もし、ドイツにソ連が負けていたら・・。 : ツェッペリン(01/5/20 22:20)
首都陥落は必ずしも敗北に非ず。 : TETSU29(01/5/21 00:14)
[投稿者削除] : Edwerd(01/5/21 18:10)
Re:もし、ドイツにソ連が負けていたら・・。 : Edwerd(01/5/21 18:15)
モスクワの政治的・戦略的意義は軽視できない : アリエフ(01/5/22 01:58)
Re:モスクワの政治的・戦略的意義は軽視できない : Edwerd(01/5/22 21:28)


5605 Root [5607] [5614] [5615] [5625]
もし、ドイツにソ連が負けていたら・・。
ツェッペリン(01/5/20 22:20)

第二次世界大戦中ドイツはモスクワを目の前にして敗北しましたがもし、モスクワを陥落させていたらどうなっていたのでしょうか。
やはりウラソフ将軍の政権のロシアが成立したのでしょうか?


5607 [5605] なし
首都陥落は必ずしも敗北に非ず。
TETSU29(01/5/21 00:14)

>モスクワを陥落させていたらどうなっていたのでしょうか。

モスクワが陥落したとしても、スターリンは首都を奥地に移転させてそのまま対独戦を継続したと思います。

ナポレオンはモスクワを占領してもロシア帝国には勝てませんでした。
日本は南京を陥落させましたが中国には勝てませんでした。

無論モスクワが陥落した時点で傀儡政権が樹立されたかもしれませんが、それがソビエトに取って代わるとは考え難いです。


5614 [5605] なし
[投稿者削除]
Edwerd(01/5/21 18:10)

投稿者によって削除されました。(01/5/21 18:10)


5615 [5605] なし
Re:もし、ドイツにソ連が負けていたら・・。
Edwerd(01/5/21 18:15)

 「もしモスクワが没落していたらソ連は降伏していたであろうか?」というのは、多くの戦史家や研究者の間でも賛否両論に大きく分かれるほど難しい問題ですな。ただそれは、モスクワ占領が成功したか否かという単純な条件だけで計れるものではなく、その時点での状況に大きく左右されるのではないでしょうか。
 つまりモスクワを占領したとしても、史実の様に極寒の気候に喘ぎながら息も絶え絶えのドイツ軍がかろうじてそれに成功したという状況であれば、冬季の反攻作戦を着々と準備していたジューコフ将軍の反撃で押し戻されるか、下手したら包囲されて早くも「スターリングラードの悲劇」を経験するはめに陥っていたかもしれない可能性は多分にあると思う。
 しかしタイフーン作戦が季節はずれの時期を逸した遅すぎたものでなく、国防軍の多くの将官が望んでいた様にもっと早い段階、ソ連軍が緒戦の大敗北のショックと混乱から立ち直っておらず、その予備兵力の展開や防衛体勢が不十分な9〜10月の内に行なわれて、かつそれがその両翼の軍集団と連携した全般的な攻勢として成功していたとすれば、スターリン政権が瓦解してソ連が降伏していた可能性は十分にあると思う。史実ではドイツ軍接近の報に接したモスクワ市は大混乱に陥り、政府機関は当初ゴーリキーに移転し始めたが、計画していた様にウラル地方に移転してでも戦争を継続するという状況に実際に直面するはめに陥るようなら、それはスターリンの政治生命の終焉を意味するもの意外に他ならないと思う。
 確かにスターリンは恐怖政治で支配した専制国家を作り上げていたが、このような独裁制に依存した政権ほど実は大衆による潜在的支持を必用としており、対外的な政治的失敗が常にその基盤を大きく揺るがしかねない危険性を秘めていると言える。これは同じ独裁者であったヒトラーが国民の圧倒的な支持に陰りを生じさせる事を危惧する余り、バルバロッサ作戦に失敗した事が明白になるまで銃後の国民の協力を求める必要のある「総動員体勢」に踏み切れなかった事からもその微妙な立場が伺えると思う。
 つまり絶対的な権力を握ると考えられている独裁者ほど、実はその政治的成功を維持する事でその権勢が支えられている指導者は無く、戦時においてはむしろ民主政治体制の指導者以上に不安定な立場であると言える。
 しかし、モスクワの没落が確実なソ連の降伏に繋がる為のマイナス要因として、ヒトラーの対ロシア民族政策が挙げられると思う。ヒトラーが偏執的感情の赴くままにこの戦争を「スラブ民族の根絶」を掲げたようなイデオロギー的戦争として捉えた事は、スターリンをしてロシア人民を最後の一兵まで戦わせる祖国防衛戦争という喧伝に利用されてしまったのは外交上の大きな失策だった事は間違い無い。
 この点をクリアーし、かつ緒戦で得た多くのロシア兵捕虜を委細かまわず後方の収容所に送るような事をせずに、スターリン政権に批判的であったロシア兵士達の半分でも帰順させてロシア人部隊を創設していれば、その後の展開はかなり違ったものになったはずである。
 政治・経済・交通の中心地であり、それゆえ軍事の要となるモスクワの没落は、古都レニングラードの没落、穀物の大収穫地であるウクライナやコーカサスの油田地帯の占領以上に、ソ連政府の中枢神経を揺さ振る様な破滅的インパクトを伴う心理的ショックをもたらしかねず、一般大衆・兵士の抗戦意志に多大な影響を与えていたはずだ。少なくともロシアの国民全てを敵に廻す様な言質を取られていなければ、スターリン政権の転覆を大いに可能性があったと思う。



