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中島版烈風は可能か? sonic 13/1/2(水) 22:35
┣ まずは計画要求書をちゃんと作ってみましょうよ BUN 13/1/3(木) 7:33
┃┗ Re:まずは計画要求書をちゃんと作ってみましょうよ sonic 13/1/3(木) 15:32
┃┗ 要求する人々の考えや気持を想像してみる BUN 13/1/3(木) 17:34
┃┗ 一つ一つ問題をつぶしていきましょう sonic 13/1/3(木) 21:19
┃┗ 誰が何を欲しているのか、が大切 BUN 13/1/4(金) 2:44
┣ Re:中島版烈風は可能か? T216 13/1/3(木) 22:05
┃┗ Re:中島版烈風は可能か? sonic 13/1/4(金) 0:49
┃┣ そういうことではなく T216 13/1/4(金) 2:39
┃┣ 防弾について 13/1/9(水) 13:17
┃┗ 多少大型になっても長く飛べる艦戦が欲しいと思う人たちもいたわけで 13/1/9(水) 16:03
┣ ちょっと違った観点から 13/1/9(水) 12:11
┗ 四式戦もどきにはならない 13/1/9(水) 12:12
┗ Re:四式戦もどきにはならない T216 13/1/9(水) 23:00
┗ Re:四式戦もどきにはならない 13/1/10(木) 1:56
┗ Re:四式戦もどきにはならない T216 13/1/10(木) 12:26
┗ Re:四式戦もどきにはならない 13/1/10(木) 17:07
┗ Re:四式戦もどきにはならない BUN 13/1/11(金) 0:28
┗ やっぱり四式戦もどきにはならないみたい 13/1/11(金) 11:25

中島版烈風は可能か?
 sonic  - 13/1/2(水) 22:35 -
  
もし日中戦争で九五式水上偵察機等の水上観測機が搭載機銃で敵機を撃墜するなどの意外な活躍ができず「水上機は、所詮陸上機に勝てない」という考えが日本の常識となり二式水上戦闘機の開発がされなかったとします。
1941年に中島飛行機に次期主力艦上戦闘機の開発を要求した。
要求性能を
最高速度
高度6000mにおいて325ノット(約601.9km/h)以上。

航続距離
1350海里(約2500km)以上(過荷重)。

離陸滑走距離
合成風速12m/s時80m以内(過荷重)。

武装
九九式20mm二号機銃4挺ならびに三式13mm機銃2挺。

その他
できる限り小型であること。
必要により250kg爆弾2個携行し得ること。
急降下制限速度は、425ノット以上。
防弾を装備すること。

とした場合中島飛行機は、誉を使って要求を満たす艦上戦闘機を開発できるのでしょうか?
またできる場合は、やはり四式戦闘機もどきになってしまうのでしょうか?
引用なし
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<Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/6.0)@h175-177-201-228.catv01.catv-yokohama.ne.jp>

まずは計画要求書をちゃんと作ってみましょうよ
 BUN  - 13/1/3(木) 7:33 -
  
この頃の海軍機の試作計画はこんな手順で進みます。

航空本部が実用機試製計画(中期の試作計画)で年度ごとの試作スケジュール決定

航空本部が計画機種について軍令部が定める性能標準に基づく計画要求の検討開始

航空本部を中心としてその機種についての研究会(民間の意見を聞くのはこの場)

計画要求審議会で計画要求決定

計画要求書交付 試作発注

受注会社からの計画説明書提出と計画審査

木型審査

試作機製作着手

完成試作機で構造審査

初飛行後に海軍領収

審査、実用審査

航空本部技術会議で兵器に採用


この流れの中で、計画要求書が出来上がった段階で飛行性能だけでなく、装備する発動機、兵装、機体の概略寸法まで決まってしまいます。

何処の会社に発注してもほぼ同じような飛行機が出来上がるようなシステムになっているということで、民間会社の機体設計者の努力は構造設計をどのように進めて重量増加を防ぐか、そしてより使いやすい機体にするための細部の工夫といった部分に注がれます。要するにあまり変わった事はできないのです。

そうなると、史実に無い機種を想定するならば、そのような要求が生まれるとしたら、○年に×社に△機が試作発注される、と言う段階で、飛行機の姿は出来上がってしまっているということでもあります。

