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 ▼十二試二座水偵  高村 駿明 06/12/15(金) 11:57
   ┣Re:十二試二座水偵  高村 駿明 06/12/15(金) 11:58
   ┣水上機母艦を削れるか?  BUN 06/12/15(金) 13:30
   ┃  ┣Re:水上機母艦を削れるか?  SUDO 06/12/15(金) 14:16
   ┃  ┃  ┗Re:水上機母艦を削れるか?  BUN 06/12/15(金) 15:42
   ┃  ┣Re:水爆は有った?  力不足でも 06/12/15(金) 14:59
   ┃  ┗Re:水上機母艦を削れるか?  高村 駿明 06/12/15(金) 18:21
   ┃     ┣航空軍備の限界を超えた建造はない  BUN 06/12/16(土) 4:19
   ┃     ┃  ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/16(土) 9:46
   ┃     ┃     ┣Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  砂兎 06/12/16(土) 10:24
   ┃     ┃     ┃  ┣Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/16(土) 11:34
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┣Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  SUDO 06/12/17(日) 0:30
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┃  ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/17(日) 9:56
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┃     ┗んなもんで足りるなら苦労は無いでしょう?  SUDO 06/12/17(日) 19:53
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┃        ┗Re:んなもんで足りるなら苦労は無いでしょう?  高村 駿明 06/12/18(月) 19:05
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┃           ┗Re:んなもんで足りるなら苦労は無いでしょう?  高村 駿明 06/12/18(月) 19:49
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┃              ┗足りなことぐらい算数で出せる世界でしょう?  SUDO 06/12/18(月) 21:17
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┃                 ┗Re:足りなことぐらい算数で出せる世界でしょう?  高村 駿明 06/12/18(月) 21:38
   ┃     ┃     ┃  ┃  ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  おうる 06/12/17(日) 0:50
   ┃     ┃     ┃  ┃     ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/17(日) 10:27
   ┃     ┃     ┃  ┃        ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  おうる 06/12/17(日) 14:21
   ┃     ┃     ┃  ┃           ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/18(月) 16:50
   ┃     ┃     ┃  ┃              ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  おうる 06/12/18(月) 21:10
   ┃     ┃     ┃  ┃                 ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/18(月) 21:40
   ┃     ┃     ┃  ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/16(土) 15:07
   ┃     ┃     ┣Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  片 06/12/16(土) 11:33
   ┃     ┃     ┃  ┗Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  高村 駿明 06/12/16(土) 14:18
   ┃     ┃     ┃     ┗中型空母は万能ではない  片 06/12/17(日) 9:43
   ┃     ┃     ┃        ┗Re:中型空母は万能ではない  高村 駿明 06/12/17(日) 10:32
   ┃     ┃     ┃           ┗さらに第三の空母用法  片 06/12/17(日) 18:53
   ┃     ┃     ┃              ┗Re:さらに第三の空母用法  高村 駿明 06/12/18(月) 19:34
   ┃     ┃     ┃                 ┗何が面白いのかわからなくなっています  片 06/12/18(月) 20:06
   ┃     ┃     ┃                    ┗Re:何が面白いのかわからなくなっています  高村 駿明 06/12/18(月) 21:53
   ┃     ┃     ┗その計算はおかしい  BUN 06/12/17(日) 1:43
   ┃     ┃        ┗Re:その計算はおかしい  高村 駿明 06/12/17(日) 10:47
   ┃     ┃           ┗Re:その計算はおかしい  BUN 06/12/17(日) 10:59
   ┃     ┃              ┗Re:その計算はおかしい  高村 駿明 06/12/17(日) 11:15
   ┃     ┗Re:水上機母艦を削れるか?  らいおん 06/12/17(日) 0:01
   ┃        ┗Re:水上機母艦を削れるか?  高村 駿明 06/12/17(日) 9:37
   ┃           ┗基地を基点とする大型機の重要性認識  片 06/12/17(日) 10:05
   ┃              ┗Re:基地を基点とする大型機の重要性認識  高村 駿明 06/12/17(日) 11:03
   ┣空母増強の意義は別にある  出沼ひさし 06/12/17(日) 3:56
   ┃  ┣Re:空母増強の意義は別にある  BUN 06/12/17(日) 8:46
   ┃  ┃  ┗Re:空母増強の意義は別にある  高村 駿明 06/12/17(日) 10:58
   ┃  ┃     ┗むしろ逆の認識が自然  BUN 06/12/17(日) 11:24
   ┃  ┃        ┣陸攻と空母の役割分担  不明 06/12/17(日) 15:38
   ┃  ┃        ┗Re:むしろ逆の認識が自然  高村 駿明 06/12/18(月) 16:49
   ┃  ┗Re:空母増強の意義は別にある  高村 駿明 06/12/17(日) 10:38
   ┃     ┗よく考えたら  出沼ひさし 06/12/17(日) 19:03
   ┃        ┣重箱の隅ですが・・・  不明 06/12/17(日) 21:48
   ┃        ┃  ┗Re:重箱の隅ですが・・・  出沼ひさし 06/12/18(月) 1:44
   ┃        ┗Re:よく考えたら  高村 駿明 06/12/18(月) 20:13
   ┣お金(予算)で考えると  伸 06/12/17(日) 11:42
   ┃  ┗Re:お金(予算)で考えると  高村 駿明 06/12/18(月) 16:50
   ┃     ┗無理しなくても  伸 06/12/18(月) 23:53
   ┃        ┣これは失礼  伸 06/12/18(月) 23:55
   ┃        ┗Re:無理しなくても  高村 駿明 06/12/19(火) 10:58
   ┃           ┗蛇足ですが  片 06/12/20(水) 7:31
   ┃              ┗Re:蛇足ですが  高村 駿明 06/12/21(木) 12:32
   ┃                 ┣Re:蛇足ですが  片 06/12/21(木) 14:54
   ┃                 ┃  ┗Re:蛇足ですが  高村 駿明 06/12/22(金) 9:37
   ┃                 ┗もう何がなんやら  伸 06/12/21(木) 15:13
   ┃                    ┣大鯨  片 06/12/21(木) 15:40
   ┃                    ┣因みに  伸 06/12/21(木) 16:53
   ┃                    ┗Re:もう何がなんやら  高村 駿明 06/12/22(金) 12:56
   ┃                       ┗軍艦の計画  BUN 06/12/22(金) 19:34
   ┃                          ┗Re:軍艦の計画  高村 駿明 06/12/26(火) 12:14
   ┃                             ┗タイムテーブルでも考えて下さい  伸 06/12/26(火) 14:50
   ┃                                ┗Re:タイムテーブルでも考えて下さい  高村 駿明 06/12/27(水) 11:40
   ┃                                   ┣飛龍の遅延  片 06/12/27(水) 17:49
   ┃                                   ┗龍驤、大鯨、高崎、剣埼の立脚点  片 06/12/27(水) 22:15
   ┃                                      ┗そのお話には無理があると思います  川崎まなぶ 06/12/28(木) 10:22
   ┃                                         ┗Re:そのお話には無理があると思います  高村 駿明 06/12/29(金) 16:14
   ┣色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  瑞雲 06/12/17(日) 16:06
   ┃  ┣Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  瑞雲 06/12/17(日) 16:45
   ┃  ┗Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  高村 駿明 06/12/18(月) 19:27
   ┃     ┣蒼龍原案の基準排水量  大塚好古 06/12/18(月) 22:41
   ┃     ┃  ┗Re:蒼龍原案の基準排水量  高村 駿明 06/12/19(火) 9:39
   ┃     ┗Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  瑞雲 06/12/19(火) 8:55
   ┃        ┗Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  高村 駿明 06/12/19(火) 10:13
   ┗Re:十二試二座水偵計画の妥当性について  不明 06/12/19(火) 1:18
      ┗Re:Re:十二試二座水偵計画の妥当性について  高村 駿明 06/12/19(火) 10:17

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 ■題名 : 十二試二座水偵
 ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>
 ■日付 : 06/12/15(金) 11:57
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    いつもお世話になっております。
 最近、水上機の話が議論されておりますが、今回は「日本海軍が十二試二座水偵で実現しようとした、巡洋艦・水上機母艦による敵空母攻撃計画」は妥当だったのだろうか、について議論したいと考えております。

 十二試二座水偵は「千歳」「千代田」「瑞穂」での54機+重巡搭載30機の計84機により、空母機動部隊を支援し、敵空母攻撃兵力となる、との構想だったと聞いています。とはいえ、例えば水上機の運用性は、別スレッド「水上戦闘機を艦隊で使う」で論じられた通り、回収問題や機材が限定される問題があります。
 あらゆる点で、水上機母艦が航空母艦に対して勝っているところはないように感じます。

 また、千歳型は水上機母艦では18機搭載ですが、航空母艦では30機搭載です。例えば「千歳」「千代田」「瑞穂」3隻を当初から空母にすれば、36機も搭載機が増え、重巡搭載で増加する30機を上回ります(どちらにせよ、これらの艦の完成は条約開けなのですから。当初から空母形態でも何ら問題もないでしょう)。

 さらに機材としても、水上機の発展性が艦上機を下回るのは明白でしょう。小型空母すら新型艦上機の性能に対して不足とする先見性を持った日本海軍が、水上爆撃機にこだわった理由が、私にはわかりません。
 そうなった理由と日本海軍の見通しについて、諸賢らのご指導を賜れたなら、幸いに存じます。

 当初から水上機や特殊潜行艇の先行きを見越して、水上機・甲標的母艦を断念していれば、「大鯨(龍鳳)」「剣埼(瑞鳳)」「高崎(祥鳳)」「千歳」「千代田」「瑞穂」「日進」は、大差ない基準排水量から考えて「蒼龍」と同一船体で計画できたのではないかと思います(「航空母艦を重視する戦備」に割りきっていたなら、今後の艦載機発展を考え、船体を長く取るはずですから)。
 もし、太平洋戦争開戦時に「蒼龍」に近い船体の空母(当然、擬装形態での性能実現や、ディーゼル機関の試験搭載などで「蒼龍」「飛龍」よりも性能は劣るでしょうが)が7隻もあれば、戦争の経過も全く変わっていたのではないかと、愚行する次第です。この点の妥当性については、どう思われるでしょうか。

 当然ながら、艦載機多数の調達問題は起こるでしょうが、それは水上機や甲標的母艦の搭載機(艇)がなくなった分の予算を振り分けるでしょう。また、多数の艦艇を空母として計画していたなら、そもそも艦載機調達・搭乗員育成計画自体を見直したでしょう(例えば、これらの準・蒼龍型が「真珠湾攻撃に間に合う」なら、どこか削ってでも予算を工面したのではないかと)。結果として、搭載機が九六式艦戦・九六式艦攻・九六式艦爆・九七式二号艦攻、九七式艦偵など、旧式機材となっても、7隻もあれば充分に戦力になると思います(少なくとも、いつ完成するかわからない十二試二座水偵よりは)。

 浅学故、おかしなことを言っているかもしれませんが、諸賢のご意見を頂ければ幸いです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:十二試二座水偵  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/15(金) 11:58  -------------------------------------------------------------------------
    スレッド名を直す前に、誤って送信ボタンを押してしまいました。申し訳ありません。「十二試二座水偵計画の妥当性について」というスレッド名です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水上機母艦を削れるか?  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/15(金) 13:30  -------------------------------------------------------------------------
   水上爆撃機構想は昭和十二年の性能標準改正で一気に具体化します。二座、三座の水偵を二五番爆弾で爆装することが決まり、同時に艦船飛行機搭載標準でその用法も定められる訳ですが、要求性能が控え目だった三座水偵は順調だったものの、肝心の二座水偵は試作に手間取って十四試で仕切り直しになり、艦隊への配備はついに行われていません。
けれども艦隊には今後、水爆が配備されることは伝えられていますから、その運用研究は艦隊側で行われています。
各艦に少数機ずつ配置される水爆をどう運用するかは頭の痛い問題だったようで、戦隊ごとに集中運用するといったことが提案されていますが、残された資料やメモ類を読む限り、水爆構想は艦隊にとって厄介な課題だったようです。

水上機母艦を建造せず最初から空母の建造枠を取れば良かったか、という点については時期を考える必要があります。昭和十二年の軍縮条約明け以前の時期に航空母艦を追加建造することはできませんし、条約明けには正規の新型航空母艦が建造され始めます。
条約前には空母は建造できず、条約後には空母の建造は大型に移行している訳です。
小型空母は戦時に改造されて完成していますから見た目には新しい構想に見えますが、新型機に対応できず、攻撃力も小さく、反復攻撃にも手間取る小型艦は航空戦力としては既に満足の行くものではなく、攻防ともに貧弱で持て余し気味の艦となっています。

このような環境で蒼龍クラスの母艦を積極的に建造する意義は小さく、史実の雲龍は大型空母の代案として不満を堪えて建造されることになります。

航空母艦の建造を満足の行くレベルで行えば翔鶴以上の規模になり、小型空母は役に立たないのですから、重巡に水爆を搭載する計画が最も手間がかからず第二艦隊本来の夜戦能力も残せる魅力があります。当時の軍令部は概ねこうした判断で軍備計画を進めていますが、水上機に運用上の制限があることは理解されていますから、水上機を帰還させる島嶼が無い洋中の決戦時の回収任務を重視して日進の建造を計画します。
水上機母艦は夜戦部隊の戦力と航空攻撃力を両立させるためにあるもので、その建造能力を運用上制限が多く、陳腐化も早い小型の通常型航空母艦に振り向けることはできない相談ということになります。
造るなら翔鶴型、大鳳型でなければ航空母艦としての意味が無いのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機母艦を削れるか?  ■名前 : SUDO  ■日付 : 06/12/15(金) 14:16  -------------------------------------------------------------------------
    思ったのですが、伊勢が彗星を発進させられるように、十二試の失敗をそのままにするのではなく九九艦爆を重巡から発進させるという案は出なかったのでしょうか?
 どうせ回収役の水上機母艦が必要ならば、小型空母を回収役に使っても同じなのでは無いかと思うのですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機母艦を削れるか?  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/15(金) 15:42  -------------------------------------------------------------------------
   だからこそ彗星の射出になるのだと思いますが、重巡搭載二座水偵は昼間短距離偵察、観測などの用途も欲張っていますから艦爆では収まらないということでしょう。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水爆は有った?  ■名前 : 力不足でも  ■日付 : 06/12/15(金) 14:59  -------------------------------------------------------------------------
   空母甲板への急降下爆撃はいずれ装甲空母の出現で廃れる可能性がありそうです。
補助攻撃力と考えれば三座水偵を反跳爆撃機として使う手はないのでしょうか?
これで飛行甲板の撃破は難しいのかも知れませんが運用研究の価値はあるような気がします。

つまり、日本には水爆(水上反跳爆撃機)は既に有ったのではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機母艦を削れるか?  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/15(金) 18:21  -------------------------------------------------------------------------
    水上爆撃機構想に対する御指南、どうもありがとうございます。勉強になります。

> 各艦に少数機ずつ配置される水爆をどう運用するかは頭の痛い問題だったようで、戦隊ごとに集中運用するといったことが提案されていますが、残された資料やメモ類を読む限り、水爆構想は艦隊にとって厄介な課題だったようです。

 感想ですが、水上爆撃機は空母機動部隊と連携する、と聞いておりますが、素人考えからすれば、艦載機の性能や回収方法も違うので、仮に一度目の出撃がうまく連携できても、反復攻撃が必要な場合、滅茶苦茶になっていくように感じます。

> 水上機母艦を建造せず最初から空母の建造枠を取れば良かったか、という点については時期を考える必要があります。昭和十二年の軍縮条約明け以前の時期に航空母艦を追加建造することはできませんし、条約明けには正規の新型航空母艦が建造され始めます。

 蒼龍の船体に仕様統一した、水上機母艦や高速給油艦が第1形態の「大鯨」「剣埼」「高崎」「千歳」「千代田」「瑞穂」「日進」を建造したなら、表向きは条約違反にはならないと思います。厳密に言えば、基準排水量で条約制限をオーバーしていますが、蒼龍とて、10,050トンとされているわけですから、誤魔化せるかと。
 そして条約破棄のあと、空母に改装(もしくは途中から空母に切り替えて建造)すればいいのではないかと思います。 

> 条約前には空母は建造できず、条約後には空母の建造は大型に移行している訳です。
> 小型空母は戦時に改造されて完成していますから見た目には新しい構想に見えますが、新型機に対応できず、攻撃力も小さく、反復攻撃にも手間取る小型艦は航空戦力としては既に満足の行くものではなく、攻防ともに貧弱で持て余し気味の艦となっています。
>
> このような環境で蒼龍クラスの母艦を積極的に建造する意義は小さく、史実の雲龍は大型空母の代案として不満を堪えて建造されることになります。

 ご指摘はBUNさまの著書などで理解しておりますが、水上爆撃機構想よりも、準・蒼龍型7隻のほうが数段有益に思えます。また、当時の「主力艦に直衛空母を回せ」という要求に対しても、準・蒼龍型であれば充分ではないでしょうか。

> 航空母艦の建造を満足の行くレベルで行えば翔鶴以上の規模になり、小型空母は役に立たないのですから、重巡に水爆を搭載する計画が最も手間がかからず第二艦隊本来の夜戦能力も残せる魅力があります。当時の軍令部は概ねこうした判断で軍備計画を進めていますが、水上機に運用上の制限があることは理解されていますから、水上機を帰還させる島嶼が無い洋中の決戦時の回収任務を重視して日進の建造を計画します。

 史実での構想について、御指南ありがとうございます。
 ただ、水上爆撃機構想の妥当性を議論するスレッドなので、あえて素人考えを書きます。ご了承ください。重巡洋艦の水上爆撃機開発は、伊勢型のようにカタパルトで通常型艦上機を射出し、7隻の準・蒼龍型で回収すればいいのではないかと思います。と書いて気づきましたが、SUDOさまが同様の指摘をされているようですね。

 思うに、蒼龍型の34ノットであれば重巡への随伴も充分可能なので、第二艦隊による夜戦遂行の妨げにはならないと思います。もし水上爆撃機構想が、夜戦中に空爆を行うというような構想であるなら、的はずれなことを書いているかもしれませんが。

> 水上機母艦は夜戦部隊の戦力と航空攻撃力を両立させるためにあるもので、その建造能力を運用上制限が多く、陳腐化も早い小型の通常型航空母艦に振り向けることはできない相談ということになります。
> 造るなら翔鶴型、大鳳型でなければ航空母艦としての意味が無いのです。

 史実における小型空母だけでなく、中型空母の蒼龍でも「戦力外」に近いまでの判定がされているとは思いませんでした。
 ただ大鯨以下7隻は蒼龍とほぼ同時期の計画です。ですから、当時の日本海軍が「将来的にはやや不満があるが、当面の戦力になる。何より水上機母艦や甲標的母艦よりまし」と考えることは、あり得ないほど妥当性がないのでしょうか。

 実際に大鯨以下7隻が、昭和15年ごろに空母改装を終え、水上機・陸攻などを史実より削ったとしても艦載機を調達していたなら、太平洋戦争の展開は違うものになったのではないでしょうか(演習でも「勝ち目なし」とは判定されないような)。

 もし、史実の6隻に「大鯨」以下7隻を加えた正規空母13隻(艦載機800機以上)で真珠湾を奇襲したなら、米太平洋艦隊とハワイ航空戦力は文字通り消滅し「米国の戦意喪失」という目的も、ある程度果たせたのではないかと。
 多少性能で不満があっても、数があれば万難隠すように考える次第です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/16(土) 4:19  -------------------------------------------------------------------------
   >多少性能で不満があっても、数があれば万難隠すように考える次第です。

これはどちらかと言えば戦時の発想ですね。
空母予備艦を蒼龍型にするには技術的な問題以前に、条約下の日本海軍に航空母艦に対する定見が生まれていなければなりません。
この頃は戦術面では主力部隊の非戦側視界内に空母を配置して戦うことを考えていた時代で、しかも発着兵器も未完成、艦爆も試作を失敗し続けている時代でもありますから蒼龍型を標準とすることは航空母艦の軍備計画としては合理的であっても、その必然性が認識されていません。
乗せる飛行機も無く、具体的な運用法も未定のまま長期的な正しい見通しを持ち得るためにはせめて理論面での充実が必須ではないかと思います。
また艦上機800機の機動部隊というものは戦争後期の米海軍ならではのもので、戦前の日本海軍にとって800機の艦上機を揃えることも、それに見合った数の母艦搭乗員を充てることも、それを維持するための兵站面も、全ての面で手に負えないでしょう。
むしろ逆に蒼龍型の空母予備艦の存在は条約明け以降の母艦建造を抑制する働きをするのではないかと思います。
航空軍備の限界を超えた航空母艦建造計画はあり得ない、ということです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/16(土) 9:46  -------------------------------------------------------------------------
    御指南ありがとうございます。

 史実で実現しなかったことだから、ありえないといえば、そうでしょう。
 とはいえ、これまで「あり得ないこと」がどの程度妥当性があるかを話し合ってきたのが議論ボードだと思います。
 貴重なお時間を取るのは、恐縮ですがご容赦ください。

 「大鯨」などが計画されたのは、九六式陸上攻撃機とほぼ同時期です(なお「大鯨」以下の蒼龍化は、藤本造船官が生きていたなら標準化の観点から行っただろう、と遠藤 昭氏が著書で語っておりますが)。
 つまり、この時点では失敗続きの艦上機同様「ものになるかわからない」のが、陸攻計画ではないでしょうか。
 そして歴史上「海軍」が中型〜大型の陸上爆撃機を持とうと考えた例は、日本海軍しかなく、つまり「習うべき先例がない」のが陸攻計画だと思います。
 つまり山本五十六提督など、傑出した個性がなければ、陸攻よりも常識的な、戦時に航空母艦になりうる艦船多数を保持する、という整備計画がされることは、常識的な戦備計画ではないかと思います(山本提督は事実かわかりませんが「航空機の性能が向上するなら、母艦を改装して大きくすればいい」と発言されたそうですし)。

> また艦上機800機の機動部隊というものは戦争後期の米海軍ならではのもので、戦前の日本海軍にとって800機の艦上機を揃えることも、それに見合った数の母艦搭乗員を充てることも、それを維持するための兵站面も、全ての面で手に負えないでしょう。

