ふと思う:「爆撃機無用論」(←極論) : たかつかさ(00/6/25 03:11)
制空権確保は重爆の仕事だった : BUN(00/6/25 13:18)
Re:ふと思う:「爆撃機無用論」(←極論) : takukou(00/6/25 17:13)
[投稿者削除] : 巨人ファン(00/8/30 00:16)
Re:ふと思う:「爆撃機無用論」(←極論) : 巨人ファン(00/8/30 00:24)
戦略爆撃とは贅沢な戦争手段では? : ささき(00/8/30 10:21)
Re:戦略爆撃とは贅沢な戦争手段では? : バウアー中尉(00/9/2 14:34)
確かに効率悪い方法だが : アリエフ(00/9/3 01:02)
Re:戦略爆撃とは贅沢な戦争手段では? : 巨人ファン(00/9/5 00:07)
風船爆弾とICBM : ささき(00/9/5 02:04)


3921 Root [3922] [3923] [4029] [4030]
ふと思う:「爆撃機無用論」(←極論)
たかつかさ(00/6/25 03:11)

日本軍の爆撃機、特に陸軍の爆撃機には
開発・配備に見合う価値があったのでしょうか?

あるいは、戦闘機と別に開発・配備して実効を挙げる
キャパシティが陸海の航空部隊にあったのかどうか。

制空権の確保無しには有効に使えない兵器である以上、
制空権確保の兵力を優先すべきだったのではないかと
思えます。



3922 [3921] なし
制空権確保は重爆の仕事だった
BUN(00/6/25 13:18)

 戦闘機は爆撃機の代わりになり得るが、爆撃機は戦闘機にばなり得ない、ということなのですね。

 しかし、「当時の陸軍航空隊に於いて開戦直後に制空権を早期確保できる航空機は陸軍重爆撃機だった。」というのは如何でしょうか。
 陸軍重爆というか、陸軍の爆撃機の全てに対しての試作研究項目として瓦斯雨下装置の搭載が盛り込まれているのは御存知だと思いますが、こういった装備は、当時、一世風靡していたドーウェの理論の反映に他なりません。開戦と共に敵主要都市を空中よりの毒ガス攻撃で全滅させ、前線に展開した軍主力との決戦以前に敵国そのものを崩壊させるとのドーウェの理論は、主に対ソ連戦を念頭に置いていた陸軍にとっても非常に魅力的な理論に見えた様子で、あまり航空に関連が無いように思えるあの石原莞爾ですら、自らの論文中にその名を引用している程、陸軍内で広く読まれたものだと考えられます。
 開戦と同時に敵航空基地他の重要拠点に対して毒ガス攻撃を伴った奇襲攻撃を加え、敵航空兵力を地上で一気に殲滅するというドーウェ理論の戦術的縮小版が、陸軍の対ソ連航空戦に対しての基本戦術だったことは疑う余地がありません。当時の陸軍が作成した毒瓦斯防御教本にも、毒ガスの空中散布に対して多くのページが割かれていますし、毒ガス開発に於いて世界に大きく遅れていた日本ではあるものの、第一次世界大戦の戦訓からロシアの地上軍に対しては毒ガス攻撃は今だ有効、との結論を得ていたらしいことも、毒ガス関連の資料によって明らかにされています。

 と、言う訳で、陸軍航空隊は、少なくとも対ソ連全面戦争に於いては、友軍戦闘機を飛び立たせて、空中で一機ずつ丁寧に敵機を撃墜しながらやがて制空権を手中にする、といった迂遠な手法を採るつもりは最初から無かったのです。陸軍の軽爆撃機でも、偏執的に小型爆弾搭載指向なのもまた、こうした敵航空基地への奇襲爆撃を企図してのことでしょう。
 こうした戦術思想の下では高速重爆撃機が何としても重要で、だからこその九七重爆であり百式重爆であったのです。

 また、陸軍の航空兵器開発方針が、化学戦能力に長けた連合軍相手の大東亜戦争勃発後に容易に一変し、海軍が終戦まで陸攻に未練を残したのと対照的に、陸軍はあっさりと「戦闘機超重点主義」を唱えたのはこうした背景があってのことと推論できます。
 大東亜戦争中の陸軍の発想は、たかつかささんの主張される所と、程度の差はあれ、ほぼ同様の思考に基づくものでしょう。爆戦は海軍の専売特許ではなく、もともと陸軍が先鞭をつけた戦術なのです。
 陸軍重爆は本来の役目が異色かつ明確で、状況が変化した際、その要不要が明確に判断できる兵器だったということでしょう。


3923 [3921] なし
Re:ふと思う:「爆撃機無用論」(←極論)
takukou(00/6/25 17:13)

師匠が既に書かれていますが、陸軍の爆撃機(重
爆、軽爆、襲撃機)の一義的な任務は「主として
敵飛行場に在る航空機(ならびに諸施設、人
員)」を破壊するためであり。その「敵」は極東
ソ連軍であることは言うまでもありません。

