5.井上さんの疑問点(2) 2004.04.24
3.海軍のこのクラスの高角砲には四十口径八センチ高角砲、四十五口径十年式十二センチ高角砲、四十口径八九式十二センチ七高角砲がある。四十口径八センチ高角砲は砲身の上側に付く駐退・復座装置が1本しか無いのでこの高角砲ではない。四十口径八九式十二センチ七センチ高角砲の駐退・復座装置は数は2本で一致するが、井上写真の砲よりずっと細長いのでこの砲の可能性は無い。従ってこの砲は最期に残った海軍の十二センチ高角砲である可能性が高い。
四十口径八センチ高角砲
砲身の上側に1本の長い駐退・復座装置
が付いているのでこの高角砲ではない。
昭和3年頃の衣笠の
四十五口径十年式十二糎
高角砲B型
下と右の写真は日振型海防艦の六番艦の四阪の艦後部の写真である。四十五口径十年式十二糎連装高角砲が搭載されているが、駐退・復座装置の形が井上写真の様子と良く一致している。
昭和三年十二月二日の那智の四十五口径十年式十二糎高角砲B型
四十口径八九式十二センチ七センチ高角砲
砲身の上側に2本の長い駐退・復座装置が有り、数は一致するがこちらの方は細く違う砲と考えられる。
衣笠の砲も那智の砲も、砲身の上にある駐退・複座装置の先端が平らであり、井上写真と異なっている。衣笠と那智に搭載されたのは、四十五口径十年式十二糎高角砲B型であり、井上写真の高角砲はその戦時量産型のCもしくはD型である可能性が高い。このC、D型は主として陸上砲台や前進基地に用いられた。
C型は人力、D型は動力操縦なので、井上写真の砲は、C型の可能性が高い。