ですから、架空の機種を想定する場合、そのお話に色々な人が納得するようなリアリティを持たせるには、設計者の努力を想定するよりも、その前に実現可能な計画要求書をちゃんと作ってみるのが一番ですね。

発動機は耐久試験に合格したものでないと候補に上げられませんし、兵装も前倒しにはできません。
航続力が1350浬以上なら巡航360km/h〜400km/hとして増槽を含めて1200リットル位は必要かもしれませんね。となると燃料だけで800kg以上ありますし、そこに爆弾を500kg懸吊した状態(爆装を要求するならそれが普通の過荷重状態)で、搭載量は1300kgを超えてしまいます。
これだけでかなり大きな飛行機になることが避けられません。そうすると自重も見えて来ますし、機体寸法も見当がついてきます。

そして、こんな大荷物を抱えた飛行機を零戦でもきつい条件で発艦させるのはちょっと大変だな、ということも判ってしまいます。

ということで、架空の計画要求書をちゃんと作ると、出来る事と出来ない事が区別できて現実味が格段に増して来ますし、それゆえにあれこれと考えなければならないという、悩ましくも楽しい部分が生まれて来ます。
引用なし
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Re:まずは計画要求書をちゃんと作ってみましょうよ
 sonic  - 13/1/3(木) 15:32 -
  
まずは、いろいろなご指摘ありがとうございます。

> 発動機は耐久試験に合格したものでないと候補に上げられませんし、兵装も前倒しにはできません。

そうですね。
そうなると発動機は、火星(護は、信頼不足のため却下)で武装を「九九式20mm二号機銃4挺ならびに三式13mm機銃2挺」から「九九式20mm機銃4挺ならびに九七式七粍七固定機銃2挺」に変更します。

> 航続力が1350浬以上なら巡航360km/h〜400km/hとして増槽を含めて1200リットル位は必要かもしれませんね。となると燃料だけで800kg以上ありますし、そこに爆弾を500kg懸吊した状態(爆装を要求するならそれが普通の過荷重状態)で、搭載量は1300kgを超えてしまいます。

爆装要求は、無くしましょう。
それでも航続距離1350浬以上は、厳しい要求なのでしょうか?
もし不可能だとしたら航続距離を1075海里(約1990km)まで要求値を下げますが艦上戦闘機として運用に支障は、でませんか?
引用なし
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要求する人々の考えや気持を想像してみる
 BUN  - 13/1/3(木) 17:34 -
  
火星で戦闘機を作るとどうなるかは雷電を見ると判りますよね。
速度と上昇力を最優先に考えた史実の火星搭載戦闘機が時速600km/hを超えられません。
となると、そこに燃料を増加すればどうにもならないことはよく考えれば誰にでも判ってしまします。

航続力=燃料搭載量ですから、栄クラスで時間当り120リットルから130リットル、金星クラスなら150リットル、それより上ならもっと、と馬力のある発動機であればあるほど燃料をたくさん必要とします。

要求が適当かどうかではなくて、できるか、できないか、の問題なんですね。
(あと、カッコよく見せるために1075浬といったメートル法から換算したことがバレるような数字は設定しないようにしましょう。浬の方を切りの良い数字にすると海軍らしく見えます。)

そして大切なのが、その計画要求をどんな立場の人がどんな戦いをするために必要としたのか、を考えることです。

私は爆装が非常に目立ちましたから、昭和16年度に艦上爆撃機を艦上攻撃機とではなく戦闘機と統合する着想なのか、と思いました。
でも、爆装は引っ込めちゃうんですよね。

兵装も20ミリと13ミリの組合せは烈風と同じですから昭和14年、15年頃の13ミリ機銃への期待を反映して13ミリ機銃が肝なのかと感じましたが、これも引っ込めて、20ミリ×4に7.7ミリ×2という大口径主義の20ミリ兵装に尾てい骨みたいな7.7ミリ×2が付いてしまうとまたまた何を主眼にそう要求されているのか判らなくなります。

昭和16年度に試作発注される艦上戦闘機というのは、もともと艦上戦闘機の試作発注が予定されていた16年度に零戦の後継機がスケジュールを守って計画されたら、という仮定なのだと思えるような設定ですから、普通なら零戦の延長線上に機体を考えることになりますし、何か別の方向性を付け加えるなら、それこそ250kg爆弾の装備など、面白い要素を生かして仕上げるのが楽しそうです。

