雷撃もこなした陸軍最後の重爆撃機。 日本陸軍は次期重爆として昭和14年2月に三菱に研究を内示、 15年9月に試作を内示し、16年2月に正式に試作指示を行いました。 三菱側ではこれに答え、多くの新機軸を盛り込んだ機体を開発しました。 まず、視界を良好にするためエンジンナセルより前にコクピットを突出させ、 次に編隊飛行を楽に行えるように左右どちらの座席でも操縦が可能な設計を採用、 編隊の右側の機体は左の操縦席、左側の機体は右の操縦席という運用を可能にしていました。 また、軽量化するために胴体を絞り、その結果、重爆でありながら宙返りが可能であるという、 高い運動性を獲得することに成功しました。 燃料タンクも海軍の一式陸攻の戦訓をいれてか、そのほとんどを胴体内に装備するようにし、 被弾率の低下も考慮していました。 発動機には、日本初の量産化空冷星型18気筒エンジンとなった「ハ104」を装備、 18気筒に強制冷却ファン付きという複雑な機構とは裏腹に、余裕のある設計が幸いしてか故障も少なく、 本機の高い稼働率に貢献することになりました。 量産機は19年春から完成、大戦末期の陸軍の中心的爆撃機となって最後に少なからぬ活躍をしました。 また、「靖国」の名称で一部が海軍所属となり、 胴体下面に魚雷をぶら下げたて雷撃任務を行ってもいます。 日本の爆撃機としては珍しく、派生型も多く計画/製造され、「桜弾」装備の機体や、 機首に75o砲を搭載した迎撃機型の「キ109」などが有名で、 この事実も本気の優れた機体設計を裏づけるものと言えるでしょう。 |
諸元 | |
全幅(m) | 22.50 |
全長(m) | 18.70 |
全高(m) | 7.70 |
主翼面積(u) | 65.85 |
自重(s) | 8,649 |
全備重量(s) | 13,765 |
エンジン |
ハ104空冷複列星型18気筒 1900馬力×2 |
最大速度 | 537Km/h(6,090m) |
航続距離 | 3,800q(400Km/h/8,000m) |
上昇時間 | 6,000mまで14分30秒 |
実用上昇限度 | 9,470m |
武装 |
ホ3 12.7o×4, ホ5 20o×1(後上方) |
爆弾 |
800s×1,又は 500s×1,又は 250s×3,又は 50s×15,又は 800s魚雷×1,又は 1,070s魚雷×1 |