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「夜間爆撃作戦の任務(目的)には、目標の空襲だけでなく、出撃機の無事帰還までも入っていますよね。」
答はNOです。
損害を避けるために目標を放棄すれば任務は失敗です。
作戦には損害が見込まれますからその範囲に収まる爆撃機は帰還しなくとも構いません。
「生きて帰る」というのはスピリットであって任務じゃないんです。
「ドイツ夜間戦闘機部隊の作戦の目的(任務)は、いったいどのようなもの」
敵爆撃機の撃墜です。それ以外にはありません。
こちらもボマーコマンドを一夜で殲滅できるなら夜戦隊が壊滅しても構いません。
「飽和させられそうなほど彼我に戦力差のある、夜間空中戦闘」
ボマーストリームは基本的に単機での航法による単機での侵入戦術です。
集団を組まないことで目標数を増やし、邀撃に効率の悪い単機の目標を多数発生させることが目的です。「圧倒的な戦力差」があれば必要のない戦術です。
夜間爆撃機がどれくらい距離を置くかといえば、1番機の後方2kmから3km以内には「何もいない」程に離れます。
後方警戒用のモニカレーダーは45度の拡がりと1km以上のレンジを持っていますから、2番機が接近してモニカのレンジに入ると、せっかくの警戒システムが機能しなくなります。乗員のレシーバーがピーピー鳴り続け、逆探の赤灯が点灯し続けていてはせっかくの電子装備の意味が無く、爆撃機は盲目状態です。
英爆撃機は最初から「バラバラ」であり、しかも単機で侵入したほうが「強い」ということです。
ですからドイツ側の地上管制はボマーストリームであろうと何であろうと全力で対処できるし、そうすべきなのですが、相手が単機なので攻撃の効率が悪くなり、見逃す目標が増えるのがこの戦術の狙いです。それが管制能力の飽和です。飽和を避けても攻撃の手数が減るだけで意味がありません。
「できるだけ飽和させられないように出撃時刻を調整」
そんなことをして喜ぶのは見逃される目標が増えるボマーコマンドです。
飽和して大いに結構です。
最大の能力で管制している訳ですから。
レーダーサイトも探照灯も高射砲も地上の何処にでもある訳では無く
限られた数が限られた地区にあるだけです。
その限られたリソースを帯状に配置したのがドイツの防空システムで
それを突破するための策がボマーストリームです。
たぶん、ボマーストリームという戦術についての誤解と邀撃戦の地上管制についての誤解がお話をおかしくしているのではないかと思います。
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