わたくし第二次大戦機マニア暦25年のちょっと(だいぶ?)中年のオヤジです。 辻 幸康さんの疑問に、私の理解している限りでお答えします。 まず、空冷エンジンですが、機構上ほぼOHV以外は存在しえないと思っても間 違いないでしょう。特に復列以上になるとスペースと冷却の関係からOHV以外は 造れないと思います。実際に、復列以上でOHVでないエンジンを私は知りません。 次に液冷です。まず、第二次大戦中の主要なエンジンはすべてSOHCです。そ うした理由は以下によると思われます。 @DOHCではエンジンの幅が大きすぎて好ましくない。また、技術的にも難 しい。 A航空機のエンジンは過給器を装備するのとドイツやソビエトのエンジンのよ うにプロペラ軸から機銃を発射する関係でVバンク内のスペース的制約が大 きいのでプッシュロッドは装備しにくい。 ところで、SOHCとはいえ現代の自動車エンジンと比べてもかなり凝った設計 をしています。 まず、ほとんどがマルチバルブ(排気/吸気弁のいずれかが2個以上)。特にDB 600系は吸気2、排気2の1気筒あたり4弁です。ところがカム山が1気筒あた り2個ずつしかないので、またおもしろい。また、このエンジンはカムシャフトを 駆動するのにシャフトドライブを採用しています。Jumo210系は吸気2、排気1で、 Jumo213の途中から排気も2弁になりましした。V−1710、マーリンも吸気、 排気ともに2弁です。この時代は、むしろ今以上に排気2弁は当たり前だったよう です。これは、排気管が外してあるエンジンの写真でわかることがあります。