武装親衛隊擁護説/悪役説について : かすた(01/2/21 01:27)
それは、犯罪という言葉では表現しきれないものだと思います : ささき(01/2/21 04:55)
補足:漠然とした嫌悪感 : ささき(01/2/21 05:07)
Re:補足:漠然とした嫌悪感 : 虚心兵(01/2/21 08:00)
Re:補足:漠然とした嫌悪感 : k-mine(01/2/21 13:09)
Re:武装親衛隊擁護説/悪役説について : かすた(01/2/22 22:14)
[投稿者削除] : Edwerd(01/2/23 03:38)
[投稿者削除] : Edwerd(01/2/23 03:47)
Re[2]:武装親衛隊擁護説/悪役説について : Edwerd(01/2/23 03:51)
Re[2]:武装親衛隊擁護説/悪役説について : バトゥ(01/2/23 04:10)


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武装親衛隊擁護説/悪役説について
かすた(01/2/21 01:27)

議論ボード初投稿で、もしやタブーかもしれない話題に触れさせていただきます。
内容はタイトル通り、武装親衛隊についてです。
先日、クルト・マイヤーの『擲弾兵』を読みました。
この書が武装SSの復権のための書であることはあどがきにある通りですが、似たような弁護がグデーリアン『電撃戦』下巻でも見られます。
しかし一方では『武装SS』(著者不明、今度調べてきます)にあるように、HIAGの活動を踏まえた上での糾弾があることも事実です。
さて皆さん、皆さんは武装SSに対する戦後の評価について、どのような意見をおもちでしょうか。ニュンベルグ裁判通りの凶悪な犯罪集団を見るか、それとも単なる軍隊の1組織とみるか。
皆さんはどう思われますか?


4884 [4878] [4885]
それは、犯罪という言葉では表現しきれないものだと思います
ささき(01/2/21 04:55)

私はナチスドイツがユダヤ人集団虐殺を行ったことは歴史的事実であり、
人類の暗黒面の恐ろしさを実証する悲劇として語り継がれるべきだと
思っています。

しかし、この凄まじい残虐行為を平時における「犯罪」という言葉で
表現しようとすることには違和感を感じます。アドルフ・ヒトラーが
ユダヤ人に対する妄想的強迫観念に侵されていたことに根本的原因が
あるのは確かでしょうが、仙人や聖人ならぬ人間ならばある程度の
強迫観念やトラウマは持っていて当たり前ではないでしょうか。
彼が独裁者ではなく一介の画家であり、酒場でビールに酔いつぶれて
「ユダヤ人を皆殺しにしてやる」などと愚痴っていても、それは
実害のない妄想じみた世迷い事に過ぎなかったでしょう。

ヒトラーの妄想は何故現実化されてしまったのでしょう。ヒトラー配下の
武力集団SSは、彼の妄想を一片も疑うことなく実行に移したのでしょうか。
それとも内心ではユダヤ人に憐憫を抱きながらも、国家公務員のエリート
として命令に逆らうことができなかったのでしょうか。

神ならぬ人間は間違いだらけで欠陥だらけの生き物です。だからこそ
人は集団を作り、互いの欠点をカバーし合って生存しようとします。
ナチス・ドイツという国家もまた、そういう集団組織の一形態であった
ことは異論の余地がないでしょう。

しかし、本来互いの欠陥をカバーし合わなければならないはずの集団組織
において、何故「常軌を逸した」行動が平然と…むしろ事務的に、整然と
行われてしまったのでしょうか?その原因をアドルフ・ヒトラーという
個人の性格的破綻や、SSという一構成組織要員の犯罪性に求めることは
逆に問題の本質を見えなくしてしまうと思います。
(しかし戦争犯罪糾弾においては人間の原罪など追究している余裕はない
ので、無理矢理にでも罪状を作り責任者を引っ張り出して処罰してしまう
わけですが)。