航続力を1075浬にすると艦上戦闘機として運用に支障が出るかどうかも、どんな考えを持った人達が、どんな戦いができないから支障が出るのか、その代りに何を得るから良いと考えられたのか、といったことをまず、想像してみましょう。

架空の軍用機をリアルに考え出すのは面白いけれどけっこう大変な仕事なんです。
引用なし
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一つ一つ問題をつぶしていきましょう
 sonic  - 13/1/3(木) 21:19 -
  
> 火星で戦闘機を作るとどうなるかは雷電を見ると判りますよね。
> 速度と上昇力を最優先に考えた史実の火星搭載戦闘機が時速600km/hを超えられません。

超えられないとなると要求速度を570km/h以上まで引き下げましょう。
十四試局地戦闘機も570km/hは、飛べてますから。

> 兵装も20ミリと13ミリの組合せは烈風と同じですから昭和14年、15年頃の13ミリ機銃への期待を反映して13ミリ機銃が肝なのかと感じましたが、これも引っ込めて、20ミリ×4に7.7ミリ×2という大口径主義の20ミリ兵装に尾てい骨みたいな7.7ミリ×2が付いてしまうとまたまた何を主眼にそう要求されているのか判らなくなります。

これは、艦上戦闘機故の要求です。
艦上戦闘機は、母艦をあらゆる航空機から護らなければなりません。
その中には、大型爆撃機と戦闘機も含まれます。
大型爆撃機には、大口径機銃が有効ですが当時の九九式二〇ミリ機銃は弾数が少なく初速も低いので戦闘機向けでははないと判断しました。
そこで戦闘機向けに九七式七粍七固定機銃も同時に要求しました。
しかし後に三式十三粍機銃2挺に変更します。
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Re:中島版烈風は可能か?
 T216  - 13/1/3(木) 22:05 -
  
 個人的に気になったところを幾つか(細かいところばかりですが)。

 九五式水偵が活躍できず、水戦の価値が下がったというのは面白いと思います。
 しかし、水戦は「南洋において飛行場を設営するまでの防空用」に開発された訳ですから、海軍設営隊に重機が大量に導入されて米海兵隊よろしく一日で飛行場が設営できるようになったとか、翔鶴型がエセックス級よろしく大量建造されて南洋諸島に飛行場を設営する必要が低くなった、といった歴史改変でもしない限り、水戦の開発をやめるということにならず、むしろ水戦に史実より過酷な要求が課せられる(紫雲の様にフロートを切り離し式にしていざというときには身軽になれるようにしろとか)ことも考えらると思います。

 十六試ということは既に零戦が大航続力を大陸で活躍している訳ですが、それなのに次期艦戦で航続距離を切り下げるには、何か理由が必要かと思います(水戦がないと代わりに艦戦が防空する範囲が広がる訳で、そのためには大航続力が必要とされる可能性が高いです)。
 その後にある防弾にしても(そもそも「防弾を装備しろ」というのは曖昧模糊とした要求で、普通は「操縦席に防弾ガラスや○mmの防弾板を装備すること」とか「燃料タンクを防漏式にすること」といった表現になるかと思います)、史実の十七試艦戦では燃料タンクの防弾については触れられていないことから考えれば、操縦席の防弾装備はともかく燃料タンク防弾については何か理由が必要(例えば大陸に進出した零戦が僅かな被弾で次々と熟練搭乗員毎大量に失われたとか。尤も渡洋爆撃時の九六陸攻のことを考えると)になるでしょう。
 そもそもこの時期、防漏用として燃料タンクに張るのに適したスポンジゴムが実用化されていませんから、後の紫電改等の様な防弾タンクを搭載することは出来ません(一式戦一型の様なゴム板+フェルト防弾や九九式襲撃機の様な8mm防弾板を張り巡らせるのなら可能かもしれません)。
 どうしても搭載するには、何か早期実用化に至る理由付けが必要でしょう。

 また、別の枝で速度や武装について指摘される度に「570km/h程度」とか「20mm機銃×4+7.7mm機銃2挺」という風に要求を変更されておられるようですが、「なぜ(3年後に実用化される新型艦戦の)最高速度が(当時開発中だった二号零戦の試算最高速度と20km/hと変わらない)570km/h程度なのか」や「なぜ武装が(十四試局戦より強力な)20mm機銃4挺なのか」を論理的に説明できなければ、「とりあえず零戦より速くて火力の大きい戦闘機を考えてみました」程度のリアリティのない話になると思うのですが、いかがでしょうか。
引用なし
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Re:中島版烈風は可能か?
 sonic  - 13/1/4(金) 0:49 -
  
