風吹けば桶屋が儲かる」の類の話と大差ないですよ。 |
現実に、おっしゃるような観点にほぼ近い理由を述べて空軍と空軍省設立の提案は行われています。この提案は陸海軍航空の有志将校によってなされましたが、海軍の大部はこれに批判的でした。 なぜか。 一連の軍縮条約以降、海軍は航空主兵にすでに転換しつつあったからです。予想される米海軍との戦いで、航空兵力は絶対的に必要なものになっていました。大艦巨砲主義なんて、すでに八八艦隊を亡き者にした軍縮条約で否定されていたのでした。 もし、仮に、こうした趨勢を背景にした上で、空軍設立が果たし得たとしたら、それは海軍航空隊に陸軍航空隊を吸収した形のものになったでしょう。搭乗員には洋上航法の訓練が徹底され、使用機材は洋上決戦に適した機体である、というように。 先にあげた史実の空軍設立提案でも同じようなことが述べられています。海軍作戦で使用できる機材/人員ならば、陸軍作戦にも十分兼用できるだろう、と。(その逆は無理です) したがって、設立可能な独立空軍の使用機材は、史実の海軍航空の使用機材の特徴を有することになったことでしょう。その主な特徴とは、長大な航続力です。 Ans.Qで一式陸攻の大きさが指摘されていましたが、海軍の双発陸攻は翼幅25m、陸軍重爆は20m程度が標準でした。この差は、主として要求される航続力によります。 >海軍が無茶な要求をメーカーにして余計に航空開発に遅延をもたらした考える とおっしゃいますが、海軍機の機体設計者にとって何が負担だったかといえば、搭載量の多さでした。長大な航続力を実現するための燃料容積です。 しかし、独立空軍の使用機材にもこれらの特徴は受け継がれなくてはなりません。 >B29クラスの大型爆撃に国をあげて開発着手して連山誕生がもう少し早まったんじゃないでしょうか これも、洋上決戦用の四発大攻ということになります。それを陸軍航空的な純正空軍的用法にも兼用しようという形に。 これは史実とまったく変わりません。海軍は最初の四発大攻として深山を試作し、これを陸軍でもキ85超重爆として採用しようとしていました。陸軍は、超重爆の開発を海軍に依存していたのです。そして、海軍はその開発をアメリカで始めて登場した四発旅客機の機体設計に依存していました。昭和10年代の前半において四発攻・爆撃機の試作能力は、国を挙げてもそのような水準でした。こうしたステップを踏んだ上での連山ですから、その出現は大して早まることはなかったでしょう。 史実では、最終的に陸軍航空も雷撃機を装備する必要性に迫られ、海軍の天山の使用を考え、四式重爆を雷撃機に改造し、搭乗員の航法教育を海軍に委託しています。 もっと以前に空軍が設立されていたとしたら、四式重爆は誕生していません。 一式陸攻とその後継機泰山を使うことを考えるしかなかったでしょうが、泰山は、用兵上の搭載量要求が当時の日本の工業技術だけでは実現できず、ドイツの工作機械に頼ろうとして独ソ戦のためにこれが駄目になったという機体です。 例え独立空軍が誕生していたとしても、日本の航空機技術が根本のところで米・独など海外に依存していたという現実にはなんら代わりがなく、しかし、開発される機体のすべてに、海軍的な要求が課せられることになっていたはずなのです。 |
> 海軍が無茶な要求をメーカーにして余計に航空開発に遅延をもたらした考えるのは違うでしょうか。 無茶な要求とは、具体的にどのような点ですか? 独立空軍が誕生していたとしたら、どのような要求が緩和されるとお考えですか? |
> > 海軍が無茶な要求をメーカーにして余計に航空開発に遅延をもたらした考えるのは違うでしょうか。 > > 無茶な要求とは、具体的にどのような点ですか? 一式陸攻、泰山を無理に双発にした、零戦に防御装置をつけるのが遅れた、雷電に格闘性を要求、烈風のMK9A換装をなかなか認めなかった、銀河に戦訓による新しい要求が次々に求められた、結果論として、これらは負に作用したんじゃないでしょうか 陸軍においてもK27を採用するより、K33を採用していた方が良かった気もするのですが |
> 一式陸攻、泰山を無理に双発にした 四発大攻は深山や連山になるものです。 一式陸攻はあくまで新型「中攻」として開発されています。四発にしたら「大攻」になってしまい、それはコンセプトそのものの放棄です。 つまり、中攻の整備を止めて大攻一本に絞り、中島と三菱の競作にせよという主張なのでしょうか? > 零戦に防御装置をつけるのが遅れた 栄の初期型はたかだか950馬力の発動機でしかないのですから、防御を充実すれば飛行性能でF4Fにも劣るものになり、しかも航続性能も達成できないでしょう。 つまり、防御を充実した零戦である限り、史実で行なった重要な作戦のいくつかは実施できない可能性があり、また制空権獲得に関してより不利になる可能性さえあります。 零戦の性能を決定したのは海軍の方針ですが、その方針を制約し、またそれを実際に困難なものとしているのは発動機の馬力です。 要求とはそれが必要だからそうしているのであって、その絶対的な必要性に対して、それを保障するべきエンジンの性能が足りていないのです。エンジンの性能に見合うところでバランスをとった場合、諸外国の戦闘機に優越できる部分は何もない平凡極まる戦闘機になってしまう。 よい例をF2Aバッファローに見ることができます。