Page 100 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼青作戦時におけるドイツの取るべき方策 月読 02/10/11(金) 23:17 ┣Re:青作戦時におけるドイツの取るべき方策 アリエフ 02/10/12(土) 1:55 ┣Re:青作戦時におけるドイツの取るべき方策 勝井 02/10/12(土) 12:12 ┃ ┗Re:青作戦時におけるドイツの取るべき方策 月読 02/10/12(土) 23:53 ┗Re:青作戦時におけるドイツの取るべき方策 山家 02/10/13(日) 22:27 ┗目的 まなかじ 02/10/15(火) 0:37 ┗独軍はコーカサスへなぜ進撃したのか。 山家 02/10/15(火) 20:58 ┣油 まなかじ 02/10/16(水) 23:26 ┗指令第41号 TETSU29 02/10/17(木) 1:54 ┗いかんいかん TETSU29 02/10/17(木) 2:15 ┗Re:いかんいかん まなかじ 02/10/17(木) 10:32 ┗Re:いかんいかん 月読 02/10/17(木) 12:49 ┗そんなん無茶でしょ SUDO 02/10/17(木) 19:55 ┗都合良くいかないか(苦笑) 月読 02/10/17(木) 23:22 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 青作戦時におけるドイツの取るべき方策 ■名前 : 月読 ■日付 : 02/10/11(金) 23:17 -------------------------------------------------------------------------
ドイツ軍の青作戦について、しばしば聞かれるのが、「コ−カサスとスタ−リングラ−ド、双方攻める計画なんて二兎を追うようなものだ」というものですが、仮にこの時期においてドイツ軍が攻勢をかけるとするのならば、コ−カサスとスタ−リングラ−ド、どちらに攻撃目標を絞るべきだったのでしょうか? それともこの時期は、戦力拡充に努めるべきだったのでしょうか? |
本来、中核的な目標ではなかったスターリングラードにあまりにも固執し過ぎたのがまずかったのでは。 冬が来る前に一旦、第6軍を引かせて戦線を縮小して持久すべきだったのではないかと思います。そりゃ、戦略的には決して軽視できない所ではあるが。 |
もともとスターリングラードは包囲に留め、先を急ぐ計画だったと記憶しております。 つまり、単なる通過点の予定だったのです。 泥沼の消耗戦となるだろう(そして実際そうなった)市街戦を避けた司令部の判断は 戦術的には正しいものだったでしょう。 問題は「スターリン」の名にこだわったヒトラーの判断です。 確かにスターリンが自分の名前にこだわり、断固として救援しようとしたなら 包囲軍では支えきれないかもしれません。 何が何でも陥落を急いだヒトラーの判断は、戦略的には正しかったのかもしれません。 |
> もともとスターリングラードは包囲に留め、先を急ぐ計画だったと記憶しております。 > つまり、単なる通過点の予定だったのです。 > 泥沼の消耗戦となるだろう(そして実際そうなった)市街戦を避けた司令部の判断は > 戦術的には正しいものだったでしょう。 私も、スタ−リングラ−ド戦においては、市街地戦を可能な限り避けるべきであったと考えるのですが、もし青作戦において当初考えられた様に、スタ−リングラ−ドを包囲に留め、主力軍をコ−カサスに侵攻させた場合、侵攻軍を結ぶ補給線を防御する事が果して可能だったのでしょうか? |
