1939年3月25日付の現用ダグラスTBDデバステーターを更新すべき次期艦攻の要求仕様に基づく機体である。
この仕様には6社から13の設計案が提出されたが、この中からヴォートとグラマンの2案が選ばれ、1940年4月8日にグラマン案がXTBF-1として2機、ヴォート案は4月22日にXTBU-1として1機の試作契約が結ばれた。
本機とTBFとはちょうどF4UとF6Fのような関係にある。
XTBU-1はR-2800-6を装備し、XTBF-1より翼面積が小さく、胴体もエンジン直径に合わせて絞り込まれており、太い胴体にR-2600-8を組み合わせたXTBF-1とは好一対をなしていた。
もっとも、兵装を機内爆弾倉に収めるという要求に従い、前部胴体の深さはあるが。
武装配置もXTBF-1と同様で、前方固定機銃1挺、背面動力銃座に1挺、腹部下面に1挺。但し、XTBF-1は前方固定銃も7.62ミリであったが、XTBU-1では12.7ミリとなっている。
搭載兵装はXTBF-1と変わらず、魚雷1本、2000lb爆弾1発、1000lb爆弾2発、1000lb爆弾1発と500lb爆弾2発、500lb爆弾4発、Mk.10機雷5基のいずれかの搭載パターンが可能であった。
試作機は1941年12月22日に初飛行し、性能面では8月に既に飛んでいたXTBF-1を大きく上回ったが、これまたF4Uと同じく初期不具合の洗い出しに手間取り、そのうちF6F、F4Uのためにダブルワスプの優先順が下げられてしまったため、生産型の発注はR-2800の量産が完全に軌道に乗った1943年9月6日となってしまう。
また、当時ヴォートはF4Uの量産でてんてこ舞いであり、TBUの量産はとてもではないが手が回りかねたので、コンソリデーテッドで移転生産を行なうことになって、型式符号はTBY-2と改められた。
更には、本機の翼折畳みはTBDと同じような上方跳ね上げ方式であり、垂直尾翼も高く、TBFよりも格納庫容積を必要としたこと、またカタパルトを使えば問題はないとはいえ、離艦性能でもTBFに劣っていたこともあり、TBF及びTBMが大量産中というのに無理に作る必要性もそれほどなかったのであろう。
それでもTBY-2は1100機が発注されたのだが、コンソリデーテッドの旧ヴァルティ工場の生産立ち上がりも遅れ、生産初号機の引渡しは1944年11月と発注から丸1年以上もかかってしまった。1945年9月までに180機が完成したが、残りの920機と改修型TBY-3の600機はキャンセルとなった。
XTBU-1からTBY-2になるにあたっては、翼内機銃(12.7ミリ2挺)の追加、右翼にAN/ASP-4レーダーの装備、HVARランチャー及び翼下兵装パイロンの標準装備、R-2800-20にエンジン換装といった変更が行なわれた。
1945年4月にはVT-97に配備を開始したが、大戦終了までに慣熟訓練が終わらず、前線に出ることはできなかった。
戦後も実戦部隊では使われず、雑用機としての使用にとどまった。
全幅 | 17.35m |
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全長 | 11.95m |
全高 | 4.72m |
翼面積 | 40.8m2 |
自重 | 5,000kg |
全備重量 | 8,386kg |
武装 | 12.7mmコルト・ブローニングM2機銃*2(胴体固定*1 翼内固定*2 後席旋回*1) 7.62mmコルト・ブローニングM2機銃*1 2000lb魚雷*1または爆弾最大2000lb 5インチHVARロケット弾*8 |
発動機 | P&W R-2800-20 ダブルワスプ 空冷星型18気筒 2000馬力 |
最高速度 | 492km/h(3,970m) |
巡航速度 | 271km/h |
実用上昇限度 | 8,300m |
海面上昇率 | 424m/min |
航続距離 | 2,416km(雷装時) |
乗員 | 3名 |