 上記の「ものになるかわからない陸攻よりも、今までの軍備の延長である空母多数の確保」という決断をした場合、陸攻はなくなるか大幅に減少すると思います。
 陸攻の維持に必要な維持費は、艦上機の比ではないと思うので、艦載機800機の確保・維持については充分に行えると思います。

 例えば九六式陸上攻撃機は、比較的初期型である11型と21型だけでも、398機が生産されています(合計では1,101機)。陸攻1機を運用するのに、エンジン2機、搭乗員7人を必要とします。蒼龍型7隻が増えたとして、史実に+441機(実際には祥鳳、瑞鳳などの艦載機を減らすべきですが、どこから起算すべきか、という見極めが難しいため、単純合計とします)。
 搭乗員は艦戦1人、艦爆2人、艦攻3人ですから、ごく単純に3等分すれば、艦戦147人、艦爆294人、艦攻441人の合計882人です(これもどのように運用されるかわからないので、三等分しました)。陸攻398機に必要な搭乗員は、合計2,786人ですから、搭乗員については余裕で確保できると考えます。

 艦載機生産についても、零戦・九九式艦爆・九七式艦攻を含めなくとも、九五式艦戦221機、九六式艦戦1,000機、九四式艦爆162機、九六式艦爆428機、九二式艦攻130機、九六式艦攻200機を生産していますから、陸攻を縮小すれば、7空母の艦載機を生産できる余地はあるように思います。

 空母7隻の乗組員が増えますが、これについては史実でも「大鯨」以下7隻は存在していた艦艇ですから、多少大型化されて人が増えても、陸攻が減ったなら予算内でしょう。陸上攻撃機多数を支える兵站の構築も、軽くなりますし。

 書いていて思いましたが、陸攻とは、実はすごい金食い虫だったのではないかと。
空母7隻も増えるなら、いらないような気もします。

> むしろ逆に蒼龍型の空母予備艦の存在は条約明け以降の母艦建造を抑制する働きをするのではないかと思います。

 そうなるかもしれませんから、陸攻を抑制すれば、母艦航空隊に対する比重は重くなりますから「建造できるだけの航空母艦建造」に走る可能性はあるのではないでしょうか(ミッドウェーパニックに陥った海軍が、雲龍型15隻の建造を考えたように)。
 史実では、米国の航空母艦建造に内容では叶わないので、せめて艦艇数だけでも対抗しよう、という動きがあったそうです。「いざとなれば蒼龍型7隻にできる艦艇があるから」といって、航空戦力の優位を放棄するでしょうか。蒼龍型では母艦の性能にも不満があるでしょうから、翔鶴型、大鳳型の建造に至ったのではないかと。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 砂兎  ■日付 : 06/12/16(土) 10:24  -------------------------------------------------------------------------
   空母が7隻も増えたら、空母の乗組員だけで約10000人余計に人が必要ですし、空母の護衛艦も考えるともっと必要です。また、空母7隻分の航空打撃力を必要なところに展開させるには、本当に必要な空母の数はもっと多いのではないでしょうか。空母はドックに入りますし、空を飛んでいける陸攻と違って、空母の移動は時間がかかりますし。

陸上基地にも基地要員が必要ですし、あちこちに基地を作って回るにもそれなりのコストがかかりますが、空母の方が経済的とか兵站が楽だと言えるのでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/16(土) 11:34  -------------------------------------------------------------------------
   > 空母が7隻も増えたら、空母の乗組員だけで約10000人余計に人が必要ですし、空母の護衛艦も考えるともっと必要です。また、空母7隻分の航空打撃力を必要なところに展開させるには、本当に必要な空母の数はもっと多いのではないでしょうか。空母はドックに入りますし、空を飛んでいける陸攻と違って、空母の移動は時間がかかりますし。

 新規に空母を建造しよう、という話ではありません。
 「大鯨」以下7隻は史実にも存在した艦艇であり、当然乗組員も配属されていたわけです。これらを空母に改装、もしくは変更したからといって、10,000人も増員する必要があるとは、とても思えないのですが、いかがでしょうか。
 護衛艦については、艦隊決戦に必要な打撃力の多くが高速空母に移行しますから、陽炎型のような決戦用の駆逐艦を減らして、秋月型のような防空駆逐艦が増加したり、保有戦艦のよりいっそうの高速化が図られたりするかもしれません。
 で、もしそうなったとしても史実より有利になるだけで、支障はないですよね。

 また、陸攻のほうが展開が迅速、などのプラスはあるでしょう(大航続力を活かすと護衛戦闘機を付けられないというマイナスもありますが)。
 とはいえ、そもそも、ロンドン条約がなければ、史実のような陸攻が生まれたかどうかすら、怪しいのではないでしょうか。
 そしてこの話の前提となっている「大鯨」以下の計画も、九六式陸攻の計画も、ロンドン条約での劣勢比率を受けてのものです。前例のない陸攻よりも、確実に艦隊に随伴できて、艦隊決戦に参加できる正規空母(改装可能艦)のほうがありがたい、という仮定をすることが、それほど飛躍しているとは思えないのですが。

 そして、蒼龍型になりえる空母予備艦が7隻あるなら、艦載機多数との差別化として、陸上攻撃機は多数の中攻ではなく、少数の4発大攻になるようにも思えます。航続力も、搭載量も4発機のほうが上であり、索敵でも便利でしょうから。

 これを書くと新規のお題になりますが、では「陸攻の配備を抑制し(開発するが、配備数を大幅に減らす)、代償として、蒼龍型に匹敵する空母7隻と艦載機が、開戦に間に合っていたら」という仮定をしてみましょう。

 真珠湾攻撃では所在米艦隊と航空戦力の大半を殲滅できるでしょう。マレーは水上艦艇のみでも英艦隊を撃破できます(必要なら空母を配備してもいいでしょう)。
 その後、ポートモレスビー攻略と、インド洋作戦を同時並行で行えるのではないかと思います(進行が史実より早くなる分、連合国の対応は後手に回ります)。
 連合国側の戦力が史実と大差ないなら(向こうに条約がある以上、大幅に増えることはあり得ませんが)、ポートモレスビーは陥落し、インド洋でも英艦隊を撃破できるでしょう。そして正規空母引き上げ後も、鳳翔、龍穣、隼鷹、飛鷹などでインド洋通商破壊戦を継続すれば、英国、豪州に多大な圧迫が行えます。
 続いて、正規空母13隻の戦力でミッドウェーを叩くにせよ、米豪分断を行うにせよ、少なくとも緒戦では史実よりも圧倒的に有利ではないかと思います。
 陸攻がなければ不可能な作戦というのは、あまりなかったのではないかと。 

> 陸上基地にも基地要員が必要ですし、あちこちに基地を作って回るにもそれなりのコストがかかりますが、空母の方が経済的とか兵站が楽だと言えるのでしょうか。

 私は「陸攻を減らせば、空母7隻+艦載機441機の増加は実現できるのではないか」と言っているのであって、空母の方が経済的とか兵站が楽と書いた覚えはないのですが。ちなみに前述した通り、艦艇の数はまったく増えていません。変わっているのは陸攻398機の大半が艦載機に変わった、ということだけです。
 果たして高くなるものでしょうか。むしろ安くなるような気がします。

 また、この仮定の話で空母として増えるのは「瑞穂」「日進」だけで、後は性能と改装時期をいじっているだけです。現実に甲標的母艦への変更などの改装は行えているのですから、当初から改装後は空母と明確に計画していれば、開戦前に空母改装を間に合わせることもできたのではないか、と考えております。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : SUDO  ■日付 : 06/12/17(日) 0:30  -------------------------------------------------------------------------
   >  真珠湾攻撃では所在米艦隊と航空戦力の大半を殲滅できるでしょう。マレーは水上艦艇のみでも英艦隊を撃破できます(必要なら空母を配備してもいいでしょう)。

 フィリピンは? 大陸の作戦行動は?
 そもそも艦隊随伴タンカー数は空母部隊の数に見合うのでしょうか(タンカーも増やすのですか?)
 スレの趣旨が変わるのでくどく記す気はありませんが、戦前の日本に於いては多数のタンカーを抱えてペイするほど原油需要はなかったのです。タンカーを倍増させるためには、高速給油艦等として軍用艦船として建造するしかありません。さて剣埼の艦種ってなんでしょう?
 空母を増やすだけなら航空機輸送艦として有用に活用できるでしょうが、空母機動部隊を縦横無尽に走らせるには、その数に見合ったタンカーと、多方面に於ける長距離哨戒兵力のサポートが必要になります。つまりは改装空母多数という構想を有効活用する為に必要な手配は、決して安いものではありません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 9:56  -------------------------------------------------------------------------
    タンカーについてのご教授ありがとうございます。

>  フィリピンは? 大陸の作戦行動は?

 フィリピンについては、正規空母13隻が存在しえるなら、何隻か回すことはあるでしょう(真珠湾攻撃の趣旨から考えて、作戦上可能であれば集中運用もあり得ると考えただけで、タンカーの確保ができないなら行わないでしょう)。
 大陸の作戦行動については、本来陸軍の仕事だと思いますが、海軍航空が不可欠なら、陸上基地から艦上機の運用を行うために、史実より基地を多く設営することになるでしょう。とはいえ、大陸で作戦が行えたのは「陸攻があったから」であって、空母艦載機が海軍の大半であるなら、そこは史実と変わるのではないかと(中国での作戦用に、海軍が長距離爆撃機を開発するということはないでしょうから)。
 結果として、陸軍航空機開発が変化するかもしれません(一式戦、二式複戦などの長距離戦闘機の需要が増える、重爆撃機の航続距離が伸びる、など)。

>  そもそも艦隊随伴タンカー数は空母部隊の数に見合うのでしょうか(タンカーも増やすのですか?)

 船舶・艦艇に変化がないなら、国力維持用の船舶から借り受けるしかないでしょう。艦艇に変化ありとするなら、日本海軍は昭和8〜9年ごろから、民間優秀商船の航空母艦改装を計画していたとのことですから、昭和12年の「優秀船舶建造助成施設」による、「新田丸(大鷹)」「八幡丸(雲鷹)」「春日丸(沖鷹)」「あるぜんちな丸(海鷹)」「ぶらじる丸(あるぜんちな丸の同型船)」の改装後を空母ではなく、高速給油艦に振り返れば、タンカーは確保できるのではないでしょうか。
 元より、艦載機調達に費用がかかるわけですから、優秀船舶に期待するものも、史実と異なるように思います(イフにイフはよくないでしょうが)。
 また、高速空母多数を保有し、艦載機調達に苦労している状況下で、21〜23ノット小型改装空母の需要はないでしょうし。 

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : んなもんで足りるなら苦労は無いでしょう?  ■名前 : SUDO  ■日付 : 06/12/17(日) 19:53  -------------------------------------------------------------------------
   >  船舶・艦艇に変化がないなら、国力維持用の船舶から借り受けるしかないでしょう。艦艇に変化ありとするなら、日本海軍は昭和8〜9年ごろから、民間優秀商船の航空母艦改装を計画していたとのことですから、昭和12年の「優秀船舶建造助成施設」による、「新田丸(大鷹)」「八幡丸(雲鷹)」「春日丸(沖鷹)」「あるぜんちな丸(海鷹)」「ぶらじる丸(あるぜんちな丸の同型船)」の改装後を空母ではなく、高速給油艦に振り返れば、タンカーは確保できるのではないでしょうか。

 優秀商船群では不足です。理由は単純で搭載量が無いのと数が無いからです。貨物船をタンカーに改造しても、元々構造や強度が違いすぎて総トン数と同等程度の重量トンが搭載限界だったのです。専門のタンカーは総トン数の1.5倍程度の重量トンを搭載できます。
 空母予定だった5隻は、大型タンカーよりも大きい総トン数を誇りますが、タンカーにして積める重量は1万トンタンカーと大して変わらないか少ないぐらいなのです。そして真珠湾攻撃では大型タンカー8隻の随伴が行われました。となると中型空母7隻に必要なタンカーも同じぐらいになるでしょうから、欲しいのは8隻の大型タンカーですから3隻か4隻足りません(出撃前に満タンにする分も含めれば更に不足します)
 船舶助成施設で建造され空母になった大型商船群はどれも各海運会社には「お荷物」でした。大きすぎで速過ぎで、その割には貨物は乗らないし、そもそも大型貨客船の需要なんか限られているのに、あんな数を押し付けられてるのですから、補助金が出ようともその維持は楽ではなかったのは各社の記録を見れば明らかですよね。それを更に倍増させないと、空母の増加を活用する事は出来ないのです。
 結局は軍艦の数を増すのと同じで、それが表向きは軍艦ではないというだけで、補助金で作って維持するなら、国家予算が掛かるのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:んなもんで足りるなら苦労は無いでしょう?  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 19:05  -------------------------------------------------------------------------
   >  優秀商船群では不足です。理由は単純で搭載量が無いのと数が無いからです。貨物船をタンカーに改造しても、元々構造や強度が違いすぎて総トン数と同等程度の重量トンが搭載限界だったのです。専門のタンカーは総トン数の1.5倍程度の重量トンを搭載できます。
>  空母予定だった5隻は、大型タンカーよりも大きい総トン数を誇りますが、タンカーにして積める重量は1万トンタンカーと大して変わらないか少ないぐらいなのです。そして真珠湾攻撃では大型タンカー8隻の随伴が行われました。となると中型空母7隻に必要なタンカーも同じぐらいになるでしょうから、欲しいのは8隻の大型タンカーですから3隻か4隻足りません(出撃前に満タンにする分も含めれば更に不足します)

 タンカー及び優秀商船について、ご教授ありがとうございます。
 優秀船舶が当初から、戦時は空母ではなく高速給油艦となるよう計画されたのであれば、空母にするための「速すぎる」「無駄の多い」設計はされないのではないでしょうか。
 おそらくは大差ない大きさ・基準排水量から見て、剣埼型の代替として建造された、風早型給油艦(基準排水量18,300トン、垂線間長153m、最大幅20.1m、速力16.5ノット、補給能力/重油10,000トン、軽質油1,000トン、12センチ単装高角砲3基)に匹敵する性能の優秀商船として建造されたでしょう。
 別に優秀船の民間形態が客船である必要はないわけで。

 これが5隻で補給重油50,000トンです。空母を動かすのに必要な重油は赤城5,770トン、加賀7,500トン、蒼龍3,400トン、飛龍3,750トン、翔鶴型5,000トンですから、蒼龍なら14隻分の補給量に当たります。他にも海軍所属タンカーとして、神威(補給重油10,000トン/15ノット)、隠戸型3隻(重油8,000トン/12ノット)、知床型7隻(補給重油8,000トン/12ノット)が存在しますし、民間からも徴用できるわけです。

 ですから、優秀商船5隻が高速給油艦として竣工すれば、護衛艦艇を考えても、空母13隻の補給は可能ではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:んなもんで足りるなら苦労は無いでしょう?  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 19:49  -------------------------------------------------------------------------
    また、今調べたもので恐縮ですが、上記であげたものとは別に昭和7年以降の優秀タンカー建造助成で、13隻の艦隊用タンカーを実質的に保有していたそうです。
 ミッドウェーでは空母6隻、戦艦11隻を含むミッドウェーの規模で艦隊展開が行えたわけですから、艦隊用タンカーが29隻もあれば何とかなるのではないかと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 足りなことぐらい算数で出せる世界でしょう?  ■名前 : SUDO  ■日付 : 06/12/18(月) 21:17  -------------------------------------------------------------------------
   >  また、今調べたもので恐縮ですが、上記であげたものとは別に昭和7年以降の優秀タンカー建造助成で、13隻の艦隊用タンカーを実質的に保有していたそうです。
>  ミッドウェーでは空母6隻、戦艦11隻を含むミッドウェーの規模で艦隊展開が行えたわけですから、艦隊用タンカーが29隻もあれば何とかなるのではないかと思います。

 で、そのミッドウェイでどうなったかご存知では?
 日本の備蓄燃料は空っぽになり、原油還送戦力まで根こそぎにした結果、復活に多大な時間が掛かったのだし、各戦隊は燃料の残りを睨みながら恐る恐る走っていたのです。全然余裕が無いというかぎりぎりの全部絞りだしです。全然足りないんですよ。
 大型空母6隻(真珠湾組)で3万トンの燃料、護衛にも約3万トンで、合計6万トン、これで三日分なんです。作戦余裕を2倍として12万トンは欲しいわけで、これが真珠湾に行った8隻の1万総トン(1.5万重量トン)のタンカーという意味です。
 加えて戦艦6隻+大和型、重巡14隻を繰り出したら、これに約7万トン、2個水雷戦隊に6万トンで13万トン、いっぱい突っ走らないとしても、予備も考えると13万トンは計上しないといけません。
 そして、出撃前の満タン化にも15万トンを使います。国内の備蓄タンクから充当するとしても、タンカーが抱えていく25万トンも備蓄から出すのですから洒落にならない規模です。
 つまり全力出撃には出撃前満タン15万に、補給25万の40万トンが必要で、備蓄タンクを使っても1万トン大型タンカー27隻が必要になります。
 ミッドウェイ作戦でギリギリなのが単純計算でもわかりますね。
 そして真珠湾組に匹敵するような規模の機動部隊をもうワンセット出すのですから、満タン5万の補給12万トン、つまりタンカー8隻が最低でも必要になります。さて35隻分の大型タンカーはあるのですか?
 またトラックのような備蓄タンクの無い前進根拠地から出る場合、満タン20万トンに13隻のタンカーを別途充当しないといけません。つまり50隻の大型タンカーが無いと、倍増した空母機動部隊と水上打撃部隊の全力出撃を行えないのです。
 更にこれらとは別に内地への原油還送、各方面の部隊への補給、航空機用ガソリンの輸送にもタンカーは必要です。全然足りませんね。
 そして、このタンカー不足解消に史実では空母になった優秀大型商船を充当すると、これらの船舶が史実で行った高速軍隊輸送や空母改造後の航空機輸送任務が出来なくなります。開戦劈頭の急速進撃によって地歩を固め、資源の確保を狙った日本にとって、その占領地を得る手段であるべき陸上兵力や既知航空機兵力を運搬できないのでは、戦争になりませんな。
 つまりは何ともならないどころか、却って悪くなるのです。根本から戦略を改めないと成立の可能性はありませんね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:足りなことぐらい算数で出せる世界でしょう?  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 21:38  -------------------------------------------------------------------------
    なるほど。ミッドウェーをやったことで、ガ島戦で極端な燃料不足となったという側面があるわけですね。ご指摘の問題は中型空母が増えようと増えまいと、根が深すぎて根本的に解消不能ですね。戦艦群を柱島艦隊にしていた理由が、よくわかりました。

 しかしやはり、ここで書くには知識・洞察が足りませんね。恥ずかしい限りです。
 スレッドの内容も、皆様に充分に吟味して頂けましたので、これにて終了したいと思います。

 ご教授頂いた皆様、どうもありがとうございました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : おうる  ■日付 : 06/12/17(日) 0:50  -------------------------------------------------------------------------
   > > 空母が7隻も増えたら、空母の乗組員だけで約10000人余計に人が必要ですし、空母の護衛艦も考えるともっと必要です。また、空母7隻分の航空打撃力を必要なところに展開させるには、本当に必要な空母の数はもっと多いのではないでしょうか。空母はドックに入りますし、空を飛んでいける陸攻と違って、空母の移動は時間がかかりますし。

>  新規に空母を建造しよう、という話ではありません。
>  「大鯨」以下7隻は史実にも存在した艦艇であり、当然乗組員も配属されていたわけです。これらを空母に改装、もしくは変更したからといって、10,000人も増員する必要があるとは、とても思えないのですが、いかがでしょうか。

 航空戦力を増強する上での最大の課題は搭乗員の育成です。日本海軍は航空機搭乗員の定数を満たしたことがありません。終戦間際ともなれば空母は余っていたぐらいです。
 民間航空産業の未発達な日本で、平時のうちから戦時の搭乗員大量動員に対応できるような航空関係者の育成をするのは不可能に近い難事でしょう。


>  護衛艦については、艦隊決戦に必要な打撃力の多くが高速空母に移行しますから、陽炎型のような決戦用の駆逐艦を減らして、秋月型のような防空駆逐艦が増加したり、保有戦艦のよりいっそうの高速化が図られたりするかもしれません。。

 ただでさえ消耗の激しい駆逐艦をわざわざ減らすことは無いと思います。航空部隊は夜間戦闘を行えない以上、艦隊決戦用の駆逐艦を減らすことは夜襲というカードを捨てることになります。空母機動部隊同士の戦闘がまだ行われていない時期に、夜襲という戦術を犠牲にしてまで防空駆逐艦のような贅沢な艦を配備することは理解を得られないでしょう。
 むしろ戦時急造に適した松型の研究を早期に具体化させるほうが現実的なように思えます(戦訓のない時代に研究される戦時急造駆逐艦がどれほど実戦に即したものに仕上がるかは疑問ですが)。
 戦艦の高速化はないでしょう。
 元々戦艦としては十分に高速ですし、空母は戦艦とは別行動をとることを前提にしているから巡洋艦なみの高速を与えられているわけですし、空母が増えたからといって戦艦が高速化するとは考えにくいと思います。高速化に必要な改装を考えれば費用対効果が悪すぎます。


>  そして、蒼龍型になりえる空母予備艦が7隻あるなら、艦載機多数との差別化として、陸上攻撃機は多数の中攻ではなく、少数の4発大攻になるようにも思えます。航続力も、搭載量も4発機のほうが上であり、索敵でも便利でしょうから。
>
>  これを書くと新規のお題になりますが、では「陸攻の配備を抑制し(開発するが、配備数を大幅に減らす)、代償として、蒼龍型に匹敵する空母7隻と艦載機が、開戦に間に合っていたら」という仮定をしてみましょう。
>
>  真珠湾攻撃では所在米艦隊と航空戦力の大半を殲滅できるでしょう。マレーは水上艦艇のみでも英艦隊を撃破できます(必要なら空母を配備してもいいでしょう)。

 真珠湾は集められるだけの輸送船舶を補給部隊に充当してギリギリ実施できたものです。空母増やす(それも航続力の弱い蒼龍型)となると補給部隊を更に増強しなければ帰還させることができません。実現不可能でしょう。強行すれば他戦線の兵站戦が圧迫される可能性が高いと思います。

>  その後、ポートモレスビー攻略と、インド洋作戦を同時並行で行えるのではないかと思います(進行が史実より早くなる分、連合国の対応は後手に回ります)。
>  連合国側の戦力が史実と大差ないなら(向こうに条約がある以上、大幅に増えることはあり得ませんが)、ポートモレスビーは陥落し、インド洋でも英艦隊を撃破できるでしょう。そして正規空母引き上げ後も、鳳翔、龍穣、隼鷹、飛鷹などでインド洋通商破壊戦を継続すれば、英国、豪州に多大な圧迫が行えます。
>  続いて、正規空母13隻の戦力でミッドウェーを叩くにせよ、米豪分断を行うにせよ、少なくとも緒戦では史実よりも圧倒的に有利ではないかと思います。

 数を集中した方が有利なのは事実ですし、実現したならば航空戦力の消耗は史実よりも少なくできると思います。しかし、数が増えたからとって分散してしまっては旨味が減るのでは? 


