|
wild dallas(99/5/31 17:46)
少し日がたってしまいましたが『エノラゲイは撃墜できたか』という命題には大変個人的に興味が在り、参加させていただくことにしました。 『原爆機反転す』の著者で元呉鎮守府砲熕実験部弾薬課理化学班班長の若木重敏氏は、自著の中で『原爆搭載機 射程内ニ在リ』について以下のように反論しています。
>1.昼間で視界が良く..... -高度8000mの航空機に対して45度の角度で砲弾を発射すれば、その到達距離は約11,200mになる。単純に考えても時速540kmで飛ぶB-29を、11kmも離れた位置から目視で直撃弾を当てることは不可能である。弾幕については、近接信管ではなく時限信管により高度10,000m近くのB-29の進路上に弾幕を張るには、温度や気圧の変化に影響を受けない高精度の時限信管が必要だが、当時そんな技術はなかった。これは著者がその研究者であったからと断言しています。-
>2.配置されていた高角砲の性能が... -既存の高角砲では歯がたたないとB-29用として開発された五式十二・七センチ砲は、試作完了が1945年春になり、量産に間に合わず当時,対B-29用高角砲は海軍になかった。最大射高10000mを超える九八式十センチ砲をもってしても、弾塊が当たったとして,B-29にはゴミが当たったようなものである。最新鋭の対B-29用十五・五センチ砲は海軍のものではなく陸軍のものであり、終戦間際に久我山に二門装備されただけである。海軍の十五・五センチ砲は戦艦大和に積まれたものと同型で、対空射撃は可能だが高角砲としての性能は問題外。-
>3.多数(数十門)配置... -光学的測定器による距離測定の誤差(6000mの距離測定で約40mの誤差、実際にはそれ以上だった)、精度の低い時限信管、強力な防弾装備に対して微力な高射弾等の理由により、いくら多数の砲があっても当たらないばかりか、近くで炸裂するのも難しい。-
私も気持ちとしては、おとしたいと思いますが、現実的には無理だったようです。当時の高射砲専門家の間では、高度10,000m近くのB-29に対しては射撃できる状態ではない、というのが常識だったようです。ですから指揮官も射撃命令を出さなかったのでしょう。
wild dallas
|