カント Z.1015
Z.1015は1938年に出された要求に基き、大西洋横断ブルーリボンを奪取すべく高速郵便機として発注された。
設計主任のフィリッポ・ザッパータは当時試作が進んでいたZ.1007を改良して製作することにし、試作機(MM.512)は1939年にマリオ・ストッパーニの操縦で初飛行した。
構造はZ.1007と同じく全木製で、発動機にはアルファ・ロメオ135 RC32を装着していた。530km/hの快速力を発揮したが、時局柄CRDA社はZ.506BとZ.1007bisの量産で忙殺されることとなり、不急機種であるZ.1015の開発はいったんストップさせられてしまう。
1942年になり、Z.1015を母体として高速爆撃機に転用する計画が持ち上がり、MM.512のエンジンをより強力なピアッジオP.XII RC35に換装して原型機とすることにした。
作業は1942年11月に完了、直ちにCRDA社有のゴリツィア飛行場から初飛行し、再び審査が開始された。
結果、他の性能をほとんど低下させずに最大速度を560km/hに向上させたが、しかし武装を施せば平凡な性能になることもまた目に見えていた。
その後、設計主任のザッパータがブレダ社に移籍したこと、また新型双発爆撃機のZ.1018(本機はブレダ移籍後もBZ.1018として計画続行)が有望であったこともあり、Z.1015の改造計画は打ち切られた。
(文章:ダリオ・マナカジーニ)
横から見ると機首が長く見えます
絞り込まれたエンジンカウリングが特徴的
(画像はどちらもエンジン換装後)
諸元
(括弧内エンジン換装後)
全幅
24.80m
全長
17.80m
自重
9,000kg
全備重量
13,600kg
武装
なし
発動機
アルファ・ロメオ135 RC32 空冷星型18気筒 840馬力
(ピアッジオP.XII RC35 空冷星型14気筒 1500馬力)
最大速度
530km/h(560km/h)
実用上昇限度
8,000m
航続距離
3,000km(2,980km)
乗員
2〜4名
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