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カーチスSCシーホーク

 1942年6月に出された新艦載観測機の要求に応えて開発された機体である。
 本来、この時期に新型機が必要となる予定ではなかったはずなのである。
 だが、艦載水偵SOCの後継機たるSO3Cは予想外の失敗作になってしまい、時局柄むりやり実戦化を推し進めつつあるが、とても先が見えない。
 さらに、現用の艦載水観OS2Uは、どうやら日本軍の飛行機に対して性能が不充分であるようだ。
 そんなこんなで新型機なのであるが、これに応えてカーチス設計陣は思い切った発想の転換を図る。

 これまで複座が常識であった艦載観測機を、軽量化のために単座とし、エンジン出力もこれまでにない1000馬力クラス(OS2Uの二倍強!)に一挙にアップして、飛行性能の飛躍的改善を狙った。
 武装も強化され、翼内に12.7ミリ固定機銃2挺を備える。
 試作機XSC-1は非常に完成度が高く、生産型との差はカーチス側ではほとんどなかった(フロート側のエド社の方でフロート内爆弾倉を追加しているが)ほどであり、示した性能も卓抜で、本機は末期症状を呈していた1940年代中盤以降のカーチス技術陣最後の光芒といっても過言ではあるまい(笑)
 単座であることとあわせて一見して水上戦闘機かと思わせるような外見とスペックとを備えるが、あくまでも高性能な観測機であり、零式水観とは違って戦闘機の任務を補完する目的は与えられていない。
 ただ、ヤル気になればかなりの空戦性能を持っていることも確かで、年代的に対決の機会はなかったものの二式水戦とは零戦vsF4Fに近い様相になりそうである。  但し、速度性能は発生高度から見てかなり割り引く必要があるように思える。同時期の日本の水上機と比べれば、まだ劣っているとも見ることができる。
 単座機であるが、コクピット直後の胴体内に寝棚が設けてあり、アンビュランス任務に使うこともできる。
 機体は陸上機として完成し、後にフロートを海軍の手で取付けるという米海軍水上機の標準的な方式で生産された。
 陸上用の脚はエンジンカウリング後方の胴体に取付けられるが、SO3Cで轍間距離の小ささに泣いた経験から、途中で折れ曲がった独特の踏ん張りのきいた(笑)形状になっている。
 フロートはエド社製で、特に空気抵抗の少ない形状となっている。特徴的なのは主フロート内に爆弾倉を持っていることで、206lb(93kg)爆弾2発を収容できる。もっとも、爆弾を収容することはほとんどなく、361l入りの増加燃料タンクを装備することが多かったようではあるが。
 また、単座機での弾着観測や索敵飛行に備えて自動操縦装置が装備されていたが不具合を生じ、接続を切って使用され、ただのデッドウェイトになってしまった。わざわざ外して降ろすことはしなかったようである。
 最大速度発生高度からしても、観測機としての運用性にはやや疑問なしとしない。与圧無しのコクピットで高高度から単座で操縦しつつ弾着観測ができるものなのだろうか?
 本来の用法としては、一般に中低空での性能が高い艦上戦闘機の盲点を衝いて高高度を高速で飛ぶことで迎撃をかわしつつ、自動操縦で安定飛行させてパイロットは観測に集中というものだったのであろうけれども。

 原型1号機は1944年2月16日に初飛行し、完成度の高さとあいまって、既に1943年中に発注済であったSC-1生産型の量産へと速やかに移行した。
 SC-1は一次発注500機に加え、二次発注450機のうち66機が生産された。
 生産機の納入は1944年10月からとなり、生産初号機は竣工したてのCB-2グアム搭載機として配備された。
 改良型のSC-2は、エンジンをR1820-76(1425馬力)に強化し、カウリング形状を改め、キャノピーを枠なしのバブルタイプとし、寝棚をやめてジャンプシートにして側面に小窓を設け単座機半(笑)とし、垂直尾翼の高さを増して方向舵をさらに下方にも延長、無線アンテナ位置の変更といったかなり大規模な改良が盛り込まれていた。
 しかし、SC-2は1945年6月に450機が発注されたものの、10機を完成納入した時点で戦争が終結し、残りは全てキャンセルされてしまった。
 海上航空戦を伴う状況下で使う観測機でなければこれほどの高性能は必要なく、日本海軍航空隊が斃れた時点で全く必要のない機体となってしまったのである。

 なんというか、飛行機自体としての出来は悪くなかったかもしれないが、やはり単座観測機というコンセプトそのものに少々無理はあったかもしれない。特に自動操縦装置の失敗は、本機の存在意義そのものにつながりかねない一大事だったのかもしれない。
 結局、カーチス最後の傑作機ともいえる本機もカーチスの凋落を防ぎ止めることは出来なかった。

(文章:まなかじ)

SC-2
SC-2です

諸元(SC-1)
全幅12.5m
全長11.1m
全高5.5m
翼面積26.01m2
自重2,867kg
全備重量4,082kg
武装コルト・ブローニングM2・12.7mm機銃*2 147kg爆弾*2 93kg爆弾*2
発動機ライトR-1820-62サイクロン 空冷星型9気筒 1,350馬力
最高速度504km/h(8,717m)
巡航速度210km/h
実用上昇限度11,370m
航続距離1,006km
乗員1

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