ドイツ軍が、青作戦を行った当初の目的は、ソ連の石油の生産量の約9割を占めるコーカサスの油田地帯を、ソ連の手から切り離し、ソ連の戦争遂行力に致命傷を与えることだったと思います。そして、コーカサスの石油は、1942年春当時、ロストフを通る鉄道、グロズヌイからアストラハンを通る鉄道、スターリングラードを通る鉄道、ヴォルガ河の水運という4つの方法で運ばれていました。従って、ロストフを占領し、スターリングラードの近辺で、ヴォルガ河の水運を封鎖し、スターリングラードを通る鉄道を切断するという方法を取れば、目的は達成されます。 この目的達成のため、ドイツ軍は、ドン河湾曲部でソ連軍を早期に包囲殲滅することを計画しますが、第二次ハリコフ戦により、弱体化したソ連軍は、ドイツ軍の夏季攻勢の前に、ひたすら退却を始めます。これにより、ドイツ軍は、ソ連軍は崩壊しているという幻想に陥り、コーカサス制圧とスターリングラード占領という二兎を追い、戦力を分散させてしまうことになり、史実では大失敗したわけです。 私としては、ドイツ軍の当初の目的自体は、真っ当なもので、達成可能だったと思います。ロストフを占領し、ドン河とヴォルガ河が最も近接しているスターリングラード近辺で、ヴォルガ河の水運と鉄道を制圧して守勢に入れば、ソ連軍の石油確保に致命傷を与えられるし、ドン河を防壁とすることもできると思うからです。それに無闇に戦力を分散させる愚も避けられます。従って、ドイツ軍は、当初の目的どおりに行動すべきだったと思うのですが、いかがでしょうか。 |
> 私としては、ドイツ軍の当初の目的自体は、真っ当なもので、達成可能だったと思います。ロストフを占領し、ドン河とヴォルガ河が最も近接しているスターリングラード近辺で、ヴォルガ河の水運と鉄道を制圧して守勢に入れば、ソ連軍の石油確保に致命傷を与えられるし、ドン河を防壁とすることもできると思うからです。それに無闇に戦力を分散させる愚も避けられます。従って、ドイツ軍は、当初の目的どおりに行動すべきだったと思うのですが、いかがでしょうか。 OKWはそう考えていたかもしれないのですが OKHの方としては、とにかくソ連野戦軍の包囲撃滅をやりたかったのだと思うのです 土地を獲っても、敵野戦軍が健在ならば価値はない、というのが大モルトケ、いやクラウゼヴィッツの頃からのドイツ陸軍の(言い換えれば参謀本部の)大原則 『目的はパリ、目標はフランス軍』 です 南方戦区のソ連野戦軍が崩壊していると見れば、どうあってもそれを完全に捕捉撃滅すべきだという点では、おそらく上下一致した意見となったはずです 実際、青作戦で難しかったのは秋の到来までにどこまでやれるかという範囲設定だったでしょう 冬季に反撃してくるのは目に見えているのですから、少なくともスターリングラードまでの十分な(すなわち広大な)緩衝地帯を確保したかったであろうし、「取り逃がした」ソ連軍が立て直してくるのも避けたかった 故にソ連軍を追撃し、包囲し、殲滅すべきであり、それができると判断したので、コーカサスへ機動戦力を回したのでしょう。 コーカサスという『土地』が欲しかったわけではなかったのだと思うのです |
まなかじさまの言われる、ソ連野戦軍の包囲撃滅が、コーカサスへ独軍が進撃した一因なのは事実だとは思います。ただ、本当にそう考えていたのなら、コーカサスへの進撃は、野戦軍の包囲撃滅には、いわゆるハンマーと鉄床が必要不可欠なのを失念していたのでは、と思います。コーカサスへソ連野戦軍がひたすら退却を図った場合、当時の独軍には、ソ連野戦軍の退却を妨げる鉄床がありませんでした。 当初の作戦案では、ドン河を鉄床として、ソ連野戦軍を包囲撃滅する計画でしたが、コーカサスへ進撃した際には、そのような鉄床がないため、ひたすら退却するソ連野戦軍を独軍が追いかけ、結果的にソ連野戦軍の包囲撃滅に失敗しました。 そして、まなかじさまは、コーカサスという土地が欲しくて、独軍は進撃したのではないと述べられていますが、私は、確かに「土地」は欲しくなかったかもしれませんが、土地に付随する「油田」、「石油」が欲しかったのが、独軍がコーカサスへ進撃した一因では、と思われてなりません。