Page 184 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼もしも火薬が無かったら 河伯 07/3/19(月) 11:48 ┣Re:もしも火薬が無かったら SUDO 07/3/19(月) 21:22 ┃ ┣Re:もしも火薬が無かったら カンタニャック 07/3/20(火) 0:20 ┃ ┃ ┗Re:もしも火薬が無かったら 河伯 07/3/20(火) 11:26 ┃ ┃ ┗新大陸では カンタニャック 07/3/20(火) 12:43 ┃ ┃ ┗火器の有効性が絶対的になる時期とは? じゃま 07/3/20(火) 19:46 ┃ ┗Re:もしも火薬が無かったら 河伯 07/3/20(火) 10:54 ┣深く考えずに徒然なるままにレス おうる 07/3/20(火) 20:22 ┃ ┗スチーム カンタニャック 07/3/20(火) 22:17 ┃ ┗Re:スチーム おうる 07/3/20(火) 23:10 ┃ ┣タービン カンタニャック 07/3/21(水) 5:08 ┃ ┃ ┗Re:タービン おうる 07/3/21(水) 20:44 ┃ ┃ ┗大気圧エンジン カンタニャック 07/3/21(水) 22:41 ┃ ┗Re:スチーム 早房一平 07/3/21(水) 21:47 ┃ ┗Re:スチーム カンタニャック 07/3/21(水) 22:10 ┣Re:もしも火薬が無かったら トロッター 07/3/20(火) 22:04 ┃ ┗Re:もしも火薬が無かったら カンタニャック 07/3/20(火) 22:35 ┃ ┗アメリカはあったのか? おうる 07/3/20(火) 23:31 ┃ ┗Re:アメリカはあったのか? カンタニャック 07/3/21(水) 4:37 ┃ ┗ご免なさい カンタニャック 07/3/21(水) 22:47 ┗Re:もしも火薬が無かったら カンタニャック 07/3/20(火) 22:53 ─────────────────────────────────────── ■題名 : もしも火薬が無かったら ■名前 : 河伯 ■日付 : 07/3/19(月) 11:48 -------------------------------------------------------------------------
「何を荒唐無稽な事を」と顰蹙を買いそうですが、もしもお付き合い頂ければ幸いです。 現実に火薬が発明されている世界に生きる我々からすれば「ありえない」の一言で終わりかもしれませんが、もしも火薬が無かったら兵器達はどのような発達を遂げたでしょうか。 第一次世界大戦では塹壕戦は発生せず、壮大な騎兵の戦いとなった? 騎兵に対抗して戦車が発明された? 歩兵の携行兵器として弩が発達?後にガス圧式の銃が発達? 第二次大戦の戦艦大和には巨大な衝角が?46cmカタパルト(笑)を装備? 飛行機にはなかなか武装らしきものが装備されなかった? 航空機用には燃料系の『爆弾』が発達していった? |
火薬が使われるようになってから500年は経過しているわけでして、以降の世界の歴史において火薬は非常に重要な役割を果たしてきました。 つまりはWW1等のベースになる世界情勢そのものが火薬を抜きには語れません。 一足飛びに近代に行く前に、中世以前から追いかけていかないと、どうにもならないのではないかと思われます。 |
