蒼空の果てに

       Ans,Q 本館 航空機関係〔4564〕への回答。 (16−10−3)

  日本軍でも落下傘降下は行っていた。

 質問のもとになった、小説や映画が何を指すのか分かりませんが、わが軍でも
落下傘降下の例は沢山ありました。

「陣中談義・うら話」13-12 に、落下傘の機能について解説していますので、
ご一読頂ければ分かると思いますが、機能的な問題で被弾即脱出という訳にはまい
りません。また操縦員は被弾した場合は脱出よりまず不時着を考えます。操縦不能
や火災などで不時着が不能な場合に脱出となります。

 複座以上の操縦員は、後席が脱出したのを確認してから、最後に脱出するように
指導されていました。この場合でも敵地上空なら「捕虜」になる覚悟が必要です。
それでも、不時着や落下傘降下で「捕虜」になり、戦後になって帰還した方は大勢
います。 (彼らは捕虜は恥辱と思っているので、自分からは話したがりません)
その点米軍は、潜水艦や飛行艇などを配備して搭乗員の救出には万全を期していま
した。

 また、内地での防空戦闘で落下傘降下した例もあります。飛行帽や腕に目立つよ
うな「日の丸」を付け始めた理由をご存知ですか。邀撃戦で被弾し落下傘降下した
日本の搭乗員が、米兵と誤認され地域住民に襲われるという事件が起こりました。
そのため識別用に「日の丸」を付け始めたのです。

 皆さんはあれを「特攻隊」の認識ぐらいに考えているのではありませんか。要す
るに、小説や映画が常に真実を伝えているとは限らないのです。

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