1920年代後半の英空軍艦隊航空隊において偵察爆撃機として使われていたフェアリーIIIFを交替させる必要から、現用のフェアリーIIIFの改良型として1930年9月11日に計画に着手した。
この機体は当初フェアリーIIIF Mk.VIと呼ばれ、IIIF Mk.IIIBからの改装によって製作された。
シールの構造はほとんどフェアリーIIIFと変わらない。鋼管羽布張り(一部金属外皮)構造のオーソドックスな二張間の複葉機である。
改装の内容はほぼ並行して進められていたゴードンと同じで、エンジンもゴードンと同じくアームストロング=シドレー・パンサーIIA(525馬力)に換装された。
シールとゴードンとの差は、艦隊用のMk.IIIBを母体とすることから三座であること、艦上機としてフロートと選択式のブレーキ付き主車輪、尾輪(ゴードンは尾橇)、着艦フック、カタパルト用フック、浮き袋、クレーン吊上げ点を持つところにある。
本機は改造機ということもあり、1931年11月27日に初飛行してフェリックストウでのテストを終えると直ちに採用、新たにシールと名づけられたが、予算の都合上、改造工事の着手は1933年度を待たなければならなかった。
1935年3月までに概ね90機ほどが既存のフェアリーIIIFのうち状態の良いものから改造されて製作、納入された他、輸出用に14機が作られ、中国、アルゼンチン、ラトビア、ペルーに数機ずつが販売されている。
就役開始は1933年10月からで、HMSカレイジアス搭載の第820、第821Sqdを皮切りに開始された。その後、1936年からはシャークやソードフィッシュと交代して徐々に引退したが、いちばん最後までシールを装備していた在セイロンの第273Sqdは1939年8月に新編され、1942年4月まで哨戒飛行に使用していた。
全幅 | 13.94m |
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全長 | 10.26m |
全高 | 4.32m |
翼面積 | 40.69m2 |
自重 | 1,588kg |
離陸最大重量 | 2,722kg |
武装 | 7.7mm機銃*2(前方固定・ヴィッカーズE 後席旋回・ルイス) 爆弾227kg |
発動機 | アームストロング=シドレー・パンサーIIA 空冷星型14気筒 525馬力 |
最高速度 | 233km/h(915m) |
実用上昇限度 | 6,700m |
航続距離 | 970km |
乗員 | 3名 |