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カンタニャック(00/10/3 20:52)
まず陸戦について イタリアが中立を守ってもそれほどドイツ地上軍の兵力が節約できるとも思えません。 アフリカ戦線がなくなれば、暇になったイギリス軍が向かう対象が、ギリシア・バルカン方面となる可能性はきわめて大です(特にチャーチルの発想を考えるとなおさらです)。 バルカン半島の制圧が独ソ戦のための必要条件かについては議論の余地はありますが、強力なイギリス軍がギリシアあるいは東地中海に展開した状態では、反枢軸のバルカン国家がユーゴの他にも出てくる可能性は大です(他方ユーゴについてはイタリアの枢軸不参加がユーゴの反枢軸感情をかなり弱めるとは思いますが)。 ドイツにとっては、バルカンで戦う方が北アフリカで戦うより補給面では有利と思いますが、あまり道路状態のよくないバルカンで、ゲリラを警戒しながら、補給線を維持するのは、北アフリカへの海上輸送とは別の困難があるでしょう(ただしベンガジからトブルクといった無茶な陸上輸送がない点は確かにプラスでしょう)。でもこれはイギリス軍についても同様です。 そして、ロシアでは独ソの消耗戦、バルカンでは独英の消耗戦が続き、パットンが北アフリカのフランス植民地に上陸して「俺の戦場はどこだー」という状態になれば、おそかれはやかれイタリアは連合国側で参戦します(と断言しちゃおう。史実よりは少し遅いかも知れませんが)。 この場合ドイツ軍はイタリアに駐屯していませんから、ドイツがイタリア中部までを占領するチャンスはなく、チロルや南フランスで戦闘が始まるはずです。まあドイツ軍もそのころには息切れしてますから、戦線が膠着する可能性大ですが、イタリア国境地帯から南フランスに第二次ポエニ戦争の蘊蓄を傾けながら侵攻するパットンは一寸面倒でしょう(それとも、イギリス軍と呼応してバルカン打通作戦となるか)。
つぎに海戦について イタリア海軍はfleet in being としては、十分にイギリス海軍を苦しめています。イタリアの参戦がなければ地中海のイギリス艦艇の半分程度が大西洋に向けられたでしょう。ドイツの水上艦艇・Uボートの活動はそれだけ難しくなります。
つづいて空戦について ギリシア・バルカンにイギリスが拠点を築くとルーマニアの石油施設への爆撃が(これは結構ききそう)、イタリア全土が早い時期に連合国になるとドイツ本土南部への戦略爆撃が、いずれも大分楽になるでしょう。
政治的影響について 政治的には、日独伊三国同盟の締結にに一定の影響が生じるかも知れません。 たしかに40年6月の段階でイタリアが参戦しなくても独伊同盟に変化はないでしょうし、日本側が三国同盟に乗り気になった理由はフランスの崩壊でイタリアの参戦ではありません。しかし、イタリアの中立が三国同盟の参戦義務などに微妙な変化を与える可能性はあります。
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