ティルピッツ等の独海軍水上艦艇の行動が、史実で不活発だった一因として、訓練にも事欠く燃料事情があったと思います。独では、石油燃料が常に不足していたのです。コーカサスの油田を押さえて、石油燃料を確保したいと言うのは、当時の独にとって、止むに止まれぬ事情のようにさえ思われるのですが、如何でしょうか。 私としては、第二次ハリコフ戦の結果、ソ連軍が弱体化して独軍の攻撃にひたすらソ連野戦軍が退却を始めた時点で、独軍上層部は冷静な判断を行い、敢えて進撃を控えるべきだったと思われてなりません。コーカサスへの進撃に拘泥した結果、スターリングラードを攻撃する第6軍の両側面を弱体なルーマニア軍を初めとする同盟国軍が守らざるを得ない状況を生み出したのですから。もし、このときコーカサスへの進撃を控えていたら、史実のような状況にはならなかったと思います。 そして、やや話しがずれますが。第6軍はドン河軍集団の攻撃に呼応して、スターリングラードからの脱出を早期に図るべきだったとよく言われていますが、私はこの主張に疑問を覚えます。第6軍が戦力を保ったうえでスターリングラードから脱出できないと、第6軍包囲に使われていたソ連軍がドン河軍集団に対する大攻勢に転用されることになり、史実よりも重大な破局を独軍は迎えるのでは、と思われるからです。それを思うと、史実の第6軍の判断は、戦力を保ってスターリングラードから脱出するのが極めて困難であった以上、やむをえないものでは無かったかと思われてなりません。 |
ソ連軍は「退却」しているのではなく、「潰走」しているのだとドイツ軍は見ていたのではなかったでしょうか? そして、第一機甲軍の速度を以って追いつき、捉えてしまえるという想定のもとに、あからさまな「追撃」意図を持ってコーカサスへ主力を向けたのでは? 実際、ソ連軍が何かに縛られていない限りは、軍団レベル以下では別としても、ドイツ軍は攻撃でも退却でもソ連軍より速い速度で機動できたためしなどなかったのですが(笑 実際、鉄床の必要などないような戦例がいくつもあります。 ソ連軍がキエフに、ミンスクに、ブリヤンスクに、スモレンスク・ビヤズマ間に、そしてスターリングラードに縛られていたからです。 これをソ連軍の腰の重さと誤認し、師団レベル以下での将校の経験不足と指揮系統の不備からくる決心の遅れによる、戦術レベルでの機動力優位をソ連軍の本質と誤解し、それが進退の自由を有する軍集団・軍レベルでの戦略・作戦レベルでの機動力優位につながるという認識を持つのは甚だ危険です 危険なのですが、当時のドイツ軍首脳部はそう思っていました 空軍の偵察、前線からの情報、ソ連軍の通信解析を総合して「冷静な判断」として、ソ連軍は潰走していると判断したのです また、石油ですが もちろんご承知とは思いますが、油田というのは井戸を掘れば重油やガソリンが涌いて出るというものではありません バクーまではともかく、グロズヌイやマハチカラを占領したとして、ドイツ本国から3000km近くも離れたところで掘った原油をどうやって運ぶのか しかもソ連軍との戦闘地域のすぐ後方になりますね さらには、当然撤退時にソ連側は油井を破壊していくでしょうから掘削からやり直し、再建には半年や一年はかかるでしょう |
1942年4月5日付のヒトラーの命令書にはこうあります。 「・・・我方の目的は、残存するソ連軍の防衛力を完膚なきまでに叩き潰し、最重要軍需産業の中心地から可能な限り引き離し、補給を断つことにある。・・・ ・・・まず第一に、投入可能な部隊はドン川の手前で敵を壊滅する意図をもって、南部地域に総力を集中、投入する。コーカサス地方の油田地帯およびコーカサス山脈の経路確保を当面の目的とする。・・・」 以上、「ヒトラーの作戦指令書」(東洋書林)より引用。 油田地帯の確保が作戦目的に含まれるのは確かですが、どちらかと言うとドイツが利用するよりもソ連に使わせないことを目論んでいたのでは無いでしょうか? |