>  私は「陸攻を減らせば、空母7隻+艦載機441機の増加は実現できるのではないか」と言っているのであって、空母の方が経済的とか兵站が楽と書いた覚えはないのですが。ちなみに前述した通り、艦艇の数はまったく増えていません。変わっているのは陸攻398機の大半が艦載機に変わった、ということだけです。
>  果たして高くなるものでしょうか。むしろ安くなるような気がします。

 具体的に数値を調べてみたわけでは有りませんが、高くなるような気がします。戦力として維持し、運用するのであれば基地航空隊と母艦航空隊のコストは前者のほうが安いでしょう。
 基地航空隊は勢力圏内の制空権・制海権を維持するために必要な戦力で、所定の位置に存在し続けることが必要です。母艦航空隊とは果たすべき役割が異なります。
 海峡等の要所を恒久的に制圧し続けるのであれば、空母を当該海域周辺に遊弋させるよりは基地航空隊でカバーするほうが合理的ですし、艦上機で担えない任務ではありませんが、艦上機よりも陸上機の方が適しているでしょう。
 広い海域に島嶼が点在している地勢であれば、基地同士の連携を保つためにも航空機の航続力はより長大なものが必要になりますし、その長大な航続力は艦上機にとっては過大といえるものです。
 それぞれが果たすべき役割に応じて特化させ、その上で陸上機を開発すれば結局のところ史実の中攻のような機体が出来上がるのではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 10:27  -------------------------------------------------------------------------
   >  航空戦力を増強する上での最大の課題は搭乗員の育成です。日本海軍は航空機搭乗員の定数を満たしたことがありません。終戦間際ともなれば空母は余っていたぐらいです。
>  民間航空産業の未発達な日本で、平時のうちから戦時の搭乗員大量動員に対応できるような航空関係者の育成をするのは不可能に近い難事でしょう。

 元より陸攻や水上機を削って(搭乗員を転科させたり、必要がなくなった機種に開発予算をかけない)、という話です。必要なら高速空母の代償として、当時でも旧式低速の鳳翔を破棄し、人を回してもいいでしょう。

>  ただでさえ消耗の激しい駆逐艦をわざわざ減らすことは無いと思います。航空部隊は夜間戦闘を行えない以上、艦隊決戦用の駆逐艦を減らすことは夜襲というカードを捨てることになります。空母機動部隊同士の戦闘がまだ行われていない時期に、夜襲という戦術を犠牲にしてまで防空駆逐艦のような贅沢な艦を配備することは理解を得られないでしょう。

 それはそうかもしれませんね。この話で史実と違うのは、基本的には「空母予備艦をより本格的な空母にすることで、陸上航空兵力を抑制した」というところだけですから、戦時急増駆逐艦への研究までは行われないように思います(千歳型を水上機母艦から甲標的母艦に改装する、と同レベルで対象が空母になるだけ)。

>  戦艦の高速化はないでしょう。
>  元々戦艦としては十分に高速ですし、空母は戦艦とは別行動をとることを前提にしているから巡洋艦なみの高速を与えられているわけですし、空母が増えたからといって戦艦が高速化するとは考えにくいと思います。高速化に必要な改装を考えれば費用対効果が悪すぎます。

 高速空母中心の母艦兵力を見込めるなら、戦艦使用のドクトリンも史実と変わってくるのではないでしょうか。
 戦艦の大改装も「大鯨」などとほぼ同時期に行われているわけですから、ベースを25ノットではなく、例えば大和型並みの27ノットにする、などの変更はあるのではないかと思うのですが。どちらにせよ、長門型以外の戦艦では機関換装を行っているのですから、計画で何を重視するか、だと思うのですが。

>  真珠湾は集められるだけの輸送船舶を補給部隊に充当してギリギリ実施できたものです。空母増やす(それも航続力の弱い蒼龍型)となると補給部隊を更に増強しなければ帰還させることができません。実現不可能でしょう。強行すれば他戦線の兵站戦が圧迫される可能性が高いと思います。

 SUDOさまへの返信でも書いた通り「優秀船舶建造助成施設」による優秀船5隻(下手をすれば隼鷹型も)を高速給油艦にすれば、補給部隊の確保は可能ではないかと思います。

>  数を集中した方が有利なのは事実ですし、実現したならば航空戦力の消耗は史実よりも少なくできると思います。しかし、数が増えたからとって分散してしまっては旨味が減るのでは? 

 分散しても、正規空母6隻と7隻で、南雲部隊と同じなのですが。不足でしょうか。侵攻計画を前倒しにできるほうが、奇襲と先制の効果を見込めると思います。

>  具体的に数値を調べてみたわけでは有りませんが、高くなるような気がします。戦力として維持し、運用するのであれば基地航空隊と母艦航空隊のコストは前者のほうが安いでしょう。
>  基地航空隊は勢力圏内の制空権・制海権を維持するために必要な戦力で、所定の位置に存在し続けることが必要です。母艦航空隊とは果たすべき役割が異なります。
>  海峡等の要所を恒久的に制圧し続けるのであれば、空母を当該海域周辺に遊弋させるよりは基地航空隊でカバーするほうが合理的ですし、艦上機で担えない任務ではありませんが、艦上機よりも陸上機の方が適しているでしょう。
>  広い海域に島嶼が点在している地勢であれば、基地同士の連携を保つためにも航空機の航続力はより長大なものが必要になりますし、その長大な航続力は艦上機にとっては過大といえるものです。
>  それぞれが果たすべき役割に応じて特化させ、その上で陸上機を開発すれば結局のところ史実の中攻のような機体が出来上がるのではないでしょうか?

 役割についてのご教授ありがとうございます。「海軍が陸上航空兵力を持つ」ことが当然という認識であれば、そうだと思います。
 ただ、何度か書いていますが、ロンドン条約以前に基地航空などなかったわけで、本来、海軍が陸上航空機多数を保有する事態が異常だと思うのですが。
 以前真珠湾、ミッドウェー、ポートモレスビーなどでの空母13隻の集中を書いたのは、敵国の陸上航空兵力下であっても、艦載機800機以上の大機動部隊であれば、力押しで強襲できると考えるなからです。米国がそうしたように。
 敵の陸上航空兵力が健在でも、敵艦隊を全滅させれば、味方根拠地への陸上兵力上陸は不可能なわけで、空母多数は敵艦隊、もしくは敵艦隊が存在する根拠地を襲撃し、侵攻自体を行えなくすれば、陸上航空はそれほどいらないのではないかと。

 まあ米国のように、陸軍機が洋上で活動できれば、海軍がそこまで予算を陸上航空に裂かなくてもいいわけですが(これこそ実現困難ですが)。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : おうる  ■日付 : 06/12/17(日) 14:21  -------------------------------------------------------------------------
   >  高速空母中心の母艦兵力を見込めるなら、戦艦使用のドクトリンも史実と変わってくるのではないでしょうか。
>  戦艦の大改装も「大鯨」などとほぼ同時期に行われているわけですから、ベースを25ノットではなく、例えば大和型並みの27ノットにする、などの変更はあるのではないかと思うのですが。どちらにせよ、長門型以外の戦艦では機関換装を行っているのですから、計画で何を重視するか、だと思うのですが。

 戦艦を高速化する必要性がまず見出せないと思います。戦艦を無理に高速化しようとすれば何かしら犠牲にせねばなりません(一部の砲を撤去して軽量化する等)。
 まだ発展途上にあり、海のものとも山のものともつかないような母艦航空戦力を主力とするようなことは決して賢い選択ではありませんし、主力とはなりえない母艦航空戦力のために主力たる戦艦を付き合わせることなど誰も賛同してくれないでしょう。
 そのような段階であえて母艦航空戦力主力化を強行しようとすれば、下手したら空母を鈍足化させることで航空機運用能力や個艦戦闘能力を向上させるような選択肢が出てきてしまうかもしれません。


>  SUDOさまへの返信でも書いた通り「優秀船舶建造助成施設」による優秀船5隻(下手をすれば隼鷹型も)を高速給油艦にすれば、補給部隊の確保は可能ではないかと思います。

 補給船を常に空母に同行させるわけではないでしょう。補給船は少なく見積もっても空母の2倍の頭数が必要になるのではないですか?


>  役割についてのご教授ありがとうございます。「海軍が陸上航空兵力を持つ」ことが当然という認識であれば、そうだと思います。
>  ただ、何度か書いていますが、ロンドン条約以前に基地航空などなかったわけで、本来、海軍が陸上航空機多数を保有する事態が異常だと思うのですが。

 現代でも海軍が保有する航空機の多くは陸上基地に配備されて活動するものです。


>  以前真珠湾、ミッドウェー、ポートモレスビーなどでの空母13隻の集中を書いたのは、敵国の陸上航空兵力下であっても、艦載機800機以上の大機動部隊であれば、力押しで強襲できると考えるなからです。米国がそうしたように。

 米軍がそれをやれたのは日本側が戦力を分散し集中できなかったのと、損失に対する補充が間に合わなかったからでしょう。米軍の機動部隊が力押ししたとはいっても、その航空戦力が一度に相手取った日本側航空戦力は決して米機動部隊航空戦力を上回ってはいないのです。
 空母機動部隊の利点は航空戦力を一挙に多量に集中させることができる点と、常に移動するので反抗を受けにくいという点にあります。それ以外の点について基地航空に対しては決して優位なわけではありません。消耗は激しく、維持するだけで莫大なコストがかかり、移動するので反抗されにくいという点を無視すればむしろ基地航空より脆弱ですらあります。
 WW2開戦当初のドイツ陸軍の機甲部隊と同じで、機動力を持って敵の弱いところに戦力を集中できるから驚異的な戦果をあげられるのであって、強固に防御された拠点や有力な敵戦力とがっぷり四つに組んでガチンコ勝負すればいかに強力な空母機動部隊であっても決して楽観はできません。むしろミッドウェーのような手痛いでは済まされないような大出血を強要されることになります。
 いってみれば奇襲専門戦力のようなもので初撃をかわされてしまえば、あとは消耗覚悟で強襲するか、一度離脱して韜晦するしかないんです。
 日本の場合、敵戦力がどこから来るのか分からないので戦力を分散配置せざるをえず、しかもそれぞれ分散した戦力同士が連携できなかったために各個撃破され、その過程で戦力のみならず国力そのものを衰退させてしまい、結果的に米機動部隊による力押しを成功させる要因になってしまいました。
 日本側が同じ真似をしようとしても消耗の激しい母艦航空戦力を維持し続けることができたかどうかは怪しいものがありますし、敵側戦力が分散されたままでいるかどうかも怪しいところです。各個撃破していく過程で敵側の国力を衰退させることは期待できませんし、敵側の戦力は消耗させることが出来ますが戦力補充能力そのものには打撃を与えることが出来ません。
 地の利が敵側にあり、しかも細かい島嶼が点在するソロモン諸島他南太平洋地域は日本の機動部隊が長期にわたって活動するには不利な要素が少なくありません。米豪分断が成功できるかどうかも怪しいかもしれません。

>  敵の陸上航空兵力が健在でも、敵艦隊を全滅させれば、味方根拠地への陸上兵力上陸は不可能なわけで、空母多数は敵艦隊、もしくは敵艦隊が存在する根拠地を襲撃し、侵攻自体を行えなくすれば、陸上航空はそれほどいらないのではないかと。

 それではずるずると兵站維持能力の限界を超えて戦力を前進させなければならないことになります(まあ史実でもそうなっちゃってるわけですが)。
 正面に存在する敵海上戦力を無力化してもそれは一時的なもので敵戦力そのものを消滅させることができるわけではありません。
 米軍が戦争中フィリピンの抗日活動への支援を絶やすことなく続けたように、制海権を確保すれば敵勢力による活動をなくすことができる・・・つまり防衛戦力をおく必要が無くなるというわけではないのです。
 潜水艦や仮装巡洋艦による通商破壊は敵勢力下の海域であっても実施されるものですし、敵戦力生産能力が維持されたまま正面に集中された敵戦力が消滅するということは、敵の反抗がどこから来るかわからなくなるということでもあります。
 米豪が分断されて南方資源地帯を確保できたとしても、それらの資源地帯の資源を日本に運び、戦力化できるような体制が完成するまでには時間が必要です。
 その間、北はアリューシャンから南はソロモンに至るまでの長い戦線を13隻の空母でどう防御するつもりですか?
 まさか空母を分散配置するわけにもいきませんから、敵の反抗に備えるための哨戒線を構築するために基地航空が必要になりますし、敵の通商破壊や抗日活動支援のために密輸を阻止するためにも基地航空は必要になります。
 離れた島嶼同士で連携させるためにも長大な航続力を持った陸上機が必要になり、もっとも安価に必要な性能を持った陸上機を開発しようと思えば結局のところ双発の中攻になってしまうのではありませんか?
 高性能で高価な4発大攻を運用できるような規模の航空基地を個々の島嶼に設置させ、あまり数をそろえることもできないような4発大攻を少数ずつ分散配置させるのは効率がかえって悪化します。密度の薄さから哨戒線に穴が開くでしょうし、少数ゆえに一機でも喪失すれば埋め合わせが聞かなくなるなんてことになるかもしれません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明  ■日付 : 06/12/18(月) 16:50  -------------------------------------------------------------------------
   > 戦艦を高速化する必要性がまず見出せないと思います。戦艦を無理に高速化しようとすれば何かしら犠牲にせねばなりません(一部の砲を撤去して軽量化する等)。
 まだ発展途上にあり、海のものとも山のものともつかないような母艦航空戦力を主力とするようなことは決して賢い選択ではありませんし、主力とはなりえない母艦航空戦力のために主力たる戦艦を付き合わせることなど誰も賛同してくれないでしょう。
 そのような段階であえて母艦航空戦力主力化を強行しようとすれば、下手したら空母を鈍足化させることで航空機運用能力や個艦戦闘能力を向上させるような選択肢が出てきてしまうかもしれません。

 昭和7年の時点で長門型戦艦は機関部を改善し、29.3ノットの高速戦艦となる計画がありました。空いた空所に9機の航空機(観測機3機、水爆6機)を搭載する計画で、そのための「飛行機上下機(日立製作所製)」もすでに納入済みだったそうです。扶桑型についても、昭和8年に飛行機上下機が発注・納品されているそうですが。これは、砲塔を撤去して機関増設を行うことを想定しているように感じられます。
 大和型戦艦についても、当初計画にあった高速と主砲塔の前部集中は、軍令部が敵空母追撃戦を想定したためであり、味方空母から100浬前方に進出した大和型戦艦を32ノットで進撃させることで、艦載機収容のために7時間はその場に留まらざるを得ない敵空母を直接攻撃するとの構想があったそうです。この航空・高速艦隊の方針が覆ったのは、昭和7年2月に艦隊派の伏見宮元帥が軍令部長に就任し、方針変更が行われたことによる、とのことですが。
 BUNさま、伸さまへの返信にも書きましたが、遠藤昭氏の著作が事実であれば、戦艦の高速化は対米九段作戦の実施上必然であり、必ず行われたのではないかと思います。

> 補給船を常に空母に同行させるわけではないでしょう。補給船は少なく見積もっても空母の2倍の頭数が必要になるのではないですか?

 では空母補助艦の数を減らせば成立するのではないでしょうか。

> 現代でも海軍が保有する航空機の多くは陸上基地に配備されて活動するものです。

 当時の話。特にロンドン条約締結直後の話をしているのですが。

> 米軍がそれをやれたのは日本側が戦力を分散し集中できなかったのと、損失に対する補充が間に合わなかったからでしょう。米軍の機動部隊が力押ししたとはいっても、その航空戦力が一度に相手取った日本側航空戦力は決して米機動部隊航空戦力を上回ってはいないのです。

 フィリピンや台湾沖航空戦を考えると、そうは思えませんが。陸上機が戦力集中を行う戦略機動中に断続的に各個撃破されたように感じます。

> 空母機動部隊の利点は航空戦力を一挙に多量に集中させることができる点と、常に移動するので反抗を受けにくいという点にあります。それ以外の点について基地航空に対しては決して優位なわけではありません。消耗は激しく、維持するだけで莫大なコストがかかり、移動するので反抗されにくいという点を無視すればむしろ基地航空より脆弱ですらあります。

 承知しておりますが、では一つの基地が800機もの艦上機の空襲に対抗できるのでしょうか。
 滑走路の数を考えても、陸上基地の800機よりも空母からの発進のほうが滑走路が多いだけ、その威力は集中的だと考えます。またいつ、どこを襲うかわからない大機動部隊に対抗できる機数を、重要根拠地すべてに配置できるほど、昭和16〜18年の連合国は強大ではないと思います。
 そして兵力配置状況は二式大艇など、大航続力の航空索敵により、限定的ですがアウトレンジできます。
 常にハワイを“強襲”できる日本機動部隊がある状況で、米国は史実ほど大胆になれるでしょうか。

> 米豪が分断されて南方資源地帯を確保できたとしても、それらの資源地帯の資源を日本に運び、戦力化できるような体制が完成するまでには時間が必要です。
 その間、北はアリューシャンから南はソロモンに至るまでの長い戦線を13隻の空母でどう防御するつもりですか?

 どちらにせよ、昭和17年中にケリをつけなければ、全然勝ち目はないわけで、ミッドウェーのように、こちらがイニシアティブをとり続けていくしかないのではないかと。
 資源を得ても、長期戦になった時点で終わりであり、基地航空隊は敵の予想もつかないところから攻撃することはできません。勝ちに行くなら空母+大艇・潜水艦での長距離索敵でしょう。

 時間がないので、続きはのちほど。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : おうる  ■日付 : 06/12/18(月) 21:10  -------------------------------------------------------------------------
   >  BUNさま、伸さまへの返信にも書きましたが、遠藤昭氏の著作が事実であれば、戦艦の高速化は対米九段作戦の実施上必然であり、必ず行われたのではないかと思います。

 史実では行われておりませんし、それらを実施するとなれば空母7隻の増加配備は史実よりも更に難しくなります。
 また戦艦を実際に高速化させ、さらにその構想のように大機動力を持って運動するような作戦を実施するためには補給用船舶が更に不足することになります。


>  では空母補助艦の数を減らせば成立するのではないでしょうか。

 空母にはある程度の護衛が必要であり、機動部隊が縦横に機動すれば護衛も同じように機動します。それらへの補給船を減らしたいので空母以外の艦を減らすとなれば、空母に随伴する護衛を減らすしかないのでは?
 他の艦隊に所属する艦を数隻減らしたところで必要となる頭数が極端に増減するとは思えません。


>  当時の話。特にロンドン条約締結直後の話をしているのですが。

 航ロンドン条約締結直後に限らず、空機黎明期から現代に至るまでの間で、海軍に所属する航空機で艦上機&艦載機が基地配備機を数で上回った例があるのなら知りたいものです。


>  フィリピンや台湾沖航空戦を考えると、そうは思えませんが。陸上機が戦力集中を行う戦略機動中に断続的に各個撃破されたように感じます。

 つまり分散配置から集中する前に各個撃破されたのであり、事実上基地間の連携できなかったんです。
 侵攻作戦を練る上では、防衛部隊は連携できないはずだと断定できる材料が無いかぎり、敵が連携するであろうことは前提とせねばなりません。


>  承知しておりますが、では一つの基地が800機もの艦上機の空襲に対抗できるのでしょうか。
>  滑走路の数を考えても、陸上基地の800機よりも空母からの発進のほうが滑走路が多いだけ、その威力は集中的だと考えます。またいつ、どこを襲うかわからない大機動部隊に対抗できる機数を、重要根拠地すべてに配置できるほど、昭和16〜18年の連合国は強大ではないと思います。

 航空基地というのは空母のように攻撃すれば沈むような脆弱な存在ではありません。空母のように移動することもなく、攻撃は受け易いのは事実であり、多数機による航空攻撃は絶対に防ぐことができないのも事実です。しかし、航空基地は比較的短期間で機能を回復する強靭さを持っており、航空攻撃というのは短時間で集中発揮できる攻撃力こそ強大ですが、与える被害の性質は一過性の嵐のようなものでしかありません。
 本来一過性のものでしかない空母機動部隊の航空攻撃を継続しようとすれば、大規模な補給を継続する必要があります。そして陸上兵力が当該基地を制圧するか、周辺海域を包囲して完全に孤立させ、機能回復を絶望的なものとしない限り、当該基地への警戒や攻撃は継続する必要があります。
 短期に一挙に島嶼そのものを孤立させて陸上兵力で制圧することができない以上、当該基地を攻略し終わるか付近に友軍基地を建設し稼動させるまでの間、空母機動部隊は付近の海域(敵側に地の利のある海域)を遊弋し続ける必要があります。
 おおよそこの海域にいるということが分かれば攻撃を実施することは不可能ではなく、多数機による航空攻撃は防ぐことができません。結果的に無傷だったとはいえ史実のインド洋作戦中の南雲機動部隊も冷や汗をかいたことがあるように、南方作戦中全期間を通して敵空襲圏内を遊弋する艦船が無傷で済むと考えるのは楽観的過ぎます。


>  そして兵力配置状況は二式大艇など、大航続力の航空索敵により、限定的ですがアウトレンジできます。

 二式大艇が何機存在したかを考える必要があるでしょう。
 大航続距離に頼った少数機での哨戒は哨戒網の密度が極端に薄くなります。史実でさえ容易に突破された哨戒網を、さらに密度を薄くして米側の反抗に備えることができるとは考えられません。