装備の軽いフィンランド向けのB239はそれなりに活躍できたけれど、防弾を充実させたB339は日本の戦闘機に全く歯が立ちませんでした。 発動機馬力は同じくらいですから、防弾を英国並みに充実させた零戦や隼とは、つまりバッファローのような戦闘機になってしまうことが予想されます。 大戦後半の零戦の苦戦についても同様で、1500馬力程度の戦闘機用空冷発動機がなかったから性能向上もできなければ装備の充実も進まないのです。 > 雷電に格闘性を要求 雷電の開発遅延は空戦性能とはあまり関係がありません。雷電に発生した問題の多くは速度性能を達成するために起こっており、またそれはやはり発動機の馬力の制約からする艤装の困難にあります。 つまり、火星の馬力と信頼性が雷電が順調に行くかどうかのカギとなります。 例えば、仮に14試局戦の計画時点で火星が1800馬力を十分狙える状態であったとすれば、雷電は全く異なるかたちになっていたことでしょう。 > 烈風のMK9A換装をなかなか認めなかった まだ海のものとも山のものとも知れない試作発動機を前提に戦闘機を開発することは極めてリスクが大きいことです。 その意味で海軍の方針は全く常識的なものですし、また結果論として見てもMK9の量産は全く見込みが立っていなかったことからして、烈風はどのみち何をどうやっても間に合わないのですから、遅延もへったくれもありません。 > 銀河に戦訓による新しい要求が次々に求められた 銀河の量産立ち上げに関する問題はとっくに処理能力を超えており、それが遅れの原因であるとする意見には容易に首肯しかねます。 > 陸軍においてもK27を採用するより、K33を採用していた方が良かった気もするのですが すると、中島は何を作るのでしょうか? キ27で積み上げた実績なしにはキ43やキ44は生まれず、するとキ84もできてこないかもしれません。 また、キ28が陸軍の主力戦闘機になっていたとしたら、川崎はキ60やキ61の機体設計でぶざまなことにならずに済んでいたかもしれないのではないかとも思います。 実用機を量産するという経験は、会社の技術的蓄積として非常に大きいものなのです。 |
> > 一式陸攻、泰山を無理に双発にした > 四発大攻は深山や連山になるものです。 > 一式陸攻はあくまで新型「中攻」として開発されています。四発にしたら「大攻」になってしまい、それはコンセプトそのものの放棄です。 > つまり、中攻の整備を止めて大攻一本に絞り、中島と三菱の競作にせよという主張なのでしょうか? あるいは、中攻はあくまで「双発機として常識的な性能仕様」に抑えるべきだったと。防弾を充実させた陸攻はしかし、魚雷を抱くとラバウルーガダルカナルを往復できないかもしれません。「そんな長距離任務は四発爆撃機に任せるべきだ」という意見は正論でしょうが、四発重爆を何千機も生産できる工業力・経済力があったら、日本はそもそも戦争なんか始めずに済んだかもしれません。 ちょっと前のスレッドに貼ったデータを再掲。 ランカスター 7378 ハリファックス 6176 B-17 12731 B-24 19256 ウェリントン 11461 B-25 9816 He111 7300 Ju88 10774 97 式重爆 2064 100 式重爆 819 4 式重爆 727 96 式陸攻 1048 1 式陸攻 2446 銀河 1098 計8202 一式陸攻の生産 2446 機は日本の重爆クラスとしては最多数にあたりますが、列強諸国の生産力はご覧の通りです。日本爆撃機の全機生産数を合計しても米・英・独の主力爆撃機1機種の生産数にも及びません。これに四発重爆を加えれば、四発機1機あたり少なくとも2機の双発機生産数が喰われることになります。BUN氏が看破されたように、航空機生産のボトルネックはエンジンなのですから。 空軍戦力統合で機種・生産設備を合理化したところで、どうにかなるレベルの話ではないと思います。ちなみに、れっきとした「統合独立空軍」を持っていたかつての航空先進国、盟友イタリアの主力爆撃機生産数は以下の如しです。 SM.79 1370 SM.84 309 Z.1007 564 計 2243 > > 雷電に格闘性を要求 > 雷電の開発遅延は空戦性能とはあまり関係がありません。雷電に発生した問題の多くは速度性能を達成するために起こっており、またそれはやはり発動機の馬力の制約からする艤装の困難にあります。 雷電の要求仕様は速度・上昇力>火力>運動性と明確に優先順位を付けられていました。そして着陸視界も運動性能も犠牲にしたにも関わらず、速度性能は最後まで要求に達していません。雷電が結果的に「大して速くないわりに運動性劣悪、視界が悪くて離着陸が難しく、エンジン信頼性の低い戦闘機」になってしまったのは火星23型が期待外れのエンジンになってしまったからで、要求仕様とは殆ど無関係ではないでしょうか。 |
