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万犬虚に吼えた?高高度戦闘機 じゃま 13/1/1(火) 16:27

Re:それでは一ノ丸を… T216 13/1/2(水) 17:50
┗ 双発機の優位 じゃま 13/1/3(木) 20:46
┣ Re:双発機の優位 T216 13/1/3(木) 20:53
┃┗ 因みに T216 13/1/3(木) 22:11
┗ Re:双発機の優位 BUN 13/1/3(木) 20:53
┗ Re:双発機の優位 じゃま 13/1/3(木) 21:24
┣ 実はちっとも合理的じゃない BUN 13/1/4(金) 4:00
┃┗ もし単発案が成功していたら? ささき 13/1/4(金) 6:53
┃┣ 育った環境が違うP-38 BUN 13/1/4(金) 8:18
┃┃┗ 納得しました ささき 13/1/4(金) 14:52
┃┗ Re:もし単発案が成功していたら? 超音速 13/1/5(土) 12:52
┃┗ P-39試作の経緯 ささき 13/1/6(日) 5:03
┃┣ Re:P-39試作の経緯 超音速 13/1/6(日) 8:49
┃┃┗ 都合の悪い現実に目をつぶる米陸軍航空隊 ささき 13/1/6(日) 9:36
┃┗ 1930年代の米戦闘機開発事情 BUN 13/1/6(日) 9:30
┗ Re:双発機の優位 とり 13/1/7(月) 21:12

Re:それでは一ノ丸を…
 T216  - 13/1/2(水) 17:50 -
  
> むー、P-38はP-51でも、あるいはF6Fでも代役がつとまったのではないでしょうか。
 1944年まではどうするんですか?
 開発時期を無視して、昭和17年に烈風や四式戦で二式複戦の代役を…と言っているのと変わりませんよ。

> 長距離を飛んで大火力を発揮というなら、双胴双発排気タービン付き、なんて凝った機体でなくてもできたと思います。
 「できる」と言うのであれば、具体例や実例を元にした実現性の高い案を提示しなければ、ただの妄想と言われても仕方がないと思いますが。

> P-38の製作工数を調べたことはないですが、たぶんP-40の二倍はあると思います。
> おカネだってずーっと高いだろうし。
 P-38の価格はP-40の倍程度だったと思いますが、それは取得価格のかなりの部分を占める発動機を倍搭載しているからで、その代わりに同世代機より高高度性能や航続力、搭載力、火力、生残性に優れた機体になっている訳です。

> 屠龍やBf110は敵戦闘機がいないときじゃないとだめだったんじゃないですか。
 Fw190の重武装型や雷電はBf109や零戦の援護無しでは敵直援戦闘機を突破できませんでしたが…。
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双発機の優位
 じゃま  - 13/1/3(木) 20:46 -
  
エンジンが二つあるのは、一見よさそうです。
でも、整備のマンアワーは2倍、用意する交換部品は2倍、
食うガソリンやオイルも2倍。
エンジンが故障する確率も2倍になりますよ。

運用側でそれを担保できるのが前提になると思います。
引用なし
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Re:双発機の優位
 T216  - 13/1/3(木) 20:53 -
  
 単発機で出来ないから双発機を作るのであって、単発機でマリアナから東京を爆撃できるなら、だれもB-29なんて作りません。
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Re:双発機の優位
 BUN  - 13/1/3(木) 20:53 -
  
> エンジンが二つあるのは、一見よさそうです。
> でも、整備のマンアワーは2倍、用意する交換部品は2倍、
> 食うガソリンやオイルも2倍。
> エンジンが故障する確率も2倍になりますよ。

エンジンが1000基あって、
それで1000機の役に立たない飛行機を作るのと、
500機の役に立つ飛行機を作るのでは
どちらが有効か、という話です。

でなければ何処の国も双発機など作りません。
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Re:双発機の優位
 じゃま  - 13/1/3(木) 21:24 -
  
>
> エンジンが1000基あって、
> それで1000機の役に立たない飛行機を作るのと、
> 500機の役に立つ飛行機を作るのでは
> どちらが有効か、という話です。
>
> でなければ何処の国も双発機など作りません。

