21000記念おまけ

あるいは呼称の変化


 「21世紀になった」からと云って、日常生活がガラリと変化するわけではない。当「兵器生活」も読者諸氏の御愛顧のかいあって、無事に21000カウントを越える運びとなった。総督府一同、御礼申し上げる。


 人間の生涯と云うものは、自分の意志でそれを切り開いていくのを良しとしているわけであるが、自分の意志ではどうしようもない事もある。国家および社会において、己と他を識別する記号、すなわち「名前」である。

 私は、兵器生活主筆として「印度総督」と云う名称を使用しているわけであるが、善良な勤め人あるいは納税者としては、当人のあずかり知らぬところで付けられた名前を使用していることは云うまでもない。

 小中学生のころは、公式な名前以外にも綽名と云うものも付けられていた。綽名、と云うやつは呼ばれる当人がなるべく云われたくない、と思っている名称を付けられることが多い。
 当時は綽名で呼ばれることが非常にいやであったのだが、最近は綽名も本名も、自分で付けたものではない、と云う事で、どうでもよくなっている。


 しかし、最近とある方面で「印度総督」と云ういかにも偉そうかつ胡散臭い名前に対して「インドさん」なる親和的かつユーモラスな呼称が使用されはじめていると聞く。

 この二つの呼称の落差は、本人をして驚愕せしめるに充分すぎるもので、これを図示すると、下記のようになる。

1.「印度総督」イメージ


2.「インドさん」イメージ


 かように二つの名称の持つイメージは異なるのである。

 当人としては、自ら選定した「印度総督」および省略形の「総督」あるいは「ソートク」を今後も使用する所存ではあるが、「インドさん」も趣ある呼称であるので、読者諸氏が公然あるいは密かに「インドさん」を使用されることを黙認する次第である。

(「主筆」は「兵器生活」本文において引き続き使用するものである)

 「インドさん」…「インドさん」ねえ…。

首をかしげつつ退場