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アリエフ(99/8/6 22:02)
200X年〇月×日、自衛隊は日本海上をわが国に向かって進みつつある艦船の集 団を発見、直ちに海上、航空自衛隊が出動。 日本海上の護衛艦A内で 「艦長、国籍不明の艦船隊を発見しました。上陸部隊を搭載しているようです。軍 用機が上空警戒に当たっていますが、この程度の規模なら我が護衛艦隊と航空自衛 隊の攻撃によって十分撃退できそうです。攻撃しましょう。」 「待て、向こうはまだ我が方に攻撃をかけていないぞ。それに、ここはまだ公海上 だ。相手に警告するだけにしろ」 数十分後、国籍不明の艦船隊、日本領海12海里内に進入 「艦長、向こうは立ち止まる気配がありません。早く攻撃しないと」 「威嚇射撃しろ」 威嚇射撃をするが、まだ立ち止まらない。 「艦長、あと数分で海岸に到着してしまいます。攻撃命令を」 「スクリューを機銃で正確に狙い進行を止めろ。」 「こんな荒れた海の中で正確に狙えるわけがありません。対艦ミサイルを使用しま しょう」 「相手の攻撃がないのにミサイルで艦全体を破壊するようなことになったら過剰防 衛だから、できるだけそうならないようにせよと言うのが上からの命令だ。今はで きん。」 「そ、そんな」 その直後、国籍不明艦船からミサイルが飛来、護衛艦Aは大破した。 (もし、この場合、国籍不明船が戦術核ミサイルを発射して周囲の自衛艦隊を壊滅 させてしまったとしたら) こんな馬鹿馬鹿しいことが起こるかもしれないというのが、現在の自衛隊の立場で はないでしょうか。前回、有事法制の不備と書いたがそれだけではない。専守防衛 原則の下、自衛隊は相手から殴られるか、非常に身の危険を現実に感じるようでな いとこちらから攻撃できない。相手は左手にピストルを持ちそれを使う可能性もあ るが右手で素手で殴り掛かってきた場合、こちらはナイフを持っていたとしてもそ れをすぐに使うことを許されず素手で対抗するしかない(相手のピストルを払い落 とせりゃいいんですがね)ような立場、この問題をどうするか。装備や戦術の問題 だけでなく、現場自衛官にどれくらいの裁量が与えられているのか、また与えられ るべきか、ということも考えないと。
上のようなケースで上陸後、補給路を完全に切断し、孤立した少数の敵部隊がおと なしく降参してくれるお利口さんだったらよいのですが、ガソリンスタンドから軽 油を強奪して戦車を動かし略奪に走る後先考えない馬鹿連中又は凶信者だったとし たら。戦車なくとも装輪装甲車や歩兵の対戦車兵器による攻撃で敵の装甲車両を破 壊することは不可能ではない。しかし、戦車に比べて装甲車両を破壊するのに、余 計な時間、労力がかかるとしたら。また装甲がより薄い車両に乗せられ、それだけ 相手の攻撃にさらされる危険が増大するが、戦場の兵士の心理としては、なるべく 早く危険任務を終えて帰りたい、もっと安全で攻撃力の高い車両があるならばそち らを使いたいと思うのでは。みんななるべく安全かつ快適な環境の下で仕事したい でしょう。 空爆すりゃいいじゃないか、という声が聞こえて来そうですが、とかく空爆は金が かかる。 一発十億円の陸上発射精密誘導ミサイルで長距離攻撃すればこちらは非常に安全で しょうが、数台の戦車を破壊するのにいったい何十億円かかるのやら。予算がなく なってしまう。 要するに現場の運用者の立場をも考えないと、戦車が必要かどうかという議論は不 毛の問題になると思うのですよ。かつてのPKO問題での国会論議のように現場サ イドからの要望を聞かず、机上の議論になるのは困るんですがね。
ところで、今日(8月6日)の朝日新聞朝刊に、かつて航空自衛隊のF4から空中 給油装置と自動爆撃装置を取り外させた張本人上田哲元衆議院議員が書いていま す。兵器運用や現場の実態、事情を知ろうともせず、航続距離長いから侵略兵器だ と叫ぶ連中、こういう人間が日本の防衛論議を不毛なものにしてきたのではないで しょうか。私はこんなヤツ当選させたくない。
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