大型機に関しては、川西の2式大艇が完全に実用化してるわけですし、 開発の掛け違えが大きいのではないでしょうか? > 一式陸攻の生産 2446 機は日本の重爆クラスとしては最多数にあたりますが、列強諸国の生産力はご覧の通りです。日本爆撃機の全機生産数を合計しても米・英・独の主力爆撃機1機種の生産数にも及びません。これに四発重爆を加えれば、四発機1機あたり少なくとも2機の双発機生産数が喰われることになります。BUN氏が看破されたように、航空機生産のボトルネックはエンジンなのですから。 是も尤もな訳ですが、本当に信頼できる大馬力エンジンを量産できなかったことが、問題でしょう。 大馬力で信頼できるのは、三菱だけですね。 整備性ということの問題も含めて。 三菱のエンジン生産力が。、完全にネックになる訳ですね。 銀河他、全て中嶋の懲りすぎエンジンの失敗でしょう > > > 雷電に格闘性を要求 > > 雷電の開発遅延は空戦性能とはあまり関係がありません。雷電に発生した問題の多くは速度性能を達成するために起こっており、またそれはやはり発動機の馬力の制約からする艤装の困難にあります。 > > 雷電の要求仕様は速度・上昇力>火力>運動性と明確に優先順位を付けられていました。そして着陸視界も運動性能も犠牲にしたにも関わらず、速度性能は最後まで要求に達していません。雷電が結果的に「大して速くないわりに運動性劣悪、視界が悪くて離着陸が難しく、エンジン信頼性の低い戦闘機」になってしまったのは火星23型が期待外れのエンジンになってしまったからで、要求仕様とは殆ど無関係ではないでしょうか。 其れよりも、エンジンを変えることが出来なかったのが問題でしょう。 悪戯に、わずかな、太さや大型化を恐れすぎて、 大きなエンジンを使わない姿勢そのものが、 開き直れない、肝の小ささが問題です。 それに、雷電の視界が悪いと言うのは定説ですが、 アメリカのテスト結果では、視界は良いとでてたそうです。 着速の早さも、アメリカ機と比べれば問題なかったのでは? 何かで読んだところでは、アメリカなら艦上機にも使われたのではないか? というのも有りましたね。 |
> 大型機に関しては、川西の2式大艇が完全に実用化してるわけですし、 > 開発の掛け違えが大きいのではないでしょうか? > > > 一式陸攻の生産 2446 機は日本の重爆クラスとしては最多数にあたりますが、列強諸国の生産力はご覧の通りです。日本爆撃機の全機生産数を合計しても米・英・独の主力爆撃機1機種の生産数にも及びません。これに四発重爆を加えれば、四発機1機あたり少なくとも2機の双発機生産数が喰われることになります。BUN氏が看破されたように、航空機生産のボトルネックはエンジンなのですから。 > > 是も尤もな訳ですが、本当に信頼できる大馬力エンジンを量産できなかったことが、問題でしょう。 これに関しては全くもって同意いたします。 > 大馬力で信頼できるのは、三菱だけですね。 そうとも言えないのではないでしょうか?火星21型はG4M2陸攻22型で トラブルを頻発していますし、陸軍のハ112II(金星62)も司偵3型で トラブル起こし、メーカーの技術者が前線に呼び出されての対策を強いられて います。 > > 整備性ということの問題も含めて。 > 三菱のエンジン生産力が。、完全にネックになる訳ですね。 > 銀河他、全て中嶋の懲りすぎエンジンの失敗でしょう また「誉=ダメエンジン論」「ハ42、ハ43を早期に大量整備すべきだった」 論を繰り返されるおつもりですか?それは別スレッドにしてください。 > > > 雷電の要求仕様は速度・上昇力>火力>運動性と明確に優先順位を付けられていました。そして着陸視界も運動性能も犠牲にしたにも関わらず、速度性能は最後まで要求に達していません。雷電が結果的に「大して速くないわりに運動性劣悪、視界が悪くて離着陸が難しく、エンジン信頼性の低い戦闘機」になってしまったのは火星23型が期待外れのエンジンになってしまったからで、要求仕様とは殆ど無関係ではないでしょうか。 > > 其れよりも、エンジンを変えることが出来なかったのが問題でしょう。 何に換えろってんですか、ハ42ですか?「14試」の機体に間に合いますか? > 悪戯に、わずかな、太さや大型化を恐れすぎて、 > 大きなエンジンを使わない姿勢そのものが、 > 開き直れない、肝の小ささが問題です。 馬鹿なことを言わないでください。載せるだけならエアレーサーみたいな飛行機 なんて幾らでも作れます。荷重限界が 3G になって航続時間が3割引きになって着速が 100kts を超えても良いんですか。 > それに、雷電の視界が悪いと言うのは定説ですが、 > アメリカのテスト結果では、視界は良いとでてたそうです。 > 着速の早さも、アメリカ機と比べれば問題なかったのでは? アメリカの滑走路と日本の滑走路は同じ条件でしょうか? > 何かで読んだところでは、アメリカなら艦上機にも使われたのではないか? > というのも有りましたね。 えぇ、英海軍もシーファイヤを艦上機として使っていますよ。作戦初日に着艦事故で稼動機の半数を失うような目にも遭っていますが。 |