> 一足飛びに近代に行く前に、中世以前から追いかけていかないと、どうにもならないのではないかと思われます。 そうですね。 初期の火縄銃はかなりの程度まで弩弓で交換可能でしょうし、大砲も投石機で互換できるでしょうが、移動のむずかしさのせいで、騎兵の突撃や騎士の城の有効性がやや長く続き、近世の訪れが少し遅れるかも知れません(密集歩兵のパイクで騎兵の突撃は防げますが、火器がないと騎兵を倒すのが難しくなります)。 一番問題なのは、大航海時代でしょうね。ヨーロッパ人が火器の優越を持たないとなると、新大陸の征服には大きな影響はないでしょうが、アジア貿易におけるヨーロッパの地位の低下は免れないでしょう。火砲のない大型船が、アラビアや東南アジアの航海者達に対して絶対的な優位を得ることはなかなか困難でしょうから、史実よりヨーロッパの影響力が弱まるか、あるいは一定の勢力を維持するために、陸上および海上に膨大な兵力を投入せざるを得なくなるか、いずれにせよアジア側の影響力は増大するでしょう。 日本におけるキリスト教の布教などにも影響を及ぼす可能性があります(南蛮貿易は火器貿易だけではありませんから、火器がなくても南蛮人はそれなりに優遇されるでしょうが)し、また、戦国末期の主武装は弩弓になる可能性が高いと思いますが、鉄砲ほどのインパクトがないために導入が遅れる可能性もあるでしょう。 |
> > 一足飛びに近代に行く前に、中世以前から追いかけていかないと、どうにもならないのではないかと思われます。 > > そうですね。 > 初期の火縄銃はかなりの程度まで弩弓で交換可能でしょうし、大砲も投石機で互換できるでしょうが、移動のむずかしさのせいで、騎兵の突撃や騎士の城の有効性がやや長く続き、近世の訪れが少し遅れるかも知れません(密集歩兵のパイクで騎兵の突撃は防げますが、火器がないと騎兵を倒すのが難しくなります)。 > 一番問題なのは、大航海時代でしょうね。ヨーロッパ人が火器の優越を持たないとなると、新大陸の征服には大きな影響はないでしょうが、アジア貿易におけるヨーロッパの地位の低下は免れないでしょう。火砲のない大型船が、アラビアや東南アジアの航海者達に対して絶対的な優位を得ることはなかなか困難でしょうから、史実よりヨーロッパの影響力が弱まるか、あるいは一定の勢力を維持するために、陸上および海上に膨大な兵力を投入せざるを得なくなるか、いずれにせよアジア側の影響力は増大するでしょう。 あと、ピサロ・コステロによるインカ帝国の征服は失敗した可能性が高いですね。 そもそも銃の優位性無しに、コステロが攻撃を仕掛けたかどうかも怪しいではないでしょうか。 南米の歴史は少々変わりそうな気がします。 > 日本におけるキリスト教の布教などにも影響を及ぼす可能性があります(南蛮貿易は火器貿易だけではありませんから、火器がなくても南蛮人はそれなりに優遇されるでしょうが)し、また、戦国末期の主武装は弩弓になる可能性が高いと思いますが、鉄砲ほどのインパクトがないために導入が遅れる可能性もあるでしょう。 日本に弩弓が普及しなかったのは不思議な感じがしてましたが、狭隘土地での戦闘が多かった日本ではなかなか必要とされなかったのでしょうか? それは鉄砲にも言える事ですから、やはり“インパクト”の差ですかね? 話が飛んでしまいますが、戦国時代に鉄砲を大量に用いた(用いたとされる)長篠の戦いでの信長ですが、やや苦戦するかもしれませんが、やはり兵力差で史実通り勝っていたでしょうね。 同等の文化レベル同士の戦いでは大きな変化は無く、一方的な火力格差のあった国又は地域間での戦いに大きな変化があったでしょうね。(当たり前の事ではありますが) |
> あと、ピサロ・コステロによるインカ帝国の征服は失敗した可能性が高いですね。 > そもそも銃の優位性無しに、コステロが攻撃を仕掛けたかどうかも怪しいではないでしょうか。 やるんじゃないでしょうか。上司とも戦争しながら、500人の部下で人口20万以上の都市を攻め落とそうとする人ですから。 問題は、反アステカの諸部族が史実通りコルテスと同盟を結ぶかですが、異様な風体と馬があれば、火器がなくてもたいした違いはなかったとおもいます。 それに、遅かれ早かれ天然痘が問題に決着をつけることになるでしょう。 |
