北海道人造石油滝川工場

2001.11.07 

 基本的に休みなど存在しないのですが、どおいう風の吹きまわしか、三連休が転がり込んできました。相変わらずの会社依存症の為、落ち着かず、日帰り入浴、冬タイヤの交換、写本などで時を過ごし、今日はドライブに出かけました。

 札幌から高速道路で旭川方面に向かい約一時間程で滝川市に着きます。ここはいにしえには海だった所で国内では珍しい「海牛」の化石が見られます。化石好きの私にはピッタリな所です。さらにジンギスカンもたいへん美味しいのです。
そしてまあどうでも好いといえばどうでも好いのですが、太平洋戦争中、北海道人造石油株式会社滝川工場が存在しました。

 北海道人造石油滝川工場は石炭から石油を作る工場で、ドイツから導入された技術であるフィッシャー法を用いていました。施設は戦争中に完成し、生産を始めましたが、不慣れな為と触媒(コバルト)の不足の為、人造石油の生産量は1万数千トンから3万トンにとどまり、現在の邦貨に換算して1兆円も掛かった施設としてはまったく戦力に貢献できませんでした。戦後、数年間は操業していたのですが、コスト的にまったく合わず倒産し解体され夢のように消えていきました。

 滝川市の中心部に「滝川市郷土館」という施設があります。ここの展示の一画に人造石油工場のコーナーがあります。今日、ここを訪問し、親切な館員の方に収蔵庫を見せていただきました。驚いたことは、おそらく終戦時に焼かれてほとんど消失したと思っていた丸秘の研究報告書などの資料や生写真がかなりの量残されていたことでした。どういう経緯で収蔵されたのかは分かりませんが、ほとんど未整理のままで置かれていました。聞けば見にきた人もほとんどいない様です。学芸員もおそらく読みこなせないようでしょうから、現在のままでは実にもったいない事です。私が調べてもある程度は分かるのでしょうが、戦史ににもくわしく、兵器に通じ、有機工業化学を実際に体験された方が調査されれば、さぞかし戦時中の技術史の謎を解き明かす鍵になるでしょう。
 今日親切に収蔵庫を見せていただいた館員の方に約束してきましたので、散逸する前にこのような資料が北の大地に手付かずに在る事を皆様にお知らせします。


 滝川市郷土館

 〒073-0033 滝川市新町3-8-20 TEL:0125-22-4811



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