> > 大馬力で信頼できるのは、三菱だけですね。 > > そうとも言えないのではないでしょうか?火星21型はG4M2陸攻22型で > トラブルを頻発していますし、陸軍のハ112II(金星62)も司偵3型で > トラブル起こし、メーカーの技術者が前線に呼び出されての対策を強いられて > います。 > > > > > 整備性ということの問題も含めて。 > > 三菱のエンジン生産力が。、完全にネックになる訳ですね。 > > 銀河他、全て中嶋の懲りすぎエンジンの失敗でしょう > > また「誉=ダメエンジン論」「ハ42、ハ43を早期に大量整備すべきだった」 > 論を繰り返されるおつもりですか?それは別スレッドにしてください。 其の積りはありません。 ハ43など信用してませんので。 誉は、整備さえよければ動くようですからまあまあと、いうところ 其の整備が出来ないところが多いことが問題 一応及第とされる整備人員で十分整備できないというところ。 金星にしてもハ42にしても、火星にしても、 何とか及第人員で整備運用可能にまで解決してることを評価してるだけです > > > > > 雷電の要求仕様は速度・上昇力>火力>運動性と明確に優先順位を付けられていました。そして着陸視界も運動性能も犠牲にしたにも関わらず、速度性能は最後まで要求に達していません。雷電が結果的に「大して速くないわりに運動性劣悪、視界が悪くて離着陸が難しく、エンジン信頼性の低い戦闘機」になってしまったのは火星23型が期待外れのエンジンになってしまったからで、要求仕様とは殆ど無関係ではないでしょうか。 > > > > 其れよりも、エンジンを変えることが出来なかったのが問題でしょう。 > > 何に換えろってんですか、ハ42ですか?「14試」の機体に間に合いますか? 其れは、わかりません。 少なくとも、5式戦のように、烈風のようにうまくいくかは兎も角、 遣ってみても良かったでしょう。 > > 悪戯に、わずかな、太さや大型化を恐れすぎて、 > > 大きなエンジンを使わない姿勢そのものが、 > > 開き直れない、肝の小ささが問題です。 > > 馬鹿なことを言わないでください。載せるだけならエアレーサーみたいな飛行機 > なんて幾らでも作れます。荷重限界が 3G になって航続時間が3割引きになって着速が 100kts を超えても良いんですか。 別に着速は無視でよいでしょう。 航続距離もです。過重限界は兎も角ね。 それに、似たような振動など飛竜での問題は解決されてますから、 解決された時点で、何故そっちにしなかったかですね 誉れは兎も角、少なくともコルセヤなんかは、既に知っているのだから、 其の時点で既に有る、ハ42で烈風が設計されても良いのに、 検討の話すら、大きすぎるでチョンだったのでは? > > それに、雷電の視界が悪いと言うのは定説ですが、 > > アメリカのテスト結果では、視界は良いとでてたそうです。 > > 着速の早さも、アメリカ機と比べれば問題なかったのでは? > > アメリカの滑走路と日本の滑走路は同じ条件でしょうか? > > > 何かで読んだところでは、アメリカなら艦上機にも使われたのではないか? > > というのも有りましたね。 > > えぇ、英海軍もシーファイヤを艦上機として使っていますよ。作戦初日に着艦事故で稼動機の半数を失うような目にも遭っていますが。 ですが、少なくとも使いこなしているでしょう。 コルセヤと同じようにね。 |
> 其の整備が出来ないところが多いことが問題 > 一応及第とされる整備人員で十分整備できないというところ。 > > 金星にしてもハ42にしても、火星にしても、 > 何とか及第人員で整備運用可能にまで解決してることを評価してるだけです 金星やハ42が整備できて誉が整備できない、というところは納得しかねますが…肯定も否定もできる材料を持ちませんので、印象論になってしまいますね。 > 其れは、わかりません。 > 少なくとも、5式戦のように、烈風のようにうまくいくかは兎も角、 > 遣ってみても良かったでしょう。 > 別に着速は無視でよいでしょう。 > 航続距離もです。過重限界は兎も角ね。 つまり「まだ設計も完了していないエンジン搭載を前提に、着速が法外に高くて航続距離が実用ギリギリに短い仕様になっても、高速大馬力の戦闘機を整備すべきだった」と。 これも納得はしかねますが、一つの意見ではあると思います。一般論としてあまりにハイリスクな開発方針だと思いますが、それが成功しなかったと断じる理由は(成功したと断じる理由と同様に)ありませんから。 > それに、似たような振動など飛竜での問題は解決されてますから、 > 解決された時点で、何故そっちにしなかったかですね 個人的には、その「何故」が一番面白いところだと思います。 紫電は強風から陸戦に改造される際、何故誉に換装したのか?火星のままじゃ駄目だったのか? 零戦の金星搭載計画は、何故手遅れになるまで実施されなかったのか? 振動と過熱に苦しんだ雷電は、何故最後まで延長軸と強制冷却ファンを止めなかったのか?海外の類似機(Fw190V1, カーチス XP42 など)はさっさと諦めているのに。 その理由が全て合理的判断の結果だった訳でもないでしょう。技術予測の読み違えもあれば政治的圧力やら意固地もあり、批判の余地は幾らでもあると思います。でも、それを後知恵で指摘して「だからダメだったんだ」と片付けては面白くないと思いませんか? > > えぇ、英海軍もシーファイヤを艦上機として使っていますよ。作戦初日に着艦事故で稼動機の半数を失うような目にも遭っていますが。 > > ですが、少なくとも使いこなしているでしょう。 > コルセヤと同じようにね。 戦闘開始前に事故で全滅するかも知れないような戦闘機を実戦投入したことは、確かに大したこと(肯定、否定両方の意味を含めて)だと思います。まぁ、もしイギリスが戦争に負けていたら「こんな飛行機を使っていたから英海軍はダメなんだ」と批判される材料の一つにもなったでしょうけど。 しかしシーファイヤもコルセアも、英海軍航空隊が艦載機として仕様制定し開発させた飛行機じゃありませんね。彼等が仕様制定した艦載戦闘機はフルマーであり、ファイヤフライであり、あるいはロックでありファイヤブランドだったことも注意するべきでしょう。 |