>  常にハワイを“強襲”できる日本機動部隊がある状況で、米国は史実ほど大胆になれるでしょうか。

 日本海軍の兵站能力で「日本の機動部隊は常にハワイを強襲できる」と米国側が思い込む理由が見当たりません。
 米側は戦前の日本がどれだけの石油を輸入し、消費し、備蓄していたかかなりの程度まで予測することが可能です。12隻の戦艦や13隻の高速空母を中心とする艦隊を縦横に動き回らせることがどれだけの石油を消費するかを予想することも難しいことではないでしょう。
 また、それらの情報が無かったとしても「常に強襲できる」くらいなら最初から攻略してしまうものです。できないから一撃離脱しているんだということぐらいは誰でもわかります。一撃離脱の奇襲に長期戦はありえず、長期戦の備えの無い攻略などありえません。


>  どちらにせよ、昭和17年中にケリをつけなければ、全然勝ち目はないわけで、ミッドウェーのように、こちらがイニシアティブをとり続けていくしかないのではないかと。
>  資源を得ても、長期戦になった時点で終わりであり、基地航空隊は敵の予想もつかないところから攻撃することはできません。勝ちに行くなら空母+大艇・潜水艦での長距離索敵でしょう。

 長期戦になれば日本側に勝ち目がなくなるのは誰の眼にも明らかです。つまり米側もそれは百も承知しているのです。米側の反抗の目処が全く立たなくならないかぎり、米側が和平に応じることはありません。そして、そのような状況に米側を追い詰めることができるほどの戦力は日本にはありません(正面戦力のみがそろっていてもスタミナがもたない)。
 また、長期戦になれば負けだから短期間に勝利を収めなければならないという理由は、長期戦への備えを最初から放棄してよいという理由にはなりません。和平が確定するまで、政治家や軍人は戦争継続を前提にした政策や作戦・軍備を考え続けねばならないのです。
 あなた1人が「これで勝てなければどうせ負けなんだから」と納得しても、その後の戦争への構想を放棄することは軍人・政治家には許されないことであり、和平の道筋が実際に具体化しないかぎりは戦争継続の思索を放棄することはありえないのです。
 日本がハワイまで攻略してしまわないかぎり、米側の反抗の目処はなくなることはありません。17年中までに米豪分断から南方資源地帯制圧し、その上でハワイまで攻略してしまうことは不可能です(どれだけ艦隊や航空隊ががんばろうとも陸上兵力の展開が絶対に間に合わない)。
 つまりハワイからの反抗に備えることが必要になり、そのためには太平洋を縦断する哨戒網を構築する必要があり、そのためには4発大攻や大艇などを充てたのでは数が圧倒的に不足してしまうのです。
 高速の正規空母を哨戒に当たらせるのは愚作です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 21:40  -------------------------------------------------------------------------
    ご教授ありがとうございます。
 私の主張に無理があるようですね。お手数をおかけ致しました。
 これにてスレッドを終了したいと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/16(土) 15:07  -------------------------------------------------------------------------
    実際に空母だと何名程度増えるのか、まとめてみました。
 余談ですが蒼龍型の初期計画は基準排水量10,050トンでありながら、飛行甲板延長233mで計画されていたことには、驚きました。艦載機72機搭載とのことなので、発艦用に長く取ったのでしょうか。

 さすがに空母の乗員数は多いですね。とはいえ7隻で3,500名程度増員すれば間に合いそうです(蒼龍ベースの艦艇だと実際に建造された艦よりは船体が大きいので、少し差が少なくなるでしょうが)。
 昭和12年計画の日進は、蒼龍ではなく準・飛龍型となって登場しそうです。

 潜水母艦大鯨型:基準排水量10,000トン/211.12m×18.8m/430名/昭和8年度計画/1隻
 潜水母艦剣埼型:基準排水量 9,500トン/ 200.0m×18.0m /不明 /昭和9年度計画/2隻
水上機母艦千歳型:基準排水量11,023トン/192.5m×18.8m /不明 /昭和9年度計画/2隻
水上機母艦瑞穂型:基準排水量10,929トン/183.6m×18.8m /689名/昭和9年度計画/1隻
高速敷設艦日進型:基準排水量11,317トン/188.0m×19.7m/750名/昭和12年度計画/1隻

 航空母艦蒼龍型:基準排水量15,900トン※/227.5m×21.3m/1,100名/昭和9年度計画/2隻
 ※公称10,050トン。計画性能は15.5cm砲5門、36ノット、飛行甲板延長233m。艦載機72機+補用機。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/16(土) 11:33  -------------------------------------------------------------------------
   対空母先制攻撃用の水爆と、対主力艦の陸攻と。
どちらか一方に統一してしまうという筋のものなのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空軍備の限界を超えた建造はない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/16(土) 14:18  -------------------------------------------------------------------------
   > 対空母先制攻撃用の水爆と、対主力艦の陸攻と。
> どちらか一方に統一してしまうという筋のものなのでしょうか?

 主力艦攻撃任務については赤城、加賀+陸攻、対空母先制攻撃用が蒼龍、飛龍+水上爆撃機という区分は、昭和12年の「艦船飛行機搭載標準」などで定められたと聞いておりました。蒼龍の計画は昭和9年度第2次補充計画ですが、昭和9年時点で、陸攻と水上爆撃機の役割区分が想定されていたということでしょうか。
 この時期でも、赤城型用双発艦攻として、後の九三式陸攻の改良を進めているので、大型空母に艦攻という思想はあったのだと思いますが……。また、昭和7年に七試大攻として、後の九五式陸攻の試作が始まっているので、この時点でも陸上攻撃機の運用思想は確固たるものだったのかもしれません(九六式までまともな機材がない状況は変わりませんし、九六式も大陸で脆弱性を露呈するわけですが)。
 とはいえ、水上爆撃機は十二試ですから、陸攻と水上爆撃機の役割区分を一括りで論じるべきでしょうか。
 
 何より、昭和5年のロンドン条約制限下で陸攻という思想が始まったわけですが、「大鯨」以下7隻を「蒼龍」と同一船体にするという、今回出ている話が実現する状況を想定するなら、昭和一桁代での陸攻計画に対する評価が史実よりも低い場合が適当だと思います。この場合、戦時急速改装で増勢する味方航空母艦を主とした、対米戦備を想定するのではないでしょうか。

 そういう状況であれば、敵艦隊への航空攻撃は(戦艦も空母も)味方空母艦載機を主とし、補助として陸上攻撃機の運用を行うという想定がされることは、不思議ではないように考えます。
 当時の米国が保有する空母数から考えて、正規空母7隻増強に目処が立つということは「制空権下の艦隊決戦計画」に目処が立つということではないでしょうか。

 陸上機が補助機材であれば、双発機よりもより索敵範囲が広い、四発機での敵艦隊早期発見、という開発方針となり、双発陸攻は重視されないように思います。
 もちろん、正規空母7隻増強という目処が立つなら、敵空母攻撃も空母で充分に行えるわけで、当初から重巡や水上機母艦に運用性の劣る水上爆撃機を搭載するという話にはならないのではないかと。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 中型空母は万能ではない  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/17(日) 9:43  -------------------------------------------------------------------------
   そもそも海軍の航空軍備の中核は対主力艦攻撃用の大型魚雷の運搬手段の確保(陸攻、攻撃飛行艇、双発艦攻)であり、同時に決戦の第一段階として空母同士の潰し合いが想定されたために対空母先制攻撃の手段として艦上軽爆が案出され、のちにこの補強として水爆がこれに加えられます。
それらの目的はのちに区分されたのではなく、それぞれ意図あって開発されたものです。
大型、中型の空母の用法もこれと同様で、建艦当初からのものです。

双発艦攻というと九三中攻が思い出されるかもしれませんが、これは出発点に過ぎず、14年頃の実計でも天山とならんで三菱に十四試双発艦攻を作らせる案が存在しています。こうした大型艦攻を発艦させる為に第一艦隊用の大型空母が必要だったのであり、第二艦隊の中型空母勢力を増勢したところでこれに代えることは出来ません。仮に陸攻が困難となったとすると、そこで必要性が高まるのは中型空母ではなく、翔鶴以上の大型空母ということになるのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:中型空母は万能ではない  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 10:32  -------------------------------------------------------------------------
   > そもそも海軍の航空軍備の中核は対主力艦攻撃用の大型魚雷の運搬手段の確保(陸攻、攻撃飛行艇、双発艦攻)であり、同時に決戦の第一段階として空母同士の潰し合いが想定されたために対空母先制攻撃の手段として艦上軽爆が案出され、のちにこの補強として水爆がこれに加えられます。
> それらの目的はのちに区分されたのではなく、それぞれ意図あって開発されたものです。
> 大型、中型の空母の用法もこれと同様で、建艦当初からのものです。

 ご教授ありがとうございます。勉強になります。

> 双発艦攻というと九三中攻が思い出されるかもしれませんが、これは出発点に過ぎず、14年頃の実計でも天山とならんで三菱に十四試双発艦攻を作らせる案が存在しています。こうした大型艦攻を発艦させる為に第一艦隊用の大型空母が必要だったのであり、第二艦隊の中型空母勢力を増勢したところでこれに代えることは出来ません。仮に陸攻が困難となったとすると、そこで必要性が高まるのは中型空母ではなく、翔鶴以上の大型空母ということになるのです。

 その場合、新規建造する大型空母(翔鶴型、大鳳型)を主力艦攻撃任務にあて、中型空母多数は敵空母攻撃用にあてればいいのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : さらに第三の空母用法  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/17(日) 18:53  -------------------------------------------------------------------------
   > その場合、新規建造する大型空母(翔鶴型、大鳳型)を主力艦攻撃任務にあて、中型空母多数は敵空母攻撃用にあてればいいのではないでしょうか。

実際に、大鯨、高崎、剣崎は戦時には空母に改装し艦爆を搭載して敵空母攻撃に充てる方向で出発しています。これらの艦型が小さいのは軍縮条約との関係上のものですから如何ともしがたいものがあります。
のちには、これらの改装空母には主力部隊の随伴艦としてのポジションと、弾着観測と主力艦上空直衛任務が与え直されています。この時点で空母に対する第三の用法が出現しているのです。主力艦が前面に出て戦闘する可能性が残されている以上、これらの任務を放擲するわけにはいきません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:さらに第三の空母用法  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 19:34  -------------------------------------------------------------------------
   > 実際に、大鯨、高崎、剣崎は戦時には空母に改装し艦爆を搭載して敵空母攻撃に充てる方向で出発しています。これらの艦型が小さいのは軍縮条約との関係上のものですから如何ともしがたいものがあります。

 ご教授ありがとうございます。瑞雲さまに書きましたので、繰り返しませんが、基準排水量10,000トンでの蒼龍型船体は可能だと考えます。

> のちには、これらの改装空母には主力部隊の随伴艦としてのポジションと、弾着観測と主力艦上空直衛任務が与え直されています。この時点で空母に対する第三の用法が出現しているのです。主力艦が前面に出て戦闘する可能性が残されている以上、これらの任務を放擲するわけにはいきません。

 以前「当時の「主力艦に直衛空母を回せ」という要求に対しても、準・蒼龍型であれば充分ではないでしょうか」と書いた通りです。
 この話では史実より空母が多いわけですし、龍驤、鳳翔もあるわけですから、役割分担を適切にすれば、主力艦直衛空母は配属できるのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 何が面白いのかわからなくなっています  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/18(月) 20:06  -------------------------------------------------------------------------
   蒼龍及びその原案はG8、G9であり、大鯨はこれらよりも明らかに前に位置します。大鯨第二状態の基本計画番号はG7であり、9600トンと想定されているのです。
計画番号をさらに遡ると、G5は9800トンの空母案、G6は17500トンの航空巡洋艦原案です。
マル1からマル2計画にかけて、日本海軍は10000トン弱の空母(及び空母予備艦)と、18000トン級の航空巡洋艦(蒼龍もここを出発点とする)を作り比べようとしていた時期だということがいえます。この時期にあっては、航空補給艦としては10000トン弱でよく、蒼龍は本来は航空巡洋艦であるからある程度の規模を備えていたのです。
御存知のように、純空母としての蒼龍成案はこの後様々な経緯を経て結果的に成立したものです。
このような歴史的発展を度外視して、いきなり大鯨に航空巡洋艦と同級の船殻を与えようとしても、それは説得力を欠くだけなのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:何が面白いのかわからなくなっています  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 21:53  -------------------------------------------------------------------------
    ご教授ありがとうございます。

> 蒼龍及びその原案はG8、G9であり、大鯨はこれらよりも明らかに前に位置します。大鯨第二状態の基本計画番号はG7であり、9600トンと想定されているのです。
> 計画番号をさらに遡ると、G5は9800トンの空母案、G6は17500トンの航空巡洋艦原案です。
> マル1からマル2計画にかけて、日本海軍は10000トン弱の空母(及び空母予備艦)と、18000トン級の航空巡洋艦(蒼龍もここを出発点とする)を作り比べようとしていた時期だということがいえます。この時期にあっては、航空補給艦としては10000トン弱でよく、蒼龍は本来は航空巡洋艦であるからある程度の規模を備えていたのです。

 蒼龍が航空巡洋艦だということは理解していましたが、鳳翔破棄の代償として空いた21,000トンの空母建造枠で作られた10,050トン空母だと思っておりましたので、当初18,000トン級の計画とは考えませんでした(鳳翔破棄をしない場合での13,500トン航空巡洋艦なら聞いたことがありますが)。
 また別で書きましたが、私の主張の根拠として、遠藤 昭氏の著書記述があります。御指南頂いた内容とはやや食い違うようですが、遠藤氏の論拠がわからないと、真偽を確かめようがありませんので、スレッドを維持できないと考えております。

> 御存知のように、純空母としての蒼龍成案はこの後様々な経緯を経て結果的に成立したものです。
> このような歴史的発展を度外視して、いきなり大鯨に航空巡洋艦と同級の船殻を与えようとしても、それは説得力を欠くだけなのではないでしょうか。

 歴史的背景は可能な限り踏まえたつもりだったのですが、根本的に知識不足であり、ご迷惑をおかけ致しました。これにて失礼致します。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : その計算はおかしい  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/17(日) 1:43  -------------------------------------------------------------------------
   >陸攻398機に必要な搭乗員は、合計2,786人ですから、搭乗員については余裕で確保できると考えます。

生産機数が398機あったからといって第一線に400機の陸攻が存在した訳ではありません。
398機はそれより遥かに少ない数の第一線兵力を維持するために生産された機体の合計なのです。
また、陸攻の機数を単発艦上機の機数に換算することも単純ではありません。機体の更新は第一線の母艦機の方がサイクルが短く、陸攻の数分の一でしかありません。陸攻は1000時間を経過する機体も珍しくありませんが、母艦機は200時間をまず超えません。
母艦機400機を活動させるにはその倍程度の熟練操縦者を調達する必要がありますし、その機体は年度ごとにほぼ全数を更新する必要があります。
陸攻を全廃して基地航空の攻撃力を消滅させても母艦機400機増は困難です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:その計算はおかしい  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 10:47  -------------------------------------------------------------------------
    母艦機と陸上機のサイクルの違いがそこまでとは思いませんでした。
 搭乗員については、正確な数値というより、目安を書いたつもりなのですが、不適切なのかもしれませんね。ただ陸攻であっても、予備の搭乗員が必要なのは変わりないでしょうし、水上爆撃機構想がなくなる分の水母搭乗員は、空母配属となるでしょうから、不可能とまでは言い切れないのではないでしょうか。

 また陸攻が母艦機の5倍以上長持ちするとのことですが、年度ごとに交換する母艦に対して、5倍の5年間使用することは、性能面での陳腐化を考えると、難しいのではないでしょうか(つまり、これも単純に比較できないのではないかと愚考致します)。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:その計算はおかしい  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/17(日) 10:59  -------------------------------------------------------------------------
   >  また陸攻が母艦機の5倍以上長持ちするとのことですが、年度ごとに交換する母艦に対して、5倍の5年間使用することは、性能面での陳腐化を考えると、難しいのではないでしょうか(つまり、これも単純に比較できないのではないかと愚考致します)。

五倍長持ちする訳ではありません。
もちろん艦上機よりはるかに長期間にわたって使用されますが、
大型機は飛行時間が長く、艦上機は短いということです。
それは機数だけでは比較できない能力の差があるということで、
陸攻と艦上機は軍用機として全く別の存在です。
また、水爆を採用しなければ水上機搭乗員に余剰が生まれる、という可能性も無いでしょう。
史実の如く水爆が無くとも第二艦隊の水偵を大幅に減少させる訳には行かないからです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:その計算はおかしい  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 11:15  -------------------------------------------------------------------------
   > 五倍長持ちする訳ではありません。
> もちろん艦上機よりはるかに長期間にわたって使用されますが、
> 大型機は飛行時間が長く、艦上機は短いということです。

 ご教授ありがとうございます。

> それは機数だけでは比較できない能力の差があるということで、
> 陸攻と艦上機は軍用機として全く別の存在です。

 つまり、中型空母が何隻あったとしても、ドクトリンの変更・運用の工夫などでは陸攻が担ったであろう、役割の代替を行うことはできないということですね。

> また、水爆を採用しなければ水上機搭乗員に余剰が生まれる、という可能性も無いでしょう。

 千歳型水母配備の54機の話です。これだけで搭乗員108名になりますから。また、史実で瑞鳳型、龍鳳、大鷹型などに配備した(予定していた)艦載機は増加分の441機からマイナスされますから、441機純増というつもりはありませんでした。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機母艦を削れるか?  ■名前 : らいおん  ■日付 : 06/12/17(日) 0:01  -------------------------------------------------------------------------
    日中戦争で実戦で活躍している中攻を削減するのはかなり難しいのではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機母艦を削れるか?  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 9:37  -------------------------------------------------------------------------
   >  日中戦争で実戦で活躍している中攻を削減するのはかなり難しいのではないでしょうか?

 今展開している陸攻の話はロンドン条約締結後の、昭和8〜9年の軍備計画です。日中戦争は昭和12年7月7日に始まったので、戦時改装空母が史実における陸攻の役割をある程度担うのであれば、史実のように中攻を配備する予算はないのではないかと。
 中攻がそこにあったから、大陸での戦いに投入したのであって、ロンドン条約以前に基地航空戦力はなく、当時の感覚では母艦航空&水上機=海軍航空と認識されていたのではないかと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 基地を基点とする大型機の重要性認識  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/17(日) 10:05  -------------------------------------------------------------------------
   > 中攻がそこにあったから、大陸での戦いに投入したのであって、ロンドン条約以前に基地航空戦力はなく、当時の感覚では母艦航空&水上機=海軍航空と認識されていたのではないかと思います。

その論法で行くと、攻撃飛行艇の立ち位置がなくなってしまっていますね。
日本海軍の大型全金属製飛行艇をものにしようとする努力は、鳳翔への搭載機開発開始と同時期にすでに始まっています。
この延長として、空母では運用できない大型攻撃機の開発は昭和5年頃から陸上機へも支線を伸ばし始め、これが広廠七試特攻や三菱への沿岸用攻撃機発注につながって行きます。昭和5年の段階で、海軍は攻撃用大艇に大きな期待を抱いており、陸攻はいずれ整備しなくてはならないものになっていました。

空母と小型水上機だけが海軍航空だとは、大正時代にまで遡っても、そう述べることは出来ないのです。

> 戦時改装空母が史実における陸攻の役割をある程度担うのであれば、史実のように中攻を配備する予算はないのではないかと。

別項でも述べましたように、蒼龍クラスの戦時改装空母の搭載機では陸攻に匹敵する戦力とはみなされ得ないのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:基地を基点とする大型機の重要性認識  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 11:03  -------------------------------------------------------------------------
   > 空母と小型水上機だけが海軍航空だとは、大正時代にまで遡っても、そう述べることは出来ないのです。

 ご教授ありがとうございます。そういうことであれば、BUNさまへの返信も的はずれですね。

> 別項でも述べましたように、蒼龍クラスの戦時改装空母の搭載機では陸攻に匹敵する戦力とはみなされ得ないのです。

 そこまで陸攻を重視していたのなら、難しいですね。ありがとうございました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 空母増強の意義は別にある  ■名前 : 出沼ひさし  ■日付 : 06/12/17(日) 3:56  -------------------------------------------------------------------------
    高村さんの言うように「瑞鳳」「祥鳳」「大鯨」「千歳」「千代田」「瑞穂」「日進」を蒼龍型船体で建造し、開戦前に空母に改装したとしても、それが直ちに戦力増強に結びつく可能性は少ないと思います。開戦時にこれらの空母に艦載機を供給することや、給油艦を回すなどの支援体制を整えることは当時の日本の国力では不可能だと思えるからです。
 例えば、1、2、5航戦に飛行機と搭乗員を集中した結果、3航戦、4航戦の搭乗員と飛行機が不足したこと、「隼鷹」が竣工しても搭乗員も飛行機も定数を満たせなかったこと、戦前の油槽船の顧客は事実上海軍のみで、陸軍と民需はお話にならないほど少なく、商売として成立していなかったことなどの事実を考えれば、理解できるかと思います。
 もちろん、他の何かを犠牲にすれば戦力化は可能かも知れませんが、その分のしわ寄せはどこかに出る訳で、それが史実と比べてより良い選択肢だったかどうか検証するのは不可能でしょう。
 増してや、このような日本の飛行機産業の基盤の弱さ、油槽船需要の少なさといった要素(=国力と言って良いでしょう)はちょっと歴史をいじるだけでは覆せないと思います。

 では高村さんの案に意義はなかったかというと、そんなことはないと思います。仮に戦況の推移が珊瑚海海戦までは史実通りだとして、高村さんの案に有利な状況にするならば
1 珊瑚海海戦の「祥鳳」は搭載機=防空力の増加と船体の大型化で撃沈を免れる
2 「日進」は進水後に空母として竣工させることが決定していた
上記2点の変更により、ミッドウェー海戦の結果が史実通りだとしても、その損害を帳消しに出来ます。
ミッドウェー海戦後の日本空母勢力
大型空母「翔鶴」「瑞鶴」「瑞鳳」「祥鳳」「日進」「隼鷹」「飛鷹」(「瑞穂」は水上機母艦として沈没)
小型空母「龍驤」「鳳翔」
特設空母「春日丸」