それは「500機の飛行機が役に立つか」ということを捨象しているのじゃないかと
思います。

双発機を企画しているときは、当然そうなるでしょう。
引用なし
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因みに
 T216  - 13/1/3(木) 22:11 -
  
 「整備のマンアワーは2倍、用意する交換部品は2倍、食うガソリンやオイルも2倍。エンジンが故障する確率も2倍」であれば、問題はありません。
 なぜなら単発機1000機分の整備や補給する能力があれば、双発機500機の整備や補給には困らないからです。
 困る場合は、単発機1000機もまた運用できません。
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実はちっとも合理的じゃない
 BUN  - 13/1/4(金) 4:00 -
  
軍備というものは抽象的な存在ではなくて、具体的な課題を解決するための手段の一つです。
例えばP-38という飛行機は1000馬力クラスの発動機をコンパクトな双発とすることで将来登場するより大馬力の発動機から得られるメリットを先取りしている存在です。
同じような着想は日本でもキ64のようにタンデム双発という形を取って存在しますね。どちらも双発形式の通り一遍のデメリットは百も承知でやっている訳です。

調達にも整備にも予算と手間を喰う双発戦闘機を造る背景にはこうした理由もあって、まさにP-38は双発形式にすることで時間を買っている訳です。この飛行機が無ければソロモン航空戦の進捗はさらに数か月遅れたでしょうし、比島の制空戦闘も実施できません。

逆に、二段過給器を装備したP-63は飛行性能ではドイツの最新鋭機を凌ぐ程に優秀ですが、単発機である故に欧州戦線で使用するにも行動半径が小さく、大量に生産されたにも拘わらずまったく戦力となっていません。

頭の中では合理的なはずの「1000基の発動機で1000機の単発戦を造る」ことが
現実には全くの無駄になったという事例がすぐ隣に存在するのが第二次世界大戦の規模の大きさというものなのでしょうね。
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もし単発案が成功していたら?
 ささき  - 13/1/4(金) 6:53 -
  
> 軍備というものは抽象的な存在ではなくて、具体的な課題を解決するための手段の一つです。
> 例えばP-38という飛行機は1000馬力クラスの発動機をコンパクトな双発とすることで将来登場するより大馬力の発動機から得られるメリットを先取りしている存在です。

P-37,P-38,P-39は1937年の高高度迎撃機発注仕様(単発案X-609と双発案X-608)に基づいて開発された機体ですが、ここで単発案と双発案が両方検討されたのは何故なのでしょうか。X-608の原文は読んだことがありませんが、WEB上の記述では「最高速度 360mph, 上昇力 20000ft/6 分」とあり、速度と上昇力に関する要求はX-608も609も同じようです。航続性能に関する記述はWEB上には見当たりませんでしたが、双発案が長距離侵攻戦闘機、単発案が近距離局地迎撃機という任務上の住み分けを前提に発注されたわけではないと思うのですが…。
また、もし仮にYP-37ないしXP-39が最高速度400mph以上を達成していたなら、米空軍はそれでもあえて高価なP-38を採用したと考えられるでしょうか?XB-17とXB-18のように一旦は安価な単発型を採用し、戦争が始まってから性能不足に気づいてP-38増産命令を出すような事態になった可能性はあると思うのですが。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:17.0) Gecko/20100101 Firefox/17.0@adsl-75-3-242-165.dsl.irvnca.sbcglobal.net>

育った環境が違うP-38
 BUN  - 13/1/4(金) 8:18 -
  
>航続性能に関する記述はWEB上には見当たりませんでしたが、双発案が長距離侵攻戦闘機、単発案が近距離局地迎撃機という任務上の住み分けを前提に発注されたわけではないと思うのですが…。


双発=遠戦 という発想ではありません。
P-38の成功要因はそこにあったと考えて良いでしょう。
けれどもこの戦闘機は最初から搭載量を多く見積もって設計されていて、陸軍航空隊から遠距離戦闘機としても評価されつつ採用されています。
戦時中の遠戦としての活躍は結果的なもの、とは言い切れないベースを持っています。


> また、もし仮にYP-37ないしXP-39が最高速度400mph以上を達成していたなら、米空軍はそれでもあえて高価なP-38を採用したと考えられるでしょうか?


