クリスマスと七面鳥料理
昔脊振山レーダーサイトに勤務していた時の話しです。 脊振山サイトが自衛隊に移管された後も、数名の米軍将校がコンダクターとして残留していました。 時々彼らのメスルーム兼クラブに出入りして、バーボンを飲みながらブリッジゲームなどを楽しむ ことがありました。また、クリスマスに招待され、御馳走にあずかったこともあります。 下甑島サイトでもそうでしたが、アメリカ軍の食事は大味であまり美味しくありません。その日も、 クリスマス定番の七面鳥料理でした。鶏肉に比べて硬く、お世辞にも美味しいとは云えません。 彼らは何故クリスマスのお祝に、美味しくもない七面鳥料理を食べるのか、その理由を米留帰りの コントローラから聞くことができました。 彼らの先祖は西部開拓時代、穀物の収穫もままならず、狩猟によって飢えを凌いでいたそうです。 野生の七面鳥は当時の貴重な食料でした。だから、生活が安定した現在でも、開拓時代の苦労を忘 れないため、年に一度七面鳥料理を食べて当時を偲ぶのだそうです。だからこの風習はアメリカの もので、同じキリスト教徒でもヨーロッパにはないそうです。 日本人が終戦記念日に、スイトンを食べて戦争中の耐乏生活を思い起こすのと同じ理屈だそうです。 お祝の日に不味い七面鳥を食べる理由が納得できました。戦後60年、日本ではもうスイトンなん か食べる人はいませんね。 日本人の日ごろは粗食で頑張っているから、お正月ぐらいは御馳走を食べよういう気持ちも理解で きますね。 クリスマスと七面鳥料理目次へ戻る [AOZORANOHATENI]