BUN(00/3/2 12:12)
期待していた渡辺洋二「零戦戦記」進撃編をさっそく読みました。
以下、感想を少々。
1.零戦の航続距離は戦訓からではなく航空本部の性能標準により計画されており、母艦上でのアウトレンジ戦法を背景としている等、通説を打ち破る新しい見解が披露されているのは興味深い。
2.参考資料に対して一定の基準を明言している。
3.全般的に冷静な筆致でありながら「ここで二機墜とされたのは痛い」等、文章随所に「零戦への愛」が感じられる。
以上の如き美点多く認めらるるも、疑問、不満点も少々あり。
1.「戦記」であるために関係者達の行動、発言に重きを置くのは理解できるが、できれば人物より組織、運用に、機体そのものより開発思想に重点を置いてくれると、今まであまり注目されていない切り口でもあり、有り難かった。
2.敵機に対しての考察が、戦後の日本側の視点中心で全般的に「甘い」印象がある。米軍機も零戦と同じく偶然の産物ではなく、ひとつの思想に基づき計画され開発されたのであるから、米側の資料をもっと活用すべきではなかったか。 たとえば12.7mmは好評な銃ではあったが、6挺装備には賛否両論があったはず。
3.重戦、軽戦といった日本のみで、しかもほんの一時期の陸軍でしか使用していず、かつ誤解されがちな概念を海軍機や外国機の批評に用いるのは不適当な気がする。
4.偶然(笑)、A&Qにも取り上げられた「百発百中の砲 一門」のたとえが、何とこんなところにベタな悪例そのものとして出現している。
以上、まず一読した段階での愛憎半ばする感想でした。 皆様は如何でしたか?
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