>  九五式水偵が活躍できず、水戦の価値が下がったというのは面白いと思います。
>  しかし、水戦は「南洋において飛行場を設営するまでの防空用」に開発された訳ですから、海軍設営隊に重機が大量に導入されて米海兵隊よろしく一日で飛行場が設営できるようになったとか、翔鶴型がエセックス級よろしく大量建造されて南洋諸島に飛行場を設営する必要が低くなった、といった歴史改変でもしない限り、水戦の開発をやめるということにならず、むしろ水戦に史実より過酷な要求が課せられる(紫雲の様にフロートを切り離し式にしていざというときには身軽になれるようにしろとか)ことも考えらると思います。

それは、十五試水上戦闘機が担うと思います。

>  十六試ということは既に零戦が大航続力を大陸で活躍している訳ですが、それなのに次期艦戦で航続距離を切り下げるには、何か理由が必要かと思います(水戦がないと代わりに艦戦が防空する範囲が広がる訳で、そのためには大航続力が必要とされる可能性が高いです)。

それは、機体の大型化を防ぐためです。
史実の烈風の大型化の要因は、航続能力と離着艦能力を両立させた結果です。
そのため同じことを中島飛行機に要求した場合やっぱり大型化する可能性があったので航続能力を引き下げました。

>  その後にある防弾にしても(そもそも「防弾を装備しろ」というのは曖昧模糊とした要求で、普通は「操縦席に防弾ガラスや○mmの防弾板を装備すること」とか「燃料タンクを防漏式にすること」といった表現になるかと思います)、史実の十七試艦戦では燃料タンクの防弾については触れられていないことから考えれば、操縦席の防弾装備はともかく燃料タンク防弾については何か理由が必要(例えば大陸に進出した零戦が僅かな被弾で次々と熟練搭乗員毎大量に失われたとか。尤も渡洋爆撃時の九六陸攻のことを考えると)になるでしょう。

わかりました。
もっと具体的に要求します。
「全ての燃料タンクに防漏ゴムを張る。
操縦席の風防前面に70mm厚の防弾ガラスならびに操縦者座席の頭当てと操縦席後方に13mm厚の防弾鋼板を装備すること。」

>  また、別の枝で速度や武装について指摘される度に「570km/h程度」とか「20mm機銃×4+7.7mm機銃2挺」という風に要求を変更されておられるようですが、「なぜ(3年後に実用化される新型艦戦の)最高速度が(当時開発中だった二号零戦の試算最高速度と20km/hと変わらない)570km/h程度なのか」や「なぜ武装が(十四試局戦より強力な)20mm機銃4挺なのか」を論理的に説明できなければ、「とりあえず零戦より速くて火力の大きい戦闘機を考えてみました」程度のリアリティのない話になると思うのですが、いかがでしょうか。

その指摘とその後考えた結果「1942年まで待って誉の開発が完了してから誉の搭載を前提にした新型艦上戦闘機を考えたら」という考えが芽生えてきました。
もしかしたら別のIfを考えるかもしれません。
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そういうことではなく
 T216  - 13/1/4(金) 2:39 -
  
 「sonicさんがどうしてそんな要求性能を求めたのか」はどうでもいいんです。
 「(sonicさんの考える機体を開発するために)海軍の担当者が史実とは異なる判断を下すに足る理由」を考える必要がある、と書いたつもりなんですが。
引用なし
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誰が何を欲しているのか、が大切
 BUN  - 13/1/4(金) 2:44 -
  
昭和16年といったら1941年です。
戦争後期に活躍した欧米の戦闘機は試作機が飛んでいる時期です。
日本にもその時実際に飛んでいる欧米の戦闘機が570km/h〜600km/hであることが伝わって来ています。

そんなタイミングで新たに最大速度570km/h程度の計画を開始するのは変ですよね。
当時の海軍がそれを欲しがるか、何でそんなものを試作し始めるのか、
そういう事を考えて行こう、というお話なんです。

ですから7.7ミリ機銃を搭載するけれどもやがて三式13ミリに変更する、というのは
架空機を考える頭が昭和16年から離れてしまっている訳です。

昭和16年ならばもう前年秋に二号零戦の計画が進められ試作機が完成して来ていますから、570km/hなら零戦で達成できる範囲になっています。
海軍の気持になって考えてみると、新しい戦闘機は速度でそれを超えるものでないと魅力を感じないはずですね。

