RAF艦隊航空隊用の偵察/雷撃機として、ブラックバーン・ダートの後継を求める21/23仕様に応えて設計された。
ダートは単座雷撃機であったが、21/23では偵察を兼ねるものとして複座となり、同時に航続時間の要求が大きくなっていた。
原型機は1926年4月に初飛行し、2号機は水上機として8月に進空した。
木金合製フレームに羽布張りという当時としてオーソドックスな構造の一張間半の複葉機であるが、魚雷搭載の便を図って下翼を逆ガルとしているのが特徴である。
原型はリポンI と呼ばれ、エンジンはネピア・ライオンV(467馬力)である。試験の結果採用となり、リポンI をもう1機と、量産型としてリポンII 20機の契約が結ばれた。
リポンII はライオンXI(570馬力)を搭載し、原型機よりも性能はかなり向上していた。
部隊就役は1929年7月に始まり、空母フューリアスとグローリアスのダートと交替して開始された。
1930年には魚雷懸吊方式を変更し、その他各部に細かい改修を加えたIIA が40機発注され、更に1931年には、これまで桁・リブともに木製だった主翼を鋼製桁とジュラルミンのリブに改め、上翼に前縁スラットを追加したIIC が31機発注された。
胴体骨組も完全に全金属化したリポンIII は原型1機が製作されたが、それ以上の開発は打ち切られた。
英空軍向けの生産は1932年中に終了したが、II とIIA は逐次IIC仕様に改造され、更に改造機を含むIIC の66機がバフィン(当初リポンVと呼ばれた)に改造されたことにより、リポンとしての本機は姿を消した。
また、フィンランドへの輸出実績があり、これはリポンIIF と呼ばれる。発動機はブリストル・ジュピターVI(480馬力)で、主翼はIIC仕様のものがついている。見本1機(RI-121)を輸出の後、ライセンス購入してタンペレの国営工場で25機を生産した。
フィンランドでの型番はR.29であり、生産ロットと装備エンジンによって3つのシリーズに分けられる。
当初発注分は15機で、これを7機と8機で2期に分割して発注するものとした。
シリーズIはRI-129〜135の7機で、1930年12月から1931年10月にかけて納入された。基本はジュピターVIであるが、RI-130はライトR1750サイクロン(525馬力)、RI-131はアームストロング=シドレー・パンサー(525馬力)、RI-132はP&W R1690ホーネット(525馬力)をそれぞれ搭載して試験にあたった。
結局、パンサーが合格してシリーズII に搭載されることになり、1931年10月から1932年2月にかけてRI-136〜143の8機が生産されたが、最終号機(RI-143)はアームストロング=シドレー・タイガー(720馬力)を装着して試験にあたった。
1934年に追加発注を行なうことになり、シリーズIIIではブリストル・ペガサスIIM3(610馬力)となり、RI-150〜159の10機が同年6月から10月にかけて生産されたが、最終号機(RI-159)はイスパノスイザ12Nbr(620馬力)を装着して試験にあたった。
フィンランドでは汎用偵察機としてこれを採用したが、冬戦争当時でも既に旧式化していて前線任務には危険であり、継続戦争時には対潜哨戒や救難任務、資材輸送などの任務にあたっていたが、損耗も少なくなく、1944年2月には残存数機となり、用途廃止となった。
ほとんど残骸状態ではあるが、1機がベジベヘマー空軍基地の倉庫に残存している。
リポンIIA | VL R.29 III sarja | |
全幅 | 13.67m | 14.20m |
全長 | 11.20m | 11.57m(フロート:11.95m) |
全高 | 3.91m | 4.15m(フロート:4.50m) |
翼面積 | 63.45m2 | 63.30m2 |
自重 | 1,930kg | 2,354kg(フロート) |
全備重量 | 3,359kg | 3,410kg |
武装 | 7.7mmヴィッカーズ・クラスE機銃*1 (前方固定) 7.7mmルイス機銃*1(後席旋回) 爆弾最大680kgまたは魚雷*1 | 7.7mmヴィッカーズ・クラスE機銃*1(前方固定) 7.7mmルイス機銃*2(連装・後席旋回) 爆弾最大500kgまたは200kg爆雷*2 |
発動機 | ネピア・ライオンIXA 液冷W型12気筒 570馬力 | ブリストル・ペガサスII 空冷星型9気筒 610馬力 |
最高速度 | 203km/h(SL) | 220km/h(1,525m) |
巡航速度 | 175km/h | 185km/h |
実用上昇限度 | 3,050m | 5,000m |
航続距離 | 1,706km | 900km(フロート) |
乗員 | 2 | 2 |