なぜ、紫電改があるときに、雷電にこだわる必要があるのでしょうか? なぜ、小直径の2000馬力発動機が目の前にあるというときに、大直径の2000馬力(しかも、戦闘機への搭載型はこれから開発しなければならない)に道を求める必要があるのでしょうか? 色々と芳しくない雷電なんて出来るだけ早期に捨ててしまって、できるだけ早期に紫電改の数を揃えるのが最も合理的な道なのでは? 着速なんて大きくせずとも、同じくらいの性能が得られるんですよ。 |
> > えぇ、英海軍もシーファイヤを艦上機として使っていますよ。作戦初日に着艦事故で稼動機の半数を失うような目にも遭っていますが。 > > ですが、少なくとも使いこなしているでしょう。 > コルセヤと同じようにね。 ええ、雷電がコルセアのように速かったら日本海軍だって使いこなしたでしょうよ。 ですがね、雷電の速度は「遅い」んです。 誰がこんなのもの、紫電がものになりそうだとわかってきた昭和19年になっても使いたがるんでしょうか? |
> > > 其れよりも、エンジンを変えることが出来なかったのが問題でしょう。 > 少なくとも、5式戦のように、烈風のようにうまくいくかは兎も角、 > 遣ってみても良かったでしょう。 日本の航空工業の元々の基盤のサイズについては、別項で述べさせていただきました。 支那事変以前の段階で、最大級の大手のひとつである三菱での発動機が年産200基程度。 そうした規模の生産数に対して用意されていた機体設計技術者の数にも限りがあります。 そこで、支那事変開始後の昭和13年、海軍は、各メーカーの生産数を向上させることと同時に、「試製能力標準」を定め、設計能力についても拡大を各社に要求しています。 三菱の場合、同時に3機種を設計・試作できることが要求されています。その内訳は、大型機1機種、中型機1機種、小型機1機種。 これは対米戦開始直後の17年に改訂され、中型機1機種、小型機1機種(双発小型艦攻級1機種、単戦級1機種)となります。しかし同時3機種であることには変わりありません。 この数が三菱が設計できる機体数の限界なのです。 しかし、実際には、17年の段階で三菱の機体設計部が持っていた仕事は、一式陸攻改造、十六試陸攻、零戦改造、十四試局戦、十七試艦戦、十七試局戦という数にのぼります。すでにこの段階で定められたばかりの改訂試製能力標準を逸脱する仕事が投げ込まれていたのです。そして、この状態は19年6月までこのまま続きます。そんな中で「大直径の発動機への換装をほんの試しにやってみる」などといった余裕はありません。それどころではないのです。 そもそも、この余裕のなさを陸海軍航空を統一させることで緩和できないだろうか、というのがこのスレッドの出題者の意図だったはずです。 その観点に立っていうなら・・・・・・それは少しはあり得たかも知れません。陸軍航空技研傘下で満飛設計部が雷電をハ43換装するために備えていた、という実例もあるにはありますので。 ともあれ、ここで問題にされているのは、ちょっとした仮定もすべて夢物語にしか見えなくなってしまうほどに、当時の日本の航空工業力が小さすぎる器でしかなかったことなのです。 |
> 大型機に関しては、川西の2式大艇が完全に実用化してるわけですし、 > 開発の掛け違えが大きいのではないでしょうか? ここで問題にされているのは、 「生産力の都合上、四発機の生産に全面的に集中できないので、一定割合で双発機と四発機の併用を考えなければならなかった。そこでは双発機が多数配備となり、四発機の配備数は低い割合で設定するしかなかった」 ということなのです。 発動機と機体の生産力と、生産に費やせる資材の絶対量の器を大きく設定できなかった当時の日本の"事情"という大きな観点から見た問題なのです。 > 是も尤もな訳ですが、本当に信頼できる大馬力エンジンを量産できなかったことが、問題でしょう。 開発能力、多量生産能力という二つの異なる問題をごっちゃにせず、分けて考えなければなりません。 > 中嶋の懲りすぎエンジン とおっしゃるのは誉のことだろうと思いますが、海軍では十六試艦攻、十七試艦戦、十七試艦偵に誉を充てたのと同時に、十七試陸戦、十七試局戦は三菱A20発動機装備を割り当てて計画しています。このA20(のちのハ43)は適当な時期に試作が完成せず、十七試陸戦、十七試局戦は中止されてしまいます。誉の悪評が広まっているのはまだしも誉が実用化されていたからですが、三菱A20はそこまで行き着くことも出来なかったのです。十六試陸攻(のちの試製泰山)用に一時期想定された三菱A18(2400馬力、のちのハ42)は、機体の基礎計画以降に発動機の重量が著しく増加することが伝えられ、「計画は暗礁に乗り上げたり」(三菱の社内資料の言葉)と嘆かれています。 三菱は本当に必要な大馬力発動機を完成できていません。 年度ごとの三菱の発動機生産実績は次のようなものです(陸海軍向け全発動機合計)。 