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 陸軍潜航輸送艇の歴史 2002.09.23
陸軍潜航輸送艇とは、陸軍が独自で作った輸送用のいわゆる潜水艦である。起工の9日前まで海軍には極秘で計画され、いよいよ起工直前となって、海軍に乗員の教育や潜望鏡、蓄電池の供給を依頼した位であり、殆ど海軍の助力を得ないで陸軍独自で開発した潜水艦である。

ガタルカナル戦で輸送船を次々沈められ、窮余の一策として大発や小発等の小型船で輸送したが、やはり損害も多く、また小型船のため天候の影響を受けやすく、輸送がしばしば中断する等、実効が上がらなかった。

このため潜水艦での輸送が計画される。実施してみると成功率は高かったものの、一回当たりの輸送量は僅かに15トンに過ぎなかった。
また海軍側からすれば、折角攻撃用に作った潜水艦を輸送用に使用するのは断腸の思いであり、中止したかったが、潜水艦輸送に変わる輸送手段も無かった。海軍は陸軍側にしばしば潜水艦による輸送の中止を訴えたらしい。

これらの背景から陸軍独自で輸送用潜水艦を建造することになったのである。

実際には約300トンとなり陸軍潜航輸送艇と名付けられ、このような特殊な潜水艇を建造している事を秘匿するため、ゆの周りに○を書いて○ゆと呼んだ。

製造工場は海軍との軋轢を避けるため、造船工場を一切使用しなかった。日本国内で選ばれたのは機関車工場であった日立笠戸工場、陸軍の高射砲や戦車を製造していた日本製鋼所広島製作所、ボイラーを量産していた安藤鉄工所の3社で有った。その他に仁川の朝鮮機械と合わせて4工場で生産された。

各工場の完成数
日立製作所 笠戸工場    24隻
日本製鋼所 広島製作所   9隻
安藤鉄工所            2隻
朝鮮機械             4隻(ゆ3005が完成していたとして)
                 計39隻

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