> 問題は、反アステカの諸部族が史実通りコルテスと同盟を結ぶかですが、異様な風体と馬があれば、火器がなくてもたいした違いはなかったとおもいます。 コルテスの部隊にせよ、ピサロの部隊にせよ、火縄銃や大砲はもちろんありましたが、弩や大弓も併用していたと、いろんな本に書いてありました。 16世紀は、まだ火器の優位性は、さほどではなかったと思います。 火器が決定的な要因になるのは、もう数十年遅れて三十年戦争頃、フリントロック式の銃(熟練した銃手は一分間に3発発射できたそうです)と、榴弾が普及しはじめてからではないでしょうか。 コルトの連発銃ができるまで、アメリカ・インディアンは弓の速射性で白人に勝っていた、なんて話もありますね。 |
> 火薬が使われるようになってから500年は経過しているわけでして、以降の世界の歴史において火薬は非常に重要な役割を果たしてきました。 > つまりはWW1等のベースになる世界情勢そのものが火薬を抜きには語れません。 > 一足飛びに近代に行く前に、中世以前から追いかけていかないと、どうにもならないのではないかと思われます。 ご指摘ありがとうございます。 確かに、一足飛びに近代ではどうにもならない、というのはその通りですね。 少し舞い上がり過ぎました。 15世紀のコンスタンティノープルの戦いで、オスマン・トルコが火砲を有効に利用したようですが、その辺りから大きな影響が出てきますでしょうか。 火薬が無ければ、東ローマ帝国の滅亡はもっと後になった。とあえて断言。 |
長弓や弩は史実よりも普及したかもしれませんが、威力や連射性、連射の持続力は極端に発達することは期待できません。 投石機も史実より発達することはないでしょう。 新素材や鋼が大量に調達できるようになれば飛躍的に発達する可能性もありますが、そもそもそうした新素材や鋼の需要が史実と同様に生じるかどうか疑問に思います。 投石機は射程を得るために投石機そのものよりも、投石機で飛ばす飛翔体の形状を工夫する方向へ進むかもしれません。ただ、石造りの城塞を攻略するには射程距離よりも衝撃力が重要です。民衆の存在が重要になり、城塞都市内の民家を遠距離から狙う焼夷弾が必要とされない限り、投石機が射程延長を求めて史実にはない方向へ発達するのは期待できないかもしれません。ガレー船以外の船舶に搭載することも難しいでしょうし、陸上兵器として機械的限界に達するまで大型化するだけでしょう。 ギリシャ火薬の例がありますから、火器が完全に存在しないということはないと思います。油脂を遠距離に飛ばせる手段が確立できるなら、火炎放射器へと容易に結実するでしょう。 焙烙玉や火炎瓶といった焼夷兵器は海戦や攻城戦で活用されるでしょうし、射程を求めて投擲機が発達することが想像できます。弩と火炎瓶を組み合わせたPIATのような兵器が普及するかもしれません。 火砲が登場しないので冶金学の発達には著しい影響があると思います。製鋼技術の発達は史実よりも大幅に遅れるのではないでしょうか? ホイヘンスの火薬機関も考案されないことになりますから、レシプロエンジンが発明されないかもしれません。 蒸気を動力として利用できることは、かなり昔から知られていましたから、熱機関そのものが発明されないということはないと思いますが、レシプロ蒸気機関の発達に対して、蒸気タービンの発達が早まるかもしれません。 冶金学や製鋼技術の発達が遅れていれば、高速回転する蒸気タービンを実用化させることが困難になりますから、船舶や車両その他プラントの動力源として活用されるのはかなり遅れることになります。 産業革命は起こらないか、起こっても「革命」とは呼びにくいような緩慢なものになるかもしれません(史実の産業革命も100年はかかりましたが)。 欧州では産業革命で蒸気機関に駆逐されるまで水車が極度に発達を遂げていましたから、プラント用動力として水車が史実以上に発展・普及すると思われます。産業は水資源の豊富な地域を中心に発展することになるかもしれません。 蒸気機関が発明されなければ、カルノーサイクルの理論も確率されないでしょうし、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが発明される可能性は大きく減じることになるとおもいます。下手すれば蒸気タービンから一足飛びにガスタービンへの発達を遂げようという試みがおこるかも? 人類初の動力飛行はロケットかもしれません。 |
