スピットファイア
Spitfire


60系マーリン搭載型

 高高度爆撃機に対抗するため、2段過給器付の60/70系マーリンを搭載したMk.7およびその簡略型。
 胴体が30センチ延長された他、エンジンの変更に伴い、プロペラは定速式4翅となり、排気管も片側6本となった。また、ラジエターが両下面に装備されたため、滑油冷却器は後冷却器とともに、ラジエターダクト内に装備された。
Mk.16の後期生産型はバブルキャノピー付となっている。

 ドイツが高高度爆撃機を完成させなかったためMk.7は無意味なものとなる。Mk.8も生産がはかどらず、Mk.5に最低限の変更を施したMk.9が主力生産型となった。

 これら60系搭載型はきわめて性能が高く、Fw190Aを凌駕していたと言われている。
 Mk.8は主に地中海・中東・アジア太平洋に送られた。東南アジアでは一式戦「隼」を圧倒し、100式司偵も本機の前では安全ではなかったという。

偵察型
 PR.Mk.10は与圧キャビンを装備したMk.7をベースにした高高度写真偵察機で、機首下面に大型潤滑油タンクを内臓しており、この部分が大きく膨らんでいる。
 PR.Mk.11はMk.9をベースにしたもので、変更内容はMk.10とまったく同じである。

型番号 エンジン
(R.R.マーリン)
主翼 武装 尾翼 尾輪 生産数 備考
Mk.7 F.用:61/63A
HF.用:71
延長 C 標準
引込み 140 F./HF.
与圧キャビン装備
60系エンジンに対応し、構造を補強
Mk.8 F.用:61/63
LF.用:66
HF.用:70
標準/切断/延長 B/C/E 標準
引込み 1658 F./LF./HF.
Mk.7の汎用型
Mk.9 F.用:61/63
LF.用:66
HF.用:70
標準/切断 B/C/E 標準
固定 5663 F./LF./HF.
1942年7月 配備開始
PR.Mk.10 63A/77 標準 D 引込み
16
与圧キャビン装備
F.24型航空カメラx3台
PR.Mk.11 61/63/70 標準 D 標準 引込み
固定
471
F.24型航空カメラx3台
Mk.16 パッカード266
(米国製66)
標準/切断 C/E 標準
固定 1054 LF.Mk.9に相当
ロケット弾装備可
*上表中の「尖」は、「とんがり尾翼」と呼ばれる大型方向舵を装着した尾翼を示す。

参考データ

スピットファイアLF.Mk.9E
乗員 1
全幅
全長  9.46m
全高
主翼面積
自重 2,630kg
総重量 3,400kg
エンジン ロールスロイス・マーリン66
液冷V型12気筒
1,720hp
プロペラ ロートル定速式4翅
最大速度 656km/h(7,500m)
巡航速度
上昇力 1,250m/min
上昇限度 13,000m
航続距離 700km〜1,580km
武装 E翼

作成:どんべ