その後の推移が史実通りだとすると、マリアナ沖海戦に参加可能な兵力は
「大鳳」「翔鶴」「瑞鶴」「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」「千歳」「千代田」「日進」「隼鷹」「飛鷹」(「日進」は空母のため沈没していないとしました)と大型11隻、搭載機約680機が見込めます。

また、捷号作戦時の空母兵力は
「瑞鶴」「雲龍」「天城」「葛城」「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」「千歳」「千代田」「日進」「隼鷹」
大型11隻で、「葛城」以外は行動可能ですから10隻は捷号作戦に投入できそうです。

 もちろん、これらの空母に搭載機と燃料を潤沢に供給できるとは限りませんが、ソロモンでの米海軍の損害がより増加するとか、マリアナ沖海戦で米機動部隊の1〜2個群を壊滅させたりとか、捷号作戦における艦隊の運用方法が特攻的ではなく、よりまともな作戦になる可能性があると思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母増強の意義は別にある  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/17(日) 8:46  -------------------------------------------------------------------------
   その理屈なら、空母予備艦が全て翔鶴型船体であればもっと都合が良い、ということになってしまいますね。
条約下で蒼龍クラスの機動航空部隊を構想できる軍令部を日本が持つのだとしたら、歴史そのものが全く別の世界に向って歩みだしてしまいます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母増強の意義は別にある  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 10:58  -------------------------------------------------------------------------
   > その理屈なら、空母予備艦が全て翔鶴型船体であればもっと都合が良い、ということになってしまいますね。

 ロンドン条約での補助艦艇制限10,000トン内で、合法的に有力空母予備艦多数を持つという趣旨ですし、計画年度から考えてもそこで翔鶴型という話はあんまりだと思います。翔鶴型では諸外国に10,000トン型とは強弁できませんし、建造予算としても7隻はとても無理だと思います(蒼龍型空母予備艦であっても7隻ではなく、1〜2隻減るかもしれませんが)。

> 条約下で蒼龍クラスの機動航空部隊を構想できる軍令部を日本が持つのだとしたら、歴史そのものが全く別の世界に向って歩みだしてしまいます。

 航空機動部隊を先見性を持って構想した、というよりは「前例も有力機材もない陸攻に海軍航空を委ねるのは不安があるため、前例のある航空母艦主体の戦備にした。その戦力でできることを構想したら、結果的に航空機動部隊になった」という受動的なニュアンスで考えた議題なのですが。
 歴史についてはある程度は変わると思いますが、空母が活躍しても最終的には日本が敗北して、史実と大差ない流れに戻るでしょう(結局原爆にもB36にも対抗できませんから)。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : むしろ逆の認識が自然  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/17(日) 11:24  -------------------------------------------------------------------------
   >「ものになるかわからない陸攻よりも、今までの軍備の延長である空母多数の確保」
>「前例も有力機材もない陸攻に海軍航空を委ねるのは不安があるため、前例のある航空母艦主体の戦備にした。その戦力でできることを構想したら、結果的に航空機動部隊になった」という受動的なニュアンス

当時の海軍中央の認識としてはむしろ逆でしょう。
既に飛行艇の運用経験を持ち、陸攻の基本構想が存在する中で七試で大攻が試作されている一方、蒼龍型の主たる搭載機の艦爆は七試を失敗し、八試が難航、応急的な輸入機に頼らざるを得ない状況です。
母艦そのものも運用が定まらず、新型機運用に必要な着艦制動装置、制止装置も試作中で、現行の旧型機は着艦制動装置無しで運用されているといった段階ですから「搭載機の性能向上と発着兵器の完成に不安のある航空母艦よりも、より確実で一部実績のある陸攻、飛行艇を洋上航空攻撃力の主体とする」という判断が生まれる方が自然であるとも言えます。

空母予備艦が大型だったらMI作戦の穴が埋まり好都合、といった話は本末転倒という気がします。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 陸攻と空母の役割分担  ■名前 : 不明  ■日付 : 06/12/17(日) 15:38  -------------------------------------------------------------------------
    大雑把に過ぎる切り分けになるかも知れませんが(w、戦前の想定に於いては空母が米空母を無力化してエア・カバーを剥ぎ取り、島嶼を基地とする陸攻が米主力艦を漸減するという役割分担でした。つまり空母は前座、主役は陸攻な訳ですね。それゆえ、蒼龍〜翔鶴型は「最悪の場合、米空母との差し違えも已む無し」という考え方に基づいて計画されておりました。
 他方、赤城,加賀は、それらの搭載機数や飛行甲板長の大きさにより依然として有力な空母であり続けましたが、蒼龍〜翔鶴型のような“空母の本流”ではなく、むしろ陸攻隊を補助する兵力に位置付けられていました。
 要するに「空母は前座、主役は陸攻」でして、島嶼を基地とする故に陸攻は航続力が長い双発以上の機体である必要があったと。また前座の空母が目的を果たせば、陸攻隊が米艦戦に邀撃されるリスクも無くなるはずだったと。

 なお蒼龍に到る過渡期の空母として龍驤がありました。これはロンドン条約以前に計画された艦であり、基準排水量10,000トン以下の補助艦は保有枠に縛られない点を抜け道にして、多数を保有する目論見でした。しかしロンドン会議により、10,000トン以下の補助艦も保有制限の対象に含まれるに至って目論見が断たれ、1/4ほど肥大して公試排水量12,732トンで竣工します。それでも「小型に過ぎ、実用性に難あり」と評され、1隻のみの建造に止まりました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:むしろ逆の認識が自然  ■名前 : 高村 駿明  ■日付 : 06/12/18(月) 16:49  -------------------------------------------------------------------------
   >既に飛行艇の運用経験を持ち、陸攻の基本構想が存在する中で七試で大攻が試作されている一方、蒼龍型の主たる搭載機の艦爆は七試を失敗し、八試が難航、応急的な輸入機に頼らざるを得ない状況です。
母艦そのものも運用が定まらず、新型機運用に必要な着艦制動装置、制止装置も試作中で、現行の旧型機は着艦制動装置無しで運用されているといった段階ですから「搭載機の性能向上と発着兵器の完成に不安のある航空母艦よりも、より確実で一部実績のある陸攻、飛行艇を洋上航空攻撃力の主体とする」という判断が生まれる方が自然であるとも言えます。

 ご教授ありがとうございます。私なりに調べましたが、そのことは仰る通りかと思います。
 とはいえ、日本海軍が能力の劣る史実の龍鳳型や大鷹型などを空母予備艦として準備していたことに、不満がなかったとは思えません。
 完成時・世界中でもかなり大型・高速空母として完成した蒼龍型ですら、不満だったのですから。
 また、赤城・加賀の改装も多段式飛行甲板では、航空機の発達に対応できないとの観点もあったとのことです。「現在、運用中の艦載機や着艦制動装置、制止装置に不具合がある」からといって、そうした先の見通しを持つ海軍が、空母予備艦の艦型を飛行甲板長233mで計画していた蒼龍型に揃えることを考えても、それほど不思議とは思えないのですが。 

 また、遠藤昭氏によれば、対米九段作戦として「艦隊決戦を避け、米海軍にマーシャル諸島を占領させることで、ハワイ・マーシャル間の兵站線を作る。そこを2〜4組の空母機動部隊でゲリラ的に攻撃して消耗させる」との構想が当時存在し、戦艦2隻、空母4隻の機動部隊を4組整備する予定だったとされているそうで、これを考えても、空母は期待されていないということはないように思います。

>空母予備艦が大型だったらMI作戦の穴が埋まり好都合、といった話は本末転倒という気がします。

 些末かもしれませんが、私はそのような話はしておりません。他の方ではないかと。
 一番最初に書いた通り「水爆構想は(後知恵として考えた場合)妥当な計画だったのか」と「(妥当でないとするなら)空母予備艦は艦載機の発展を見越して、より大型の蒼龍型船体で計画したほうがいいと考えるのだが、その考えは妥当だろうか」がお題です。
 途中で「では、いざとなれば蒼龍型に匹敵する空母が7隻ある場合は、軍備計画も変わってくるのではないか」という話となったことにより「その場合は陸攻は史実より重視しないだろうから、予算をそこから捻出するのが、ありそうな話なのではないか」ということを書きましたが、基本は前の二つです。

 また仮に開戦時に中型高速空母が史実より7隻も増え、運用可能な状況なのであれば、史実通りの作戦・戦争経過になるとは考えられません。MI作戦を行ったとしても、戦力比から考えて空母4隻を失うこともないでしょう。そうした理由から、穴が埋まり好都合、というような話はしておりません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母増強の意義は別にある  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/17(日) 10:38  -------------------------------------------------------------------------
    ご教授・ご検討ありがとうございます。
 艦載機調達については、一番のネックだと考えております。
 陸攻と水上機、甲標的などの予算を振り分ければ可能と考えたのですが、それでも難しいとあれば、妥当性が低い考えなのかもしれません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : よく考えたら  ■名前 : 出沼ひさし  ■日付 : 06/12/17(日) 19:03  -------------------------------------------------------------------------
    改装の工期を考えると、例え蒼龍型の船体でも一段格納庫を設けるのが精一杯かもしれません。だとすると、搭載機数は40機程度でしょうか。軽空母の搭載機が10機ほど増えても、史実と大差ない結果になる可能性が極大です。

 もし、蒼龍並みにニ段格納庫にするならば、工期は半年ほど延びてしまいそうです。ニ段格納庫にした場合の完成時期は
「瑞鳳」開戦前に竣工
「祥鳳」17年夏に竣工
「日進」17年秋に竣工
「龍鳳」18年夏に改装完成
「千歳」19年夏に改装完成
「千代田」19年夏に改装完成
「日進」の戦力化はガダル争奪戦には間に合わず、「千歳」「千代田」はマリアナ沖海戦には間に合いません。ガダルでは「祥鳳」が純増になりますが、マリアナでは蒼龍型と軽空母を2:3でトレードする形になり、一段格納庫にした場合と五十歩百歩です。
 
 ということで7隻を蒼龍型の船体にしても、あまり意義はないかも知れません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 重箱の隅ですが・・・  ■名前 : 不明  ■日付 : 06/12/17(日) 21:48  -------------------------------------------------------------------------
    空母改造後の千歳型は、後部昇降機前後の格納庫が上下2段になっていたのではありませんか。改造前の千歳型では、煙突後方−屋根型構造物前方の間に前部昇降機があり、前部昇降機後方−艦尾までの主船体内に水偵/甲標的格納庫が設けられておりました。千歳型が腰高な(乾舷が高い)艦容だったのは、それが理由です。そして水偵/甲標的格納庫の半ば以上が、改造後の下部格納庫に利用されていたように思うのですが。なお屋根型構造物直後に在った後部昇降機の位置は、空母改造後も変わらないようです。
 したがいまして、日進や(主機換装を伴いますが)瑞穂を空母に改造したにせよ、格納庫が部分的に上下2段になっていた事でしょう。

 しかしながら、史実の千歳型/改千歳型でさえ改造前の公試排水量が12,000トンを超える大艦です。それを計4隻も建造したのですから、海軍が甲標的や爆装水偵に抱いた期待の大きさが窺われます。それ故にこそ、千歳型/改千歳型が蒼龍と同大かつ空母改造が前提の艦として建造されるには、まず甲標的や爆装水偵に対して海軍に過剰な期待を捨てさせる事から、IFを考察する必要があるように思われます。
 また蒼龍はもちろん、排水量を1割増やした改型の飛龍でさえ艦型が小さいと評され、翔鶴型に拡大されてゆく流れにあり、蒼龍の段階では謂ば先行試作であり、それが中型空母の基本型とは認識されていなかったのではないでしょうか?。もっとも龍驤の経験を踏まえていたため、蒼龍は一応の成功を収め、取り敢えず実用に堪える空母という評価を得ますが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:重箱の隅ですが・・・  ■名前 : 出沼ひさし  ■日付 : 06/12/18(月) 1:44  -------------------------------------------------------------------------
   >空母改造後の千歳型は、後部昇降機前後の格納庫が上下2段になっていたのではありませんか。
 自分の文を読み直してみると、確かに誤解を与える書き方になっていますね。
 私が言いたかったのは、1万tの艦を空母を改装するのに一年掛かっていれば、1万5千tの艦を空母に改装するには、それ以上の年月が掛かるのではないかということです。ちなみに雲龍型の進水から竣工まで約一年です。改装はもともとの上部構造物、諸室、配管の手直しが必要なのでその分、工期が延びると思います。
 そのため、工期を短縮するためになんらかの簡易化が必要で、格納庫を一段として艤装した場合を言っていたつもりでした。でも良く考えたら、格納庫が一段でも二段でも手間は大して変わらないような気もします。
 「千歳」「千代田」だけではなく「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」も二段格納庫なのは知っています。
 なにはともあれ、私の文章力のなさと考察の浅さが原因です。すみませんでした。
 
>また蒼龍はもちろん、排水量を1割増やした改型の飛龍でさえ艦型が小さいと評され、翔鶴型に拡大されてゆく流れにあり、蒼龍の段階では謂ば先行試作であり、それが中型空母の基本型とは認識されていなかったのではないでしょうか?。
 はい、個人的には高村さんの案が実現される可能性はほとんどないと思っています。蒼龍、飛龍ともに海軍の評価はあまり高くないですし、空母予備艦と蒼龍の建造計画はほぼ同時です。当然、蒼龍の実績も不明ですし、量産を決定する必然性は少ないでしょう。ただ、海軍の空母整備方針は対米均等です。これは隻数においては達成されましたが、搭載機数においては見劣りするものとなっていました。そこで何らかの方法で搭載機の増加を模索する可能性があったのでは?と考えております。もちろん、条約による1万tの制限があるため、単純に艦を大きくすることは不可能でしょうし、技術的にも困難が予想されます。しかし、これが実現された場合、結果として高村さんの案に近づくことになると思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:よく考えたら  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 20:13  -------------------------------------------------------------------------
   >  改装の工期を考えると、例え蒼龍型の船体でも一段格納庫を設けるのが精一杯かもしれません。だとすると、搭載機数は40機程度でしょうか。軽空母の搭載機が10機ほど増えても、史実と大差ない結果になる可能性が極大です。

 当初から改造を考慮して設計するのですから、そのような効果の少ない計画にはしないのではないでしょうか。また昭和12年から建造する日進については、当初から空母(予算と建造ドックの関係で、翔鶴型にはしないと思いますが)にすると思います。

 対象となる艦の完成時期が、大鯨:昭和13年9月、剣埼:昭和14年1月15日、高崎:建造中に航空母艦に変更、千歳:昭和13年7月25日、千代田:昭和13年12月15日、瑞穂:昭和14年2月25日、日進が昭和17年2月27日ですから、日米関係悪化と米空母増強への対応を考えるなら、剣埼と瑞穂についても、建造中に正規空母に切り替えるでしょう(水上機と甲標的に多くを期待しない、という前提があるわけですから)。

 千代田についても、史実では千代田が昭和15年5月から甲標的母艦への改装を開始しますが、遅くともこの時点で空母改装を始めるでしょう。ここで同型艦である千歳を空母にしないことは考えられませんから、同時期に空母改装が行われるのではないかと。

 大鯨→龍鳳については、機関不調問題(ディーゼルが不調でも、蒼龍型相当の機関搭載である程度補えるとして、換装されないかもしれませんが)がありますから、昭和11年2月〜昭和12年12月に行われた主機械改装及び性能改善工事のさいに、空母に変更されるのではないでしょうか。

 つまり予算の手当と、工事の前倒しが行われるなら、全て開戦に間に合うと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : お金(予算)で考えると  ■名前 : 伸  ■日付 : 06/12/17(日) 11:42  -------------------------------------------------------------------------
    世知辛い話なんですが、その艦艇の予算を何処から搾り出すのかなと?
 高村氏が上げられている各艦の計画は、大鯨が丸1計画。蒼龍、剣埼、高崎、千歳、千代田、瑞穂が丸2計画。日進が丸3計画となります。

 各艦の予算は、
  大鯨が11948600円(排水量t当たり単価1195円)
  蒼龍が40200000円(排水量t当たり単価4000円)
  剣埼が18000000円(排水量t当たり単価1500円)
  千歳が20800000円(排水量t当たり単価2000円)
  瑞穂が18000000円(排水量t当たり単価2000円)
  日進が26059982円(排水量t当たり単価2246円)
となります。
 因みに、丸2計画で計画された白露、朝潮クラスで、排水量t当たり単価4900円(!)、利根クラスで排水量t当たり単価が3700円ですね。
駆逐艦って、コストが高い艦なんですな。だから、コストをペイする為に、戦時では馬車馬の様に使ったのか、と思ってしまう。
他にも上のカキコで出ている丸3計画艦である翔鶴クラスが84496983円(排水量t当たり単価3448円)となっています。
丸3計画での3,5000t戦艦(史実の大和クラスのダミー予算ですな)が107933075円(排水量t当たり単価3083円)なり。

 これで判る様に、蒼龍クラスは非常にお高い艦なんです。
空母として完成させないとしても、それなりの艦体艤装は行うでしょうから、排水量t当たり単価が2000円なんて事にはならないでしょう。
2500円から下手をすると3000円位になってしまうかもしれませんね。
それらの予算を何処から搾り出すのかなと。

 もっと言ってしまうと、丸4計画で計画された艦の予算だと、
  信濃が130000000円(排水量t当たり単価3250円)[後の信濃,4,0000t戦艦として予算取り]
  大鳳が101175000円(排水量t当たり単価3550円)
となりますね。
甲型駆逐艦の排水量t当たり単価は5050円(!)、乙型駆逐艦の排水量t当たり単価が4650円なり、ですか。
これからも蒼龍クラスが割高なのが判りますね。
止めで言うと、改丸5計画で計画された艦の予算だと、
  改大鳳クラスが130550000円(排水量t当たり単価4294円)
  改飛龍クラスが 93442000円(排水量t当たり単価5417円)
当然、戦時なので物価は上がっています。しかし、蒼龍クラスがお高い事は判るでしょう。
戦時だから許されるのでしょうが、蒼龍クラスはコストパフォーマンスが非常に悪いのですよ。
これから類推すると、空母への改装費用も、それなりに掛かる事でしょう。
果たして、空母予備艦として蒼龍クラスが適当なんでしょうかね?

 高村氏の話だと、丸2計画辺りでの予算取りとなるでしょうから、昭和9年位ですね。その頃の昭和の世相を考えて下さい。
この頃は完全な戦時体制でもありませんし、軍事費は一般会計からだと記憶しています。(満州事変等で臨時事件費としては、臨時予算は組まれていますが、あくまで事件用費用ですから、建艦等には回されていないでしょう)
そうなると、蒼龍クラスの艦体として計画した分の増額費用は、何処から搾り出すんでしょうね? 臨時軍事費を組もうにも、理由がありませんしねぇ。
此れが戦時なら、如何にかして予算を作るのでしょうけどね。
駆逐艦なり巡洋艦なりを削る事も考えられますが、そうなれば空母として完成した時の護衛兵力が不足するでしょう。
護衛兵力の不足は、艦隊全体に言える事になりますね。
航空予算を削る事も考えられますが、そうなると載せる機体が不足するかもしれませんし、史実通りの機体が出来るかも定かではなくなりますね。
それに、上の書き込みでも書かれた様に、艦が大きくなれば乗員も増えます。その分の増加した乗員の費用(初年兵からの教育費も含む)も大きくなりますね。

 リソース(国費)は、常に有限でしかありません。
もし、他の艦艇も史実通りに建艦し、蒼龍クラスでの補助艦艇(空母予備艦)を6隻も量産してしまうと、ミニ八八艦隊みたいな国全体から見たお荷物になるやもしれませんね。
 この辺りで勘案すると、中攻勢力の整備と言うのは、コストパフォーマンスの点でも、蒼龍クラスの艦体を使った空母予備艦建造よりも、非常に魅力的ですね。
それに、単能の艦攻や艦爆と異なり、中攻クラスであれば、型落ちしても輸送機なりに転用も出来ますから、最終的なコストパフォーマンスでは、艦攻や艦爆よりも安いかもしれませんね。
 もう少し、国全体の経済も考えましょうよ。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:お金(予算)で考えると  ■名前 : 高村 駿明  ■日付 : 06/12/18(月) 16:50  -------------------------------------------------------------------------
    細かな数字をご教授頂き、どうもありがとうございます。大変勉強になります。
 予算についてですが、史実の蒼龍型は10,050トンで予算請求されているはずです。つまり大鯨などとほぼ同一排水量ということになります。それで高価なのは、当時の日本海軍で最大の152,000馬力機関があるからではないでしょうか(駆逐艦が高いこともそういう理由でしょう)。
 で、条約下の空母予備艦という設定なのですから、『この』大鯨以下も20ノットを越えることは許されず、当然機関も一部搭載しなかったでしょう(葛城が104,000馬力で32ノットを発揮できたそうですから、準・蒼龍型も一部ディーゼルでこの程度の馬力数。ただし航続力が蒼龍より大になったと想像します)。
 また原案の蒼龍型は15.5センチ砲5門を搭載し、舷側に最大140ミリの装甲を施しています(装甲は設計変更後も変わらないようですが)。大鯨以下は条約により少なくとも15.5センチ砲は積めないわけですから、50トン軽くすることなど、極めて容易でしょう。
 そして換装用の機関や、空母にした後での艦載機などは同じ年度で予算請求する必要はありませんし、ご指摘ほど高価な軍艦になるものでしょうか(ここで書かれた大鯨の建造費とて、龍鳳への改装費用を含んだものではないでしょう)。
 結局、蒼龍・飛龍同様、条約破棄を見越して排水量拡大がなし崩しに行われるようにも思いますが、少なくとも丸1、丸2での予算請求時点では、史実の大鯨などと大差ないのではないでしょうか。

