FK.56はベルギー空軍の発注による複座の単葉高等練習機として計画が始まった。
戦時には直協観測偵察機としても使用できることが要望されたが、ベルギー空軍は基本的な性能要求以外はコールホーフェンに要望せず、かなり自由度の高い試作となった。
そのせいもあってか、試作1号機は下方視界確保のために低翼ガル翼とでも呼んだらいいのか、奇妙な形態で完成してきた。試作機はライトR-975-E3ワールウィンド 空冷星型9気筒 455馬力を装着しており、固定脚を持っていた。
しかし、試作1号機は1938年7月30日に進空したものの飛行特性が不良で練習機としてはとても使えず、フォッカーから1938年になって移籍してきたエリク・シャツカ技師が設計主任を引き継ぎ、全面的な改設計にかかることとなった。
新試作機はまるっきりの別機となり、設計を洗練した結果として発動機は1ランク下のアームストロング=シドレー・チーターXで所期の性能を達成し得るものとされた。
鋼管羽布張りの構造で、全体的なシルエットはやや先行して設計されていた単座戦闘機のFK.58によく似ているが、引込脚は単純な後方引込みの半引込式とされている。
この試作機は良好な成績を収め、ベルギー空軍は1939年夏に本機を20機発注することになる。
このうち10機は1940年2月から5月にかけて納入されたが、残りの10機はドイツ軍の西方電撃戦の開始によって完成に至らなかった。
また、ベルギーに渡った10機もベルギー空軍の準備や慣熟訓練は全く間に合わず、開戦時に飛行可能なものは皆無の状態であった。結局、ドイツ地上軍の侵攻の前に、何の貢献もしないままにベルギー空軍自身の手で破壊され、全機が失われた。
全幅 | 11.50m |
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全長 | 7.85m |
全高 | 2.30m |
翼面積 | 20.00m2 |
自重 | 800kg |
全備重量 | 1,600kg |
最高速度 | 300km/h(500m) |
上昇限度 | 7,300m |
航続距離 | 750km |
武装 | 7.92mmFNブローニング機銃*2(前方固定*1 後席旋回*1) 爆弾100kg |
発動機 | アームストロング=シドレー・チーターX 空冷星型7気筒 375馬力 |
乗員 | 2名 |