昭和 7年 172基 8年 206 9年 288 10年 145 11年 236 12年 530 13年 1312 14年 2254 15年 3281 16年 4595 17年 6701 18年 9710 19年 17524 20年 2769 昭和12年に支那事変が勃発して軍主導による生産能力拡充が行われるまでは、いかに小さな器しかなかったかがわかるかと思います。昭和11年以前の年産200基程度という数字が日本の航空生産力の基数なのです。そこから無理に無理を継いでようやく達成されたのが18年、19年の生産量なのです。 ここでは三菱の数字を例に取りましたが、中島でも大同小異であり、中島・三菱2社を除けばこれほどの生産力を持つ発動機メーカーは日本には存在していませんでした。 このような数字を前にして、例えば、昭和12年時点で四発機の調達をどのように行おうと計画すればよかったのかと考える。そういうお話なのです。 |
> 海軍が無茶な要求をメーカーにして余計に航空開発に遅延をもたらした考えるのは違うでしょうか。 どうも相川さんは、空軍が陸海軍とは違って理性と正義に満ち溢れた組織だとご自分自身に言い聞かせるよう努めておられるようですが、空軍も所詮は軍隊です。軍隊、いや、「官」というものはいつの世にも「民」に無理難題をふっかけるものなのです。陸海軍が無茶な要求をしなくなれば、代わりに空軍が無茶な要求をするのです。 A社がいやだと言えば、B社が受注します。B社ができないと言えば、C社に仕事が回ります。しかし、それでは上得意の信用を失うので、各社は必死に応えようと努力します。それはなにも「官」がいつも悪、「民」がいつも善という図式では説明できません。軍は国の安全保障を一身に背負う大変重い責任があるのですから、時には心を鬼にして無茶とわかりつつも、血税で少しでもよいものを納入させるために、無理を言うものなのです。 メーカーの方も、無茶な要求に応えられる技術力を培って巨大な軍需産業へと成長していくのですから、短期的には健康を害する技術者も出てくるでしょうが、大きな目で見れば保ちつ保たれつの軍産複合体なのですよ。 お幾つぐらいの方かわかりませんけど、もう少し、世の中、大人の目でご覧になってはいかがでしょうか。 |
>第一次世界大戦の教訓を受けて大正時代や昭和初期に、それまでの精神論重視の軍編成から、科学者を中心にした合理的な日本空軍が誕生したとしたら、史実はどのように好転したでしょうか。 航空軍備とはそもそも世界大戦の戦訓ですし、それは理論に基づいて導入されたものです。陸軍はフランスの航空運用を理論的に学んでフランス流の合理的な空軍を目指し、海軍はイギリスに学び海軍航空隊のあるべき姿を求めています。合理的な精神無しに新規の軍備を導入することは不可能でしょう。まして現実の航空機製造技術が理想に追いつかない初期の航空軍備は理論の塊のようなものです。 このような理論を誰が考えていたかと言えば、それは科学者ではありません。 そのような形で航空軍備に主体的に関わる科学者像というものは簡単には想像しにくいものですし、昔の軍人=精神論 科学者=合理的思考 と短絡するのも気が早いかもしれません。軍人も科学者も、どちらも合理的な発想を持たなければ成し遂げられない仕事でしょう。 まして、日本の空軍独立論とはけっして軍事理論的な合理性を突き詰めたものだと言い切れる存在ではありません。昭和十年前後から盛り上がる空軍独立論の裏には陸軍、海軍から兵力を抽出して強力な新しい軍隊を作り上げ、それを国家変革の基礎にしようという発想が流れています。独立空軍、純粋空軍論が軍内部だけでなく軍の外に於ても議論されている理由のひとつにはこうした事情があります。 独立空軍論、純粋空軍論は軍事的な合理性を求めた末の結論としてではなく、昭和維新的発想を帯びた政治的、あるいはおっしゃるような「精神論」的存在として登場する可能性さえあるのです。 純粋空軍論が航空隊の発達が遅れた陸軍航空の側から現れ、既に空軍力を具体的にその戦略に取り込みつつあった海軍航空の側からあっさり拒否されるという構図はこのような議論が生まれる度に終戦まで繰り返されています。新しい雰囲気のある改革に夢を託する側がどのような問題を持っているか、それによって何をどう解決しようとしているのかを見極める必要があるでしょう。 1〜3は軍事行政上の問題ですけれども、 1については、当時の航空が輸送の面で鉄道や船舶に肩を並べる可能性はありません。まして航空工業、航空基盤の建設にはかえって鉄道網の充実が必要なくらいでしょう。 2については、機体製造会社の何処が何に集中しようと発動機開発を画期的に促進できない限り大きな変化は望めません。飛行機を作ることはエンジンを作ることなのです。 3については、飛行場、航空基地そのものが戦略的に設置されるものですから陸軍航空か海軍航空のどちらかの空軍の任務が放棄されない限り、基地の数は変らないし、機体の統一程度の話は独立空軍論を待たなくても始まっています。 むしろ、陸軍側は独立空軍、純粋空軍の本質となる大型爆撃機の自主的な整備をやめ、海軍の大型攻撃機をもってそれに充てようと発想しながら独立空軍論を唱えているのですから、陸軍航空の側が望み、海軍が拒否するという独立空軍論の性格の一端がここにも現れているということでしょう。 ということで、独立空軍=合理的、科学的存在と考えたいのは山々だけれど「そうは問屋が卸さない」というお話です。 |