 というか、遠藤昭氏の著書「日本軍艦発達史」によれば「対米九段作戦の枠組み決定により、丸2計画の航空関係では、13,500トン型の航空母艦5隻の船体確保が決まった。まず大型艦艇用ディーゼル機関開発のために、昭和8年の予算で潜水母艦「大鯨」が建造された。(中略)丸2計画は昭和6年策定の第二次計画を一変させて、完全な航空艦隊建設を予定して作成された。「大鯨」に加えて、正規空母は「蒼龍」「飛龍」の2隻。これと同一寸法の船体2隻分として「高崎」「剣埼」、そして水上機母艦「瑞穂」「千歳」「千代田」が建造された。(中略)「高崎」型の船体寸法は、当初「大鯨」と同型同寸法の垂線間長210mであった。
 一方、航空母艦「蒼龍」型は初期計画を友鶴事件を契機に改め、おそらく垂線間長210mの船体を延長して222mで完成させたものと推測される。(中略)
 藤本喜久雄の死去により、標準化重視の日本海軍の伝統は絶えてしまった。もし藤本が生きていれば、「高崎」型は「蒼龍」型同様の垂線間長222mで完成したであろう」と述べられているのですが(色々な方から、高村氏の案と言われますが、つまり私の案ではありません)。

 また、艦載機だけでなくタンカー調達問題もありますから、高性能化の代償として空母予備艦の隻数を減らす対応も可能でしょう。結局のところ、史実であっても空母予備艦は建造されており、この存在を否定することはできません。そして、日本海軍は「蒼龍型ですら、将来の艦載機発展を考えれば不足」と考えていたわけですから、史実の龍鳳型になりえる小型船体を7隻確保するより、それが仮に5隻になっても、蒼龍型の中型船体を確保したほうが意味がある、と考えることが非合理とは思えません。

>リソース(国費)は、常に有限でしかありません。
もし、他の艦艇も史実通りに建艦し、蒼龍クラスでの補助艦艇(空母予備艦)を6隻も量産してしまうと、ミニ八八艦隊みたいな国全体から見たお荷物になるやもしれませんね。
 この辺りで勘案すると、中攻勢力の整備と言うのは、コストパフォーマンスの点でも、蒼龍クラスの艦体を使った空母予備艦建造よりも、非常に魅力的ですね。

 その陸攻ですが、例えば昭和12年8月の戦闘だけでも、中国空軍の戦闘機相手に38機中16機を失っているわけです。搭乗員の損失は全員戦死なら112名です。陸攻は本当にコストがいいのでしょうか。
 そして「九六式陸攻は欠陥機だから、十二試陸攻では防御力増強を」という要求に対しても、技術的に困難ということで、史実の一式陸攻となっています。中国空軍よりも明らかに強力であろう米海軍相手に、このような防御力の弱い機体が役に立つという史実の判断は、的確なのでしょうか。
 「1回限りの艦隊決戦に使うから、防御が弱くてもいい」というわけではないのは「十二試陸攻設計計画要求に関する件」の中でも、大西大佐が「海軍としては洋上攻撃を行わせることになっているが、これからの航空戦は陸上攻撃も行われるようになると考える。国際情勢を考えるか、海軍としてのみ考えるべきか」という発言をしている通り、空軍的な航空戦での使用も想定されているわけです。
 
>それに、単能の艦攻や艦爆と異なり、中攻クラスであれば、型落ちしても輸送機なりに転用も出来ますから、最終的なコストパフォーマンスでは、艦攻や艦爆よりも安いかもしれませんね。
 もう少し、国全体の経済も考えましょうよ。

 経済に関する考えが甘かったことは認めますが、私は陸攻を開発すべきではなかった、とまでは言っておりません(空母多数の方が緒戦では役立つと思いますし、緒戦で決着を付けなければ、まったく勝ち目がないのが太平洋戦争だと思いますが)。そしてお伺いしますが、陸攻が史実通りとするなら、空母予備艦が龍鳳7隻と蒼龍5隻では、どちらが役立つでしょうか。
 予算に関する議論をしようとは思いませんが、例えば、大和型戦艦1隻で一式陸攻652機分の値段とのことですから、4隻建造予定の大和型を2隻にすれば(信濃・4番艦の時点では、一式陸攻や零戦・九七式艦攻・九九式艦爆の見通しも付いています)、陸攻と空母予備艦の双方を保持することも容易でしょう。
 どちらにせよ、後付けの話なのですから、予算に関する理屈はどうとでも付くのでは?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 無理しなくても  ■名前 : 伸  ■日付 : 06/12/18(月) 23:53  -------------------------------------------------------------------------
    前回の書き込みで、わざと建艦計画の番号のみにしたのは拙かったですかね。
上で片氏も述べていますが、大鯨は昭和6年度建艦計画の丸1計画です。そして、蒼龍以下が昭和9年度建艦計画以降の丸2計画、丸3計画(昭和12年度)になります。
だから、大鯨が蒼龍と同じ艦体になるという、高村氏のお題は無理が出ますよね?


>  予算についてですが、史実の蒼龍型は10,050トンで予算請求されているはずです。つまり大鯨などとほぼ同一排水量ということになります。それで高価なのは、当時の日本海軍で最大の152,000馬力機関があるからではないでしょうか。

 はい、仰る通り予算では10,050tで通しています。
 確かに、機関が馬鹿高いの確かですが、丸3計画での翔鶴や丸4計画での大鳳の機関出力は160,000hpですよね。
それで、前に書いた様な排水量t辺り単価(以下、単価)の差が出ているんですよ。
更に改丸5計画での改飛龍クラスの機関出力が152,000hp。罐の手配がつかないで駆逐艦の罐を流用したモノで104,000hp。改大鳳クラスの機関出力は160,000hp。
で、先に書いた単価を比較して下さいな。
如何に、蒼龍クラスが機関云々とは関係無しに、お高い艦だか判ると思います。


> で、条約下の空母予備艦という設定なのですから、『この』大鯨以下も20ノットを越えることは許されず、当然機関も一部搭載しなかったでしょう

 剣埼を祥鳳へと改装する際に、甲型駆逐艦の罐を流用しています。他にも、前述した様に改飛龍クラスでは予定している罐の手配がつかずに同じ様に駆逐艦の罐を流用しています。
この辺から類推すると、空母改装の工事は機関関係でも大変な事になったかもしれませんね。
 罐を流用された艦(巡洋艦や駆逐艦等になるかと)の竣工が史実より遅れたりする可能性が高くなるかもしれません。
そうなると、艦隊の護衛戦力が落ちる可能性が出てきますね。
当然、戦争は空母だけで行う訳ではないと言う事は、お判りでしょう?
まさか、グリークスマリーネの様に空母を単独(そこまで考えていたのか、いまいち疑問なんですが、世間一般ではそう思われているみたいなので)で運用するとか言う訳でもないでしょう?


>(葛城が104,000馬力で32ノットを発揮できたそうですから、準・蒼龍型も一部ディーゼルでこの程度の馬力数。ただし航続力が蒼龍より大になったと想像します)。

 前述しましたが、祥鳳クラス等にする際に機関をディーゼルからダービンへ切り替えています。千代田、千歳はタービン・ディーゼル併用で、水母時代のママの機関で空母改装が為されていますが、此れはミッドウェイ後の緊急事態と言う事も考えた方が良いかもしれません。
 タービンへの換装を考えると、改装期間の祥鳳クラス同様に長くなりますし、前述した様に罐の手配で大変な事になる公算が高いですね。


>  そして換装用の機関や、空母にした後での艦載機などは同じ年度で予算請求する必要はありませんし、ご指摘ほど高価な軍艦になるものでしょうか(ここで書かれた大鯨の建造費とて、龍鳳への改装費用を含んだものではないでしょう)。

 大鯨や剣埼は潜母時代に既にエレベーターを備えていましたし、空母改装を前提の艤装がなされていました。
空母改装時に、その年の予算が加算されちゃう訳ですね。
大鯨や剣埼の例を考えれば、蒼龍クラスの艦体を利用した空母予備艦も空母改装を前提の艤装は行われたでしょう。
そして、エレベーター等は結構、お金が掛かるのですよ。
 当然、予算をやり繰りするとなると、他にしわ寄せが行きますね。それが海軍の航空行政等に行けば(駆逐艦等を削らないとすると、行く可能性は高い)、史実通りの飛行機の発注が行われたかも疑問となり、それが波及し以後の飛行機の発達が阻害された可能性も否定できないでしょう?
しかし、こうなると仮想戦記の世界ですな。


>  結局、蒼龍・飛龍同様、条約破棄を見越して排水量拡大がなし崩しに行われる

 貴方が遠藤氏の著作を引用されている様に、蒼龍の排水量の拡大は、条約破棄を見越してと言うより、友鶴事件が元だったりもします。
起工直前に友鶴事件が起き、蒼龍の計画は全面的に見直しになるんです。運不運は裏表とも言いますが、蒼龍が原案通り(10,050tの艦型で、15.5糎砲搭載、搭載機数70機と言う過大な要求で、建造は内定)に建造されていれば龍驤以上に改正が必要な空母となってしまい、史実通りの運用が出来たか疑問なんですけどね。
 条約破棄を見越していたなら、搭載機数の削減(15,900tの艦型で搭載機数常用57機、補用16機)したとは思えません。
むしろ、18,000〜20,000tクラスになったかもしれません。


>  藤本喜久雄の死去により、標準化重視の日本海軍の伝統は絶えてしまった。もし藤本が生きていれば、「高崎」型は「蒼龍」型同様の垂線間長222mで完成したであろう」と述べられているのですが

 此れは蒼龍クラスの艦体を流用したとは一概に受け止められませんよね。読み方次第ですよ。
 それに、此れは遠藤氏の推測の上ですから、実際に藤本氏が生きていて、こうなったとも言い切れない所があります。


>  その陸攻ですが、例えば昭和12年8月の戦闘だけでも、中国空軍の戦闘機相手に38機中16機を失っているわけです。搭乗員の損失は全員戦死なら112名です。陸攻は本当にコストがいいのでしょうか。
>  そして「九六式陸攻は欠陥機だから、十二試陸攻では防御力増強を」という要求に対しても、技術的に困難ということで、史実の一式陸攻となっています。中国空軍よりも明らかに強力であろう米海軍相手に、このような防御力の弱い機体が役に立つという史実の判断は、的確なのでしょうか。

 史実を見れば、それなりに戦果もあげていますが? それは無視されるのでしょうか?


>  そしてお伺いしますが、陸攻が史実通りとするなら、空母予備艦が龍鳳7隻と蒼龍5隻では、どちらが役立つでしょうか。

 艦の能力だけを見ての比較論だけで行くなら、蒼龍5隻でしょう。でも、戦場や戦争で役に立つかと言うと、どちらも駄目と言うしかないのでわ?
 貴方も仰っている様に、蒼龍クラスは戦争後半辺りで出てくる発達した艦上機を運用していくには小さいんですよ。
どうしても翔鶴や大鳳の様な大型空母が必要になってしまう。
 いっその事、剣埼等の空母予備艦はそのまま史実通りに建造。
ウルトラCを使って、出雲丸や橿原丸を建造した際に、船型を拡大し、翔鶴クラスの艦体を流用した30,000〜40,000tクラスの大型客船として計画した方が良かったのでわ? と思うのですけどね。(前述した様に、高村氏のお題は、もう仮想戦記に近い話になりつつ、ありますし)
出雲丸が計画された時は、ノルマンディ号やQEやQMが建造されていた頃です。
あながち、大きすぎる客船ではないでしょう。
それに出雲丸達は元から空母改装予定の船ですし、昭和12年の計画です。丸3計画当時ですね。
もっとも、大蔵省が太っ腹になって、更に海軍も金を出して、政府負担6割でなく、7〜8割は出さないと郵船も建造したがないでしょうけど。
対抗馬とするノルマンディ号やQE等は29〜30ktの速力ですから、それに対抗する速力を持たす上で30ktオーバーの機関を搭載しても、別に不思議はありませんよね。
 もし、このクラスで2隻(無理に、郵船や汽船に押し付けて4〜6隻)でも建造していれば、開戦には間に合わなくても、MI作戦前後に翔鶴クラスの大型空母が2隻は間に合うでしょう。
 それに、残りの船は無理に改装しなくても、そのまま軍隊輸送船として使えば、余程史実より部隊の海上輸送は楽になりますね。
史実の日本軍が如何に部隊を輸送する為に、空母に改装されない客船を四苦八苦して使い回したかは、ちょっと調べれな理解できると思いますよ。
翔鶴クラス2ないし4隻の方が余程、予算を使っても、蒼龍クラス5隻より役に立つでしょう?
 改丸5計画ですら、給油艦や潜母を建造しようと計画している事を考えれば、余程剣埼等は空母に改装しない方が、役に立ったのでは? と考えるですが。


>  予算に関する議論をしようとは思いませんが、例えば、大和型戦艦1隻で一式陸攻652機分の値段とのことですから、4隻建造予定の大和型を2隻にすれば(信濃・4番艦の時点では、一式陸攻や零戦・九七式艦攻・九九式艦爆の見通しも付いています)、陸攻と空母予備艦の双方を保持することも容易でしょう。
>  どちらにせよ、後付けの話なのですから、予算に関する理屈はどうとでも付くのでは?

 それこそ、後知恵と言うモノではないかと。
 そもそも、戦備とは戦略ドクトリンを元に計画され、それを元に予算が立てられます。
予算に関する理屈なんて、どうにも付かないのですよ。
ましてや、前に書いた様に、高村氏が言う様に昭和9年辺りで予算取りをしようとするならば、尚更です。
戦時なら屁理屈も通るでしょうが、戦時じゃない事を思い出して欲しいのですがね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : これは失礼  ■名前 : 伸  ■日付 : 06/12/18(月) 23:55  -------------------------------------------------------------------------
    今、SUDO氏へのレスを見たら、終結宣言が出てましたね。
 これは失礼しました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:無理しなくても  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/19(火) 10:58  -------------------------------------------------------------------------
    ご教授ありがとうございます。
 何度か書いたように、遠藤氏の著書がベースにある話なので、ご指摘については困惑するばかりです。遠藤氏は評価の分かれる方ではありますが、厚生労働省まで海軍資料を当たるような方でもありますから、まったく根拠もない妄想を書いているとは思わないのです(資料に主観のバイアスをかけていることはあるかもしれませんが)。

 なお、この件で遠藤氏が根拠としているのは、昭和7年8月17日に、軍令部長から海軍大臣に商議された「昭和10年12年帝国海軍現有兵力標準」であり、そこにマル2計画に13,500トン型航空母艦2隻を追加すること(公表は12,000トン以下とする)(中略)、13,500トン型航空母艦用3隻の船体として、高速給油艦・高速給炭艦・高速潜水母艦各1隻を建造する(中略)」とあります。ここには甲標的母艦の建造は含まれておらず、条約空けに建造する空母も13,500トン型1隻を予定していたそうです。この計画には、昭和6年に予定されていた長門の高速化などは含まれておりませんから、昭和7年の軍令部長交代により、建造方針が変わっていったのではないか、というのが遠藤氏の主張です。

 また昭和9年9月25日の軍令部内部計画資料「軍機・条約決裂後の昭和15年末国防所要兵力」には、基準排水量65,000トン、34ノット高速戦艦4隻に加えて、18,000トン級中空母甲4隻が(この資料では中空母乙として、蒼龍型2隻が15,600トンと書かれています)明記されているのです。この本には原本の写しも掲載されているので、こうした資料が存在したことは間違いないと考えます。

 そうしたことから、条約破りを隠蔽しての空母予備艦蒼龍化や戦艦の高速化、また当時は条約決裂後でも18,000トン程度の空母(つまり翔鶴型ではなく、飛龍と同程度かやや大)を考えていたということには、相応の根拠がある主張と考えておりました。
 ですから「現実性・実現性がまったくないとは言えず、軍部の方針が変われば実現する程度のことではないか」というニュアンスの主張をしていたのですが、諸氏から「史実を踏まえず、荒唐無稽」というような評価をくだされたのは残念ではあります。

 しかしながら、私もこれ以上資料を持つわけではないので、反論する材料もありません。また、実際に建造された場合の問題点(タンカー・予算など)には同意します。
 私の知識量としてスレッドの維持が困難という理由で、議論終了を宣言致しましたが、「あり得ない」に近いことを言われるのは、少し納得がいかない部分もございます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 蛇足ですが  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/20(水) 7:31  -------------------------------------------------------------------------
   > また昭和9年9月25日の軍令部内部計画資料「軍機・条約決裂後の昭和15年末国防所要兵力」には、基準排水量65,000トン、34ノット高速戦艦4隻に加えて、18,000トン級中空母甲4隻が(この資料では中空母乙として、蒼龍型2隻が15,600トンと書かれています)明記されているのです。
> 条約決裂後でも18,000トン程度の空母(つまり翔鶴型ではなく、飛龍と同程度かやや大)を考えていたということには、相応の根拠がある主張と考えておりました。

この時期に構想されていた「蒼龍、飛龍よりやや大きい中型空母」4隻が、やがて翔鶴、瑞鶴、大鳳として実現してゆくわけであり、ここは「やはり飛龍程度では艦型が小さすぎるという判断が加わって大型化していったのだなあ」と読み取るべきところだと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:蛇足ですが  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/21(木) 12:32  -------------------------------------------------------------------------
   > この時期に構想されていた「蒼龍、飛龍よりやや大きい中型空母」4隻が、やがて翔鶴、瑞鶴、大鳳として実現してゆくわけであり、ここは「やはり飛龍程度では艦型が小さすぎるという判断が加わって大型化していったのだなあ」と読み取るべきところだと思います。

 ご教授ありがとうございくます。
 片様はじめ、WarBirds常連の皆様と議論できるだけの材料は持ちあわせておりませんので、以下の疑問点について質問させて頂きます。ご教授頂ければ幸いです。

 昭和7年8月17日の時点で「13,500トンの空母予備艦3隻に加え、蒼龍、飛龍を建造する」という軍令部の構想があり、そして検討を経て、史実では昭和8年度計画艦大鯨が、構想よりやや小型となって実現したのではないかと。
 13,500トンや18,000トンじゃ小さいから、翔鶴型(当初は23,500トンですが)にしよう、というのはさらに後の話(翔鶴は昭和12年度計画)ではないのでしょうか。

 時系列的に「空母予備艦を計画した時点(昭和7年)では、それが蒼龍型として構想していたという資料があるので、史実で構想がないとは言えないのではないか(隻数を減らすなどの予算確保で)蒼龍型として実現していた可能性はあるのではないか」という話であり、その資料として昭和7年ではこう、9年ではこう、という話をしたわけです。

 それがどうして昭和「12」年度計画艦の翔鶴型の話(飛龍じゃ小さいから、と判断されるのは、昭和9年ですらないですよね?)に飛んでしまうのか、私にはわかりません。
 昭和7年の時点で13,500トン、9年でも18,000トンが条約後空母の構想なのですから、空母予備艦の計画が翔鶴型規模になることは、時系列的にも、条約をある程度(重巡同様、隠蔽できる程度には)遵守するという空母予後艦構想からも、あり得ないのではないでしょうか。というか、昭和12年では日進以外建造し終わっていますし。
 
 そもそも「翔鶴・大鳳型なら、大戦後期の艦載機にも対応できるが、蒼龍型ではダメなので問題外」と多くの方が言われますが、軍備とは相対的なものであり、エセックス型ですら、ジェット時代には艦型が小さく、不十分であるという判定がされているわけです。
 ですから、空母予備艦構想がある昭和7〜9年の時点で、空母予備艦(蒼龍型)が有力空母ではないと見なされるであろうという、皆様のお話には無理があるのではないかと考えます(制限のない条約後空母構想が13,500トンとか18,000トンの時代なのですから)。
 私は別に、昭和12年(翔鶴型)とか14年(大鳳型)の話はしていないのですが。

 また、蒼龍型が戦力外と見なされていたなら、ミッドウェー後に雲龍型を整備する、という話にはならないでしょう。雲龍型の三式着艦制動装置は「天山」「流星」に対応したものですし、発艦についてもロケット推進の併用などで新型機への対応は行われたでしょう。
 大西総務部長の急造空母案でも、飛行甲板延長230m、速力27ノット、艦載機54機なのですから、翔鶴型より能力は下で、雲龍型と大差ありません(大西案は飛行甲板が雲龍より長いですが、そこが問題なら、雲龍も伊吹のようにぎりぎりまで延長されたでしょう)。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:蛇足ですが  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/21(木) 14:54  -------------------------------------------------------------------------
   > 昭和7年8月17日の時点で「13,500トンの空母予備艦3隻に加え、蒼龍、飛龍を建造する」という軍令部の構想があり、

> 時系列的に「空母予備艦を計画した時点(昭和7年)では、それが蒼龍型として構想していたという資料があるので、


典拠としてたびたび引用されているその記事を読んでみても、そのような構想を直接的に示す資料があるとはされていません。
「同時期のほかの資料を加えて説明すると、次のような内容になる」と書かれているのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:蛇足ですが  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/22(金) 9:37  -------------------------------------------------------------------------
   > 典拠としてたびたび引用されているその記事を読んでみても、そのような構想を直接的に示す資料があるとはされていません。
> 「同時期のほかの資料を加えて説明すると、次のような内容になる」と書かれているのではないでしょうか。

 そうですね。書き方として、不適切だったようです。申し訳ありません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : もう何がなんやら  ■名前 : 伸  ■日付 : 06/12/21(木) 15:13  -------------------------------------------------------------------------
    終結宣言が出ているので、書き込みは止めていたのですが、どうも私が立てた枝が伸びている様なので。

>  昭和7年8月17日の時点で「13,500トンの空母予備艦3隻に加え、蒼龍、飛龍を建造する」という軍令部の構想があり、そして検討を経て、史実では昭和8年度計画艦大鯨が、構想よりやや小型となって実現したのではないかと。

 私が上のスレで言っている様に、大鯨は昭和6年度の丸1計画での計画艦です。
昭和8年度では御座いません。昭和7年の軍令部構想なるモノが、如何前年度計画艦に反映されるのかお教え願いたいものです。


>  時系列的に「空母予備艦を計画した時点(昭和7年)では、それが蒼龍型として構想していたという資料があるので、史実で構想がないとは言えないのではないか(隻数を減らすなどの予算確保で)蒼龍型として実現していた可能性はあるのではないか」という話であり、その資料として昭和7年ではこう、9年ではこう、という話をしたわけです。

