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作戦要務令
第四部
瓦斯用法
第3章 防禦
第53
瓦斯は防禦に於いて我が陣地を増強し、或は直接敵の攻撃動作を破摧し、或は逆襲又は攻勢移転を有利ならしむる等の為、所要に応じ之を使用するものとす
第54
師団長は防禦計画の策定に方り、戦闘各期に於ける瓦斯の使用地域、瓦斯の種類及び数量、使用手段等を考慮し、第22に準じ処置するものとす
第55
迫撃隊は通常之を予想する敵の主攻撃正面、又は我が出撃を企図する方面の第一線部隊に配属し、主として敵の攻撃を破摧し、且つ我が逆襲又は攻勢移転を有利ならしむるものとす。時として、敵の攻撃準備破摧の為射撃せしむることあり
第56
瓦斯隊は主として主陣地の正面、間隙、翼側等に撒毒地域を構成し、火力と相俟ちて敵に損害を与え、要すれば放射を行い、緊急なる時期に於ける敵の行動を妨害し、以って我が戦闘を有利ならしむるものとす
状況に依り、前方に派遣する部隊に所要の瓦斯隊を配属し、敵の前進妨害の為撒毒せしむることあり
第57
撒毒地域は其の目的に応じ、敵の主攻撃正面、我が確保すべき要点の前面、又は兵力を節約せんとする方面等に、之を設くるものとす
主陣地前に設くる撒毒地域は、地形、気象、予想する友軍の行動等を考慮し、友軍に危害を及ぼさざる限り陣地に接近せしむるを可とす
第58
撒毒開始の時機は、予想する戦況、撒毒地域構成の為の所要時間、気象の影響に依る瓦斯効力の減退、企図の秘匿等を考慮し、最も緊要なる時期に於いて遺憾なく瓦斯の効果を発揚し得る如く、之を過早ならしめざること緊要なり
第59
主陣地前に於ける撒毒作業は通常警戒部隊の掩護下に行う。而して、撒毒地域の警戒及び掩護は第一線部隊之に任ずるものとす
第60
撒毒実施に方り、第一線部隊の指揮官は其の戦闘地域内の撒毒地域、特に其の重点、撒毒の時機、撒毒部隊の行動及び之が掩護若しくは援助、撒毒地域内の通路等に関し撒毒部隊の指揮官と所要の協定を行い、必要の事項を部下に徹底せしむるを要す
第61
撒毒地域の構成に方りては、敵の判断を困難ならしむる為、敵に近き方側の密度を大にし我が方を疎散にして広正面に亙らしめ、或は縁端を不規ならしめ、或は巧に偽撒毒地を配する等、各種の手段を創意すること緊要なり
第62
偽撒毒地域の構成に方りては、少量の真毒を使用して其の撒毒の密度を小ならしめ、或は敵に近き方側のみ真毒を使用し、或は真毒に他の溶剤を混用する等の方法に依り、勉めて真撒毒地域の観を呈せしむるの着意を必要とす
第63
敵兵夜暗を利用して我が陣地に近迫し攻撃を準備するを察知せる場合に於いては、所要に応じ予想する敵の攻撃準備位置に撒毒し、又、適時敵の集合せる地域に対し不意に瓦斯を使用して敵の行動を擾乱し、或は其の企図を挫折せしむることあり
第64
敵兵、撒毒地域を通過するに方りては、之に火力を集中し撃滅するを要す
敵、若し夜暗を利用し撒毒地域の制毒を行なわんとするに方りては、第一線部隊の指揮官は一部を以って奇襲せしむる等、適宜の手段を講じ其の擾乱に勉むるを要す
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