議論ボードに参加するのははじめてです。よろしくお願いします。 >第二次世界大戦の展開を予想してください。 実際に戦争が始まると航空隊の数が増え、航空機を作る物資、燃料弾薬そして搭乗員整備員を確保しなければなりません。特に物資の配分に関しては陸海軍の間でだいぶもめました。また航空隊だけでなく部隊、艦船も増えるため人の確保も大変な問題だったということです。 史実でこのような状態ですからこれに空軍が加わると陸海空軍それぞれが人手不足物不足で作戦に悪影響が出てしまうのではないでしょうか?(例えば整備員が足りないと航空機の数はあっても稼働率が下がる。) |
日本で航空軍戦備を持とうとするとメーカーの育成からはじめなければなりません。大正の頃から、日本陸海軍は、それぞれの機体/発動機製造工場についてどちらの軍が利用できるのか、協定を結んでいました(利用可能な資材についてもです)。だから、愛知や川西は海軍機しか作らず、川崎や立川は陸軍機しか作らないのです。中島や三菱にしても、傘下の製造所ごとにいちいちどちらの軍の管理下にあるものかはっきりさせられていました。不用意な奪い合いをなくし共存するためです。 正確に言うと、この「利用区分」は次の三つの場合を想定しています。 「両軍全力同時作戦の場合」 「海軍全力作戦、陸軍一部作戦の場合」 「陸軍全力作戦、海軍一部作戦の場合」 例えば、海軍が主に戦争をして陸軍がほとんど何もしないような、そんな戦争が起こった場合、陸軍用の工場を一定の割合で海軍が利用できるようになるのです。この場合、川崎も立川も海軍に供給する機体を作ることになります。逆に陸軍が主に戦争をして海軍はほとんど何もしない戦争の場合には愛知や昭和が陸軍用の機体を作ります(川西は主産品が飛行艇なので陸軍向けのものを作れないので除外されています)。 実際には、支那事変は中国大陸で行われた戦争でしたが、陸軍航空だけでは数的に足らず、北支は陸軍航空、南支は海軍航空と分担を決められましたので、その後の太平洋戦争も含めて「両軍全力同時作戦の場合」しか発生しなかったことになります。「海軍全力作戦、陸軍一部作戦の場合」「陸軍全力作戦、海軍一部作戦の場合」はやや絵空事臭いです。 さて、仮に陸海軍から独立して空軍が設立されていた場合、やはり同じようなことが起こっていたのではないかと、かなりの蓋然性をもって推測することが出来ます。 すなわち、陸海軍中央協定によって空軍の中に、平時から前もって海軍向け部隊と陸軍向け部隊が作られ、それぞれ海軍の作戦、陸軍の作戦と協調しやすいように各軍との共同訓練を施しておく、ということになりそうだったのでした。「工場利用区分」の前例を見てもそのようにいえますし、実際、陸軍の一部から提案された空軍設立発議はまさにこのように提案しています。 仮に「海軍全力作戦、陸軍一部作戦の場合」「陸軍全力作戦、海軍一部作戦の場合」となった場合、空軍は主に戦争するどちらかの軍に付くことになるのでしょうが、「そのような戦時」は想定しづらいことです。「両軍全力同時作戦の場合」、空軍は海軍付属部隊と陸軍付属部隊に分割されるようになったことでしょう。 しかし、これでは海軍航空隊、陸軍航空隊が別々に存在するのとなんらかわりがありません。 但し、おそらく協定は陸海軍それぞれが使える空軍保有機を、全保有数の半分と公平に分割しようとするでしょうから、陸軍は全航空予算の半分を自動的に得られることになってしまうわけです。なんだか、史実に比べて陸軍は得をする雰囲気があります。 現実にそのような虫の良い空気があったことから、海軍は空軍設立に賛成しようとしなかったのでした。 空軍が独自に戦争できるようなドクトリンが発明されるまでは空軍自体の存在が無意味、ということになってしまうのです。例えば、米本土に自由に戦略爆撃を敢行できるようになる、とかですね。 そう、開戦前に富嶽が現実のものとして存在していたとしたら、空軍は存在可能だったかもしれません。 しかし、それこそ絵空事以外の何ものでもありません。 |
銀河は空技廠、呑龍は中島で、かなり活躍しましたがトラブルも多かった模様で、日本の重爆は三菱が主体に作っていた印象があります。 しかし、富獄、連山は中島、キ91は川崎製で、なんか矛盾した感じがするのですが、これはどういったことでしょうか。またちなみに、4発の各種飛行艇はもちろん川西、双発ですが大型爆撃機のキ74は立川です。 |
>> しかし、富獄、連山は中島、キ91は川崎製で、なんか矛盾した感じがするのですが、これはどういったことでしょうか。またちなみに、4発の各種飛行艇はもちろん川西、双発ですが大型爆撃機のキ74は立川です。 十三試大攻陸軍版 中島キ68→川崎移管キ85→独自設計キ91 という陸軍四発重爆の流れと、 十三試大艇/十三試大攻という四発攻撃機計画→十七試大艇中止、試製「連山」のみ進行 という海軍の飛行艇、陸攻を組み合わせた四発攻撃機構想、 中島知久平提唱「Z機」→中島「富嶽」と川西「TB」の比較検討→川西優勢→中止 という超重爆計画の進展を一緒にして眺めると解りにくくなりますけれども、 それぞれの流れを理解できれば納得も行くのではないでしょうか。 おっしゃるような独立空軍を構成するような機種は上記の3つの流れの中にあるでしょう。 |