防弾装備にしても現代のファンの気持として「あればいい」と思うだけでは現実味が生まれてきません。
漠然と「これがあればいい」ではなくて、そのような要求が生まれるきっかけを考えるようにして行くと良いですよ。

艦上戦闘機という機種に求められる性能も、自分の頭の中にあるものではなくて、艦上戦闘機という機種が当時、どんな能力を持った飛行機として考えられていたかを勉強すると、たぶん、突破口が見えて来ると思います。

仮想の現実を作り出すためには、まず、自分と他人を区別することから始めないといけない、ということではないでしょうか。
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ちょっと違った観点から
   - 13/1/9(水) 12:11 -
  
> もし日中戦争で九五式水上偵察機等の水上観測機が搭載機銃で敵機を撃墜するなどの意外な活躍ができず「水上機は、所詮陸上機に勝てない」という考えが日本の常識となり二式水上戦闘機の開発がされなかったとします。

以上について、
「二式水戦の開発がなかった場合に空くであろう設計人力を使って艦戦の設計行う」
ということだと読みました。
この部分についての結論を申しますと、二式水戦の開発がなかった場合にも艦戦の設計を行うだけのものは得られません。


中島の海軍用の機体部門である小泉製作所における機体設計は、

技師長
 |
設計部長
 |
第一機体主任、第二機体主任、第三機体主任
 |
第一機体課、第二機体課、第三機体課

という編成で行われていました。各機体主任の統括下で各機体設計課が設計の実務を行います。
二式水戦の設計について書かれているものは、「三竹忍技師の指揮のもと、田島敦技師が設計を担当した」というのが専らです。しかし、この三竹さんは技師長であり、田島さんは入社二、三年目くらいの若い人なのです。

また、二式水戦の設計には、小泉製作所の空力部門である性能課が噛んでいません。零戦に新しく付け足される浮舟の空力は、空技廠科学部の風水槽データが与えられており、これを基に構造設計を中島小泉で行っています。

中島の海軍機機体部門については、海軍が定めた「試製能力標準」というものがあり、昭和17年改訂では、中島に対して「大型1機種、小型(双発小型艦攻級)2機種」の同時試製能力、それが出来るだけの設計能力を整備することと定めています。第一〜第三機体課はこれに対応したものなのですが、余計に舞い込んだ仕事である二式水戦はこうしたメインどころのラインを使わずに、ちょこちょこっとこなされた、という感じのものなのです。これを空けたからといって、人手はほとんど得られません。


もし、中島に艦戦をつくらせるために何かを停めるとしたら、「第一機体課の天山、彩雲」「第二機体課の大攻」「第三機体課の天雷、銀河、零戦」のどれかひとつの課を丸ごと開ける必要があるのです。
引用なし
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四式戦もどきにはならない
   - 13/1/9(水) 12:12 -
  
> またできる場合は、やはり四式戦闘機もどきになってしまうのでしょうか?


これについては、結論からいうと「ならないでしょう」。

昭和12年に支那事変が始まって以来、日本国内は戦時体制になっています。「戦時」というのはある種の法的拘束の発動を伴った状態のことをいいます。
日本国内の航空機製作会社は、「陸軍管理工場」「海軍管理工場」に分けられます。中島飛行機の場合は、陸海軍中央協定により、社内の機体工場はそれぞれ同等の生産能力を持った陸軍機体工場と海軍機体工場に二分されることが定められていました。
また、これにより陸軍機体工場としては太田製作所、海軍機体工場では小泉製作所に新しい機種の試製開発部門(設計を含む)がそれぞれ別々に置かれるようになります。中島本社としては中央にひとつの技術研究所を置くことを目論みますが、それは終戦まで実現せず、ちょっと特殊な富嶽の場合を除いて、各機種の設計は太田・小泉で別々に行われていました。