普通に考えればP-39が成功すればP-38は生き残らないはずですが、構想時はともかくとして、試作審査の時期にはアメリカの航空軍備は大規模な拡大期を迎えていますから、そうした選択は行われなかったことでしょう。
ベル社とロッキード社がそれぞれに独自の戦闘機を製造しなければ需要に追い付かないからです。喫緊の需要を満たすという目的のためにP-38の持つデメリットは無視され、アメリカはそれによって「時間を買った」わけです。

中型爆撃機計画でB17とB-18が比較された1934年度の陸軍予算と比べて、P-38の量産発注が行われた1939年度の陸軍予算は倍増しています。環境がまったく違うのです。

こんな具合にP-38はほんの少し前の緊縮予算に悩んだXB-17とは別の世界に育った戦闘機と言えます。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.0) AppleWebKit/537.11 (KHTML, like Gecko) Chrome/23....@cr1-166-084.seaple.icc.ne.jp>

納得しました
 ささき  - 13/1/4(金) 14:52 -
  
> 普通に考えればP-39が成功すればP-38は生き残らないはずですが、構想時はともかくとして、試作審査の時期にはアメリカの航空軍備は大規模な拡大期を迎えていますから、そうした選択は行われなかったことでしょう。
> ベル社とロッキード社がそれぞれに独自の戦闘機を製造しなければ需要に追い付かないからです。喫緊の需要を満たすという目的のためにP-38の持つデメリットは無視され、アメリカはそれによって「時間を買った」わけです。

「戦争が始まってから慌ててP-38増産命令を出すような事態」のではなく、「増産体制にある最中にP-38実用化を迎えた」のですね。そして米海軍が二段過給のF4F-3でも高空性能が足りず、高々度で侵入する一式陸攻の迎撃に苦慮していた時期に、P-38という投資で「時間を買った」米陸軍は高々度迎撃にも戦爆連合の遠距離侵攻作戦にも対応できたと。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:17.0) Gecko/20100101 Firefox/17.0@adsl-75-3-242-165.dsl.irvnca.sbcglobal.net>

Re:もし単発案が成功していたら?
 超音速  - 13/1/5(土) 12:52 -
  
こんにちは
近年不活発だった議ボがひさびさの盛況で喜ばしいことです。

> P-37,P-38,P-39は1937年の高高度迎撃機発注仕様(単発案X-609と双発案X-608)に基づいて開発された機体ですが、ここで単発案と双発案が両方検討されたのは何故なのでしょうか。X-608の原文は読んだことがありませんが、WEB上の記述では「最高速度 360mph, 上昇力 20000ft/6 分」とあり、速度と上昇力に関する要求はX-608も609も同じようです。航続性能に関する記述はWEB上には見当たりませんでしたが、双発案が長距離侵攻戦闘機、単発案が近距離局地迎撃機という任務上の住み分けを前提に発注されたわけではないと思うのですが…。

世傑P-39によるとX-608の要求仕様は最高速度360mph/2万ft、290mph/海面、上昇力2万ftまで6分、航続力2万ftで巡航1時間、離着陸距離2200ft/安全高度15ft、の条件を満たす高高度迎撃戦闘機ということです。
私も原文は読んでいませんがX-609は中低高度用単発戦闘機とされています。
引用なし
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<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; Trident/4.0; YTB720; SLCC2;...@182.42.135.27.ap.yournet.ne.jp>

P-39試作の経緯
 ささき  - 13/1/6(日) 5:03 -
  
> 世傑P-39によるとX-608の要求仕様は最高速度360mph/2万ft、290mph/海面、上昇力2万ftまで6分、航続力2万ftで巡航1時間、離着陸距離2200ft/安全高度15ft、の条件を満たす高高度迎撃戦闘機ということです。
> 私も原文は読んでいませんがX-609は中低高度用単発戦闘機とされています。

Birch Mattews 著 "Cobra! Bell Aircraft Corporation 1934-1946" Schiffer Military History 刊によると、P-39 試作の経緯はおおむね次のようになります。