> 銀河は空技廠、呑龍は中島で、かなり活躍しましたがトラブルも多かった模様で、日本の重爆は三菱が主体に作っていた印象があります。 > しかし、富獄、連山は中島、キ91は川崎製で、なんか矛盾した感じがするのですが、これはどういったことでしょうか。またちなみに、4発の各種飛行艇はもちろん川西、双発ですが大型爆撃機のキ74は立川です。 三菱は、第一次大戦後の比較的早い時期1921年に海軍の方針に従って独ロールバッハ社と提携を結び、全金属製大型機を作るための技術を習得しています。さらにのちにはユンカースと契約し、同じく全金属製大型機を作るための技術を新しいものに更新しています。 初期の日本航空界において大艇、重爆のような全金属製大型機を作れるのは三菱をおいて他にありませんでした(この技術は海軍広廠に流れ、そして川西に伝わって独自の発展を遂げます)。 こうして、三菱=大型機メーカーという一種のブランドが出来てきますが、しかし、三菱が持つ技術は昭和一桁期までのドイツ式がベースになっています。 一方、第一次大戦期にはドイツにしかなかった全金属機製作技術はアメリカで発展し、長距離旅客機で花開きます。ボーイングの爆撃機などもこの延長上に位置します。 昭和7年以降、フォッカー・スーパーユニバーサル、ダグラスDC−2、DC−3、DC−4の技術を連続的に移入して、米国式の新しい大型機技術を入手して行ったのが中島です。 三菱の陸攻、重爆が双発どまりなのに対し、中島がそれ以上を行こうとしている背景にはこのようなものがあります。 川崎、立川は、やはり、ロッキード・スーパーエレクトラによって大型機技術を入手した後発組です。 日本の大型機メーカーは始め三菱だけでしたが、後にいくつかのメーカーがアメリカの技術を導入することで新しくこの分野に参入し、成長してゆく過程にあったのです。 |
昭和10年代までの日本の大型機技術の発展度合いはこのようなものでしたから、純正空軍思想を支えられるだけの機材の入手は無理なのです。 富嶽ではいささかなんだとしても、最低限、マーシャルからハワイを直接攻撃圏内に納められる高高度水平爆撃機の調達が可能とならない限り、海軍が空軍の分離を是とすることはあり得なかったのではないかと思います。しかも、これは対米開戦前の段階で、ですね。 |
そうです。 日本は殆んど全ての面において、列強諸国に劣っていたというイメージですが、 劣っていたのは国力であって、限られた国力の中で精一杯頑張ったのです。 だからこそ、はかないまでに繊細な日本軍機に心惹かれてしまうのです。 銀河なんて発動機不調で千機も生産された割には殆んど活躍してません。 |
> 銀河なんて発動機不調で千機も生産された割には殆んど活躍してません。 してるって。 よく調べて御覧なさいな。 1000機も作られた爆撃機が「活躍」しなくてどうやって戦争が出来ますか。 ちゃんと出撃しているし苦戦しながらも戦果もあるでしょう? 勝利の場に立ち会うだけが活躍だったら飛行機なんて何でも良くなっちゃいますよね。 |
> 限られた国力の中で精一杯頑張ったのです。 という言葉に、ご自身で否定されてたはずの「精神論重視」とよく似た響きを感じてしまうのですが。 かざしておられたはずの科学に基づいた合理主義はどうしてしまわれたのでしょうか? それは空軍の設立が難しそうだからといって、史実の中にも存在しなかったと全否定されてしまうようなものなのでしょうか? |
> >史実の中にも存在しなかったと全否定されてしまうようなものなのでしょうか? 本題とは直接関係ありませんが、上記の文の意味が解らないのですが |
普通に読めばわかりますよ。 日本における空軍の設立が難しそうだからといって、「史実の日本陸海軍航空隊には合理主義のかけらもない」と全否定すべきものなのか そうおっしゃっているんですよ。 私からも一言。 > だからこそ、はかないまでに繊細な日本軍機に心惹かれてしまうのです。 > 銀河なんて発動機不調で千機も生産された割には殆んど活躍してません。 合理主義のかけらもない史実の日本陸海軍航空隊が生み出した繊細な日本軍機に心惹かれてしまうあなたは、合理主義を口にしながら、実は情緒的にしか日本軍機を捉えていらっしゃらないのですよ。 本当に興味がお有りなら、初心にかえって謙虚に陸海軍機の本をお読みになったらいかがですか。 |
当時議論されていた独立空軍とは、陸海軍の航空隊を単に統一したものではなく、大型爆撃機部隊を両軍から別組織として独立させるのが主眼です。 だから独立空軍制の下でも海軍の母艦航空隊もあれば、陸軍の直協偵察機隊もあるわけで、陸海軍がそれぞれの運用に取り込んでいた航空部隊はそのまま手付かずに残すという考えが主流です。 当時の独立空軍論は、この頃の航空戦理論が空軍力=爆撃機部隊といった傾向にあったことを反映して陸軍でも海軍でもない強力な爆撃航空軍(と防空軍)を創設するという発想ですから、そこをもちゃんと踏まえて考えて行かないと根本的な部分で躓いてしまいます。 確かに独立空軍論とは合理的な発想ですけれども、それは戦間期に流行した航空戦理論に対して合理的という意味であって、必ずしも全ての角度から見て合理的な発想ではない部分もあります。 陸海軍の重爆、陸攻部隊を統合した場合、何がトクなのか、誰がトクなのか、どんな場合にどちらがトクなのか、そんなことを考えて行けば史実の中で交わされた議論の背景がよくわかるのではないでしょうか。 |