カント Z.508
Z.508は1935年に出された要求に基く偵察爆撃飛行艇として製作された。
Z.501の拡大版と言ってよく、基本的にはZ.501の三発化で、設計も同じくフィリッポ・ザッパータである。艇体下面は1930年代前半頃までのイタリア艇に特有なアーチ状断面から、通常のV字チャイン断面となっており、操縦席や機首爆撃照準/観測席をエンクローズしている。
試作1号機(MM.322)は1936年11月17日にマリオ・ストッパーニの操縦で初飛行したが、要望されていた目的に対しては、Z.506Bがより小さく、より安い機体で、しかもより優れた性能を発揮することがすぐに明らかとなった。Z.506Bは同じ会社の同じ人物が設計を担当していたわけで、これは全くの二度手間であると言われても仕方がないのではなかろうか。
結局それにより、試作3機(MM.322〜324)のみが製作されたにとどまった。
MM.322は民間機登録記号I-VECCをつけて記録飛行に挑戦し、荷重10,000kg積載で高度2000m上昇、距離2000kmコースで荷重5000kg積載での平均速度248.25km/hなど、いくつかのレコードを樹立している。
その後、3機とも第171
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スクァドリッリアに配備されて洋上哨戒任務に就き、1機をスペイン戦争で失ったが、1941年に老朽化により引退するまで飛行を続けた。
(文章:ダリオ・マナカジーニ)
冷却器配置のため空冷に見えますが、液冷発動機です。
諸元
全幅
30.00m
全長
21.82m
自重
10,400kg
武装
7.7mmブレダSAFAT機銃*3 爆弾1000kg
発動機
イソッタ=フラスキーニ・アッソXI RC40 液冷V型12気筒 840馬力
最大速度
315km/h
実用上昇限度
7,200m
航続距離
3,000km
乗員
2〜5名
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