この両製作所は空力の研究部門、風洞などもそれぞれ別個にもっています。
中島の空力部門の最前線にあった糸川英夫技師は昭和16年11月にすでに中島を退社して母校である東京帝大に戻って研究員になっています。
糸川技師に代わって太田製作所の陸軍キ八十四の場合近藤芳夫技師が空力を担当しています。
また、小泉製作所ではここで設計する全機種の空力を司る性能課が設けられ、内藤子生技師が統括しています。
両者の違いは、たとえば、太田のキ八十四と、小泉の天山や彩雲の主翼平面型を比べてみれば、「前縁が一直線」「前縁に後退角がついている」などの違いを見ることができるでしょう。こういうところに、空力担当者の考え方の違いが出ているのです。
主翼についてもっと重要なこととしては、キ八十四が在来のNN系の翼型を使っているのに対し、小泉の天山や彩雲の翼型は小泉製作所が独自に開発した層流翼K系であるという違いがあります。

このように、中島の陸軍機部門と海軍機部門では、性能に影響を与える技術の基礎からして違ってきている部分がかなりあります。
中島小泉製作所で戦闘機を設計したとして、それが中島太田製作所の設計に似る可能性はごく小さく、むしろ彩雲などと大きな共通点を持つものになるだろうと予想されます。
そしてこれには、三菱のものとはまた違ったものになっていただろう可能性があります。
引用なし
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防弾について
   - 13/1/9(水) 13:17 -
  
> わかりました。
> もっと具体的に要求します。
> 「全ての燃料タンクに防漏ゴムを張る。
> 操縦席の風防前面に70mm厚の防弾ガラスならびに操縦者座席の頭当てと操縦席後方に13mm厚の防弾鋼板を装備すること。」

作ろうとしているのが艦戦なのだとしたら、この要求は下されないか、あったとしても極めて限定的なものとなったでしょう。
というのは、防弾に重量を割くことイコール搭載量の減少だからです。
操縦者防御と並んで重要なのは可燃物を中に詰めた燃料タンクの防御ですが、その防弾法は被弾孔をゴムで塞ごうとするのが一般的です。しかし、内袋式にすればその分タンクの容量は少なくなりますし、タンク外側へゴムをまとわらせるにしてもゴム分だけタンクを小さくしなければならなくなります。
実際に、烈風では艦戦型では防弾せずに燃料を多く積み、局戦型では燃料が減っても防弾に重きを置く方針が採られています。
その反対に紫電改は、局戦型ではあった防弾ゴムを、艦戦型では外して燃料容量を多く確保しようとされていました。

防弾があるに越したことはもちろんなのですが、洋上での攻撃距離、帰投距離の大きさへの配慮あるがゆえに、この時期の日本海軍の艦戦に防弾要求を持ち込むのはちょっと考えなければならないところなのです。
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多少大型になっても長く飛べる艦戦が欲しいと思う...
   - 13/1/9(水) 16:03 -
  
> それは、機体の大型化を防ぐためです。
> 史実の烈風の大型化の要因は、航続能力と離着艦能力を両立させた結果です。
> そのため同じことを中島飛行機に要求した場合やっぱり大型化する可能性があったので航続能力を引き下げました。

実際には、多少大型化させてでもそれなりの航続力を持つ機体が望まれて烈風が生まれています。現実には「大型化を避ける」などという理由とは違った別の根拠があったからです。
それは、空母の用法そのものについてのことです。

自軍が空母を持っているならば、敵海軍も必然的に空母を持っている、と考える。実際その通りです。戦艦にしろ他の艦種にしろ敵航空部隊が制圧してくる状況下では前に出せませんから、まずに敵の航空部隊を封殺してしまいたい。そのためには敵空母の飛行甲板を破砕してしまいたいわけです。これを一番最初にやってしまいたい。
しかし、そのためには自軍の空母を前に出して飛行機隊を発進させなければなりません。敵も同じように考えるでしょうから、ともすれば敵空母からの飛行機隊に急襲されてこちらの空母が先にやられてしまう可能性があります。
このような事態を避けるには、敵の飛行機隊の行動半径の外側から、あるいはできるだけそれに近い距離で攻撃できる長い槍、すなわち大航続力を備えた艦上機部隊を備えることです。
敵空母を直接攻撃するのは急降下爆撃機の仕事ですから、日本海軍は彗星に長大な航続力を与えています。しかし、行った先で敵の防空戦闘機が待ち受けることも考えなければなりませんから、艦爆を裸で出すわけに行かず、艦戦に援護させなければなりません。

