全翼機とは、胴体が存在せずに 機体の全てが1枚の主翼で構成された機体で、 まったく尾翼の無い機体と垂直尾翼を付けた機体がある。 ドイツにおける全翼機の研究で知られるのが、アスペクト比の小さいデルタ翼のリピッシュと 本編のホルテン兄弟です。 理想的にいえば 航空機は主翼だけで飛ぶほうが無駄が無い。それは膨らんだ 胴体や無駄な尾翼類によって生じる多くの抗力を捨てて、飛行に必要な揚力を 得るための必要最小限の要素である主翼のみに、エンジン出力が使えます。 また翼の弦長(コード)が長いため実際の翼厚は厚くなり、構造的に丈夫になり 翼内燃料タンクなども容易に設置できます。 反面 水平尾翼が機体の中心から近い位置にあるために、昇降舵の面積が必然的 に大きくなり 離着陸距離や速度を増大させ、また方向舵がまったくないので 安定性を欠く傾向がありました。 その対策として 風圧中心の移動の少ない翼断面を選び、この主翼に後退角と ねじり下げを与えて重心とのバランスを保ち、水平尾翼なしの飛行が可能となる。 またタブ付きのフラップを主翼後縁に装備して、重心の後ろで発生する揚力が機首を 下げようとするモーメントを発生するので、それを相殺する役目を果たしています。 また垂直尾翼の働きに関してはエア・ブレーキを胴体後部の下面に装備し、翼端失速を 防止するのに左右の翼端部の上下面に、大小を一組にしたスポイラを8個装備した。 ゴータ Go229 1945 ホルテン兄弟がその集大成として製作したジェット戦闘機で、当初はホルテンHo9と呼ばれて いました。試作1号機は無動力の滑空機、2号機以降はジェットエンジンを装備して、 1944年に自力による初飛行に成功し、試験では800km/hを記録した。 3号機からは、生産がゴータ社の手に委ねられ Go229と改められています。