 上で片氏が書いている(題名:何が面白いのかわからなくなっています)様に、時系列で蒼龍なる艦の誕生を辿って行くと、純然たる空母としての蒼龍は昭和9年度計画のG9でして、その原案であるG8が昭和8年計画、更にそれの原案となったであろう航空巡洋艦が昭和7年計画のG6です。
G6は、基準排水量17,500t、水線長240m、速力36kt、20糎連装3基、12.7糎AA連装6基、搭載機70機と言うのが簡単な要目になります。
 もし、高村氏が言う『昭和7年では蒼龍型として構想していた云々』が本当であれば、水線長222mのG9でなく、水線長240mのG6が年度的には該当するのではないかと、推察します。因みに、翔鶴クラスが水線長250mですから、翔鶴より一回り小さい艦になるかと。
昭和7年では、後の純然たる空母蒼龍は紙の上でもないと考えた方が妥当ではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 大鯨  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/21(木) 15:40  -------------------------------------------------------------------------
   昭和7年、マル1計画の予算案には9800トンの空母1隻が計上されています。このトン数は軍縮条約が定める10000トンに満たない規模の制限外艦艇とするのが狙いです。マル1計画自体がこのような条約制限外の軍備充実を目的としています。
しかしながら、この9800トンの空母1隻の予算は閣議を通過できず不成立に終わってしまいます。同じく海軍の航空軍備としては基地航空隊の増勢も半分の規模に抑えられてしまっているのですが、このような結果となった理由について、この当時航空軍備の必要性を明確に計数的に説明する根拠を当の海軍側が用意できなかったからではないか、と海軍の軍備担当者が述べています。昭和7〜9年というと蒼龍のプランも様々に変更され続けている時期です。
マル1計画から削除された大型の制限外艦艇としては9800トン空母のほかに8000トンの潜母がありました。この両艦のプランを合わせ技として翌年に追加復活されたのが大鯨です。ですから第一状態潜母、第二状態空母なのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 因みに  ■名前 : 伸  ■日付 : 06/12/21(木) 16:53  -------------------------------------------------------------------------
    丸1計画での大鯨該当艦の予算は一応基準排水量10,000tで予算取りが為されています。それなりに余裕を見て、予算取りしていたのだなぁ、とい見方も出来ますね。
 蒼龍型の艦型が小さい云々の話ですが、第四艦隊事件を受けて着工直前の蒼龍型も設計の見直しをするのですが、この際に将来の飛行機の大型化に伴い、今の飛行甲板の幅での作業がし辛くなるのではないかと言う話が出てきています。
それで、同型艦であった飛龍が幅を1m広げる様に船体の設計から見直す事になってしまっています。
此れは、条約失効を睨んでの改設計でもありますが、この時点で蒼龍型の大きさでは“?”マークが点灯し始めた傍証ではありましょう。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:もう何がなんやら  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/22(金) 12:56  -------------------------------------------------------------------------
   >  上で片氏が書いている(題名:何が面白いのかわからなくなっています)様に、時系列で蒼龍なる艦の誕生を辿って行くと、純然たる空母としての蒼龍は昭和9年度計画のG9でして、その原案であるG8が昭和8年計画、更にそれの原案となったであろう航空巡洋艦が昭和7年計画のG6です。
> G6は、基準排水量17,500t、水線長240m、速力36kt、20糎連装3基、12.7糎AA連装6基、搭載機70機と言うのが簡単な要目になります。
>  もし、高村氏が言う『昭和7年では蒼龍型として構想していた云々』が本当であれば、水線長222mのG9でなく、水線長240mのG6が年度的には該当するのではないかと、推察します。因みに、翔鶴クラスが水線長250mですから、翔鶴より一回り小さい艦になるかと。

 日本の航空母艦パーフェクトガイドでの蒼龍の説明では「鳳翔を破棄せず13,500トン型1隻(中略)構想のみに終わった13,500トンの航空巡洋艦」と書かれています。基準排水量17,500トンはおかしいのでは?
 最も大塚好古さまが、G8は10,050トンで計画され、設計時点で13,000〜14,000トンに増大すると判明していたと書かれていますから、G6も13,500トンで計画し、17,500トンで建造するつもりだったのかもしれませんが。
 もっとも、昭和7年8月17日の資料と関連資料を合わせるとそう判断できるという、13,500トン空母は、公表は12,000トン以下とするとあるので(この資料もどういう意図か私もよくわかりません。昭和7年8月時点ではまだ建造中である龍驤の格納庫増大要求を行わなかったなら、公試排水量で2,932トン減るようなので、空母建造枠を16,432トン(鳳翔破棄せず、1隻)か、23,032トン(鳳翔破棄、2隻)で考えていたのかもしれませんが)、その可能性は低いように思います。

 もし、17,500トン型を13,500トンという名目で建造するつもりなら、昭和7年8月17日の資料にあるという空母2隻も実は17,500トン航空巡洋艦なのかもしれません(露骨な条約破りですが)。
 どちらにせよ、遠藤氏の主張では空母予備艦はマル2の空母と同じ13,500トン型3隻の計画とあるので、上記の推理が事実なら空母予備艦はG6と同じ船体ということになります。史実の蒼龍型での欠点とされる「収容区域の狭さ」についても、水線長240mもあるなら問題になりませんね。
 まぁ、友鶴事件、第四艦隊事件があるので、G6と同じ船体ということにはならないでしょうが。
    
> 丸1計画での大鯨該当艦の予算は一応基準排水量10,000tで予算取りが為されています。それなりに余裕を見て、予算取りしていたのだなぁ、とい見方も出来ますね。
 蒼龍型の艦型が小さい云々の話ですが、第四艦隊事件を受けて着工直前の蒼龍型も設計の見直しをするのですが、この際に将来の飛行機の大型化に伴い、今の飛行甲板の幅での作業がし辛くなるのではないかと言う話が出てきています。
それで、同型艦であった飛龍が幅を1m広げる様に船体の設計から見直す事になってしまっています。
 此れは、条約失効を睨んでの改設計でもありますが、この時点で蒼龍型の大きさでは“?”マークが点灯し始めた傍証ではありましょう。

 それは別に「空母予備艦と蒼龍型が同じ船体で〜」と、矛盾する話ではないですよね?
 遠藤氏の語る構想が実現したとするなら、蒼龍と同時期に13,500トン型として建造中の空母予備艦は、昭和9年3月の友鶴事件、昭和10年9月の第四艦隊事件を契機として、排水量の増大が図られるでしょう。
 当然、後期建造空母予備艦である、千代田、高崎、瑞穂は船体を拡大して飛龍に準じた船体となるように思います。そのために必要な多額の予算についても、「このままでは実戦に使えない、危険な設計を改めるため」ですから、認められる可能性は高いと考えます(どこか削られるでしょう。やたら高価な潜水艦とか)。
 昭和12年度計画の日進では、ご指摘のように「飛龍型では艦型が小さいことから、空母数はもはや充分として建造しない」こともあるでしょうが、他についてはそうなるでしょう。

> 私が上のスレで言っている様に、大鯨は昭和6年度の丸1計画での計画艦です。
> 昭和8年度では御座いません。昭和7年の軍令部構想なるモノが、如何前年度計画艦に反映されるのかお教え願いたいものです。

 色々とご教授ありがとうございます。
 「日本の航空母艦パーフェクトガイド」では「計画=昭和6年予算成立の第1次補充計画(マル1計画)では除外されたが、追加予算が認められて成立した昭和8年度追加計画の潜水母艦」と明記されています。そして起工も昭和8年4月12日です。大鯨は貴方が言われる昭和6年計画艦ではありません。

 遠藤氏がなぜ「他の資料を加えて説明すると」高速給油艦、高速給炭艦、高速潜水母艦を13,500トンで3隻とするよう書かれたのか、については、資料本に昭和7年8月17日の資料が載っておらず、あわせて判断したという他の資料についても説明がないのでわかりません。つまり説明しようがありません。

 遠藤氏の判断に妥当性がある(もしくはそうした資料を遠藤氏が持っている)なら、片さまがご指摘された「9,800トン空母を8,000トン潜水母艦と合わせて、史実の大鯨となった」という実現した動き以外に、昭和6年予算に大鯨を不可とされたさいに「空母予備艦をより有力な艦艇としてアピールする」動きがあり、そのために作られた構想が昭和7年8月17日の資料なり、関連するという資料が示す動きなのではないかと。

 で、「空母予備艦がマル2計画で2隻追加された空母と同じ、13,500トン型3隻になったかもしれない」という話を完全否定するためには、遠藤昭氏が執筆の根拠にした資料を洗い出し、それが偽造、もしくは明確な誤読であることを証明する必要があります。

 実際にそのようなことは限りなく困難です。ですから「議論する意味はない」と書いているのですが、「こういう資料の見方もあるのだから、そういう計画となった可能性もあるよね」という話まで、潰して回られる意図がわかりません。
 実現しなかった構想の妥当性を、判断できる資料でもお持ちなのでしょうか。

 ところで、なぜ毎回挑発的な題名を付けられるのですか? 私はそのようなことはしていないと思うのですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 軍艦の計画  ■名前 : BUN  ■日付 : 06/12/22(金) 19:34  -------------------------------------------------------------------------
   今回、高村さんの精力的な問題提起に敬服いたしますが、軍艦の計画というものについて少し整理して考えては如何でしょう。
軍令部が「このような艦があればよい」と構想した案と艦政本部が「このような艦の建造が可能である」と研究した案、様々な折衝を経て決定に至る段階のものと、その折衝過程で現れる中間案といった様々なものを全て同列に扱うことはできません。
また、航空母艦の建造計画に何処の部署がどれだけ関与したかも時期によって異なります。艦政本部主導時代と航空本部主導時代では航空母艦の計画そのものが違った性格を持っています。
また、空母予備艦についての考え方も各種計画案にあるトン数だけではなくその運用構想について眺める必要があるでしょう。旧い時代の計画が新しい時代のそれとはどう異なるのか、トン数を蒼龍に揃えるということはどんな意味を持つのかといった点に注目すべきではないかと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:軍艦の計画  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/26(火) 12:14  -------------------------------------------------------------------------
   > 軍令部が「このような艦があればよい」と構想した案と艦政本部が「このような艦の建造が可能である」と研究した案、様々な折衝を経て決定に至る段階のものと、その折衝過程で現れる中間案といった様々なものを全て同列に扱うことはできません。

 そうなのでしょうね。色々とご教授ありがとうございます。
 海軍軍政の動きを俯瞰的に解説するような市販書籍があればいいのですが、不勉強にして「〜パーフェクトガイド」と福井静夫氏、遠藤昭氏の一連の著書くらいしか見たことがありません。よりよい書籍がないものか、探してみることに致します。

 また一連の議論では、諸氏からすればあるいは稚拙なことを書いたかもしれませんが、ご容赦ください。おかげさまで、自身が、様々なことを勉強するきっかけが持てました。

 例えば、開戦時、民間にはわずか47万トンしかタンカーがなく、そのうち30万トンを徴用して艦隊給油艦にしたため、小型低速の17万トンしか民間タンカーがなくなってしまったこと。これにより、国力維持に最低限必要な30万トンをいきなり下回っているにも関わらず、すぐに完成するタンカーはない状況で戦争を進めた、見通しなき戦争指導のあり方。

 また高速輸送船も全然足りないにもかかわらず、小型空母使用に関する明確な見通しを持たない状況で、開戦時には貴重な新田丸型(大鷹型)2隻を空母に改装し、逆に有力客船シャルンホルストは昭和17年9月まで接収することもなく、無為に繋留していたことなど。
 そうしたことを考えると、正規空母の数があればとか以前に、当時の日本は大きな戦争を始められる状態ではなかったように感じました(どこの国も準備不足でしょうが)。

> また、航空母艦の建造計画に何処の部署がどれだけ関与したかも時期によって異なります。艦政本部主導時代と航空本部主導時代では航空母艦の計画そのものが違った性格を持っています。

 九一式航空魚雷を大成させた愛甲文雄大佐の証言によれば、艦政本部と航空本部の対立はかなりあったようですね。泊地襲撃に必要な浅海面魚雷を、航空本部では以前から考えていたのに、艦政本部が航空魚雷の開発主導権を持っていたため、真珠湾攻撃の直前まで研究をさせてくれなかったとか、逆に空母上での魚雷/爆弾運搬者は航空本部で計画したものであり、800キロ爆弾には都合がよいが、航空魚雷を合理的に扱うようにはできていなかったとか、そういう話であれば、聞いておりました。

 とはいう、航空魚雷の開発主導権が航空本部に移されたのが昭和18年5月と伺っておりましたので、主な海戦に参加した航空母艦自体の計画はすべて艦政本部主導によるものと考えていた次第です。艦政本部と航空本部がどのように空母開発に影響したのか、また各時代の航空機運用構想について、この場でなくとも構いませんので、いずれ著書などでご解説頂ければ幸いです(見落としていたなら申し訳ありませんが)。

> また、空母予備艦についての考え方も各種計画案にあるトン数だけではなくその運用構想について眺める必要があるでしょう。旧い時代の計画が新しい時代のそれとはどう異なるのか、トン数を蒼龍に揃えるということはどんな意味を持つのかといった点に注目すべきではないかと思います。

 そうですね。そこについても調べていきたいと考えております。現在は、蒼龍型などの計画に影響を与えているであろう、同時期他国空母について調べております。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : タイムテーブルでも考えて下さい  ■名前 : 伸  ■日付 : 06/12/26(火) 14:50  -------------------------------------------------------------------------
   > 藤本喜久雄の死去により、標準化重視の日本海軍の伝統は絶えてしまった。もし藤本が生きていれば、「高崎」型は「蒼龍」型同様の垂線間長222mで完成したであろう」と述べられているのですが(色々な方から、高村氏の案と言われますが、つまり私の案ではありません)。

 基本的な所で、藤本少将と丸1・丸2計画のタイムテーブルも比較してみて下さい。
 藤本少将は、昭和2(1927)年に艦政本部第四部で設計を主導する立場になり、昭和9(1934)年4月の友鶴事件等を受けての謹慎処分・技術研究所出仕まで、その地位に居る訳です。
死去は翌年の昭和10(1935)年1月ですね。
 この間(特に昭和9(1934)年後半)に、蒼龍や千歳や剣埼が何時起工されたかも比べて考えて下さい。
そして、同時期に起工されるハズであった飛龍が改設計する為に、どれくらい起工が蒼龍に比べて遅れたかも考慮してみては如何でしょうか?
 事実とは、人の思いがあって真実になります。
それだけに、二次・三次資料を見た場合、簡単な所から考証していくのが妥当なのではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:タイムテーブルでも考えて下さい  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/27(水) 11:40  -------------------------------------------------------------------------
   >  基本的な所で、藤本少将と丸1・丸2計画のタイムテーブルも比較してみて下さい。
>  藤本少将は、昭和2(1927)年に艦政本部第四部で設計を主導する立場になり、昭和9(1934)年4月の友鶴事件等を受けての謹慎処分・技術研究所出仕まで、その地位に居る訳です。
> 死去は翌年の昭和10(1935)年1月ですね。
>  この間(特に昭和9(1934)年後半)に、蒼龍や千歳や剣埼が何時起工されたかも比べて考えて下さい。
> そして、同時期に起工されるハズであった飛龍が改設計する為に、どれくらい起工が蒼龍に比べて遅れたかも考慮してみては如何でしょうか?

 ご教授ありがとうございます。
 友鶴事件は昭和9年3月。そしてG8として起工されるはずだった蒼龍の設計が、復元性能不足と見なされて改められ、G9として起工されたのが昭和9年11月です。
 つまり、蒼龍(G9)から飛龍(G10)への設計変更は最長で見て、8か月でしかありません。また飛龍の起工は蒼龍の進水後です。
 この時点で蒼龍は、擬装もかなり進んでいるはずです。つまり、飛龍は蒼龍での実績を参考にするまで、起工を見合わせていたのであり、起工が遅れたのは、設計変更に時間が掛かるためというだけではないように思います。
 ですから改設計の時間を理由として、あり得ないというご説には同意できません。論拠なく書いていくのは、推理でしかなく、議論が成立するとは思いませんが、タイムスケジュールで見るべきは、昭和7年8月であり、起工時点での史実の内容ではないように思います。

 なお私は遠藤氏の「藤本少将が生きていれば〜」という見解に全面的に与するものではありません(「人の話を聞く」藤本少将が決まった建艦方針に逆らったとは考えられない)。
 別に遠藤氏の信者ではありませんので、氏の見解で「違う」と思う部分もあります。

 ただ、遠藤氏によれば「昭和7年8月に空母予備艦が13,500トン3隻」という見方をするだけの資料はあるらしいので「それが正しいとするなら」という話をしているのです。
 何らかの理由によって、史実と建艦方針が異なった場合は、空母予備艦を蒼龍型として起工された艦に揃えることはあり得たのではないか、と申し上げているのですが。

 BUNさまなど、諸氏の指摘されている航空戦備の想定と、13,500トン空母予備艦3隻との整合性については、どのように説明すべきものかはわかりません。
 ただ、予算・設計面や条約との整合性に目処が立つなら、建造予定の新空母とほぼ同一時期に建造する予定の空母予備艦との性能統一が図れるなら、戦備上有利なことは当時の人の視点でも明白でしょう。

>  事実とは、人の思いがあって真実になります。
> それだけに、二次・三次資料を見た場合、簡単な所から考証していくのが妥当なのではないでしょうか?

 ご忠告ありがとうございます。
 この件については、気長にコツコツ調べていこうと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 飛龍の遅延  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/27(水) 17:49  -------------------------------------------------------------------------
   > 飛龍は蒼龍での実績を参考にするまで、起工を見合わせていたのであり、起工が遅れたのは、設計変更に時間が掛かるためというだけではないように思います。

昭和7年8月17日海令機密第215号商議で要望した計画の変更を海軍省へ伝える軍令部の昭和8年6月14日海令機密第154号は、「航空母艦一隻および条約により昭和11年末までに完成するを許されざるも建造中なることを得る艦船の完成期」について、マル2計画全般の「昭和11年度末までに完成」という期間を1年超えることを設定しています。
軍縮条約のトン数制限への抵触を考慮して、飛龍ははじめから条約期限切れを狙った完成時期を求められているようです。
いたずらな建艦競争をアメリカに強いることは得策ではありませんし、あまりに挑発的な条約破りは日本海軍の意とするところではなかったように思います。

ちなみに、7年8月17日商議について「巡洋艦2隻をハワイ方面索敵巡洋艦の艦型変更する」といわれているのは、実際には、この2隻を航空巡洋艦に変更して建造する場合のあることが述べられているだけです。この商議に関するそのほかの「説明」についても、同様に直接的史料のないところに相当に入り組んだ状況証拠を投入して筆者独自の試案として纏め上げたものと考えられるべきなのであり、「同時期のほかの資料を加えて説明すると」という文意をきちんと汲み取ってあげなくては、せっかく言葉を尽くしている筆者の意図するところではかえってなくなってしまうような気がしてしまうのですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 龍驤、大鯨、高崎、剣埼の立脚点  ■名前 : 片  ■日付 : 06/12/27(水) 22:15  -------------------------------------------------------------------------
   龍驤、大鯨、高崎、剣埼。
実験艦である鳳翔を除いて、これら略1万トン級の小型空母を4隻セットとして整備する方針は、実は大正12年に提案されて以来のものです。
ワシントン条約以降の海軍の航空母艦整備方針は、赤城、加賀各27000トンにプラスしてさらにもう1隻の27000トン大型空母を作り、これと並行して1万トンの補助航空母艦4隻を配備しようというものでした。この方針がロンドン条約直後まで引き継がれ、しかし同条約によって1万トン未満であっても制限対象となったため、すでに就役済みである龍驤を除いた残り3隻は「空母予備艦」という形をとって船腹の用意をされることになります。(従って、「大鯨、高崎、剣埼」と「千歳、千代田、瑞穂」とでは空母としての必要度にも差が生まれています)

海軍はこの小型補助空母4隻は防御的兵器であると考えています。
もしも対米戦が始まった場合、米国の取り得る手段として空母艦上機による帝都または商工業要地に対して空襲、奇襲等を敢行し、もって我が方への決戦を強要してくることを想定し、対処しようとしているのです。
このために取り得る対処手段は内地に基地航空隊を増勢して防御に当てるというものでしたが、同時に日本列島の海岸線の長さを考えると十分な基地航空兵力配備は望めない。そこで、機動性を持つ局地防空手段として講じられたのが補助航空母艦(航空補給艦)でした。
こうした内地防衛の考え方は大正12年の国防所要兵力量第二次改訂の中で確立され、昭和11年に第三次改訂が行われるまで引き継がれます。中攻のそもそもの出発点である沿岸攻撃機も同じ文脈の中から生まれています。

蒼龍、飛龍は3隻目の27000トン大空母を軍縮条約に抵触しないようにトン数を2分して中空母としたものです。従って、こちらは赤城、加賀と同様敵艦隊主力に指向することを求められていたはずです。中空母と補助航空母艦では戦略上の立ち位置に違いがあるのです。

昭和11年の国防所要兵力量第三次改訂では、主力決戦の前に航空決戦が位置づけられ、艦隊への空母配備数は正規空母10隻と特空母多数というそれまでに大差をつけた数に変わります。これは、この直前に急降下爆撃機の用法が確立されたことが大きな要因となっています。艦隊への空母の多数配備の必要性が本当に生まれたのはこの時期以降であり、もう少し遡るなら、友鶴事件の結果設計変更されて航空巡洋艦としては存在得なくなってしまった蒼龍に対して軍令部が艦上軽爆撃機(艦爆)用の空母としての役回りを与えた時点が具体的な出発点であるともいえます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : そのお話には無理があると思います  ■名前 : 川崎まなぶ  ■日付 : 06/12/28(木) 10:22  -------------------------------------------------------------------------
   大正12年に策定されたものは、軍縮条約の関係で変更がかけられています。

例えば、昭和4年の”軍備縮小に対し帝国の譲歩し得る兵力”によれば、空母は「赤城」「加賀」「鳳翔」「龍驤」と13500トン型の5隻とすることになっています。

これ以外にも、昭和六年にも”国防に要する兵力”が改訂、アメリカの戦略である艦隊航空決戦に対抗するため沿岸航空隊戦時108隊(1200機程度)の整備などが盛り込まれ、昭和七年には”昭和10年、12年帝国海軍現有兵力標準”が改訂されて、これを元に二次計画の原案が出来てきます。この標準の改訂の中で「大鯨」「高崎」「剣埼」の計画が定まってくるのですが、その議論の中でもこれら10000トン型が「蒼龍」と同一艦型というお話はありませんけど。