> ホイヘンスの火薬機関も考案されないことになりますから、レシプロエンジンが発明されないかもしれません。 > 蒸気を動力として利用できることは、かなり昔から知られていましたから、熱機関そのものが発明されないということはないと思いますが、レシプロ蒸気機関の発達に対して、蒸気タービンの発達が早まるかもしれません。 ホイヘンス=パパンの火薬エンジンはないでしょうが、セイヴァリーの火力機関は、蒸気の凝縮によって出来る真空を利用して、大気圧で紡錘形の容器に水を吸い上げるというものです。始めて実用に耐える蒸気機関となったニューコメンのエンジンも水を注入してシリンダーの圧力を下げるという大気圧エンジンです(ニューコメンとセイヴァリーの関係は微妙で、ニューコメン機関にはセイヴァリーの協力があったとするものも、ニューコメンはセイヴァリーのエンジンをよく知らなかったとする説もあります。ニューコメンがセイヴァリーの特許に制約されていたことは確かなようですが。)。大砲無しに「シリンダー」というアイデアが生まれるかどうかは微妙なところですが、火薬機関とはすこし別の発想から始まってはいます。 ただし、ニューコメン機関からワット機関への移行は間違いなく難しくなるでしょう。ニューコメン機関よりずっと精度が高いシリンダーが必要なワット機関の開発は難航し、ワットはウイルキンソンの中グリ旋盤で作った高精度のシリンダーを使用することでようやく実用化に成功しています。大砲がないとなると、中グリ旋盤の有用性は大幅に低下しますから、中グリ旋盤自体の開発が遅れ、ワット機関の登場も遅れる可能性は高いでしょう。 だからタービンというのは、面白い着眼点だと思いますが、ヘロンやブランカのタービン機関が実用化されなかったことを考えると、蒸気機関の主流がタービン化するとは考えにくく、やはりニューコメン類似の機関が生まれるが、その登場は遅れ(最初は改良型セイヴァリー式揚水機で揚げた水で水車を廻すとか…)、その上経済性の高いワット機関の登場も遅れ、ワット機関の効率を前提とする蒸気船や蒸気機関車の登場も遅れるでしょう。 |
> ホイヘンス=パパンの火薬エンジンはないでしょうが、セイヴァリーの火力機関は、蒸気の凝縮によって出来る真空を利用して、大気圧で紡錘形の容器に水を吸い上げるというものです。始めて実用に耐える蒸気機関となったニューコメンのエンジンも水を注入してシリンダーの圧力を下げるという大気圧エンジンです(ニューコメンとセイヴァリーの関係は微妙で、ニューコメン機関にはセイヴァリーの協力があったとするものも、ニューコメンはセイヴァリーのエンジンをよく知らなかったとする説もあります。ニューコメンがセイヴァリーの特許に制約されていたことは確かなようですが。)。大砲無しに「シリンダー」というアイデアが生まれるかどうかは微妙なところですが、火薬機関とはすこし別の発想から始まってはいます。 この辺のことは存じませんでした。もう少し勉強します。 > ただし、ニューコメン機関からワット機関への移行は間違いなく難しくなるでしょう。ニューコメン機関よりずっと精度が高いシリンダーが必要なワット機関の開発は難航し、ワットはウイルキンソンの中グリ旋盤で作った高精度のシリンダーを使用することでようやく実用化に成功しています。大砲がないとなると、中グリ旋盤の有用性は大幅に低下しますから、中グリ旋盤自体の開発が遅れ、ワット機関の登場も遅れる可能性は高いでしょう。 > > だからタービンというのは、面白い着眼点だと思いますが、ヘロンやブランカのタービン機関が実用化されなかったことを考えると、蒸気機関の主流がタービン化するとは考えにくく、やはりニューコメン類似の機関が生まれるが、その登場は遅れ(最初は改良型セイヴァリー式揚水機で揚げた水で水車を廻すとか…)、その上経済性の高いワット機関の登場も遅れ、ワット機関の効率を前提とする蒸気船や蒸気機関車の登場も遅れるでしょう。 