サヴォイア・マルケッティ SM.95
 SM.75を四発化して、18座席の高速旅客機とした機体である。基本的にはSM.75のペイロードを増大するものだが、SM.82との差は巡航速度の速さで、軍用輸送機としての仕様も含まれているが、なにより民間旅客機としての使用が第一に考慮されている。
 基本構造はサヴォイア・マルケッティのスタンダードである木金合製胴体に全木製主翼。SM75を基礎とはしているものの改設計はかなり大規模なものになっており、外見上は目立つ共通点らしいものはない。
 特に、エンジンナセル2個分が内側に延長されたことにより、全幅が増したことでアスペクト比が大きくなっている。
 1943年5月8日に初飛行している。
 1943年には2機が製作されたが、休戦とともにドイツに接収された。これ以降、終戦まで開発生産ともに完全にストップしてしまう。
 3号機の処女飛行は1945年7月30日となり、1949年11月までに20機が生産された。
 軍用輸送機としては1機がRAFに徴用された他、新生イタリア空軍第240グルッポで数機が軍用郵便機として使用された。
 本格的旅客機型はSM.95Cで、アラ・リットリア航空が新生アリタリア航空として戦後再出発したときのフラッグシップ・クラス旅客機となり、のべ6機を投入することになる。また、リネ・アエレエ・トランスコンチネンターリ・イタリアーネ(LATI)航空は3機を購入している。
 装備エンジンはアルファ・ロメオ128 RC18(860馬力)、またはP&W R1830ツイン・ワスプ(1250馬力)、ブリストル・ペガサス48(740馬力)で、戦後すぐの旅客機としてはかなり物足りないものではあったが、機体規模に対して考えればやむを得ないところではある。
 他のユーザーはエジプトで、国営航空(SAIDE)が4機を購入した。
 これらの機体は1952年頃までには大半が引退していった。

(文章:ダリオ・マナカジーニ)


ツインワスプ搭載のLATI航空機

諸元
全幅34.28m
全長24.77m
全高5.70m
翼面積128.30m2
自重12,800kg
離陸最大重量21,600kg
武装なし
発動機アルファ・ロメオ128 RC18 空冷星型14気筒 860馬力
最大速度400km/h
巡航速度322km/h
実用上昇限度6,500m
航続距離2,000km
乗員5名 乗客18名

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