BUN(99/5/18 00:17)
日米機動部隊の最大の決戦だったマリアナ沖海戦は御存知の通り惨敗に終わっていますが、 ミッドウエーやレイテに比べ、劇的な展開が少ないせいか、あまり突っ込んだ検証が なされていないように思えます。中でも無念なのはあの「七面鳥狩り」なのですが、 それについて若干の考察を加えたく思いました。
「七面鳥狩り」はいつ、誰に対して起きたのか
海戦二日目、一九日の空戦のことと断定できる。一八日は出撃中止、二〇日は夜間攻撃のみ。 そして、第一次攻撃を行った、三航戦と一航戦の二派の攻撃隊に発生した。 敵を見ずにグアムに向かった二航戦の第二次攻撃隊の損害も加えてよいと考えられる。
疑問点 1. 各編隊とも敵機数を約40機と報告している。一方的な空戦をするには機数が 少なすぎないか?接敵できた米軍機は意外に少なかった? 2. 特に三航戦に対する米側の撃墜報告は25機(戦史叢書)であり、実際の損害より 少ないのは何故か?実際の戦果は報告を下回るはず。 3. 128機の規模で、96機の損害を出した一航戦攻撃隊は一〇五三に攻撃を 開始するまで「ほぼ全機揃っていた」との彗星隊長機の報告があり、 一一一〇の離脱まで17分しか時間がない。約40機(日本側報告なので 過大の可能性有)のF6Fの撃墜数としては無理がないか? 4. 空振りに終わった二航戦第一次攻撃隊は他編隊と同じく40機以上の敵と 空戦に入った末に帰還しているが、その損害は49機中7機でしかない。 攻撃無しの空戦のみの損害はこの程度なのではないか?
推論 1. 一方的な空戦により大損害を喫したのはグアム着陸時を奇襲された二航戦の 99艦爆と彗星の部隊のみであり、未帰還機の過半は対空砲火と編隊解散後の 帰投失敗による自爆と推定できそうである。(特に最大の損害を出した一航戦は 乱戦の中、空母を探して対空砲火の中、艦隊上空を進撃した。)
以上の点から、マリアナ沖の七面鳥狩りは米軍の「ホラ」半分の話の可能性があると 考えます。「未熟な搭乗員が次々に」といった通説より、机上の空論でしかなかった アウトレンジ戦法による長距離攻撃が損害を激増させていたことが想像できるのでは ないでしょうか。ちなみに攻撃隊全てに対する損害率は七割以下でブーゲンビルの時より 少ない、と考えることもできます。
また、奇矯な説でしたでしょうか? それはともかく、当時の未帰還搭乗員に合掌。
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