1936/5 米陸軍で新戦闘機の検討開始。最高速度325mph/20000ft, 275mph/Sea Level, 航続力 1 時間/20000ft, 上昇力 5 分 / 20000ft, 離着陸距離 1500ft。
1936/11 航続性能 2 時間, 上昇力 7 分に改定。
1936/11 航続性能 1 時間, 最高速度 360mph, 上昇力 6 分, 離着陸距離 1400ft に再び改定。
1937/2 検討結果をベースとして双発迎撃機要求仕様 X-608 の開示。
1937/3 一ヶ月遅れて単発迎撃機要求仕様 X-609 の開示。
1937/8 X-609 に応えてベル社は Model3, Model4 を提案。Model4(後の XP-39)推算性能は 330mph/Sea Level, 400mph/20000ft。
1939/4 XP-39 初飛行。最高速度は 375mph/20000ft にとどまる。
1939/5 XP-39 性能不振について NACA での解析が始まる。NACA では狭い胴体に詰め込まれた湾曲したダクト類の配管、とりわけインタークーラーの低効率を指摘、ターボ過給器の撤去を推奨する。これにより最高速度 429mph に達するとの推算。
1939/9 ターボを撤去した XP-39B の製作開始。
1939/11 XP-39B 初飛行。速度性能は XP-39 より悪化し 375mph/15000ft にとどまる。性能不振対策としてアリソン社に過給ギヤ比を 8.8 から 9.6 に上げた「高空型」エンジン(後の V-1710-35)開発が要請されると同時に、P-39 に対する要求仕様 C-616 の最高速度条件が高度 20000ft から 15000ft に緩和される。

このような経緯を見る限り、X-608 が最初から「中高度用」として発注されたとは私には考えにくいです。「X-608 は中高度用」という記述は、XP-39B の性能不振発覚後に現状是認のかたちで改められた「高度 15000ft」という条件が誤解されて伝わったものではないでしょうか。
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Re:P-39試作の経緯
 超音速  - 13/1/6(日) 8:49 -
  
世傑P-39も持っているのでだいたいの流れは把握していましたが、詳細ありがとうございました。
NACA推奨によるターボ撤去は「軽量化のため」とされていましたが、ターボ搭載していても効率が低く配置に無理があったと判断されたのですね。
高高度迎撃機としてはP-38が大本命でP-39は単発での大火力が魅力だったので現状での高高度性能は不足ながらも採用された、と理解しております。
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1930年代の米戦闘機開発事情
 BUN  - 13/1/6(日) 9:30 -
  
要求仕様だけを見ていても1930年代の米戦闘機開発はなかなか全体像がつかめません。技術的な側面から眺めるとどうにも辻褄が合わなくなるからです。


米陸軍航空隊が1935年〜1939年にかけて、最も期待を寄せた試作計画はXFM-1という万能双発戦闘機です。
まだ予算の苦しい時期にこのような双発機計画が採り上げられるのは双発万能戦闘機を装備すれば機種削減に繋がり、部隊の任務を多用途に設定できるからで、双発戦闘機は本来、財政事情の苦しい空軍にとっての救世主的存在だからです。

「万能双発戦闘機はエンジンの無駄ではなくむしろ経済的なメリットがあった」という点は双発戦闘機計画一般を考える時にとても重要です。

そしてこの時期、停滞している戦闘機開発を一挙に躍進させ得る高性能エンジンとしてターボ過給器装備のアリソンV-1710の完成見込が立ちます。その完成見込によって陸軍は次期戦闘機に高度6000mで時速500km/h以上という性能を求めるようになって来ます。ささきさんが紹介している「1936/5 米陸軍で新戦闘機の検討開始。最高速度325mph/20000ft, 275mph/Sea Level, 航続力 1 時間/20000ft, 上昇力 5 分 / 20000ft, 離着陸距離 1500ft。」とは新エンジンの完成見込によって生まれた仕様です。


けれども1937年度までの米陸軍航空隊は爆撃機重点主義、戦闘機無用論が主流でしたから、6000m以上の高高度で侵入できる爆撃機は戦闘機に妨害されない、という考えを持っています。