ご存じであるとは思いますが、当時の陸軍首脳は
少数の我が航空機で多数のソ連空軍を撃滅するには飛行場を奇襲あるいは要すれば強襲するのが最
も効果的であると考えていたようで。その思想の
根元には、沿海州に展開したソ連爆撃機での我が
領地(本土を含む)への爆撃をかなり警戒していた節があります。

結果的に有効に使えなかった、という点では艦隊
決戦思想の元に建造された戦艦等を彷彿とさせる
ところではありますが、当時としては精一杯考え
ていた事ではありますでしょうし。戦争の形態が
予測出来ればまた違った機体が生まれていた可能性も無きにしもあらず、と思います。


4029 [3921] なし
[投稿者削除]
巨人ファン(00/8/30 00:16)

投稿者によって削除されました。(00/8/30 00:16)


4030 [3921] [4032]
Re:ふと思う:「爆撃機無用論」(←極論)
巨人ファン(00/8/30 00:24)

> 日本軍の爆撃機、特に陸軍の爆撃機には
> 開発・配備に見合う価値があったのでしょうか?

日本もB29並みの爆撃機がつくれりゃ
こんなこと言われなくてすんだのになぁ〜。


4032 [4030] [4035] [4036] [4041]
戦略爆撃とは贅沢な戦争手段では?
ささき(00/8/30 10:21)

大型爆撃機の大編隊による戦略爆撃とは、実は極めて効率の悪い
戦争手段ではないでしょうか。あれだけの大型機を多数製造し、
一機あたり10人近い(しかも無線・航法・爆撃・銃撃など
それぞれの分野の専門教育が必要な)乗員を養成し、滑走路を
敷設し、燃料・弾薬・予備部品などを揃えるのに必要な資金
資材は膨大です。それだけの労力を果たしても爆撃機が常に
目標を捕らえるとは限りませんし(航法ミスや悪天候で爆撃行が
失敗する率は非常に高い)、護衛戦闘機を付けても被害がゼロで
済むわけではありません(しかも護衛戦闘機の製造・整備・乗員
育成のコストが必要だ!)。

確かにドイツや日本の工業地帯は戦略爆撃の洗礼を受けて大きな
被害を受けましたが、その被害は戦略爆撃機運用に投じられた
労力に見合うものだったのでしょうか?ドイツにおいても日本に
おいても生産力低下に致命打を与えたのはむしろ海上封鎖による
資材資源の枯渇であり、生産設備の破壊は二次的な要因に過ぎ
なかったように思えます。

一般市民を対象にした無差別爆撃による戦意低下の効果はまた
別かも知れませんが…。極論すれば、女子供や老人を焼き殺す
行為が果たして実際にその国の戦争継続能力を低下させるもの
なのでしょうか。ドレスデン・ハンブルグにせよ東京や大阪の
無差別焼夷弾爆撃にせよ、それが行われた時点において既に
戦争の勝敗はあらかた決定していたように思えます。

戦略爆撃という行為は、強大な生産力を戦火の及ばない後方に
擁して始めて実現できる、非常に贅沢な戦争手段なのではない
でしょうか。その効果は大きいかも知れませんが、それに必要な
コストも膨大であり、必ずしも効率のよい戦争手段ではないと
思います。


4035 [4032] なし
Re:戦略爆撃とは贅沢な戦争手段では?
バウアー中尉(00/9/2 14:34)

> 大型爆撃機の大編隊による戦略爆撃とは、実は極めて効率の悪い
> 戦争手段ではないでしょうか。あれだけの大型機を多数製造し、
> 一機あたり10人近い(しかも無線・航法・爆撃・銃撃など
> それぞれの分野の専門教育が必要な)乗員を養成し、滑走路を
> 敷設し、燃料・弾薬・予備部品などを揃えるのに必要な資金
> 資材は膨大です。それだけの労力を果たしても爆撃機が常に
> 目標を捕らえるとは限りませんし(航法ミスや悪天候で爆撃行が
> 失敗する率は非常に高い)、護衛戦闘機を付けても被害がゼロで
> 済むわけではありません(しかも護衛戦闘機の製造・整備・乗員
> 育成のコストが必要だ!)。
>
> 確かにドイツや日本の工業地帯は戦略爆撃の洗礼を受けて大きな
> 被害を受けましたが、その被害は戦略爆撃機運用に投じられた
> 労力に見合うものだったのでしょうか?ドイツにおいても日本に
> おいても生産力低下に致命打を与えたのはむしろ海上封鎖による
> 資材資源の枯渇であり、生産設備の破壊は二次的な要因に過ぎ
> なかったように思えます。
>
> 一般市民を対象にした無差別爆撃による戦意低下の効果はまた
> 別かも知れませんが…。極論すれば、女子供や老人を焼き殺す
> 行為が果たして実際にその国の戦争継続能力を低下させるもの
> なのでしょうか。ドレスデン・ハンブルグにせよ東京や大阪の
> 無差別焼夷弾爆撃にせよ、それが行われた時点において既に
> 戦争の勝敗はあらかた決定していたように思えます。
>
> 戦略爆撃という行為は、強大な生産力を戦火の及ばない後方に
> 擁して始めて実現できる、非常に贅沢な戦争手段なのではない
> でしょうか。その効果は大きいかも知れませんが、それに必要な
> コストも膨大であり、必ずしも効率のよい戦争手段ではないと
> 思います。