実際に収容所に入れられ、凄まじい死と虐待の世界を目の当たりにされた
被害者の方々に「SSが悪いんじゃなかった」と正面切って言う勇気は
私にはありません。生々しい記憶が息づいている限り、惨劇を生き延びた
方々の心理のためにヒトラーやSSを悪人としておくことは必要だと
思います。

しかし、問題をそれで片づけてはいけないとも思うのです。一体何が悪かった
のかが究明されない限り、そして人々がそれを教訓として胸に刻みこまない
限り、いつの日か惨劇はまた繰り返すでしょう。


4885 [4884] [4887] [4892]
補足:漠然とした嫌悪感
ささき(01/2/21 05:07)

今日、日本では「北朝鮮」という国、あるいはその国家首席である
キム・ジョンイル氏に対するイメージは非常に悪いですね。
しかし、私は北朝鮮という国に行ったことがありません。
彼の国で人々がどんな文化を持ち、どんな生活をしているのか噂話
くらいにしか知りません。ジョンイル氏がどんな人物なのかも、噂の
また噂くらいにしか聞いたことがありません。
日本人が誘拐されたとか、密航船が潜入しているとかニュースに聞き
ますし、それは多分事実なのでしょうけど、あくまでマスコミを通して
聞いた情報にしか過ぎません。
つまり私は「北朝鮮」という国家について直接的には何も知らないのと
同じようなものです。にも関わらず、私はこの国の名前を聞くと何か
不安なものを感じてしまいます。何故なのでしょう?

私は北朝鮮という国家そのものより、殆ど何も知らない国に対し漠然と
した不安を持っているという事実のほうに恐れを感じます。それは、
ナチス・ドイツにおいてユダヤ人に対する「漠然とした嫌悪感」と
つながるものを持っているのではないでしょうか?



4887 [4885] なし
Re:補足:漠然とした嫌悪感
虚心兵(01/2/21 08:00)

 私もささきさんが仰るように、武装SSやヒトラーは確かに悪役として歴史に名を残さなければならないが、問題はヒトラー個人や彼に追従したSSだけが悪いというわけではないと思います。一般ドイツ人の多くが程度の差こそあれヒトラーのようにユダヤ人に対する偏見を持っていたのも、ナチスを支持した理由のひとつでしょう。それもドイツ人に限ったことではなく、多くのヨーロッパ諸国が持っていて、英国やフランスなどもそうです。ユダヤ人に対する偏見は、特別ドイツ人だけが持っていたわけではありません。実際ソ連でも迫害されています。歴史はドイツ人、それもナチス単独の悪行とされていますが、ホロコーストの温床はどこの国でもあったということを忘れてはいけないと思います。得体の知れないものへの恐怖は、確かに我々の持つ北朝鮮へのイメージにも繋がると思います。ですが神ならぬ人間でも歴史から教訓を学び取ることはできます。我々は二度とあのような惨劇は起こさないことでしょう。ですが同時に北朝鮮のような国も歴史から教訓を学び取るべきでしょう。得体の知れないものへの恐怖は、お互いを知ることによってのみ解消されます。我々がどれだけ知ろうとしても、彼の方で学ぶ態度を取らなければ、悲劇は起こりうるかもしれません。北朝鮮こそ我々を得体の知れないもの、いやむしろ敵視すべき侵略者とみなしているかもしれません。
 教訓は敗者の側が勝者の側よりも多くを学ぶものです。敗者である我々の言うことはあまり耳を傾けてはくれないでしょうが、お互いを知るための努力はしないといけませんね。


4892 [4885] なし
Re:補足:漠然とした嫌悪感
k-mine(01/2/21 13:09)