ご指摘のようにシリンダーとピストンを組み合わせた機関の登場はかなり遅くなると思います。レシプロの理論そのものが登場しないかとも思いましたが…シリンダー&ピストンの基本構造そのものは鍛冶で使うフイゴが既にあるのでレシプロそのものが登場しないという可能性はありませんね。 ただ、それが機関への結実する可能性は極端に低くなると思います。 ヘロンタービンは熱機関としては効率も悪いですし、危険な高圧蒸気を周囲に振りまくので実用機関として成立することは考えにくいと思います。 前述したように水車は急速に発達・普及してますから、水車のような羽根車に蒸気をぶつけるラジアルタービンが注目されるのではないかと想像しました。無論、3次元解析などできようはずもない時代ですから、軸流タービンなどよりかなり効率の悪いタービンになってしまうでしょう。しかし、使用後の蒸気の排出方向を特定できるため、ヘロンのタービンなどよりは確実に実用性が期待できます。レシプロ機関が登場しないのであれば、ワット以前の蒸気機関程度には「新しい動力」として注目されるのではなかろうかと想像します。 ただ、遠心力と蒸気圧に耐える羽根車を実現するにはやはり鋼が必要になります。高効率を目指せば軸流タービンよりも羽根車の機械的負担が大きいので、レシプロ蒸気機関→ワットの蒸気機関という発展のプロセスよりも大きな苦難が予想されます。 軸流タービンの実現はラジアルタービンよりも後、少なくとも1段ラジアルタービンが行き詰まりかける頃になるのではないかと考えます。 どちらの形式にせよタービンは高い減速比を持つ減速装置も必要になりますから、潤滑油や歯車の設計技術を加速させなければ実用機関として産業革命を起こすにはいたらないでしょう。 火砲が発達させた冶金学や製鋼技術を蒸気機関が牽引することになりますから、熱機関の発達は史実より極度に遅くなることは間違いないと思います。 |
> どちらの形式にせよタービンは高い減速比を持つ減速装置も必要になりますから、潤滑油や歯車の設計技術を加速させなければ実用機関として産業革命を起こすにはいたらないでしょう。 するどいご指摘。ここがタービンの泣き所だと思います。初期のレシプロは人間の身の丈にあったスピードで動いてくれますが、効率的な速度のタービンを考えると、18世紀に要求されるスピードまで落とすのにどんなに甘く見ても二桁ぐらいの減速が必要になるでしょう。この点からも、蒸気タービンでの産業革命は困難なのではないでしょうか。 > 火砲が発達させた冶金学や製鋼技術を蒸気機関が牽引することになりますから、熱機関の発達は史実より極度に遅くなることは間違いないと思います。 産業革命は何故起きたか? はなかなか難しい問題ですが、イギリスの場合は石炭燃料、蒸気機関を動力源とする軽工業中心の発展であり、鉄そのものも鉄砲や大砲がなくても安価で高品質な鉄には常に需要があるわけですし、ニューコメン機関のようなその時点での技術レヴェルにあわせた比較的無理のない熱機関が、ある程度の遅れはあっても自立的に進歩していくのではないでしょうか。 |
> 産業革命は何故起きたか? はなかなか難しい問題ですが、イギリスの場合は石炭燃料、蒸気機関を動力源とする軽工業中心の発展であり、鉄そのものも鉄砲や大砲がなくても安価で高品質な鉄には常に需要があるわけですし、ニューコメン機関のようなその時点での技術レヴェルにあわせた比較的無理のない熱機関が、ある程度の遅れはあっても自立的に進歩していくのではないでしょうか。 イギリスの場合は生活用燃料の需要に対する薪の枯渇が石炭燃料の普及の原因となったとされています。そして規模を拡大しつづける炭鉱で必要とされたのが蒸気機関でした。 スウェーデンやノルウェーでは林業&木工業で機関を必要としていましたが、産業革命後も水車を使い続けています。産業を支える動力は蒸気機関でなければならないということはないでしょう。 