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日本爆撃機の爆弾搭載量の少なさについて考察しませんか キシー 14/10/16(木) 10:31

離陸距離要求は日本より厳しい BUN 14/11/15(土) 2:57
┣ Re:離陸距離要求は日本より厳しい とおり 14/11/15(土) 18:01
┗ 爆弾搭載量が増えた理由 BUN 14/11/16(日) 10:40

離陸距離要求は日本より厳しい
 BUN  - 14/11/15(土) 2:57 -
  
日本爆撃機の離陸滑走距離要求が爆弾搭載量を規制するほどに特別なものである、
という認識は間違っています。

なぜなら第二次大戦期に最も爆弾搭載量が大きい(爆弾倉が大きい)傾向にある、
英軍爆撃機に対する離陸滑走距離要求の方が厳しいからです。

どれだけの要求が為されたかといえば
先に紹介したウエリントンの600ヤード(548.6m)だけでなく、
四発重爆であるスターリングでは爆弾2000ポンドで500ヤード(457.2m)、
4000ポンドで700ヤード(640.1m)という厳しいもので
後にランカスターに発展するマンチェスター、そしてハリファックスにも
500ヤード、700ヤードの要求が行われています。

では、日本はどうだったかと言えば、これより甘いのです。

600mの要求は海軍中型攻撃機の性能標準に記載されてますが、
陸軍では試作時の要求性能に具体的な数値が含まれていません。
実際に想定された数値ほぼ同様であることは推定できますが、
明確に規定されていないので、優先される項目を達成できれば
多少の超過は許されたことでしょう。
この傾向は九七式だけでなくその後の一〇〇式でも続きます。

離陸滑走距離の要求に関しては英軍が日本海軍よりもやや厳しく、
日本陸軍に比較すると、明確に甘いということですから、
離陸滑走距離要求が爆弾搭載量を制約した、という説は単なる勘違いに過ぎません。

そもそも大戦前半の英軍主力爆撃機となったウエリントンや、ハンプデンで
英空軍の要求性能は日本爆撃機と似ています。

離陸滑走距離要求が600ヤード(正確には600ヤード滑走した時点で高度60フィート以上に達していること、というもの)で、
爆弾搭載量の要求は1500ポンド(680.4kg)でしかありません。

離陸滑走距離で爆弾搭載量が制約されているのはむしろ英国爆撃機の方なのです。

九七式重爆はこれに対して最大1000kg(その分燃料を減じるので総重量は変わらない)ですし、一式陸攻も標準で1000kgです。

試作当初の爆弾搭載量要求はこのようなもので、
ウエリントンと九七重は主翼面積がどちらも69u付近で
エンジンの出力も同クラスというまるで姉妹のような機体です。

その後の英軍爆撃機の爆弾搭載量増加は試作計画時の要求に追加されたもので
主に戦術的な理由によるものです。


ほんの少し上のクラスになるB-25の場合も
最大離陸重量はマニュアルに記載される範囲であれば34000ポンドですから
ちょうど日本の一式陸攻22型とほぼ変わらない上に、
離陸滑走距離も同クラスです。

議論の前提がちょっと変、というか印象に傾いているんですね。
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Re:離陸距離要求は日本より厳しい
 とおり  - 14/11/15(土) 18:01 -
  
> 議論の前提がちょっと変、というか印象に傾いているんですね。

ということではなくて、例えばドイツのJu88の要目を見ると爆弾3000kg、航続距離2700kmなどと書いてあるもんで、なぬ? っとなるわけなんですね(まあそういうのを印象といえば印象かも)。じゃあなんで日本機は燃料1t減らして爆弾2t積まないの? というのがトぴ主のそもそもの疑問でしょう。そこで考えた結果が、爆弾そのものが(架の構造の脆弱性のため)積めないんじゃないか、となったわけでした。

たとえば陸攻の爆弾倉の図を見ると800kgを縦に2本積めないことはなさそうですね。でもそれは標準仕様にはならなかった。
引用なし
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爆弾搭載量が増えた理由
 BUN  - 14/11/16(日) 10:40 -
  
「英空軍の爆弾搭載量要求は日本陸軍と変わらないかそれ以下である。」

「日本爆撃機に対する離陸滑走距離要求は欧米と同等かむしろ甘い。」

以上のことは納得できると思いますが
それではどうして欧米爆撃機と日本爆撃機の爆弾搭載量の差が生じたのか。

その最大の理由は設計された時期の違いにあります。

ウエリントンも九七重爆も陸攻もB-25も、
同じ時期に活躍してはいますが、試作年度がかなり離れているということです。

ウェリントンの試作要求は1932年のB.9/32に始まるもので、
九七重の試作は昭和11年3月11日付の航秘第三二五号「新重爆撃機試作ニ関スル件達」で開始されたもので、
一式陸攻は昭和12年10月に計画要求書が交付されています。
さらにB-25は1939年のcircular proposal No.39-640で要求仕様が決められています。

ウェリントンよりも九七重、一〇〇式重、一式陸攻が爆弾搭載量や航続力で
やや優れている理由は、ひと世代後に設計されているからだ、とも言えますね。

B-25は高性能を狙うB-26の保険的な存在ですが、
B-26共々、1939年に試作が開始されたかなり新しい世代の爆撃機と言えます。

そしてB-25の爆弾搭載量が日本重爆、陸攻より大きい理由は
circular proposal No.39-640がドイツの高速爆撃機計画、
すなわちJu88の計画に対抗するためのものだったからです。
ドイツに滞在していたリンドバーグ等が帰国してこの情報を伝え
爆弾3000ポンド航続力2000マイルの爆撃機に対抗するという方針が生まれます。

対仏戦用の戦略爆撃に備えた高速爆撃機Ju88の計画は
ドイツ航空工業の過半を動員する大計画でしたから対抗する必要があり、
1938年当時のドイツでは爆弾搭載量は1500kgは欲しいと考えていたということです。

1938年頃から新爆撃機の爆弾搭載量が1500kg/3000ポンド程度になっていたのであれば
日本はどうだったのでしょう。

やっぱり同じように爆弾搭載量の要求が増大しているのです。

昭和13年、海軍の飛行機の機首と性能を定めた「航空機種及性能標準」は
中型陸上攻撃機に対して1500kgの爆装、雷装を考慮するよう定めています。

これは十三試以降の中攻はこれだけ積めるように作る、ということです。
こうした要求は昭和18年には中攻で最大3000kgにまで増大します。

でも、海軍には十三試以降の実用中攻が無いですよね。
だからそれ以前の実用機の要目だけが目についてしまう訳です。

B-25、B-26はドイツの高速爆撃機計画に対応して仕様が定められているので
計画値が1500kgを目標としているということですが、
未亡人製造機として悪名高いB-26の離陸テストは
たった2800フィート(853.4m)の滑走路で行われており、
翼面積増大の後は1800フィート(548.6m)でこと足りたという点も見逃せません。

「600m以内」の離陸距離要求は当時として
少しも異常なものでは無く、そうした要求が爆弾搭載量に影響した形跡はありません。
引用なし
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