私も、ことWW2の通常兵器による戦略爆撃については、効果について大きな疑問があります。
なにせ対ドイツ戦で失ったB17,B24は、8000機以上で、さらに戦死者は、3万人以上だったと記憶します。上げた効果はこれに見合わないものとおもわれます。またこんなことが力押しでできるのは
アメリカのみであったのではないでしょうか。
対日戦においても、機雷と潜水艦による封鎖の方がずっと効いたと思います。

やはり戦後、核兵器の使用を前提とするならば、確かに意味は大きいと思いますが。何か混同して
語られているような気がしてなりません。

少なくとも当時の技術では、都市や工業地帯の通常爆撃のみでは、相手の戦争継続能力を粉砕することはできず、また力押しでやったとしても、はっきり言って効率はよくないと思います。

戦後も書物にしても、勝った側の関係者は、自分たちの組織を守るためにいいことしかいわないんじゃないでしょうか。なんせお役人だもんね。


4036 [4032] なし
確かに効率悪い方法だが
アリエフ(00/9/3 01:02)

> 戦略爆撃という行為は、強大な生産力を戦火の及ばない後方に
> 擁して始めて実現できる、非常に贅沢な戦争手段なのではない
> でしょうか。その効果は大きいかも知れませんが、それに必要な
> コストも膨大であり、必ずしも効率のよい戦争手段ではないと
> 思います。
確かに当時の戦略爆撃は効率悪い方法だったと思いますが、陸軍部隊や海軍艦隊が相手国の中心部又は重要拠点に攻撃を仕掛けるようになる以前に、爆撃機が手っ取り早く侵入し爆撃を含めた示威を行うことにより、相手国政府及び軍部に対する同国民の信頼感を損なわせる効果、及び自国の戦意高揚が期待できると、政治家や軍首脳が考えていたからではないでしょうか。
ノルマンディ上陸以前、B17があれだけの犠牲を出しながらもドイツ本土空襲を継続したのは、重要拠点の破壊もありますが相手国の中枢部に対する打撃を少しでも与えることが必要と考えていたからでは。
それに相手国にとって、戦略・生産拠点の被害は比較的軽くても、それを防備するための防空戦力を強化しなくてはならない。中枢部にあり敵の攻撃を受けることが無いと思っていた所がそうでなくなるわけだから、その国は前線において同程度の攻撃を受ける場合よりも過剰に反応せざるを得ず、前線における作戦をいくらか犠牲にしてでも中枢部の防空強化に資源を投入せざるを得ない。
破壊効率よりも力の誇示を狙ったものと考えるのは如何でしょうか?


4041 [4032] [4043]
Re:戦略爆撃とは贅沢な戦争手段では?
巨人ファン(00/9/5 00:07)

> 大型爆撃機の大編隊による戦略爆撃とは、実は極めて効率の悪い
> 戦争手段ではないでしょうか。あれだけの大型機を多数製造し、

むむっ!
それではやはり風船爆弾ですか?


4043 [4041] なし
風船爆弾とICBM
ささき(00/9/5 02:04)

> むむっ!
> それではやはり風船爆弾ですか?
ある意味、そうでしょう。

なにせ精度は猛烈に悪いですが、それゆえ飛来
地点が予測できず、しかも当時のレーダーでは
補足できないため、事実上迎撃不能な戦略兵器
なのです。

米政府は風船爆弾の存在が一般市民にパニックを
引き起こすことを恐れ、マスコミに対し厳重な
緘口令を敷いています。
また日本政府に対し「もし生物・化学兵器が使用
された場合、米軍は如何なる報復手段の使用も
辞さない」と強調しています。

費用対効果という見地から見ればこれほど「効率的」
で、かつ「純戦略的」な兵器も珍しいでしょう。

風船爆弾に生物・化学弾頭を仕込むことは検討
されたようですが、米軍の無差別報復を恐れて
中止されたようです(軍部にもちゃんと理性は
あったのです)。

しかし、もし最初の一発で相手の報復能力を削ぐ
ほどの被害を与え得るなら、報復を恐れる必要は
ありません。この思想はのちの核弾頭ICBMに
つながってゆくと思います。

ボタン一つで敵国を焦土と化し国民を全滅
させ得る兵器、これこそ即ち究極の兵器です。
しかし仮想敵国も同じ兵器を持っていれば、
そして自動報復システムを持っていれば、
どちらが先にボタンを押しても、その先にある
ものは共倒れだけです。

究極の兵器とは即ち、敵味方無関係に人間を
全滅させる兵器でしかなかったのです。