ノースロップ社がこだわり続けた全翼機の内の一つで、かの巨人機B−36と同じ目的で 試作された機体。 1941年、アメリカ陸軍は4.5トンの爆弾を積んでヨーロッパまで無着陸で往復可能 な長距離爆撃機、いわゆる「テン・テン・ボマー」(テンサウザンド・ポンドの爆弾を積んで テンサウザンド・マイルを飛べる爆撃機の意)の要求仕様を4社に提示しました。その なかからノースロップ案とコンベア案が採用され試作契約が結ばれました。 ノースロップ案は当時としては非常に進歩的な「全翼機」形式で、これにより優れた揚抗比 を実現して高性能を達成することを主眼に置いていました。 1号機は1946年に完成しましたが、長い延長軸で駆動する巨大な2重反転プロペラの振動 問題が解決できず、初飛行は同年6月25日になりました。また、今までの機体とは全く異なる 形状のため操縦系統も従来とは相当異なった方式とならざる得ず、そのため操縦性、安定性に 問題を抱えていました。 その後、テン・テン・ボマーにはコンベア社のB−36が採用されることが濃厚となったため、 本機はジェットエンジンを搭載したYB−49に改設計されることになりました。また、既存の 機体もプロペラ関連のトラブルが絶えなかっため、後にさらに大直径の4枚羽根のものに換装 しましたが、性能の低下が甚だしく不採用となりました。 XB−35,YB−49、2種の機体をテストした結果、アメリカ陸軍は全翼機が飛躍的に 性能向上を果たせる形態であるという確信を高め、特にジェット型に期待をかけましたが、おり からの国防費の削減と開発期間の遅延によりB−36にその座を奪われ量産されることはありま せんでした。 |
諸元 | XB−35 |
全幅(m) | 52.46 |
全長(m) | 16.17 |
全高(m) | 6.10 |
主翼面積(u) | 375.8 |
空虚重量(s) | 40,620 |
全備重量(s) | 73,480 |
過荷重量(s) | 93,800 |
爆弾搭載量(s) | 18,700 |
エンジン |
P&W R−4360 空冷4列星型28気筒 3000馬力×4 |
最大速度 | 630q/h |
巡航速度 | 386q/h |
実用上昇限度 | 12,200m |
航続距離 | 16,000q |