great britain

ブラックバーンB-6シャーク
 S.15/33仕様に基づく艦上雷撃機で、スウィフト/ダート、リポン、バフィンと続いた、ブラックバーン系複葉英空母艦攻の最後を飾る機体である。シャークの後継機はかのフェアリー・ソードフィッシュとなり、それ以降単葉単座のファイアブランドを一時的に挟んではいるが、英海軍最後の艦攻バッカニアで取り戻すまでブラックバーン製の艦攻が主力になることはなかった。

 本機は予め自主開発していたものをS.15/33に振り向けたものであり、原型機の初飛行は仕様書が出てまもなくの1933年2月24日である。この開発の早さが本機の採用に大きく作用している。
 B-6と名づけられた試作2号機も早くも1933年8月24日には飛行しており、ソードフィッシュの原型TSR.1もライバルとしてこの頃に飛んでいるのだが、フェアリーの試作機はテスト中に着陸に失敗して破損、B-6の独走態勢となった。
 マートルシャムヒース実験場や空母カレイジアス上での試験の成績も上々で、翌1934年8月に英空軍(まだこの当時は艦隊航空隊も空軍の管轄)から16機の発注を得る。
 1934年4月には水上機型のテストもフェリックストウで行なわれ、こちらの成績も良好、艦攻と三座水偵の契約を独占する勢いとなった。
 34年から37年までの生産期間に238機が生産されたが、この数字は水上機型と陸上機型の両方を含む。
 シャークMk.Iは初期発注の16機で、エンジンはアームストロング=シドレー・タイガーIV 700馬力。
 Mk.IIはエンジンをタイガーVI 760馬力に強化したタイプで121機が生産されたのであるが、タイガーVIの初期不良の改良に手間取り、生産開始は36年に入ってからとなってしまった。
 Mk.IIIはエンジンをブリストル・ペガサスIIIに換装し、コクピットにキャノピーを追加したタイプで、1937年の4月から12月までに95機が生産されたが、既にソードフィッシュが生産に入っており、大半は水上機型として完成した。
 この他、ポルトガル向けのMk.IIA水上機型が6機製作されている。
 カナダはMk.IIを7機買ったあと、ライセンス生産をすることにし、ノックダウン用にMk.IIIを2機購入、バンクーバーのカナダボーイング社に生産設備を置いて水上機型17機を生産した。
 カナダ製のMk.IIIはエンジンにペガサスIX 840馬力を使用している。

 本機はブラックバーンの作品としてはおとなしい外見で、ブラックバーンらしさ(!?)は三面図からは見て取れない(笑
 しかし、よくよく見れば、ああ、シャークよ、お前もか、真正面から見るとW型に見える翼間支柱だが、これはフィアットのロザテッリ技師が得意としたワレントラスではない。写真をよく見ると、中央支柱は1本で、下翼前桁と上翼後桁を斜めに結んでいるのである。
 やはりブラックバーン、どこかにヘンなところを作らずにはいられないのであろうか(笑

 英国では1938年までに後方の雑用任務に下げられたが、ポルトガルでは1941年頃、カナダでは1944年頃まで沿岸哨戒任務で第一線にあった。

(文章:まなかじ)


RAFのシャークMk.I

カナダ空軍のシャークMk.III

諸元(シャークII 陸上機)
全幅14.02m
全長10.74m
全高3.68m
翼面積45.43m2
自重1,832kg
離陸最大重量3,651kg
武装7.7mm機銃*2(前方固定ヴィッカーズ・クラスE*1 後席旋回ルイス*1)
680kg魚雷*1または907kgまでの爆弾
発動機アームストロング=シドレー・タイガーVI 空冷星型14気筒 760馬力
最高速度241km/h(SL)
実用上昇限度4,875m
航続距離1,006km
乗員2〜3

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