こうした考え方をベースにV-1710からのターボ過給器取り外しという動きが現れて来ます。P-39からターボ過給器が外され、理想主義的なP-37からP-40への移行といった「退化」が始まります。新機軸の導入リスクを避け、調達を早めるという技術メリットがあり、従来の米陸軍航空隊の発想にも適合していたからです。そして機体製造会社にとっても、欧州諸国の再軍備で急増した需要に早く応えられるという経営的メリット(特にベル社は経営面で窮状にあり手早く売れる商品が絶対に必要な状況にあります)が存在しましたから、P-38のような高性能機の試作が進む一方で、低高度戦闘機の計画はそのまま進んで行くことになります。

そこで見逃せないのが米陸軍航空隊は1938年に大きな変化を迎えていることです。

司令官にハップ アーノルドが選ばれ、陸軍参謀総長となったマーシャルがアーノルドを支持し、再選後の緊縮財政転換をルーズベルト大統領が軌道修正したからです。
人事面の刷新と財政状況の好転は当然、陸軍戦闘機の開発に変化をもたらします。

それまで民間の速度記録機に大きく水をあけられ、大陸横断飛行でもヒューズH-1に先行されていた状況を打破して、先進的高性能機を陸軍でも積極的に開発するような流れが1938年度から顕著になり、陸軍の要求仕様以上の要素を盛り込んだP-38は他の試作機よりも高価で複雑でリスクを伴う計画でしたが、H-1に対抗する大陸横断高速飛行を成し遂げたことで陸軍航空隊の面目をほどこして、アーノルドの絶対的な支持を獲得します。P-38はこうした点で盤石の基盤を獲得していたと言えます。

人と金の事情が変わったので物がついて来たということです。
引用なし
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都合の悪い現実に目をつぶる米陸軍航空隊
 ささき  - 13/1/6(日) 9:36 -
  
> 世傑P-39も持っているのでだいたいの流れは把握していましたが、詳細ありがとうございました。
> NACA推奨によるターボ撤去は「軽量化のため」とされていましたが、ターボ搭載していても効率が低く配置に無理があったと判断されたのですね。
> 高高度迎撃機としてはP-38が大本命でP-39は単発での大火力が魅力だったので現状での高高度性能は不足ながらも採用された、と理解しております。

前述の著書でも「なぜターボが外されたのか」「なぜ性能劣化したXP-39Bが採用されたのか」についてさまざまな資料・証言から解明を試みていますが、別のスレッドでBUNさんが挙げられていた「急拡大する航空隊の規模に生産能力がついてゆかない」「一社でも多く、一機種でも多く新鋭機の量産を開始しなければならない」というプレッシャーがあったようです。
それゆえに、私はXP-39が400mphを達成していたらエンジン2基というリソースを食うP-38は不採用になったのではないかと勘ぐったのですが、現実にはエンジンだけが隘路なのではなく機体生産施設も機銃照準器といった装備品もことごとく生産拡大の真っ最中で、「双発より単発のほうが生産機数が稼げるからP-38は不採用にしよう」というような状況ではなかったようです。
急拡大する米陸軍航空隊の需要を満たすため、P-38は双発ゆえの高価さという欠点に、P-39はターボを外して劣化した高空高速性能という欠点に目をつぶるかたちで量産が急がれたような印象を受けます。
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Re:双発機の優位
 とり  - 13/1/7(月) 21:12 -
  
> それは「500機の飛行機が役に立つか」ということを捨象しているのじゃないかと
> 思います。
>
> 双発機を企画しているときは、当然そうなるでしょう。

私は双発戦闘機というと38しか思い浮かばず、また38というとまずは山本長官機撃墜が浮かびます。昨日偶然TVで見てあれっと思いましたが・・

ところでこの攻撃は38ならではなんでしょうか。

経過としては、ガ島発、南への迂回路〜700kmを海面高度で飛翔、ブーゲンビル島に到達して索敵を開始し、程なく日本編隊(高度〜1500m)を発見(このときの38の高度不明・超低空のまま?)、右後方より接近しつつ高度を上げ、距離約1マイルのところで日本機が気づき迎撃態勢に入る。38は少数機のみが攻撃し、他は高度5000m(?)でバックアップ(というか行動が不明)。
帰りの空路は手元に資料がないが600km程度?
一応行けそうな4Uでは超低空からの上昇がきついですかね。

いずれにせよ日本側が見張りに失敗したのが悔やまれます。
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