ここで、艦戦は自方の空母を守るのに徹すれば良いとして、艦戦の航続力を切り捨てるというのでは、このような艦隊全体のドクトリンに影響を与えることになってしまいます。

裸で出た艦爆は被撃墜率が増え、目標への到達確率が減るでしょうし、その上で任務の達成は望まれますから、これはうっかりすれば艦爆をミサイルとして使うだけ、つまりは特攻隊化につながってしまうようなことであるのかもしれないのです。
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Re:四式戦もどきにはならない
 T216  - 13/1/9(水) 23:00 -
  
> 中島本社としては中央にひとつの技術研究所を置くことを目論みますが、それは終戦まで実現せず
 ふと思ったのですが、上記の動きがなんだかの理由で史実より数年速まり、昭和15年頃に太田・小泉間の情報交換が濃密に行われるようになっていたら…と言う場合ならどうでしょうか?
 それともそういった事態は非常に考えづらいものだったのでしょうか。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1) AppleWebKit/537.11 (KHTML, like Gecko) Chrome/23....@KD182249242149.au-net.ne.jp>

Re:四式戦もどきにはならない
   - 13/1/10(木) 1:56 -
  
>  ふと思ったのですが、上記の動きがなんだかの理由で史実より数年速まり、昭和15年頃に太田・小泉間の情報交換が濃密に行われるようになっていたら…と言う場合ならどうでしょうか?

それはもうわからないところの多すぎる世界・・・・・・。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64) AppleWebKit/537.11 (KHTML, like Gecko) Chr...@nttkyo053055.tkyo.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp>

Re:四式戦もどきにはならない
 T216  - 13/1/10(木) 12:26 -
  
と言うことは、IFの話を考える時に、この話は重要なファクターになりそうですね。
ありがとうございました。
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Re:四式戦もどきにはならない
   - 13/1/10(木) 17:07 -
  
> と言うことは、IFの話を考える時に、この話は重要なファクターになりそうですね。

いや、ここに明確なIFを持ち込める人がいるのなら、それはそれで凄いと思いますよ。
ちょっとしたはずみで四式戦と同じものを海軍用にも提出しちゃった、みたいなことにはならないわけですから。
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Re:四式戦もどきにはならない
 BUN  - 13/1/11(金) 0:28 -
  
でも、この時期なら陸海軍航空統一論が出てきている盛りではないですか。
そういったifもありかと思いますよ。
こうした史実に反する約束事は一つに限った方がいいんですけれども。
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やっぱり四式戦もどきにはならないみたい
   - 13/1/11(金) 11:25 -
  
> でも、この時期なら陸海軍航空統一論が出てきている盛りではないですか。
> そういったifもありかと思いますよ。
> こうした史実に反する約束事は一つに限った方がいいんですけれども。

> でも、この時期なら陸海軍航空統一論が出てきている盛りではないですか。
> そういったifもありかと思いますよ。
> こうした史実に反する約束事は一つに限った方がいいんですけれども。

とりあえずその話に乗るとして、15年の性能標準軍令部修正第一案が支配的であるということにしてみましょうか。。
16年にはまだキ八十四自体が思い描かれてないわけで、とりあえず17年前半頃ということにしてみましょうか。

史実の中島太田は昭和17年1月の時点でキ八十四の速度660km/hなら可能としています。
これは15年性能標準案の局戦への要求「380kt(704km/h)以上」ではふるい落とされてしまいますが、「350kt(648km/h)以上」の艦戦にならはまりそうです。

この頃のキ八十四はまだ翼面荷重155で考えられてましたが、烈風の17年の議論で「翼面過重130」への対案として出された「翼面過重150、空戦フラップ使用時120」がもし通り得るのならば、キ八十四に空戦フラップ装備を装備することとしてこの条件はパスできるかもしれません。

このキ八十四は(空戦フラップを考えないことにして)全備重量2700kgで見積もられています。この場合の搭載量の計算における燃料の部分は「590馬力・速度440km/h/6000mで0.9 h分、プラス1.5hの余裕」です。
性能標準は「高度5000m正規高力馬力にて1.2時間」で、どうも燃料が足らない感じです。
燃料を増やせば重量が増し、それでも翼面荷重を保とうとすれば翼面積が増し、なんだかよく知っている堂々巡りに陥ってしまう気がします。
計算上キ八十四ベースでは不足する性能を補填するために、空力設計上の何かだとか色々なものが持ち込まれてきそうです。

そもそも「翼面過重150、空戦フラップ使用時120」が通る話なのならば、三菱製でもよかったようなことでありますけどね。
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