蒼空の果てに

     卒業飛行

     卒業飛行は、三個中隊二十七機編成による移動訓練が実施された。目的地は霞ケ浦航空 隊である。三機ずつの小隊ごとに編隊離陸して、飛行場上空を旋回しながら中隊、大隊と 集合する。練習機でも二十七機の大編隊ともなれば、堂々たるものである。集合を終わっ た大編隊は、地上で見送る航空隊司令以下のお偉方に訓練の成果を展示するため飛行場の 上空を通過して東へ進む。  霞ケ浦航空隊の飛行場の広さは谷田部航空隊の三倍近くもある。そして、格納庫が飛行 場の中央部にある。また飛行船用の大きな船体格納庫も望まれる。その上空を大編隊で通 過した。  次に編隊は中隊から小隊へと解散し更に単機となって、次々に着陸する。そのまま前に 進んで中央格納庫の前に二列の列線をとる。ここで、練習生は前後席を交替する。帰りは お客さんである。  去る三月末に訓練を開始して以来、わずか四カ月の間によくもここまで上達したもので ある。後はいよいよ実用機教程に進むのだ。若鷲は將に巣立たんとしている。二十七機の 大編隊の影を映した「霞ヶ浦」は今眼下に広がっている。

若鷲は将に巣立たんとしている。
                                                                                   
   若鷲の歌

一、若い血潮の 予科練の
      七つ釦は 桜に錨
  今日も飛ぶ飛ぶ 霞ヶ浦にゃ
     でかい希望の 雲が湧く 
           (以下省略)
若鷲の歌
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