5625 [5605] [5634]
モスクワの政治的・戦略的意義は軽視できない
アリエフ(01/5/22 01:58)

私はモスクワの経済的意義も軽視できないと思います。モスクワ州(モスクワ市を含む半径100キロ位の地域)がドイツ軍によりほぼ掌握されたならば、レニングラードとウラル、シベリア方面を結ぶ輸送路に重大な支障を来します。米国からの主要な支援ルートとして極東ルートが残っていますが、北海方面からのルートは途絶しかねない。また、モスクワ付近にかなり集中している工業生産力を放棄することになる。奥地に疎開した工場の生産力で持ちこたえられるか?史実よりはかなり苦しくなるでしょう。
それにEdwardさんが御指摘の通り、モスクワ陥落はソ連にとって相当な政治的ダメージになる。スターリンは共産主義宣伝だけでなくソ連国民の愛国心に訴えたが、ナポレオンも完全に掌握できなかったモスクワを独軍が掌握したら、ソ連のツアーたるスターリン及びソ連政権の権威は揺らぐことになる。モスクワの早期奪回ができなければ、ソ連政権は最早統一政権ではなく、「地方政権」と見られてしまうのではないか。数年経ってモスクワを奪回し対独戦に勝利したとしても、ウクライナ等でソ連からの分離独立を求める動きが起き、その処理に追われることになるのではないか、ソ連崩壊がより早まったのではないかとも考えてしまいます。


5634 [5625] なし
Re:モスクワの政治的・戦略的意義は軽視できない
Edwerd(01/5/22 21:28)

モスクワ没落がソ連の鉄道輸送力に与える影響は、その軍事面だけでなく、ソ連経済の動脈路としての活動を阻害するものとして深刻なものとなると言う意味で貴兄の意見に賛成です。それは地図を一瞥しても明らかで、全ての方面から交通路が収束しているモスクワの喪失は、軍事的に大規模な予備兵力の移動を著しく困難なものとし、例え翌年までソ連が戦争を継続したとしても、レニングラードは42中に陥落するだろうし、コーカサスにおける反撃兵力の集結など望むべくもない。こうなるとソ連が戦争を継続したくとも、そもそも反撃のための兵力展開を可能とする足場がないのである。
 またシベリア鉄道による極東方面からの対ソ支援物資だけでは戦争継続に不十分なのは明白である。キエフ、ハリコフ、ロストフ、モスクワなどの各都市からウラル地方に疎開した工場群はかなりの規模であったが、それがまともに操業を再開して戦局に影響を与えるようになるのが42年の春以降である事を考えれば、モスクワを喪失した事でそもそもそれ以前に勝敗は決してしまうものと思われる。


FlasH BBS Pro v1.41 [Shigeto Nakazawa]