このように、時代によって変化を遂げていっていますし、同じ時代でもさまざまな意見があるのも事実でしょう。ただ、大正12年の計画ではロンドン条約の関係上昭和6〜9年ごろのものを判断するのは非常に無理があります。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:そのお話には無理があると思います  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/29(金) 16:14  -------------------------------------------------------------------------
   >片さま

 色々とご教授ありがとうございます。

>昭和7年8月17日海令機密第215号商議で要望した計画の変更を海軍省へ伝える軍令部の昭和8年6月14日海令機密第154号は、「航空母艦一隻および条約により昭和11年末までに完成するを許されざるも建造中なることを得る艦船の完成期」について、マル2計画全般の「昭和11年度末までに完成」という期間を1年超えることを設定しています。
軍縮条約のトン数制限への抵触を考慮して、飛龍ははじめから条約期限切れを狙った完成時期を求められているようです。
いたずらな建艦競争をアメリカに強いることは得策ではありませんし、あまりに挑発的な条約破りは日本海軍の意とするところではなかったように思います。

 そういうことでしたか。しかし、仮に条約再締結となれば、大変な事態になり得たのですね。

>ちなみに、7年8月17日商議について「巡洋艦2隻をハワイ方面索敵巡洋艦の艦型変更する」といわれているのは、実際には、この2隻を航空巡洋艦に変更して建造する場合のあることが述べられているだけです。この商議に関するそのほかの「説明」についても、同様に直接的史料のないところに相当に入り組んだ状況証拠を投入して筆者独自の試案として纏め上げたものと考えられるべきなのであり、「同時期のほかの資料を加えて説明すると」という文意をきちんと汲み取ってあげなくては、せっかく言葉を尽くしている筆者の意図するところではかえってなくなってしまうような気がしてしまうのですが。

 資料の開示ありがとうございます。
 ご指摘について「読者が文脈を読み取る」べきとするには、不適切な書き方の規模が大きすぎるのではないかと思います。事実がどうあれ、該当部分(161ページ前半)を相当の知識がない状態で読めば、日本語的には「マル2計画はいろいろな資料からして、こういう内容である。この計画には〜は含まれていない。含まれていない理由を想像すると、こういう理由ではないか」と書かれているようにしか読めません。
 つまり、日本語として遠藤氏が主観で書いていると明記している部分は「〜がマル2計画に含まれていない理由」を推理している部分だけです。143〜144ページにも近い趣旨の記述がありますが、この部分でも「13,500トン型航空母艦5隻の船体確保が決まった」と断定調で書かれています。そしてマル2計画自体も「完全な航空艦隊の建設を予定して作成された」この部分も完全な断定調です。
 主観を明記している部分は「小型航空母艦の船体確保の意図はなかったようだ」から後の部分ですが、わざわざ分けて書いている以上、分けていない部分については、相当の自信がおありなのだろうと考えるのが普通の読み方というものではないかと思います。
 どちらにせよ、遠藤氏自身でなければ、この件について事の真偽は説明できないと考えます(おそらくは片さまの言われる通りなのでしょうが)。

> 龍驤、大鯨、高崎、剣埼。
実験艦である鳳翔を除いて、これら略1万トン級の小型空母を4隻セットとして整備する方針は、実は大正12年に提案されて以来のものです。
ワシントン条約以降の海軍の航空母艦整備方針は、赤城、加賀各27000トンにプラスしてさらにもう1隻の27000トン大型空母を作り、これと並行して 1万トンの補助航空母艦4隻を配備しようというものでした。この方針がロンドン条約直後まで引き継がれ、しかし同条約によって1万トン未満であっても制限対象となったため、すでに就役済みである龍驤を除いた残り3隻は「空母予備艦」という形をとって船腹の用意をされることになります。(従って、「大鯨、高崎、剣埼」と「千歳、千代田、瑞穂」とでは空母としての必要度にも差が生まれています)

 ご教授ありがとうございます。

>海軍はこの小型補助空母4隻は防御的兵器であると考えています。
もしも対米戦が始まった場合、米国の取り得る手段として空母艦上機による帝都または商工業要地に対して空襲、奇襲等を敢行し、もって我が方への決戦を強要してくることを想定し、対処しようとしているのです。
このために取り得る対処手段は内地に基地航空隊を増勢して防御に当てるというものでしたが、同時に日本列島の海岸線の長さを考えると十分な基地航空兵力配備は望めない。そこで、機動性を持つ局地防空手段として講じられたのが補助航空母艦(航空補給艦)でした。
こうした内地防衛の考え方は大正12年の国防所要兵力量第二次改訂の中で確立され、昭和11年に第三次改訂が行われるまで引き継がれます。中攻のそもそもの出発点である沿岸攻撃機も同じ文脈の中から生まれています。


 そういうものなのでしょうね。事実であるなら、疑問を呈してもあまり意味がありませんが、機動性を持つ局地防空空母なら、なおさら高速力と艦載機の航続力が必要だと思います。
 艦戦を中心に搭載し、守るべき要地を遠く離れずに防空任務のみ、というような構想なのでしょうか。


>蒼龍、飛龍は3隻目の27000トン大空母を軍縮条約に抵触しないようにトン数を2分して中空母としたものです。従って、こちらは赤城、加賀と同様敵艦隊主力に指向することを求められていたはずです。中空母と補助航空母艦では戦略上の立ち位置に違いがあるのです。

>昭和11年の国防所要兵力量第三次改訂では、主力決戦の前に航空決戦が位置づけられ、艦隊への空母配備数は正規空母10隻と特空母多数というそれまでに大差をつけた数に変わります。これは、この直前に急降下爆撃機の用法が確立されたことが大きな要因となっています。艦隊への空母の多数配備の必要性が本当に生まれたのはこの時期以降であり、もう少し遡るなら、友鶴事件の結果設計変更されて航空巡洋艦としては存在得なくなってしまった蒼龍に対して軍令部が艦上軽爆撃機(艦爆)用の空母としての役回りを与えた時点が具体的な出発点であるともいえます。

 つまり、空母の運用構想が移りゆく中での、タッチの差ということですね。ロンドン条約が数年遅いなら、有力空母予備艦構想にも現実性があったのかもしれまない、と読めました。

>川崎まなぶ様

 私には川崎さまや片さまのご意見の蓋然性はわかりかねますが、大変勉強になりました。
 ご教授ありがとうございます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  ■名前 : 瑞雲  ■日付 : 06/12/17(日) 16:06  -------------------------------------------------------------------------
   議論の前提条件がそもそも正しいのでしょうか?

「大鯨」「剣埼」「高崎」の空母改装はタービン換装等技術的問題をを割り引けば、かなり速やかに行われており、水上機・甲標的母艦とは最初から関係ありません。

>  当初から水上機や特殊潜行艇の先行きを見越して、水上機・甲標的母艦を断念
>していれば、「大鯨(龍鳳)」「剣埼(瑞鳳)」「高崎(祥鳳)」「千歳」「千代>田」「瑞穂」「日進」は、大差ない基準排水量から考えて「蒼龍」と同一船体で計>画できたのではないかと思います(「航空母艦を重視する戦備」に割りきっていた>なら、今後の艦載機発展を考え、船体を長く取るはずですから)。
>  もし、太平洋戦争開戦時に「蒼龍」に近い船体の空母(当然、擬装形態での性
>能実現や、ディーゼル機関の試験搭載などで「蒼龍」「飛龍」よりも性能は劣るで>しょうが)が7隻もあれば、戦争の経過も全く変わっていたのではないかと、愚行>する次第です。この点の妥当性については、どう思われるでしょうか。

主題のはずの「十二試二座水偵」の話に甲標的母艦の話が混在しているはあえて無視しても、千歳とか剣崎とかがあの大きさなのは計画時にロンドン条約があった関係であって、水上機構想や甲標的構想の結果ではありません。加えて基準排水量で千歳11,000トン(水母時)蒼龍16,000トンで千歳と蒼龍では一回り以上サイズが違い「日本のロンドン条約への不参加」などを想定しなければ、「蒼龍」と同一船体で計画できるとは考えにくいものがあります。多少船体を長く設計したとしても基本排水量で1/3も違うのに空母として作られれば蒼龍に近い船体となるという根拠はどこにあるのでしょうか?

艦載機の調達とかは資源(予算)の割り振りの問題に過ぎませんから、「そうした」と想定して影響をあれこれ考えれば良いのでしょう。千歳、千代田が最初から空母になっていれば水上機での攻撃に使われるよりは戦力としては効果的だったかもしれないことも否定する理由はありません。
ただ千歳や剣崎が最初から「蒼龍」並みの空母として計画できる状態にするには、「日本がロンドン条約に不参加だったら」という想定を置かなければ無理でしょうし、もしもそれが可能な状態なら「瑞鶴」や「大鳳」の増産なりを選ぶのが自然な選択だと思います。


歴史のイフを話すのは楽しいことですが、もう少し論点を整理されてからの方が良いのではないでしょうか。
少なくとも「水上機による空母攻撃計画が妥当かどうか」と「千歳型等が最初から蒼龍並みの空母として作られていたら」とは別に分けて話す内容だと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  ■名前 : 瑞雲  ■日付 : 06/12/17(日) 16:45  -------------------------------------------------------------------------
   失礼よそへのレスで

>厳密に言えば、基準排水量で条約制限をオーバーしていますが、
>蒼龍とて、10,050トンとされているわけですから、誤魔化せるかと。

ロンドン条約なんて誤魔化せばいい、と答えられているのですね。

じゃあ議論する意味は無いと思います。
失礼しました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/18(月) 19:27  -------------------------------------------------------------------------
   > 主題のはずの「十二試二座水偵」の話に甲標的母艦の話が混在しているはあえて無視しても、千歳とか剣崎とかがあの大きさなのは計画時にロンドン条約があった関係であって、水上機構想や甲標的構想の結果ではありません。加えて基準排水量で千歳11,000トン(水母時)蒼龍16,000トンで千歳と蒼龍では一回り以上サイズが違い「日本のロンドン条約への不参加」などを想定しなければ、「蒼龍」と同一船体で計画できるとは考えにくいものがあります。多少船体を長く設計したとしても基本排水量で1/3も違うのに空母として作られれば蒼龍に近い船体となるという根拠はどこにあるのでしょうか?

 一番最初に空母予備艦7隻のが蒼龍型船体だったら、という話を振っている通りです。話の論拠についてはBUNさまへのレスで書いた通りですので、お手数ですがそちらを。
 また「空母として作られたら」ではありません。この話でも空母予備艦の擬装状態は、潜水母艦なり水上機母艦なり、高速敷設艦であることには変わりないのです。船体が蒼龍型と同じで、戦時に蒼龍型に準ずる空母となるよう計画されているというだけです。

 で、何度か書いていますが、蒼龍の当初計画は基準排水量10,050トンです(予算請求も10,050トンでなされたはずです。実際に建造すれば、間違いなく12,000〜13,000トンくらいにはなるでしょうが)。つまり大鯨や千歳型とほぼ同じです。
 つまり、ロンドン条約を守っていても、基準排水量10,000トンの制限外艦艇で、蒼龍型船体は実現できるのではないかと思います(そして、蒼龍や史実の千歳型同様、条約を破るつもりで設計を改め、排水量を増大することでしょう)。空母予備艦は蒼龍原案にある15.5センチ砲5門や、大出力機関の大半は搭載しないわけですから、排水量削減で有利でしょう。

 そして、10,050トンの蒼龍原案と15,900トンの蒼龍ですが、船体についてはほぼ同じ内容のようです。10,050トンの蒼龍原案でも飛行甲板長233mもあり、史実の蒼龍よりも長いのです。例えば10,000トンとされていたであろう、ドイツ重巡プリンツ・オイゲンと、史実の蒼龍の大きさも大差ありません。
 つまり10,000トンなら蒼龍船体は無理、とはならないでしょう。

> 艦載機の調達とかは資源(予算)の割り振りの問題に過ぎませんから、「そうした」と想定して影響をあれこれ考えれば良いのでしょう。

 仰る通りです。

> 少なくとも「水上機による空母攻撃計画が妥当かどうか」と「千歳型等が最初から蒼龍並みの空母として作られていたら」とは別に分けて話す内容だと思います。

 文章がわかりにくくて申し訳ありません。一番最初で「〜の妥当性はいかがでしょうか」という形でご指摘の内容を分けて書いたつもりだったのですが、不適切だったようですね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 蒼龍原案の基準排水量  ■名前 : 大塚好古  ■日付 : 06/12/18(月) 22:41  -------------------------------------------------------------------------
    大鯨以下の空母予備艦の第一状態における基準排水量11,000トン〜12,000トンという数値は、友鶴事件・第四艦隊事件後の改正工事を実施後の数値です。対して蒼龍原案G8は公称・予算上では基準排水量10,500トンですが、設計の段階で基準排水量が13,000〜14,000トン(公試排水量18,000トン)に達する見込みとなっています。つまりロンドン条約を守るつもりだった大鯨(当初計画時基準10,000トン、改正後公試排水量約14,000トン)や千歳型(当初計画時基準9,000トン、竣工後公試排水量約12,600トン)より、最初から蒼龍は遙かに大型なのです(なお、蒼龍のトンあたり建造単価が妙に高いのは公試排水量が予定を大幅に超過する見込みであったことが、影響していると思われます)。

 また蒼龍原案より船体がやや小型の米空母レンジャーでも、船殻重量と船体装備品だけ(兵装装甲機関含まず)で10,000トンを軽く突破することを考えると、空母予備艦に蒼龍原案と同程度の船体を持たせて、ロンドン条約に抵触しない排水量で収めるのはほぼ確実に無理と思われます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:蒼龍原案の基準排水量  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/19(火) 9:39  -------------------------------------------------------------------------
   >  大鯨以下の空母予備艦の第一状態における基準排水量11,000トン〜12,000トンという数値は、友鶴事件・第四艦隊事件後の改正工事を実施後の数値です。対して蒼龍原案G8は公称・予算上では基準排水量10,500トンですが、設計の段階で基準排水量が13,000〜14,000トン(公試排水量18,000トン)に達する見込みとなっています。つまりロンドン条約を守るつもりだった大鯨(当初計画時基準10,000トン、改正後公試排水量約14,000トン)や千歳型(当初計画時基準9,000トン、竣工後公試排水量約12,600トン)より、最初から蒼龍は遙かに大型なのです(なお、蒼龍のトンあたり建造単価が妙に高いのは公試排水量が予定を大幅に超過する見込みであったことが、影響していると思われます)。

 つまり、最初から10,050トンで作るつもりはなく、日本重巡や(まぁ、米国含め、他国の巡洋艦・戦艦も結構違反しているのですが)ビスマルクなどと同様、条約違反は覚悟していたということですね。10,050トンの船が設計変更で15,900トンになったり、17,300トンになるのを不思議に思っていたのですが(普通、完全に別の船ですから)、元より13,000〜14,000トンで計画されていたなら納得できます。

 レンジャーの件も含め、どうもご教授ありがとうございました。 

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  ■名前 : 瑞雲  ■日付 : 06/12/19(火) 8:55  -------------------------------------------------------------------------
   >一番最初に空母予備艦7隻のが蒼龍型船体だったら、という話を振っている通りで>す。話の論拠についてはBUNさまへのレスで書いた通りですので、お手数ですが>そちらを。
> また「空母として作られたら」ではありません。この話でも空母予備艦の擬装状>態は、潜水母艦なり水上機母艦なり、高速敷設艦であることには変わりないので
>す。船体が蒼龍型と同じで、戦時に蒼龍型に準ずる空母となるよう計画されている>というだけです。


千歳が空母として改装されてても基準排水量はほとんどかわってません。船体を蒼龍型にするなら基準で16,000トン位になり空母予備艦としてもロンドン条約上計画できません。潜水母艦なり水上機母艦なり、高速敷設艦にするのでも、10,000トン前後にしかなりません。


> で、何度か書いていますが、蒼龍の当初計画は基準排水量10,050トンです(予算>請求も10,050トンでなされたはずです。実際に建造すれば、間違いなく12,000〜>13,000トンくらいにはなるでしょうが)。つまり大鯨や千歳型とほぼ同じです。
> つまり、ロンドン条約を守っていても、基準排水量10,000トンの制限外艦艇で、>蒼龍型船体は実現できるのではないかと思います(そして、蒼龍や史実の千歳型同>様、条約を破るつもりで設計を改め、排水量を増大することでしょう)。空母予備>艦は蒼龍原案にある15.5センチ砲5門や、大出力機関の大半は搭載しないわけです>から、排水量削減で有利でしょう。

> そして、10,050トンの蒼龍原案と15,900トンの蒼龍ですが、船体についてはほぼ>同じ内容のようです。10,050トンの蒼龍原案でも飛行甲板長233mもあり、史実の
>蒼龍よりも長いのです。例えば10,000トンとされていたであろう、ドイツ重巡プリ>ンツ・オイゲンと、史実の蒼龍の大きさも大差ありません。
> つまり10,000トンなら蒼龍船体は無理、とはならないでしょう。


既に多くの人たちが書かれてますが、10,500トンで蒼龍作るのは無理だったから、史実の蒼龍は基準排水量で16,000トンとなったのです。
10,500トンで準蒼龍型の性能が発揮出来るなら、龍驤は苦労しません。


> 少なくとも「水上機による空母攻撃計画が妥当かどうか」と「千歳型等が最初から蒼龍並みの空母として作られていたら」とは別に分けて話す内容だと思います。

> 文章がわかりにくくて申し訳ありません。一番最初で「〜の妥当性はいかがでし>ょうか」という形でご指摘の内容を分けて書いたつもりだったのですが、不適切だ>ったようですね。

最初の話に戻りますが、「大鯨」「剣埼」「高崎」は水上機による空母攻撃計画とははじめから関係ありませんし、できるだけ速やかに空母にされています。甲標的も期待されてますから、そちらも考えれば水上機による空母攻撃が妥当では無いと海軍が考えて空母整備を強化しても、史実と比べて千歳、瑞穂が空母として追加されるだけ、瑞穂はタービンに換装でしょうから、開戦時には30機搭載の軽空母「千歳」が一隻ふえるだけです。

改装準蒼龍型が開戦当初から7-8隻あれば、という話がしたければ、日本がロンドン要約破棄して建艦競争に入っていたらという前提が必要で、そうすれば空母予備艦なんて作る必要ありませんし、その場合どうせ作るなら瑞鶴並みとかもっと大型の空母を最初から作るだろうと、話の収拾がつかなくなるような話題なんです。

で、結局12試2座水偵による空母攻撃計画の評価の話は尻切れトンボに終わったようで残念です。本当に有効な構想なら(少なくとも海軍はそう信じていたはず)最大速度では大差ない零式水偵で代用するなり、千歳から99艦爆射出するなりもできたはずで、ミッドウェーとかの勝負どころでそれをしなかったのは何故か?とかの話には興味があったのですが。そんな余分な機体がどこにあったのかはさておいて。(笑)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:色んな話が混在しているようですが、後半に絞って。  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/19(火) 10:13  -------------------------------------------------------------------------
    色々とご教授ありがとうございます。

> で、結局12試2座水偵による空母攻撃計画の評価の話は尻切れトンボに終わったようで残念です。本当に有効な構想なら(少なくとも海軍はそう信じていたはず)最大速度では大差ない零式水偵で代用するなり、千歳から99艦爆射出するなりもできたはずで、ミッドウェーとかの勝負どころでそれをしなかったのは何故か?とかの話には興味があったのですが。そんな余分な機体がどこにあったのかはさておいて。(笑)

 最初に「水上機母艦が航空母艦に勝るところはないと考える」という話をし、搭載機数も空母のほうが増えるという話もしたのですが、特にどなたからも異論がなかったようなので、その話には結論が出たものと考えておりました。
 その件についても、今まで書いたこと以上に踏み込んだ議論をする知識は持ち合わせておりませんので、議論するつもりはありません。
 これまでもスレッドを立てた人が議論に参加しなくとも、議論されてきたのがこの場所だと思いますので、続けられてもいいのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:十二試二座水偵計画の妥当性について  ■名前 : 不明  ■日付 : 06/12/19(火) 1:18  -------------------------------------------------------------------------
    海軍が、戦前から「陸攻ではなく、空母を主役とした」航空主兵だったとしたら?というIFも、それはそれで良いでしょう。しかしワシントン〜ロンドン両海軍々縮条約を結んだ理由は、無制限な建艦競争になれば日本は戦わずして負けるという認識に基づき、米英の海軍々備をも条約によって縛るためではなかったでしょうか。
 すなわち両条約を欺瞞するという事は、米英との無制限な建艦競争に突入するリスクを含みます。そして無制限な建艦競争になると戦わずして必ず負けるならば、米英の艦船大量建造が軌道にのる前に戦争に訴える覚悟が要ります。つまり、ロンドン条約を無視して空母ないし空母予備艦を大量建造するという事は、「近い将来、日米開戦は不可避」と看倣した具体的な戦争準備に等しい訳です。
 ですが、昭和9年頃にそこまでの見通しが得られたでしょうか?。また、米英と友好的な関係を回復できそうな余地が残っている間に、戦争準備に等しい行為に踏み切れるものでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:Re:十二試二座水偵計画の妥当性について  ■名前 : 高村 駿明 <c.ajiro@tgweb.net>  ■日付 : 06/12/19(火) 10:17  -------------------------------------------------------------------------
   >  すなわち両条約を欺瞞するという事は、米英との無制限な建艦競争に突入するリスクを含みます。そして無制限な建艦競争になると戦わずして必ず負けるならば、米英の艦船大量建造が軌道にのる前に戦争に訴える覚悟が要ります。つまり、ロンドン条約を無視して空母ないし空母予備艦を大量建造するという事は、「近い将来、日米開戦は不可避」と看倣した具体的な戦争準備に等しい訳です。

 ご指摘ありがとうございます。これは議論ではなく質問なのですが、米英海軍は、戦前に「大鯨」などが戦時に空母に改装される艦艇だと見なしていたのでしょうか。
 その件について、手持ちの資料には記載されておりませんでした。
 もしご存じであれば、ご教授頂ければ幸いです。

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