イギリスの産業革命はまず石炭燃料があり、石炭産業が蒸気機関の発達を牽引し、発達した蒸気機関が軽工業を普及させていったと捉えることができると思います。 産業革命どころか工業そのものの発達を待たずとも石炭への需要があるため、石炭産業が自給自足できる熱機関実用化への要求は必然と言えるでしょう。 実用熱機関が登場しなければ石炭産業の発達が頭打ちとなり、産業革命どころか社会そのものが燃料欠乏のために衰退してしまう可能性すらあります。 ニューコメンの蒸気機関はシリンダー内に冷却水をスプレーする以外はホイヘンスの火薬機関の火薬を蒸気に置き換えたものと言ってよく、やはりホイヘンスの火薬機関がなければ登場しなかったのではなかろうかと想像します。 史実で蒸気機関が産業革命を実現させたように蒸気タービンが普及していくのは、ご指摘のようにかなり困難であろうと想像します。しかし、レシプロ機関がないのであればタービンを発達させるしかありません。 流体の運動エネルギーを動力として取り出す手段としては風車や水車が既にありますから、石炭産業が自給可能な熱機関として蒸気を利用しようとすれば、そこでタービンが選択されるのはごく自然な流れでしょう。 高回転タービンは前述したように技術力も材料もないので実現できませんから、効率は悪くとも確実に動き、かつ改良も簡単(そうに見える)低速回転のラジアルタービンの開発が、熱機関への社会的欲求を背景に強引に推し進められたのではなかろうかと想像します。 ただ、それだと技術が発達するまでは非常に経済性の悪い機関しか得られないことになるので、産業革命は経済発展を伴わないか、半ば経済を置き去りにした技術革新程度のものになってしまう可能性があると思います。 さらにスレの枝を広げることになるかも知れませんが、もしそのように産業革命が史実よりも社会的歴史的影響の小さなものとなった場合、歴史上の「民主化への流れ」も影響を受けることになるかもしれませんね。 |
> ニューコメンの蒸気機関はシリンダー内に冷却水をスプレーする以外はホイヘンスの火薬機関の火薬を蒸気に置き換えたものと言ってよく、やはりホイヘンスの火薬機関がなければ登場しなかったのではなかろうかと想像します。 火薬機関との最大の違いは爆発的な圧力を使用するのでなく、蒸気の凝縮による負圧を利用する大気圧機関だということでしょう。(セイヴァリー機関もそうですが)この発想が、当時の技術水準では実現が困難な爆発/高圧型ピストン機関と異なり、ニューコメンを成功に導いたのだと思います。 もちろん、技術的反面教師としての爆発機関がなければ、大気圧機関という発想も生まれなかった可能性はたしかにありますが、セイヴァリーの機関などはシリンダー/ピストンシステムとはまったく別の発想による揚水エンジンであることも確かです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AA |
> どちらの形式にせよタービンは高い減速比を持つ減速装置も必要になりますから、潤滑油や歯車の設計技術を加速させなければ実用機関として産業革命を起こすにはいたらないでしょう。 私たちは減速ギヤを知っているからそう考えますが、なければ無いで例えば、カムと梃子で減速や往復運動化が出来ます。 人間ってけっこう柔軟ですから、儲かるとなればなんとかしたんじゃないか、そう考えます。 |
> 私たちは減速ギヤを知っているからそう考えますが、なければ無いで例えば、カムと梃子で減速や往復運動化が出来ます。 1600年代のブランカのタービンの概念図でも、人形の口から蒸気を噴き出して水車型タービンを廻し、それを三段階の歯車で減速し、杵を動かしております。 http://www.deregulo.com/facetation/2006/08/hagiography-giovanni-branca-branca.html > 人間ってけっこう柔軟ですから、儲かるとなればなんとかしたんじゃないか、そう考えます。 同感ですが、近世までの機械的発明ってたいてい理念が先行してその時代の技術では実現困難な壁にぶつかって自爆してるので、その轍を踏んでしまう危険も高そうに思えます。 |