> 私は北朝鮮という国家そのものより、殆ど何も知らない国に対し漠然と
> した不安を持っているという事実のほうに恐れを感じます。それは、
> ナチス・ドイツにおいてユダヤ人に対する「漠然とした嫌悪感」と
> つながるものを持っているのではないでしょうか?
>
 武装親衛隊であれ、国防軍であれまた、米軍であれ英軍であれ戦争である以上どの国軍も残虐行為と無縁である軍隊など存在しません。確かに、武装親衛隊は純粋な戦闘部隊と考えるのがほぼ正しいとは思います。しかしだからといってユダヤ人に「彼らは無実である」などとは我々が言える筈もありません。
 原潜衝突事故にしても、言ってみれば「速度違反の前方不注意による過失事故」な訳ですが、だからと言って犠牲者の家族に「わざとじゃない。アクシデントなんだ」と言って彼らは納得できるでしょうか。
 北朝鮮に対して我々が不安感を持つのは、「知りたくても知らされない」為によるものと言えるでしょう。生物というものは未知のものに対し警戒する本能を持っています。
 大切なのは「知ろうとすること」だと思います。知らないことが誤解を生み、やがて争いにつながります。
 例えば、軍事知識に無知な日本人が軍人に対しどれだけの誤解を持っているでしょう。軍人=戦争好き=狂人、と考える人のいかに多いことか。
 知ることで全てが解決するほど世の中甘くはないですが、よく知りもしないのに偉そうなことを言う愚は避けたいものです。


4927 [4878] [4934] [4938] [4939]
Re:武装親衛隊擁護説/悪役説について
かすた(01/2/22 22:14)

皆さん、申し訳ないです。議題についてきっちり説明するのを怠っていました。
「擲弾兵」や「電撃戦」で述べられている主張とは、「武装SSも1つの軍事集団であり、ホロコーストやその他の加虐行為を行った一般SSやSD(保安隊)とは違うものだ、国防軍と比べてあまりに差別的なこの扱いを何とかしてくれ」という感じのものです。
こうした活動に対する反論として、講談社の「武装SS」ではいくつかの残虐行為をあげると共に、武装SSの母体が強制収容所の監視に当たった「されこうべ」であること、第1SS師団長だったゼップ・ディトリッヒが元収容所所長だったことをあげ、「武装SS戦友会」の主張が事実の隠蔽に過ぎずないと糾弾しています。
「擲弾兵」や「電撃戦」はわりと有名な本だと思っていたので、省略してしまいました。申し訳ございません。
で、本当のところはどちらの意見が正しいのでしょうか、とQ&Aに書こうかと思いましたが、色々見方もあることですし、議論っぽくなりそうなのでこちらに投稿したしだいです。


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[投稿者削除]
Edwerd(01/2/23 03:38)

投稿者によって削除されました。(01/2/23 03:38)


4937 [4934] なし
[投稿者削除]
Edwerd(01/2/23 03:47)

投稿者によって削除されました。(01/2/23 03:47)


4938 [4927] なし
Re[2]:武装親衛隊擁護説/悪役説について
Edwerd(01/2/23 03:51)