指令第45号(1942年7月23日)にはちゃんと、「コーカサスの油田は戦争継続に不可欠だが、敵の石油供給を速やかに断つ必要がある」って書いてあった。 |
> 指令第45号(1942年7月23日)にはちゃんと、「コーカサスの油田は戦争継続に不可欠だが、敵の石油供給を速やかに断つ必要がある」って書いてあった。 そんなところでしょうね 視点としては、対ソ戦においてはソ連の石油供給源を断つこと、中長期的に見て、ソ連打倒後の対英米戦において自国の石油供給源として利用できるものならしたい、というものでしょう。 ソヴィエト・ロシアを倒し、モスクワ・レニングラード・スターリングラードを手に入れれば、たとえバクーの原油といえども、カスピ海から内陸水路を経由してバルト海へ抜くことも可能となります。 つまるところ、「青の場合」のやりたかったことというのは、連合軍がプロエシュティと人造石油工場に対して空からやろうとしたことを地上からのアプローチでやろうとした、また、その過程においてソ連軍の直接的抵抗戦力をも同時に撃滅しようとした、というものだと思います。 これによってソ連に回復不可能な打撃を与えて、ソ連との戦争そのものを一挙に決するというのが青作戦の目的だったでしょう だとすれば、スターリングラードそれ自体は二次的な目標になるのは止むを得ないところです 青作戦が目論見どおりの完全成功となれば対パルチザン戦を残すのみ、というはずだったのでしょう |
青作戦の目的が、コ−カサス侵攻によるソ連邦の油田供給能力の破壊。 そしてそれに伴うソ連軍の撃破である事は分かりました。 しかし、問題としては、コ−カサス進撃を行う上において、その兵站線を維持できるかどうかでしょうか。 個人的には、この時期には侵攻する事をやめて、戦力の拡充に勤め、ソ連軍が侵攻した際に、マンシュタインが行った「後の先」の戦術で、ソ連軍の主力の包囲殲滅を行った後の侵攻がいいのではと夢想するんですけど・・・ |
> 個人的には、この時期には侵攻する事をやめて、戦力の拡充に勤め、ソ連軍が侵攻した際に、マンシュタインが行った「後の先」の戦術で、ソ連軍の主力の包囲殲滅を行った後の侵攻がいいのではと夢想するんですけど・・・ あれはあくまでも結果論。 ソ連側がブラウのドイツ軍と同じように情勢判断を間違えたことが原因の一つです。 バグラチオン作戦になってしまって、そしてそのままベルリンまで一直線になる可能性は否定できません。 ドイツ軍は「今やらないと勝てない」というソ連の持つ圧倒的な潜在戦力への恐怖を持っていたのです。 |
> > 個人的には、この時期には侵攻する事をやめて、戦力の拡充に勤め、ソ連軍が侵攻した際に、マンシュタインが行った「後の先」の戦術で、ソ連軍の主力の包囲殲滅を行った後の侵攻がいいのではと夢想するんですけど・・・ > > あれはあくまでも結果論。 > ソ連側がブラウのドイツ軍と同じように情勢判断を間違えたことが原因の一つです。 > バグラチオン作戦になってしまって、そしてそのままベルリンまで一直線になる可能性は否定できません。 > ドイツ軍は「今やらないと勝てない」というソ連の持つ圧倒的な潜在戦力への恐怖を持っていたのです。 確かに私の夢想は、かなり都合の良いものでしたね。 ただ、ドイツ軍がドン川流域においてソ連軍を撃滅する事を狙い、ドン川流域で補足できなくても、コ−カサスにある油田に侵攻する事によって、ソ連軍との決戦を強要させる事は理解できるんですが、兵站線が長くなる分、果して兵站が機能できるかどうか心配ですね。(バルバロッサの時に、ワルシャワにおいて兵站線が混乱した例もあるし) |