ナポレオン、砲兵士官になれないな。リンカーンも命拾いか。 |
> ナポレオン、砲兵士官になれないな。リンカーンも命拾いか。 リンカーンの方は、ナイフで後頭部を切りつけられるだけだとおもいます。 その直後貴賓席から飛び降り、フォード劇場の舞台中央で「これがすべての暴君の末路だ!」とラテン語で見得を切るブースが振り上げたナイフに血のりがべったりついているかいないかが最大の相違点でしょう。 |
> > ナポレオン、砲兵士官になれないな。リンカーンも命拾いか。 > リンカーンの方は、ナイフで後頭部を切りつけられるだけだとおもいます。 > その直後貴賓席から飛び降り、フォード劇場の舞台中央で「これがすべての暴君の末路だ!」とラテン語で見得を切るブースが振り上げたナイフに血のりがべったりついているかいないかが最大の相違点でしょう。 どちらも登場の機会がないかもしれませんよ。 南北戦争の原因は、紡績機械の効率向上によって労働力(黒人奴隷)の価値が極度に低下したためだとする説があります。同説を唱える人物によれば、紡績機械によって労働力の価値が下落しなければ、奴隷解放は平和的かつ早期に実現し、南北間の経済的対立も起こらなかっただろうとのことです。 そもそも銃器なしでアフリカから黒人奴隷を史実同様の勢いで連れて来ることができたかも疑うべきかもしれません。 いや、それよりもアメリカは独立できていたのか? 独立を意図できるほどの経済的発展を遂げられなかった可能性もあるのでは? それどころか移民初期の段階で先住民を軍事的に圧倒できないので共存の道をたどらざるをえず、広大かつ有望な植民地とならなかった可能性もあるのでは? |
> 南北戦争の原因は、紡績機械の効率向上によって労働力(黒人奴隷)の価値が極度に低下したためだとする説があります。同説を唱える人物によれば、紡績機械によって労働力の価値が下落しなければ、奴隷解放は平和的かつ早期に実現し、南北間の経済的対立も起こらなかっただろうとのことです。 これはちょっと「?」な説ですね。そもそも北部の紡績工場ではわずかな黒人しか働いていませんし、南部の綿花プランデーションには機械は導入されていません。 また、アメリカの黒人奴隷価格は、1808年(この年アメリカは奴隷輸入を禁止)以後、一時的な変動はともかく一貫して上昇傾向にあります。むしろ、アメリカ南部奴隷制の最大の問題点は、黒人奴隷に重要な財産的価値があるが故に、奴隷解放が出来ないことでしょう。中南米のような後進的な地域での奴隷解放は、単純に奴隷を小作人に変えるだけですが、資本主義が進んだアメリカ南部での奴隷の解放は実態としては奴隷を小作人に変えるだけであっても、同時にプランデーションの資産の過半(=黒人奴隷)の消滅をも意味します。南部諸州が受け入れられないのは奴隷を小作人にすることよりも、多くのプランデーションを債務超過の状態に陥れ破綻させかねない、この資産の消滅なのです。 > そもそも銃器なしでアフリカから黒人奴隷を史実同様の勢いで連れて来ることができたかも疑うべきかもしれません。 > いや、それよりもアメリカは独立できていたのか? > 独立を意図できるほどの経済的発展を遂げられなかった可能性もあるのでは? > それどころか移民初期の段階で先住民を軍事的に圧倒できないので共存の道をたどらざるをえず、広大かつ有望な植民地とならなかった可能性もあるのでは? 実際、16〜18世紀まではかなり「共存」しているわけですし、先住民が部族レベルを超える規模の「国家」をつくれない限り、大局に変化はないのではないかと。たしかに「西部開拓史」はもうすこしゆっくりしたものになるかも知れませんが。 |
「プランテーション」ね。 |
そういえば小松左京さんの明日泥棒なんて作品もありましたね。 http://www.nacos.com/komatsu/sakuhin.htm |