>>「武装SSも1つの軍事集団であり、ホロコーストやその他の加虐行為を行った一般SSやSD(保安隊)とは違うものだ、国防軍と比べてあまりに差別的なこの扱いを何とかしてくれ」という感じのものです。
>> こうした活動に対する反論として、講談社の「武装SS」ではいくつかの残虐行為をあげると共に、武装SSの母体が強制収容所の監視に当たった「されこうべ」であること、第1SS師団長だったゼップ・ディトリッヒが元収容所所長だったことをあげ、「武装SS戦友会」の主張が事実の隠蔽に過ぎずないと糾弾しています。
>>
SSと名の付く師団は全部で40近くあったそうですが、私は大戦後期になって編制された部隊も含め、その全てが政治的目的に沿った性格のものであったとは当然、考えられないと思う。SS長官であったヒムラーは、ゲーリングやゲッペルス、古くはSA(突撃隊)のレームといったライバルたちとの権力闘争に勝つために、ヒトラーの私的な警護隊に過ぎなかったSSを拡大し続けて、終には国防軍と同等の規模の部隊を備える「武装SS」持つに至った。しかし当初は国防軍の将官達から多少胡散臭い目で見られていたこの「武装SS」も、「攻撃には使えるが防御戦には不適」とか「損害を比較的多く出す傾向にある」など色々言われつつ、四つ目の軍隊として国防軍に協力し、純軍事的な戦闘組織としての地位を築いた事は確かだと思う。中には他の軍から引っ張られてSSに在籍していただけなのに、戦後は周囲からの密告や復習を恐れて隠れ住む生活を余儀なくされていた元隊員達も多いと思う。オーストリアの元大統領で、国連事務総長でもあったワルトハイム氏が、若い頃にユーゴスラビアで収容所の所長であった事を暴露されて攻撃された事があったが、これは氷山の一角に過ぎず、彼のように戦勝国側の一方的なレッテル張りの犠牲になって「脛に傷をもつ」身になってしまった人々は多いと思う。彼らは死ぬまで本当の前歴をひた隠しにしながら秘密を墓場まで持って行くのだろうし、戦争のもう一つ犠牲者たちであるとも思う。
また、ヒトラーに対する一方的な見方に基づく歪曲された伝聞・伝説などを看破して、戦後一貫して真実として語られ教科書などで教えている事実に相反する、新しい見方を唱える歴史家たちが近年垣間見られているが、この様なテーマは戦後間もない時期に広められた戦勝国側からだけの情報だけでなく、時を経て語られる敗戦国側からの情報を含めた双方からの立場で眺めた視点を持って観なければ、真実は永久に闇の中だと思う。また、戦後から続いているこの様なテーマを話題にする事さえはばかれる様な風潮は、日本人の間に定着したしまった一方的な軍事アレルギー以上に危険視しなければならない事だと思うし、こうしたテーマから目を反らさずに議論する事は非常に大事な事だと思う。
思えば、小学6年の時に担任だった女性の先生が、ソ連の突然のアフガン侵攻に際して(子供の目から見ても)子供じみた稚拙で単純な感情論を振り回していたが(そういう話題を子供に投げかけると言う意味では、今思い出しても変わった先生であったが…)、私が「アメリカが介入したベトナム戦争とどう違うのか?」と言う様な意地悪い質問をした途端、物凄い形相で睨み付けられたのを思い出せる。
また、ホロコーストに関しては、私のHP(やっぱりシネマ http://www.h2.dion.ne.jp/~yacinema/ )の「シンドラーのリスト(ドラマ)」のレビューで詳しく述べていますので、よろしければ覗いて見てください。
かしこ


4939 [4927] なし
Re[2]:武装親衛隊擁護説/悪役説について
バトゥ(01/2/23 04:10)


> で、本当のところはどちらの意見が正しいのでしょうか、
 
武装SSに限らずドイツ軍全体が、(特に東部戦線で)極めて大規模な戦争犯罪を起こした事は事実です。
 独ソ戦に臨んでのドイツ軍の戦争遂行方針は、目的である東方生存圏の確立・「ユダヤ的」共産主義への嫌悪・スラヴ人は劣等人種である、といったナチスイデオロギーによって極めて過酷な物でした(記憶モードですが、特別部隊による後方掃討、捕虜の扱いは劣悪、資源は略奪)。
 このような方針を受けてマンシュタイン、ライヘナウなどといった国防軍の大物も、後方掃討の命令を出しているのは『武装SS』にも書かれているとおりです。
 グデーリアンの『電撃戦』や、マンシュタインの『失われた勝利』にでてくる弁解がましい記述はこのような行為の裏返しでしょう。
 ドイツの占領政策については『武装SS』の巻末にも載っている、永岑三千輝『ドイツ第三帝国のソ連占領政策と民衆』同文館出版が詳しかったです。


FlasH BBS Pro v1.41 [Shigeto Nakazawa]